連続テレビ小説「おかえりモネ」 (第16回・2021/6/7) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おかえりモネ』(公式サイト)
第16回/第4週『みーちゃんとカキ』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
親に黙って仙台の大学から逃げてきた三生(前田航基)は、しばらく永浦家に滞在することに。そんな中、百音(清原果耶)の妹・未知(蒔田彩珠)は、祖父・龍己(藤竜也)の助けも借りながら、夏休みの自由研究でカキを卵から育てる地場採苗に挑戦していた。家業だけでなく、気仙沼の漁業の未来まで考えて研究に打ち込む妹の姿に、百音は圧倒される。さらに、天候を読むことが漁業にとっていかに重要か、次第に分かってくる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:安達奈緒子(過去作/透明なゆりかご、コード・ブルー3、きのう何食べた?)
演出:一木正恵(過去作/どんど晴れ、ゲゲゲの女房、まれ) 第1,2週
梶原登城(過去作/おひさま、あまちゃん、マッサン) 第3,4週
桑野智宏(過去作/ウェルかめ、梅ちゃん先生、あまちゃん)
津田温子(過去作/龍馬伝、西郷どん、いだてん)
音楽:高木正勝(過去作/映画「バケモノの子」、「未来のミライ」、「静かな雨」)
主題歌:BUMP OF CHICKEN「なないろ」
語り:竹下景子
制作統括:吉永証(過去作/トクサツガガガ、詐欺の子)
須崎岳(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
気象考証:斉田季実治(NHKニュース7、ニュースウオッチ9)
※敬称略
まえがき
まだ、第16回を見ないで、この部分は書いている。その理由を書く。
私は重箱の隅を楊枝でほじくっていると言うよりも、一時停止をしないとわからない描写方法や、曖昧な時間表現や、主人公が気象予報士を目指す過程の “しっくりこなさ” が、気になるから、その分について書いているのだが。
どうやら、そこが気に入らないのか、正解を教えたいのか知らないが、それらに対するコメントが多くて、それらに対応するのが少しストレスになって来たので、今回次第で「好意的解釈モード」から、いつでも離脱する「様子見モード」に変えようと思っている。
そこで、「好意的解釈モード」のうちに、これだけは書いておきたいことがあるので、本編の感想の前に書こうと思う。
これまでの朝ドラなら百音が目指すのは"音楽の世界"のはず
きっと、これまでの朝ドラの系譜を考えれば、主人公の百音(清原果耶)が将来目指すのは “音楽の世界” のはずだ。子どもの頃から父親に才能を見出されて、中学生では吹奏楽部で楽器に触れ、音楽の面白さや演奏の素晴らしさを感じて、進学する高校も音楽専攻科にまで絞り込んだ、それ程にモネの中の音楽は大きな存在だったと思う。
百音の"音楽"の存在が、"島にいなかった人""言葉に出来ない体験をした人"に引き裂いた!
しかし、奇しくも、中学の「卒業演奏会」と「東日本大震災」の日時が重なった。そして、百音は複数の音楽系の高校の受験に失敗し、「卒業演奏会」で演奏も出来なくなった。
地震発生。東日本大震災と言う中学生にとっては、とてつもなく大きな自然災害によって、 自分が “音楽の世界” を目指したこと自分と島の人たちを “島にいなかった人” と “言葉に出来ない体験をした人” に分断された。
きっと、百音は “音楽” と言う存在が、“島にいなかった人” と “言葉に出来ない体験をした人” に引き裂いたと思っているのだろう。自分が将来の目標にまで “音楽” を格上げせずに、「卒業演奏会」で演奏していたら、分断は無かったと自分を責めているかも知れない。
失った全ての再生のために亀島を離れ、再生のきっかけを模索中の百音が3週間で描かれたのか…
だから、震災の夏、制服は来ていないが、きっとモネは高校生なのだろう。夏休みかも知れない。昼間に父親が家にいるから日曜日かも知れない。そんな風鈴の音とヒグラシの鳴き声の中で、百音と父・耕治(内野聖陽)のこんなやりとりがあった。
耕治「これから… なんじゃないがなあ…。って 思うんだよ。
音楽とか そういうの… 大事になってくんの。だから…」
百音「違うよ お父さん。
音楽なんて 何の役にも立たないよ」(字幕ママ)
百音の高校時代が描かれていないから想像の域を出ないが。好意的解釈モードで考えれば、中学時代の吹奏楽部の仲間たちとも疎遠になっている可能性がある。もちろん、学校も楽器も津波に流されて、それどころではないとも思う。
実際、まだ2011年夏は、既に4月には、桑田佳祐氏を始めとする芸能事務所アミューズに所属するアーティスト・タレント50人以上による、東日本大震災被災者支援のためのプロジェクト「チーム・アミューズ!!」が起動し、スペシャルソング「Let's try again」を制作することが発表された。
また、5月には福島県在住のボーカルユニット、GReeeeNが、東日本大震災の支援活動プロジェクトGreen boys projectを始動。6月には、氷室京介氏が東京ドームで東日本大震災復興支援チャリティーライブを開催もした。私は彼らの行動に敬意を表するが、百音は「音楽なんて 何の役にも立たないよ」と、きっぱり言った。
百音の “音楽” の領域や範囲は定かでない。でも、好意的解釈モードで考えれば、百音にとって、音楽を聴くことも演奏することも、地震と津波が引き裂いた関係を修復する “きっかけ” にならないこと、引き裂かれた傷を癒す “薬” にもならないこと。
そして、失った全ての再生のために、まずは震災を共有ることが出来ない人たちのいる亀島を離れて、高校を卒業し就職先の森林組合を通して出会うことになった人気気象予報士の朝岡(西島秀俊)と “彩雲” と “気象予報士への興味” が、3週間かけて丁寧に描かれたとも思える。何度も書くが、好意的に解釈すれば… の話だが。
本作は「ながら視聴」をするのが難しい
そして、第3週まで見て感じたのは、本作は「ながら視聴」をするのが難しいってこと。
時間設定が曖昧な点もあるが、大事なことが一時停止してみないと見逃すくらい短いカットで済まされてしまうから。その点は、NHKとしては大きな賭けだと思う。だって、これまでの朝ドラは「家事をしながらでも、台詞だけ聞いていれば内容が理解出来る」とか、「1話や2話を飛ばしても、大体ストーリーは分かる」ように創ることが一種のお約束だったから。
しかしだ。コロナ禍の今、直接会うことのコミュニケーションが取りづらい。そしてSNS等によって一瞬に切り取られた言葉が全世界に拡散してしまう。そんな何とも言えぬ閉塞感の中で、東日本大震災を経験し、いろいろなものを失った百音が、2014年以降をどう生きて行くのか。
特別な才能があるわけでもなく、いつでも元気いっぱいで天真爛漫でもなく、姉御肌でもなく、リーダーっぽい性格でもない。でも、虐げられたり虐められたりするような人でもなく。どちらかと言えば地味で、むしろ意識して明るく振る舞うような “普通の10代の女の子” が、今後、どうやって自分の傷を癒し、道を選び、歩んで行くのか。
その過程で、大きな傷となっている「音楽」と再び向き合うことはあるのか。やはり、本作は、これまでの朝ドラらとは違う。テレビ画面の中に描かれる全ての情報を、研ぎ澄ました感覚で向き合う、そんな難易度の高い朝ドラなのかも知れない。
それが、視聴率は別にして、ドラマとして成功するかは未知数だが。それでも、何となく、第3週までを好意的に見ると、本作との向き合い方が見えて来たような気がした。
「怖かった海」と「背中を押した海の風」との微妙な表現の違い
さて、ここからが、第16回を見てからの感想だ。
アバンタイトルの冒頭付近の “牡蠣の妖精” であり、百音の祖母・雅代(竹下景子)の語りも悪くなかった。
N「帰ってくるのが 少~し怖かった海ですが
百音の背中を ちょっと押してくれたのも この海の風でした」
「怖かった海」と「背中を押した海の風」と言う微妙な表現の違い。怖いのは海で、背中を押してくれたのは目の前に広がる海では無くて、そこにたまたま吹いた海の風と言う描き分け。こう言うのをちゃんと変えるのは、曖昧だらけの本作にとって、とても良いこと。
海への怖さと、海風から連想される天気や天気予報には怖さよりも希望が増しているって感じ。このような語りでの補強も大事だと思う。
今回が「2014年8月14日」だと分かったのが一番良かった
今回で一番良かったこと。それはこれまで曖昧だったが、今回が「2014年8月14日」だと分かったこと。
視覚障害者の方には副音声で解説していなかったから、ここで書いておくが。13分頃に百音の妹・未知(蒔田彩珠)と祖父・龍己(藤竜也)が作業場で「浮遊幼生(牡蠣の赤ちゃん)」の原盤を海に入れるタイミングを天気図から見ているシーンの天気予報に「「2014年8月14日 12:00」と記載があった。まあ、少々説明っぽかったが、曖昧のままよりずっとマシだ。
9分頃の食事のシーンの"未知の存在"も良かった
それと、もう一つ細かい部分だが良かったこと。それは、9分頃の食事のシーン。家族みんなでテーブルを囲んで食事をする、ずっと後ろの作業場で、ちゃんと未知が研究をしている様子を入れたこと。
しっかりと、ホームドラマになっている。とは言っても、「おじいちゃん 起きて!」とやって来る未知の動線(俳優が移動する道筋)には少し違和感を覚えるが。まあ、喜びを急いで伝えに来たと言う意味では、フレームインした方が臨場感があると言う現場の判断ってことにしよう。
なぜ、養殖牡蠣の説明を祖母・雅代のまま喋らせたのか?
ただ、気になったのは。いいや、勿体ないなと思ったのは、養殖牡蠣の解説を、祖母・雅代がやったこと。
ここは、第1回の「実は カキに生まれ変わっております」を活かして、「私、百音の祖母ですが、今はカキです」とか、遊んだら面白くなったのかなと。でも、本作はとにかく真面目に描くのが主義みたいな部分がある。だったら、この解説は雅代を使わない脚本と演出で乗り越えた方が、本作の真面目さが貫かれたと思う。
あとがき
正直、可もなく不可もなくって感じですね。とにかく、何となく百音が少しずつ気象に興味を抱く過程が丁寧に描かれているって感じでしょうか。とにかく、騒動やドタバタをやらずに進んで欲しいです。
そして、ぼちぼち「送り火」の時期になりますね。「迎え火」の時は百音たちが地元の風習を見せてくれました。東北地方には「送り火」に相当する行事として、藁で作った船を、海や川に流す「盆船流し(ぼんぶねながし)」や「盆船奉納(ぼんぶねほうのう)」と言う行事があります。そんなのを描いてくれると、地方色が出て良いなと思います。
※暫く、コメント欄を閉じます。気が向いたら開けます。
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★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15621/
【これまでの感想】
第1週『天気予報って未来がわかる?』
1 2 3 4 5 土
第2週『いのちを守る仕事です』
6 7 8 9 10 土
第3週『故郷の海へ』
11 12 13 14 15 土
第4週『みーちゃんとカキ』
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