連続テレビ小説「おかえりモネ」 (第5回・2021/5/21) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おかえりモネ』(公式サイト)
第5回/第1週『天気予報って未来がわかる?』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
いよいよ「登米能」の定例会がはじまる。百音(清原果耶)は、サヤカ(夏木マリ)の奏でる笛の音や、ふだんと全く違う雰囲気で能舞台に立つ翔洋(浜野謙太)の姿に感動する。定例会後、サヤカ(夏木マリ)が電話で百音の祖父・龍己(藤竜也)に百音の様子を伝えていると、龍己は電話越しの百音の楽しそうな声に驚く。そしてサヤカ自身も、ある決意を固める。翌日、朝岡(西島秀俊)の希望で百音たちは北上川を見にでかける。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:安達奈緒子(過去作/透明なゆりかご、コード・ブルー3、きのう何食べた?)
演出:一木正恵(過去作/どんど晴れ、ゲゲゲの女房、まれ) 第1週
梶原登城(過去作/おひさま、あまちゃん、マッサン)
桑野智宏(過去作/ウェルかめ、梅ちゃん先生、あまちゃん)
津田温子(過去作/龍馬伝、西郷どん、いだてん)
音楽:高木正勝(過去作/映画「バケモノの子」、「未来のミライ」、「静かな雨」)
主題歌:BUMP OF CHICKEN「なないろ」
語り:竹下景子
制作統括:吉永証(過去作/トクサツガガガ、詐欺の子)
須崎岳(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
気象考証:斉田季実治(NHKニュース7、ニュースウオッチ9)
※敬称略
今回も脚本と、特に演出や演技の細かさについて書いてみる
前回の感想にも書いたが。別に、前作の第1~13週目の感想のように、好意的に解釈したり、見たりしているわけではない。単純に、今のところ「全体の雰囲気が私に合っている」し、「こう言う脚本や演出が、私に合っている」のだ。と言うわけで、今回も脚本と、特に演出や演技の細かさについて拾いつつ書いてみようと思う。
前回の能の演目はドラマ『俺の家の話』にも登場した「高砂」
まず、今回のアバンタイトルにも登場した、「登米能」の定例会のシーン。ある読者さんなら指摘があった通り、演目は「四海波静かにて、国も治まる時つ風、君の恵みぞありがたき」で始まる「四海波静かにて(しかいなみ しずかにて)」の部分で、婚姻や祝賀の席で謡われる謡曲「高砂(たかさご)」の有名な一節だ。
そして、この「高砂」は長瀬智也さん主演の連続ドラマ『俺の家の話』の第2話「後継者決定の舞い!魔性ヘルパーの正体」で、寿一役の長瀬さんが舞ったのも、同じ「高砂」だった。まあ、おめでたい席で舞う演目として、超代表的だから、使用されたのだろう。
「薪能」の"かがり火"と"天女の舞"が織り成す幻想的な世界
そして、今回のアバンは「薪能(たきぎのう)」の使用される “かがり火” のアップと言う印象的なカットから始まった。因みに「薪能」とは、主に夏場の夜間、能楽堂や野外に臨時に設置された能舞台の周囲に “かがり火” を焚いて、演目を演じる能楽「薪の宴の能」のこと。
前回の終盤よりも、かがり火の火が大きいことからすると、前回から時間経過を表現しているようにも感じた。
アバンでの能の演目は、恐らく「羽衣」だと思う
また、演目も金色の髪飾りに朱色の衣装から察するに、演目は「羽衣(はごろも)」で、劇中に使用されたのは「天女の舞」だったと思う。
更に、今日の『あさイチ』では、「薪能」のシーンでサヤカ(夏木マリ)が “黒髪” で笛を吹いていたが、金髪をスプレーで一時的に染めたと、夏木マリさんから連絡があったと言っていた。いずれにしても、夜間の屋外で、かかり火で照らされる能舞台の幻想的な雰囲気は、テレビの中からも十分に伝わって来た。
サヤカの吐く息が白いし、背後には雪が降っている…
「定例会」が終わった場面で、空舞台(からぶたい=誰もいない舞台)を目の前に、サヤカと百音(清原果耶)が話すシーンがあった。劇中は2014年(平成26年)5月の設定だ。百音は長Tにパーカーと言う5月らしい衣装を着ている。でも、サヤカの口元を良く見ると、吐く息が白いし、サヤカの背後には雪が降っているのが映っている。
ここで、百音が喋ると2人の吐く息が白くなって、季節感が損なわれるから、百音の台詞を無くしたのだろう。しかし、そのことが、余計に「森の時間の長さ」を噛み締める百音を上手く表現していたと思う。そして、真冬の撮影も大変だったと思う。
島を出たい理由の"真相の先送り"を、意外と気に入っている
「定例会」後の打ち上げ会だろうか。サヤカと百音の祖父・龍己(藤竜也)の電話でのやり取りと、回想シーンによって、百音の東日本大震災の体験が、その後の百音の生き方に変化を与えたような描写があった。しかし、ハッキリとした理由は描かれない。脚本家が意図的に引っ張っているのは確かだが。
私は、この “真相の先送り” が意外と気に入っている。やはり、もう少し「百音の日常」を見ていたいのだ。恐らく来週位まで。それによって、のちに “真相” が分かった方が、人格設定に深みが増すと思っている。まあ、この辺は脚本家のお手並み拝見と言うところだ。
緊張感と包容力を併せ持った「移流霧」に心が洗われた!
今回で私が好きなシーンが、7分頃からの「北上川の移流霧」のシーンだ。春から初夏にかけて三陸沖から北海道の東海上で発生する海霧を「移流霧」と呼ぶが、とにかく美しく幻想的だった。そして、どこか心の芯がピーンと張り詰めるような緊張感を、心を包み込むような包容力を併せ持った「移流霧」に、心が洗われた。
「移流霧」から覗いた朝日を見て涙ぐむ百音のシーンは秀逸
そして、ここで注目したのが、百音のアップと清原果耶さんの演技と演出の妙だ。百音に朝日が当たって、霧が晴れると太陽が見える。
で、百音のアップに戻ると何かを思い出したように瞳が泳いで、地元・気仙沼の冬の早朝の冷え込みが厳しい海に出る「けあらし(漢字では「気嵐」または「毛嵐」と書く)」と言う、水面に起こる白い湯気のような「蒸気霧」の話をする。
ここ、百音の瞳がうるうるとしてきて、やがて台詞終わりで一筋の涙が零れる。そして、画面は遠くでサイレンの音が鳴る回想へ。そして再び現代に戻って、何も出来なかったことを悔いる。ドローン撮影で遠景から橋に寄って、朝岡の「霧は…。いつか晴れます」を受けて、また百音の無言のアップ。
ここの人物のアップと空撮映像の切り返しが、とても良く出来ていると思う。敢えて、百音の台詞は最小限にして、スマホのメール画面とモノローグを使って、視聴者にだけ百音の心情を伝えるって手法だ。また、軽のワンボックス車を挟んで、百音と大人3人が適度な距離を置いているのも良いなと。
大人が妙にお節介を焼くわけでもなく、百音が自立するのをそっと見守っているような関係が素敵だと思う…
あとがき
天気予報に興味がわいたと言うより、天気予報士の “魔法” にかかってしまったヒロインと言ったところでしょうか。私は、いいペースとテンポで進んでいると思います。そして、第1週目としては、奇を衒わず、普通に描かれたのが良かったです。安心感がありました。
これで、来週はどうなるんでしょう? 見習いから正社員にでもなって、新キャラの登場でしょうか。意外と、出演発表済みのキャラの登場が小出しなのも好きなところです。やはり、第1週は主人公を見たいので。一先ず、満足な1週間でした。
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【これまでの感想】
第1週『天気予報って未来がわかる?』
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