リコカツ (第8話・2021/6/4) 感想

TBS系・金曜ドラマ『リコカツ』(公式サイト)
第8話『リコカツからの即再婚!? 願うのはあなたの幸せ…』の感想。
離婚後も咲(北川景子)を気に掛ける紘一(永山瑛太)は、対峙(たいじ)した連(白洲迅)とのやりとりの中で、‘咲にふさわしい人物’は誰なのかを考え込むことに。その連は、咲を思い出の場所に連れ出して自身の過去を告白。そして現在の心境の変化を伝える。一方、貴也(高橋光臣)と話をした紘一は、考えた末に連の元を訪ねるが、仕事でやって来た咲と鉢合わせしてしまう。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:泉澤陽子(過去作/あまんじゃく2018,2020、お迎えデス。、ブラックスキャンダル、大恋愛)
演出:坪井敏雄(過去作/凪のお暇、カルテット、わたナギ、恋あた) 第1,2,5話
鈴木早苗(過去作/3年B組金八先生ファイナル) 第3,7話
韓哲(過去作/ATARU、IQ246、コウノドリ、集団左遷!!) 第4,8話
小牧桜(過去作/この恋あたためますか) 第6話
音楽:井筒昭雄(過去作/民王、99.9、トクサツガガガ、妖怪シュアハウス、書けないッ!?~脚本家)
主題歌:米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
不要不急の外出禁止のお供に最後まで読んで頂ければ…
今回の感想、何処からどの角度で斬り込んだら良いのか分からなくて、推敲にかなり時間が掛かってしまった。それでも、相変わらずの拙稿&長文になっているとは思うが、不要不急の外出禁止のお供として良かったら最後まで読んで頂ければ嬉しい限り…
秀逸な脚本に対して、軽い気持ちで感想など書けない…
いや、これだけ徹底的に、残りが何話か知らないが(恐らく)全10話の構成と、各話の構成、各話同士の関係性、それに伴う登場人物たちの状況や環境や心境の変化を計算し尽くしている秀逸な脚本に対して、軽い気持ちで感想など書けない… と、思ったのだ。
とにかく、「脚本は設計図」だから、緻密過ぎると言うのはないわけ。緻密と “密” は違う。“密” はギュウギュウに詰め込んであって、余白や余裕がない。しかし、“緻密” には適度な余白や余裕が生まれるのだ。
泉澤陽子氏の書く"緻密"な脚本こその"有効な遊び"が光る!
自動車を運転する人なら分かると思う。ハンドルの動きには若干の “遊び” がある。ハンドルの動きとタイヤの動きが “ダイレクト” でなく、ちょっと右にハンドルを切っても、最初にタイヤは動かない。そして、更にハンドルを切り込むと、それに “追従” するようにタイヤが動く。
この “遊び” が機械である自動車と感情の動物である人間の “橋渡し” をしているのだ。そして、 泉澤陽子氏の書く脚本には、その “遊び” があるのだ。だから、紘一(永山瑛太)が口からお茶をダラ~と零しても、「古畑任三郎」のモノマネを入れても、全体に影響は与えない。むしろ、ラブコメらしさを強調する “良きスパイス” になる。
やはり、緻密な脚本の連ドラは安心してみることが出来ることを、あらためて痛感した第8話だった。
前回に続き今回も「やり直せる?」を引っ張るかと思いきや
さて、脚本の技術的な話の次は、今回の全体のエピソードについて思ったことを書いてみる。
前回で、咲(北川景子)と紘一は離婚して、それぞれを好きな人が現れて、それでも咲と紘一のそれぞれの心の中には、まだ相手を嫌いになり切れない気持ちだけでなく、「もしかしたら、まだ好きなのかも?」とか「離婚すべきでは無かったのかも?」とか「やり直せる?」みたいな思わせぶりで終わった。
まあ、ラブコメだから、そう言う “未練” みたいなものを描きつつ、最終回まで引っ張るのか、どうなのか、かなり今回に期待をしたのだ。
『リコカツ』が『リ・コンカツ』と言う新ラブコメへ昇華!
では、今回は、私の予想を遥かに超えて、いや、全く思い付かない展開になった。どこが、私に思い付かなかったのか。
それは、咲には元カレの貴也(高橋光臣)と恋愛小説家の水無月連(白洲迅)がいて、紘一には一ノ瀬純(田辺桃子)がいると言う、「四角関係」に近い「五角関係」を描いて、視聴者をこれでもか! と言わんばかりに焦らす。
そして大いに焦らしながら、ドラマの背骨としては「離婚した2人だけの奇妙な恋バナ」を徹底的に描いて、「咲と紘一の婚活・第2章」へ、確実に昇華&進化させて来たことだ。
確かに、離婚はしたが未練が残る元夫婦を描くドラマは過去にもあったかも知れない。でも、本作はそうじゃない。「リコカツ」にちゃんとピリオドを打ったからこそ生まれた “新たな恋心” を創って、コンカツのドラマに転換してしまったのだ。
ドラマのタイトルは『リコカツ』なのに『リ・コンカツ』とでも表現したら良いだろうか。ホント、このアイデアは凄い。スゴ過ぎる!
咲と紘一の心の中にある"未練"のようなものの描き方に注目
まだ、褒めたいことがある。それは咲と紘一の心の中にある “未練” みたいなものが、2人以外の言動を通して、自分の気持ちに気付くと言う構造になっていることだ。例えとして良いとは思わないが、バカな私に免じて読んで欲しい。
例えばバーベキューが終わって火の始末をしたつもりが、実は種火がくすぶっていていたなんてことがあったとしよう。普通なら自然に風が吹いて消えるか、逆に風に火が煽られて、運悪く山火事になった… なんてことがあると思う。
でも、本作は全く違う。本作のバーベキューの火は一度完全に消えているのだ。そして、片付けすらも順調に終わったのだ。でも、「三角関係」や「四角関係」のお陰で、再び自分の持っているマッチに火を付けちゃった。そんな感じなのだ。
互いは、相手の心のマッチに火が点いたのを知らないが…
そして、離婚しているから、互いが、自分の心のマッチに火をつけてしまったことを知らない。知らせない。でも、第三者にはさり気なく伝える。その伝え方が、実に良いのだ。
紘一「一ノ瀬3尉と お付き合いすることはできません」
紘一は、一ノ瀬に対して素直に交際を断った。でも、咲は貴也に…
咲「私は もう 誰とも結婚しない」
咲のアプローチは違う。紘一の新たな幸せ(実は、一ノ瀬との交際は嘘だが)のために、自ら身を引き、更に紘一に対して見栄を張るような行為もせず、新たなコンカツから身を遠ざける手段を選んだ。これ、何が凄いかって。2人が離婚しているから描くことが出来るラブコメになっていることなのだ。
悩みに悩んで、喧嘩し尽くした結果で離婚した相手だからこそ、その相手が気になって、また恋の火種が着火して。ここまでが今回。
これぞ、脚本と演出と俳優の極上の三位一体!
これ、私が望む「先が見たくなる連ドラ」に完全になっている。そして、当然ながら、この緻密な脚本(設計図)を正しく理解して演出する腕のいい大工さんと、その腕に答える最高の建材である俳優さんたちの存在感と演技力が、これだけ凄いドラマを作っていることは言うまでもない。
あとがき
いやあ、笑わせて、泣かせて、焦らして、先の展開が見えなくて。もう、面白いラブコメの要素がてんこ盛りですね。良く、こんなストーリー展開を思い付くものだと感心して、二度見しちゃいました。次回にも大いに期待します。
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★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15611/
【これまでの感想】
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