連続テレビ小説「おかえりモネ」 (第14回・2021/6/3) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おかえりモネ』(公式サイト)
第14回/第3週『故郷の海へ』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
三生(前田航基)と一緒に永浦家に泊まっていくことになった百音(清原果耶)の幼なじみたち。亜哉子(鈴木京香)が出してくれたビデオを見て、中学校時代の吹奏楽部の思い出話で盛り上がる。寝入りばな、百音は、幼いころから亮(永瀬廉)に思いを寄せ続けている明日美(恒松祐里)と、恋や将来のことについて女子だけで語り合う。自身の幼いころや中学校時代に思いをはせる百音だったが、故郷に対しては複雑な思いも抱えていた。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:安達奈緒子(過去作/透明なゆりかご、コード・ブルー3、きのう何食べた?)
演出:一木正恵(過去作/どんど晴れ、ゲゲゲの女房、まれ) 第1,2週
梶原登城(過去作/おひさま、あまちゃん、マッサン) 第3週
桑野智宏(過去作/ウェルかめ、梅ちゃん先生、あまちゃん)
津田温子(過去作/龍馬伝、西郷どん、いだてん)
音楽:高木正勝(過去作/映画「バケモノの子」、「未来のミライ」、「静かな雨」)
主題歌:BUMP OF CHICKEN「なないろ」
語り:竹下景子
制作統括:吉永証(過去作/トクサツガガガ、詐欺の子)
須崎岳(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
気象考証:斉田季実治(NHKニュース7、ニュースウオッチ9)
※敬称略
前回のエンディングを、おさらいしてみると…
前回の終盤は、百音(清原果耶)の母・亜哉子(鈴木京香)が亮(永瀬廉)を一晩預かることを亮の親に電話をかける場面から始まった。そして電話をかけたのは、「及川美波の携帯電話番号」だったが、電話に出たのは亮の父・新次(浅野忠信)。更に、新次が歩く道は、細い路地で量が兄は平屋の仮設住宅風の建物が建っていた。
もちろん、テレビ電話でないから、電話をかけた側の百音の父・耕治(内野聖陽)と亜哉子が、新次がどんな所で電話に答えていたのかは見えていないはず。
でも、電話を切ったあとの耕治と亜哉子の何とも言えぬ複雑な心境の表情から察すると、酒を飲みながら喋っていることは話し方で伝わるだろうし、どんな場所に住んでるのかも、いや、きっと今の新次がどんな状況と心境でいるのかは、容易く察することが出来る関係なのだろう。そんな、先が見たくなるエンディングだった。
前回のラストを受けて、今回のアバン無しは気合を感じた
だから、その前回のエンディングを今回のアバンタイトルで繰り返すのか? それとも、百音たちの枕投げなどの明るいシーンから始めるのか、どのように “受け止めるのか” 興味津々だった。でも、実際は、アバンタイトルは無く、8時ちょうどから主題歌とオープニング映像から始まった。
これが脚本家の策なのか、演出家の手腕なのか知る由も無いが、「先が見たくなるエンディング」で “その続き” を敢えて見せずに焦らす方向に持って行ったのは、連ドラの構成として今後に期待が出来る。やはり、クリエイターならフォーマットは崩してなんぼのものだからだ。気合を感じる出だしだ。
気仙沼の亀島の夏の描写が良かった
主題歌明けも、いいじゃないか。今では滅多にお目に掛からない「徳用マッチ」。大きな箱で4つの側面が「側薬(がわぐすり=マッチに火を点けるために摺る所)」が付いているやつ。昭和の時代にはどの家にもあったような懐かしさ。
そして、キンチョー製の蚊取り線香「金鳥の渦巻 40巻入り」を思わせる「銀鳥渦巻」と書かれた大きな蚊取り線香。それも、ちゃんと煙が外から室内に流れるような演出になっているから、その直後の「蚊帳」とのマッチ(おっと、洒落でありません!)もピッタリ。また、1階なのに窓ガラスを空けたまま寝られというのも、子供時代を思い出す。
7月末なのに窓を開けていれば、扇風機を使わなくても済むと言うすすし気な感じも、気仙沼、そして島である感じを表している。こんなことらかも、2014年7月でも、気仙沼地方では、このような昭和が残っていたのかと、ちょっぴりノスタルジックな気分になれた… @梅雨入り前の千葉県(令和3年6月3日)
仏間で百音と明日美が恋や将来を語り合う場面も良かった
仏壇のある部屋で、百音と明日美(恒松祐里)が、恋や将来のことについて女子だけで語り合うシーンも良かった。
これは以前に描かれたのか記憶にないが、百音が仙台市内の複数の大学を受験したものの、全部落ちたってこと。「島を出たい」と言う気持ちは強いが、親の伝手を使って高校から森林組合へ直接就職したのでないことが分かった。それだけ、百音の「とにかく島は出たい」と言う強い意志が伝えられたのは良かった。
また、私(多分、私を含めた多くの視聴者も)は百音が気象予報士を目指すことは番宣で知っている。しかし、この時点での百音にとって、「気象予報士」と言うのは、あくまでも「ちょっと面白そうなもの」程度なのだ。幼馴染にも「夢」とか「やりたいこと」とは言えない未熟な段階ってことだ。
こうやって、台詞のやり取りの中で、少しずつ百音(に、限らないが)の事情や心境を伝えて来るのが今作『おかえりモネ』の作風なのだ。やはり、昨今の騒動や説明台詞で突き進むスタイルではないようだ。だから、いつも感想の「あとがき」に書くように、「見守ろう」が正解なのだ、きっと…
行進曲「アメリカン・パトロール」と"津波"が重なるような
クリエイターならフォーマットは崩してなんぼのものだ… と書いたばかりで、4分頃から突然始まった17年前の百音の幼少期の回想シーン。
ちょっと、お洒落な演出だったのが、眠れない百音のアップに、まずドラムの音から始まって、17年前の百音が手を叩いた時の劇伴が「アメリカン・パトロール」だったこと。
この楽曲、前回で放送された、島の名所「亀島レストハウス」で行われた「北限のゆずまつり」で行われた吹奏楽部の演奏会のビデオの中で、百音たちが演奏披露していた行進曲「アメリカン・パトロール」と同じだ、元トランペッターの父・耕治がソロパートで乱入したのは記憶に新しい。
この楽曲は、どなたも耳馴染みがあると思うが、それもそのはずで、1967年3月にはNHKの『みんなのうた』で、『ゆかいな行進』の題名で歌曲として放送されている。また、この楽曲は、アメリカの大通りで遠くから巡邏兵(警備隊)がやって来て目の前を通り、また遠くへと去って行くと言う時間経過の様子が描かれていることでも有名。
「遠くからやって来て、目の前を通り、遠くへ去って行く」と言うのが、百音に限らず “あの津波” を連想させていると言うのは、私の考え過ぎだろうか…
少女期の百音役・池村咲良ちゃんがアースノーマットのCMに
また、百音の少女期を演じた池村咲良ちゃんは、蚊とり用品シェアNo.1のアース製薬のアースノーマットのCM「窓を開ければ 篇」に出演している。蚊取り線香と縁があると言うのも、ネタとしては面白いと思う。
百音が複数の音楽系大学の入試を受けたことが分かった
また、説明も解説も芹出の補強も無かったが、序盤の3分頃に百音が「しょうがないよ。全部 落ちちゃったんだもん」の意味が描かれた。
高校時代の百音が手にしていた学校案内には「桜木大学」と書いてあった。そして、10分頃の悠人(髙田彪我)の台詞中には「青葉学園」となっていた。これで、複数の音楽系大学の入試を受けたことが分かった。このように、さり気なく、でもちゃんと描くのは良いこと。曖昧にするのが一番ダメだから…
百音親子が立ち寄ったジャズ喫茶「B TRAIN」とジャズのスタンダード・ナンバー「A列車で行こう」
そして、「青葉学園」の合格発表の日が「2011年3月11日」の午前中。午後には練習だと言っていたから。そして、不合格を知って、帰り道に立ち寄ったジャズ喫茶の店名が「B TRAIN」。
ここで解説するのも野暮な話だが。この店名「B TRAIN」は、恐らく。ジャズのスタンダード・ナンバーの一つ『A列車で行こう(Take the 'A' Train) 』 に由来していると思われる。
親しみを込めて「エー・トレイン」と略す人も多いこの楽曲は、1939年に作曲家デューク・エリントンが楽団のピアニスト兼作編曲者であったビリー・ストレイホーンに作詞・作曲をオーダーして作られた作品で1941年にエリントン楽団の演奏でレコードが発売され大ヒットした。
因みに「A列車」とは、ニューヨークの、ブルックリン東地区からハーレムを経てマンハッタン北部を結ぶニューヨーク市地下鉄A系統(別名「8番街急行」)の名称で、要は「地下鉄」のこと。蒸気機関車のイメージを持っている人も多いと思うが…
一気に進まない本作らしい"15分間の構成"だった
そして、午後2時半からのジャズ演奏を聴くことになる百音と耕治。ジャズトリオのセンターでサックスを吹いていたのが、あの「学校案内」に載っていた、仙台南中学校出身で桜木大学・演奏学科・弦管打楽器選専攻の久保田愛美(海野あゆみ)だった。
そして、数字が描かれた板を回転させて時刻を表示する機械型デジタル表示式の時計の一種「パタパタ時計」の時刻が「2:45」から「2:46」の “運命の時刻” になった…
結果的に、4分から最後まで、百音の幼少期から “運命の時刻” までの全編回想になった今回。朝ドラの定番ともいえる “幼少期から少女期” を描いたと言うことだ。これ、意外と良かったと思う。
この約10分間を、1週間かけて放送されても、“分かっている” わけだから。無理に引き延ばすよりも、このようにコンパクト且つ一気に見せることで、一気に進まない本作らしい15分間の構成だったと思う。
あとがき
次回で「2011年(平成23年)3月11日(金曜日)14時46分18.1秒」以降を描くのか分かりません。でも、震災の時、百音は亀島に居なかったことは判明しました。とにかく、見応えのある15分間だったと思います。更に、見守りたいと思う気持ちが強まりました。
あと、偶然なのんですけど。サックス奏者役の海野あゆみさんですが、以前に東京・目黒にある有名なライブレストラン「Blues Alley Japan」で、実際に演奏を聴いたことがありました。それと、TBSドラマ『最高の人生の終り方?エンディングプランナー?』(2012年)で、杏さんが演じた、夢を実現するため路上でサックスを吹いていた女性のサックス指導をされた方です。
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★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15599/
【これまでの感想】
第1週『天気予報って未来がわかる?』
1 2 3 4 5 土
第2週『いのちを守る仕事です』
6 7 8 9 10 土
第3週『故郷の海へ』
11 12 13
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