生きるとか死ぬとか父親とか〔全12回〕 (第8話・2021/5/28) 感想

テレビ東京系・ドラマ24『生きるとか死ぬとか父親とか』(公式サイト)
第8話〔全12回〕『恋人とか キャリアとか』の感想。
なお、原作のエッセイ、ジェーン・スー『生きるとか死ぬとか父親とか』は、未読。
トキコ(吉田羊)のもとに、結婚直前で別れた元パートナー・青柳タツヤ(岩崎う大)から「久しぶりに会おう」とのメッセージが。迷ったトキコだったがタツヤが東京を離れることを知り、会うことに。思い出話に花が咲く中、過去の自分の言動を省みるトキコ。仕事がうまくいかず「専業主夫」状態だったタツヤにトキコは心無い態度をとっていたのだ。そして、仕事仲間である東(田中みな実)からも結婚・退社の相談をされ…
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
原作:ジェーン・スー『生きるとか死ぬとか父親とか』
シリーズ構成:山戸結希(過去作/映画「溺れるナイフ」、映画「21世紀の女の子」、映画「ホットギミック ガールミーツボーイ」)
脚本:井土紀州(過去作/私立探偵・濱マイク シリーズ、ダムド・ファイル シリーズ)
演出:山戸結希(過去作/映画「溺れるナイフ」、映画「21世紀の女の子」) 第1,2話
:菊地健雄(過去作/仮面同窓会、この男は人生最大の過ちです) 第3,4,5,6,7,8話
音楽:Vampillia
OP主題歌:高橋優 「ever since」(unBORDE / Warner Music Japan)
ED主題歌:ヒグチアイ 「縁(ゆかり)」(ポニーキャニオン)
介護に詳しくなっていくタツヤの気持ちと、トキコの気持ち
トキコ(吉田羊)のもとに、結婚直前で別れた元パートナー・青柳タツヤ(岩崎う大)から「久し振りに会おう」との連絡があったが気乗りしない。しかし、実家の金沢に帰ると聞いて会うことに。すると、母親が脳梗塞で半身麻痺が残ったために介護をすると言う。
トキコもタツヤも劇中の年齢設定は無いが、恐らく40代前半だろう。親に介護が必要になると、介護に詳しくなるって話。本当だ。私も、父親の介護申請を初めてしたのが、40歳前後の頃だった。「介護」、それも「親の介護」なんて、まだまだ先の話だと思っていたから、本気で勉強した。きっと、二十歳の時に自動車の運転免許を取る時以来、猛勉強した。
もう10年以上前の話だから、パソコンとネット環境はあったが、スマホは無くて、ガラケーのi-modeで。でも、不思議と “苦” でなくて。むしろ、“親孝行してる” って感じで、ひたすら、あちこち交渉して。
でも、両親とも在宅介護で看取った今は、もっと親孝行しておけば良かったと言う後悔の気持ちと、やり切ったと言う満足感が同居した不思議な気持ちだ。なんか、タツヤの気持ちにも、それを聞いていたトキコの気持ちにも、寄り添いたくなった…
専業主夫だったタツヤの話に、身につまされた
なんか、今回は身につまされる。タツヤは以前は売れっ子のライターだったと言う、しかし、雑誌業界の不況で仕事が激減して。そんなタツヤが「勘違いしてたよ」に続けて言った台詞が身につまされた。
タツヤ「自分じゃ 実力があると思ってたけど
結局 みんな 使いやすかったってだけなんだよね」
いやいや、ホント。特に、フリーランスで仕事をしていると、調子が良い時は怖い位に仕事が舞い込んで来る。でも、今のようにコロナ禍になると、一気に企業は社員を守るから、非正規雇用やフリーランスは切られちゃう。まあ、そう言うデメリットもメリットも了解済みでフリーランスをやっているのだが。
でも、そう、“使いやすかったってだけ” って考えちゃうと、本当につらい。ただただ、つらい。
タツヤ「どんどん 稼ぎも そっち任せになって
気付いたら 完全な専業主夫だもんな」
これ、私の自伝か!?(笑)
タツヤ「世の中の 男といえば こうとか
女といえば こうっていうのは あれ全部
性別からくるもんじゃなく 役割からくるもんなんだな
っていうことは よ~く わかった」
ホント、これ。逆を言えば、稼いで家を支えているのが女であっても “お父さん” で。家事や育児で家を支えているのが男でも “お母さん” で。そんな感覚。そして、交際中のトキコは、正に、稼いで家を支えているのが女であっても “昭和のお父さん” だったから、“令和のお母さん” だったタツヤとは破局したって論理展開。なるほどなぁ。
コロナ禍に於ける私の妻は “昭和のお父さん” じゃないもんなぁって。 敢えて言うなら “コロナ禍だけのお父さん” って感じか。だから私も、“コロナ禍だけのお母さん” の役を演じて、楽しむ感じかも? いや、演じて楽しんでいると思わなければ、やってられないのだ。この世の中は。このコロナ禍は…
だから、私は、こうして家事や炊事の間に、毎日毎日、拙稿だとわかっていてもブログを書く。タツヤが言った「立場とか よりどころってやつ」のために…(カッコつけ過ぎか!?)
結局、ドラマとしては、東がトキコにねじ伏せられて終わる
仕事仲間である東(田中みな実)からも結婚・退社の相談をされたトキコのくだりも、なかなか興味深かった。タツヤの苦悩と、東の苦悩は、明らかに繋がってる。
会社員である東の「立場とか よりどころってやつ」が、自分がこれまで積み重ねて来たスキルや経験や地位が集結した “立場” よりも、女性としての “よりどころ” を専業主婦と言う “新しい立場” に求めたいってことか。ここでトキコは、東のアナウンサーとしての価値に自信を持て、捨てるのはもったいないと言うようなことを言う。
結局、ドラマとしては、東がトキコにねじ伏せられて終わる。こう言う展開が勿体ないなぁって思う。前回のように、トキコの意見に反論する東の方が面白かったような。まあ、「独身のカリスマ」設定があるし、タツヤとは別れたエピソードかから、東の方は思い直すと言う展開になるのは止むを得ないかも知れないが。
トキコの "未熟さ" が本作の魅力になっていると思う
今回の2つのエピソードに共通するのは、奇しくもトキコ自身のモノローグにあった。
トキコ(M)「よくよく考えてみると 自分が嫌なことを
相手に押しつけていたということに気付いた」
実は、タツヤだけでなく、東にも、同じことをしているのだ。しかし、トキコは、そのことに気付いていない。その辺のトキコの “未熟さ” が本作の魅力になっているような気がする。仙人のように達観視してアドバイスをしているが、トキコは決して仙人ではない。「独身のカリスマ」かも知れないが、人間としては未熟だ。
いや、きっと完全な人間なんて誰一人いない。みんな未熟。だから、失敗もするし、後悔もするし、やり直せるならやり直そうとする。そう言う、誰の心にもある “未熟さ” 故の “人間臭さ” みたいなものを、上手くキレイにあしらっているのが、本作のいいところだと思う。
あとがき
今回のエピソード、特に、トキコとタツヤの過去と現在を未来を描いたエピソードは、とても本作らしくて良かったです。そして、タイトルが『恋人とか キャリアとか』が最後には『恋人とか キャリアとか 後悔とか』と、キレイにまとめたのもホッとしました。
3人の新人アナウンサーさん、本当のテレビ東京のアナウンサーさんたちでしたね。みんな、入社1 or 2年目でしたけど。来週、いよいよDJ松永さんと松岡茉優さんが出演しますね。楽しみ…
【情報】ドラマ内『トッキーとヒトトキ』がTBSラジオで放送
ドラマ内に登場する『トッキーとヒトトキ』が、本物のTBSラジオで5月29日(土)午後5時~6時に「特別版」として放送されます。ゲストに、ドラマの原作者であるジェーン・スーさんもゲスト出演されます。
テレ東ドラマ内のラジオ『トッキーとヒトトキ』TBSラジオで放送 ゲストにジェーン・スー | ORICON NEWS
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【これまでの感想】
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