連続テレビ小説「おかえりモネ」 (第15回・2021/6/4) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おかえりモネ』(公式サイト)
第15回/第3週『故郷の海へ』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
久しぶりの実家で、眠りについた百音(清原果耶)は、3年前のあの日のあと、幼なじみと再会した時のことを思い出した。一夜が明け、百音や亮(永瀬廉)たちは、早朝、そろって足しげく通った浜辺を訪れる。そして百音をはじめ、亮、三生(前田航基)、明日美(恒松祐里)、悠人(髙田彪我)、未知(蒔田彩珠)の6人は、海からのぼる朝日を見ながら、あの日のことや将来について語り合う。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:安達奈緒子(過去作/透明なゆりかご、コード・ブルー3、きのう何食べた?)
演出:一木正恵(過去作/どんど晴れ、ゲゲゲの女房、まれ) 第1,2週
梶原登城(過去作/おひさま、あまちゃん、マッサン) 第3週
桑野智宏(過去作/ウェルかめ、梅ちゃん先生、あまちゃん)
津田温子(過去作/龍馬伝、西郷どん、いだてん)
音楽:高木正勝(過去作/映画「バケモノの子」、「未来のミライ」、「静かな雨」)
主題歌:BUMP OF CHICKEN「なないろ」
語り:竹下景子
制作統括:吉永証(過去作/トクサツガガガ、詐欺の子)
須崎岳(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
気象考証:斉田季実治(NHKニュース7、ニュースウオッチ9)
※敬称略
前回のラストシーンは、こんな感じだった
前回のラストシーンの舞台は、2011年3月11日(金)で、百音(清原果耶)と耕治(内野聖陽)が合格発表の帰りに仙台市内で立ち寄ったジャズ喫茶「B TRAIN」。ラストカットは、そこで午後2時から始まったジャズトリオのライブ演奏中に、機械型デジタル表示式の時計の一種「パタパタ時計」の時刻が「2:45」から「2:46」の “運命の時刻” になった瞬間だった。
もう、「時間表示」は止めるべき… と、思う
そして、今回の冒頭が「3月11日 午後10時」とのテロップ。何度書けば良いのだろう。本作、特に今週の演出家は「時間表示」のテロップ雑過ぎる。もちろん、編集も。まだ、始まって3週目の本作。全国的に雨の天気予報なのだから、今回が初めての視聴者もいるはずだ。だったら、なぜ「2011年」を省略したのか!?
こう言うお粗末な映像を創るから、メイン演出家が担当した先週末の「林間学校」から「気象予報士」に繋がる肝心なエピソードもケチが付くのだ。もう、「時間表示」は止めるべき… と、思う。それでなくても、百音を含めて中学生だか高校生だか見分けがつきにくいのだから。
中学の制服はセーラー服と詰襟で、高校時代はブレザーで統一して、回想で視聴者に刷り込むだけ良いと思う。それくらいは、やって欲しい。これ、前作『おちょやん』で最後まで老けメイクをしないで終わったヒロインと同じことだから。同じことをNHK大阪と東京で繰り返す程、馬鹿げたことはない。
不親切な表現は、朝ドラではやらない方がいいと思う
そして、今回のアバンタイトルで、漸く判明したのが、何度も登場していた「百音が “山の上らしき所” から “夕日らしき光” を浴びる中、目を見開き涙する回想シーンは、震災後の「気仙沼湾」の町に火の手が上がっているのを見ていると言うシーンだってこと。
言いたくないが、ここも不親切だ。いや、実に描写が曖昧だ。その原因が脚本なのか演出なのかは分からない。しかし、少なくとも、アバンの最初のシーンは「午後10時」とテロップを出して、語りの直後はどう見ても「午後10時」ではない。ガソリンスタンドがあった平坦な道でもない。だったら、「12日(土)午前5時」とかテロップを入れるべきでは?
それに、なぜ百音と耕治が “山の上らしき所” へ登ったのかも描くべきでは? たった一言で良いのだ。渋滞中の車内で百音に「亀島が心配…」と言わせるだけ。そうすれば、視聴者は適当に脳内補完する。しかし、いくら印象的なシーンだとしても、そこに主人公がいる必然性が無ければ、ただの「見物人の一人」になってしまう。
これで失敗したのが、「林間学校」の「新人」じゃないか。どうやら、この脚本家は、視聴者が主人公にとって “大切な出来事” だとか “人生の分岐点” だろうなと “勝手に” 思い込んでいる部分に限って、曖昧に描く傾向がある。もちろん、演出家も。視聴者に “らしい” と思わせるようなここは早急に改善すべき。
「亀島」はフィクションの島で甚大な被害はなかったらしい
主題歌明けも、また「数日後」と曖昧だ。前回は「2:45」から「2:46」へ変わる “秒” まで描いたのに。こんなの普通に「3日後」とか具体的な数字を入れるべき。ホント、どうなってんの? もう、いいや。
どうやら劇中の架空の島「気仙沼亀島」は津波の被害も火災の被害も甚大ではなかったようだ。亀島のモデルとなった「気仙沼大島」では、「黒い津波」が押し寄せ、川が逆流し、家屋が倒壊し火災になって、甚大な被害を受け、その結果、大島は陸の孤島都市孤立した。そのために2019年に「気仙沼大島大橋」(別名:鶴亀大橋)が架けられた。
まっ、「亀島」はフィクションの島で、甚大な被害はなかった “らしい” と思っておこう。
避難所が「小学校」だと、どれだけの人が気付いただろうか
なぜ、父親に避難所に行け言われて、百音がすぐに学校に行ったのかも丁寧さが欲しかった。と言うか、ここで百音に「避難所って何処?」と言わせて、「○○小学校に決まってるだろ」の父親の一言があったら、どれだけ親切なドラマになったか。
だって、自衛隊のヘリコプターが着陸して、救援物資を運び出した校庭が「小学校」だと、どれだけの人が気付いただろうか。これ、「副音声」では「避難所の小学校の校庭に着陸する自衛隊のヘリコプター」との解説があったのだ。だから、曖昧なのは止めて欲しいと願う。
避難所での百音の言動に違和感…
また、百音が友人たちと再会する時は、ほぼ無言で顔を見るだけで。妹の未知(蒔田彩珠)とは号泣で… と言うのも違和感。
そして、また丁寧で無い演出があった。百音が祖母のことを未知に聞いた時、祖母・雅代(竹下景子)は縁側でボーっとしていた。「おばあちゃん逃げて! おばあちゃん!」と言う声の回想が入った。字幕表示を見れば、その声の主が未知であること分かるし、鈴木京香さんの声でもないのは分かるが。
でも、ここは、未知がボーっとしているところへ、未知が駆け寄るカットがあった方が親切だと思う。それに、雅代に何か大変な事態が起きたような “思わせぶりな描写” も、全く必然性が無い。
それと、母の亜哉子(鈴木京香)の安否を気にする映像が無かったが。これも、亜哉子が小学校の先生をやっていた設定だから、避難所になるような小学校だから安心 “らしい” と思えってか。なんか、曖昧ばかりで話が入って来ない…
もっと村上さんを上手く使って"友情"を描いても良かった…
そして、雅代の安全を亮(永瀬廉)が伝えた後、救援物資を運んだり、料理の手伝いをしたりしている子どもたちが描かれた。見れば中学生 “らしい” と思えるが、ここでも副音声は正確に「避難所のあちこちで、大人を手伝っている中学生たち」と言っていた。このあと、亮たちも炊き出しの手伝いをするが。
だとすると、給食室で大人たちを手伝わずにいたあの友人たちは、百音の安否が心配だったから、手伝いをする気にならなかったってこと? だったら、そう描いてくれないと。絶好のチャンスがあったではないか。
小学校にやって来た百音に、(以前に登場した?)村上さん(絵永けい)が「みーちゃんも、お友達も給食室で心配してるよ」と一言言わせるだけで良かったのに。
因みに、この村上さんは恐らく、気仙沼市の大島出身で、語り部ガイドを続ける村上まき子さん(70)がモデルと思われる。
東日本大震災:気仙沼が舞台、来春の朝ドラ 被災地の歩み知ってほしい 語り部ガイド・村上まき子さん /宮城 | 毎日新聞
「副音声アリ」で見た方が無駄な脳内補完をしなくて済む!!
そして、震災のシーンはオープニング映像含めて、約7分間で終了。舞台は、2014年7月末の雅代の初盆の頃に戻って来た。と思ったら、また「2011年 夏」と曖昧表現。
百音「音楽なんて 何の役にも立たないよ」
と言ったあと、扇風機が回っていて、風鈴の音がして、また時間軸が2014年7月に戻るくだり。物憂げな表情の百音で繋げたのは分かるが、正直やはり映像描写としては曖昧。しかし、副音声は「縁側に風鈴。あの日のことを思い出している百音」と入った直後に、縁側に座る百音のカットになる。
副音声を聞いていれば、風鈴の “音” が、震災の起きた夏に父が言った「また 吹いてみないか?」と、それに対して自分が「音楽なんて 何の役にも立たないよ」と言ったことを思い出す “記憶のカギ” なのが分かる。でも、映像と字幕からだけでは、残念ながら、私は超好意的な脳内補強をしないと見えては来ない。
と言うわけで、敢えて提案したい。本作は「副音声アリ」で見た方が、無駄な脳内補完をしなくて済む… と。
仏壇に足を向けて寝る以前に、仏壇の場所が不自然…
それと、仏壇に足を向けて寝るシーンだが、あそこも、もう少し解説と言うか分かり易い台詞なり映像なりがあっても良かったと思う。一般的に仏壇に足向けて眠るのは、ご先祖様に失礼と、私は祖母から教わって、今でもそれを “信じて” いる。だから、別に気にならない人も多いはず。
でも、震災の経験から仏壇が倒れたら困るとの判断で足を向けて寝たなら、そう描けば良いのに。と言うか、個人的な仏教感覚だと、仏壇が窓の正面にあることの方が不自然。普通は、仏壇には直射日光が差し込まない位の奥か、窓に対して横向きに置くと思うから。まあ、どうでも良いのだが…
百音に震災をトラウマとして盛り込む必要があったのか?
さて、今回は「副音声付きで見ましょう」以外は、ほぼ全部愚痴だった。そうなった理由は読んで頂いたなら分かるはず。
でも、今回を見て一番強く感じたのは、いくら本作が東日本大震災から10年の節目にあたる年に、NHK東日本大震災プロジェクトの一環として制作される朝ドラだからと言って、百音が東日本大震災を体験する設定が必要だったかってこと。
もちろん、年齢を考えれば、体験せざるを得ないわけだが。でも、今回の「音楽なんて 何の役にも立たないよ」のような意味深な台詞を言わせるためだったら、前回で、あんなに強調する必要もなかったと思う。だって、気象予報士になるドラマなのだから。
そして、折角、震災に触れずに、誕生から森林組合に就職するまで、サクッと進んだのから、無理に、トラウマとして盛り込む必要があったのかってこと。
今まで本作は「迷信は迷信」として明確に描いて来たのに…
それに、今回の終盤で亮が今日の天気を予想するシーンにも違和感を覚えた。これまで本作は「迷信は迷信」として明確に描いて来た。
第1週だったろうか。人気気象予報士の朝岡(西島秀俊)が森林組合に来た時だ。百音はサヤカ(夏木マリ)から「彩雲を見ると、いいことがある」と聞いて、彩雲を心の支えにしようとするが、朝岡は「迷信でしょ」と否定した。でも、空を見上がることで前向きになれるとも朝倉は言っていた。
また、天気予報は完全ではなく「外れたら謝ります」とも言っている。迷信と真実と、信じることで救われることの3つを描き分けて来たのが本作だ。だったら、今回の亮の「雲多いけど この分だと 今日は 一日 雨は降らないかな」だけで終えずに「多分」とか「恐らく」と加えた方が良かったと思う。だって「亀山に雲ないし」は(経験則もあるだろうが)地元に伝わる迷信なのだから。
あとがき
最後の方で、亮が「龍己さんも そうでしょ?」と言う台詞がありました。字幕なし、登場人物一覧表なしで、「龍巳=百音の祖父=藤竜也さん)って、すぐにわかる人いますかね? こう言う部分を含めて、脚本も演出も不親切だと思います。
さて、安達奈緒子さんの脚本のドラマは、『透明なゆりかご』、『きのう何食べた?』など、比較的細かい設定の説明を事前にやらずに、気が付く人だけ気付くとか、あとあとから分かって来るような、フラグや伏線やミスリードが、“らしさ” になっているのは、大いに認めるところです。
しかし、「1回15分」で「週5放送」の朝ドラで、その手法を使っても、曖昧なまま進んでいる印象や、より複雑な印象の方が強くなるような気がします。やはり、毎日、少しずつ分かって、進んで… と言う方が、朝ドラとしては見易いと思います。安達奈緒子さんらしい脚本になってくれるのを期待します。そして、来週の進展にも期待します!
また、皆さんが “熱心” に『おかえりモネ』を見て、私の感想に対して “丁寧” にご指摘を下さるのは理解しています。しかし、数名の方から同じ内容のコメントを頂くと、その度に私は同じ返答をしなければならず、正直しんどいのです。
私の解釈が間違っている可能性はあります。ですから、間違いを教えて下さっていることも分かります。そこで、指摘をするのであれば、具体的な根拠を提示して頂きたいです。“好意的な解釈” によって導いた「状況」を書いて「そう思います」と綴られても困ります。映像(台詞や小道具など含む)から受け取れる具体的な根拠を提示して下さい。
一緒に『おかえりモネ』を応援する立場として、お願いします。
管理人・みっきー お薦めする商品を、Amazonと楽天市場から安心して ご購入して頂けます!
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★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15605/
【これまでの感想】
第1週『天気予報って未来がわかる?』
1 2 3 4 5 土
第2週『いのちを守る仕事です』
6 7 8 9 10 土
第3週『故郷の海へ』
11 12 13 14
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