ドラゴン桜[2] (第6話・2021/5/30) 感想
![ドラゴン桜[2]](https://blog-imgs-146.fc2.com/d/m/e/dmesen/dragonzakura2_dra.jpg)
TBSテレビ系・日曜劇場『ドラゴン桜[2] 』(公式サイト)
第6話『夢を諦めるな!大切な友のために戦え!』、ラテ欄『成功の鍵は読解力!思いが仲間を動かす』の感想。
なお、本作の漫画・三田紀房『ドラゴン桜2』(講談社刊「モーニング」連載)は、未読。
桜木(阿部寛)は「東大専科」の生徒の読解力を鍛えるため、国語特別講師の招聘(しょうへい)と3日間の合宿を企画。文系トップの小杉(志田彩良)と、桜木らとの勝負に負けた藤井(鈴鹿央士)も合宿に誘う。合宿1日目。桜木は「自由にしろ」というテーマを出す。藤井や小杉らはすぐに自分で勉強を始めるが、瀬戸(高橋海人)や楓(平手友梨奈)らは何をすべきか戸惑う。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画・三田紀房『ドラゴン桜2』(全139話)
脚本:オークラ(過去作/サラシーマンNEOシリーズ、ウレロ☆シリーズ、素敵な選TAXI) 第1,2,4話
李正美(過去作/映画「祈りの幕が下りる時」、半沢直樹2020) 第1,2,3,5,6話
小山正太(過去作/絶対零度3、5→9~私に恋したお坊さん~) 第1,2話
山本奈奈(過去作/FOD[高嶺と花」、Paravi「安全なビーナス」 第6話
演出:福澤克雄(過去作/半沢直樹1,2、小さな巨人、下町ロケット) 第1,2,5話
石井康晴(過去作/花より男子シリーズ、テレウスの船、逃げ恥) 第3,6話
青山貴洋(過去作/下町ロケット2、インハンド、グランメゾン東京、天国と地獄) 第4話
音楽:木村秀彬(過去作/小さな巨人、ブラックペアン、グランメゾン東京、オー!マイ・ボス!恋は別冊で)
チーフプロデューサー:チーフプロデューサー(過去作/半沢直樹1,2、ルーズヘヴェルト・ゲーム、下町ロケット、小さな巨人、陸王、ブラックペアン、ノーサイド・ゲーム、グランメゾン東京)
太宰府先生が熱弁した"創作とは建築学"を掘り下げる
まずは、今回の感想として、是非とも押さえておきたいのは、桜木(阿部寛)が招いた国語の特別講師・太宰府治(安田顕)が熱弁していた、次の台詞だ。当blogを読んで下さっている読者さんはドラマ好きで、且つドラマ制作やドラマの新たな楽しみ方に興味関心を抱いている方が多いと思うので、ちょっと台詞を拾ってみる。
太宰府「国語とは 科学だ! そして創作とは建築学である!
建築学を無視した創作物は全てクソだ!
そして 優れた文章とは 建築学に則って作られている!」
これ、良く私がドラマの感想を書く時に「脚本は数学、ドラマ制作は建築学」と言うのと、ほぼ同じことを言っているように思う。例えば、私は『連続テレビ小説「おちょやん」 (第108回・2021/5/5) 感想』で、次のように書いた。
まず、皆さんに分かって頂きたいのは、基本的に、脚本、俳優、演出には、それぞれの役割があると言うこと。建築に例えると以下のようになる。
●脚本は、緻密な設計図
●俳優は、優れた建材
●演出は、器用な大工さん
そして、建築で最も大事なのは、設計図を基に大工さんが建材を使って作る「土台(基礎)」だ。この「土台=ドラマの登場人物や状況や時代などの初期設定」が、凸凹だったり、ふにゃふにゃだったりすると、そんな土台の上に何を建てても崩れて倒れてしまう。
このように、脚本と俳優と演出の関係を考えると。演出次第で、脚本も演出もダメになることもわかって来る。設計図通りに施工しなければダメだし、建材を適切に使わなければダメ、と言うわけだ。
そう、ドラマ制作も建築学なのだ。それは当然のことだ。ドラマは創作物の一つだから。その意味で、今回、第6回は。脚本は緻密な設計図であり、俳優さんたちは優れた建材であり、演出家は器用な大工さんだったことが分かる。いや、そうなっていたことを、ドラマの楽しみ方の一つとして、私の論理展開で書こうと思う。
「建築学」と「大黒柱」を、さり気なく重ねた緻密な脚本
まず、「脚本は、緻密な設計図」について。これには3つの大きな要素がある。
1つは、序盤でさり気なく国語の特別講師・太宰府の 「建築学」と言う単語を言わせておいて、終盤で文系トップの小杉麻里(志田彩良)の父・小杉繁(迫田孝也)に対して「父親っていうのは大黒柱だろ」、「家族の幸せを願って 大きく強く支えてやる柱だろ!」と言わせたこと。
どうだろう。国語の特別授業と小杉家のDV問題は、一見、無関係のように見えるが実は “建築学” から連想ゲームをした結果の “家” と “家族” の話に繋がっているのだ。ここ、緻密な脚本でなければ、「柱」は使わずに「父親っていうのは家族を守るものだろ」とか、「家族の幸せを願うのが当然じゃないのか!」でも、意味は伝わる。
そう、これが太宰府が言っていた文章の「同党関係」を台詞に当て嵌めると、こうなるのだ。でも、今回の2人の脚本家は「建築学」らしい表現に拘った。そこが、さり気なく緻密なのだ。
7人に増えた「東大専科」の内の"出来る3人"の使い方が秀逸
また、もう1つの脚本の緻密さは、7人にも増えた「東大専科」の生徒たちの使い方だ。このことは、今回以降も脚本のお手の見せ所となるが。今回に限ってみると、かなり巧みに作り込まれていた。
特に、上手くキャラクターを使い分けたのが、前述の小杉と、桜木らとの勝負に負けた藤井(鈴鹿央士)と、 昆虫の大好きな心優しき原健太(細田佳央太)ら3人だ。
瀬戸(高橋海人)、岩崎(平手友梨奈)、天野(加藤清史郎)、早瀬(南沙良)の4人のやり取りでは、どうしても「勉強が苦手な4人組」と言う “一塊” になって、個性が今一つ引き出せていなかった。
しかし、「個性的な勉強ができる3人組」が加わったことで、「勉強ができる生徒たち」が「勉強の苦手な生徒たち」の “らしさ” を強調した上に、会話のテンポも良くなっている。人数が増えているのに、7人の個性は際立っているのは、かなり秀逸だと思う。
"桜木メソッド"の盛り込み方、分かり易さも上手い
そして、3つ目は、“桜木メソッド” が前回以上に強調され、授業と生徒の私生活にも利用されたこと。それも、水野(長澤まさみ)のアイデアを敢えて「古い」と言い切って、今の時代に合った教育方針を展開したこと。
しかも、ガッツリと盛り込んでいるのに、実に分かり易く描いた。この辺の『2』としての新鮮さや時代感覚の取り入れ方も上手いと思う。
石井康晴氏の演出で"最近の日曜劇場らしさ"が薄まった
最後に、「演出は、器用な大工さん」についても触れてみたい。今回の演出担当は本作のメイン演出の福澤克雄氏ではなく、石井康晴氏だ。石井氏は最近の日曜劇場では『テセウスの船』を担当しているが、『逃げるは恥だが役に立つ』や『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』も担当している。従って、所謂 “最近の日曜劇場らしさ” が薄まった可能性がある。
"最近の日曜劇場らしさ"が薄まった理由は他にもあるかも?
ただ、この “薄まり” が単純に演出家の個性の違いであるかは、微妙なところなのだ。
それは、本作の撮影スケジュールと関連している。普通、連ドラの撮影、特にコロナ禍のドラマ撮影は時間がかかるため、早め早めに撮影に入り、完パケ(「完全パッケージ」の略で、「放送できる状態の完成品」の意味を前倒しで完成させている。しかし、本作はほぼ土曜日か日曜日の朝方に完パケが出来ていると言う。
その理由は、本作は本来、昨年4月期の放送が予定されていた。しかし、コロナ禍で1年延長されたために、昨年から今春に掛けて映画出演が多くて多忙な長澤まさみさんの撮影参加が他のキャストよりも遅れてしまったのだ。だから、ギリギリの撮影スケジュールになっているわけだ。
と言うことは、逆に言うと、放送直後の視聴率はもちろん、世間の反応を見ながら次回を創ることが出来ると言うメリットが生まれる。恐らく、世間の反応を見つつ、“最近の日曜劇場らしさ” を薄めている可能性がある。
と言うわけで、キャストやスタッフは大変だが、ドラマの質としては今後高まっていく可能性が高いってこと。これは、私たちにとってもメリットだと思う。
あとがき
「東大専科」が7人になって、遂に役者が揃った… と言う感じですね。今回の国語の特別授業も、勉強になりました。改めて教えられると頷くばかりでした。その意味では、こんな拙稿を書いている自分も、もっと勉強せねば! 次回にも、大いに期待します。
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★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15589/
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