連続テレビ小説「おちょやん」 (第23週[最終週]/土曜日版・2021/5/15) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おちょやん』(公式サイト)
第23週[最終週]『今日もええ天気や』の
『土曜日版』の感想。
※ 本作は、2021/04/14 にクランクアップ(撮影終了)しています。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を
竹井千代(杉咲花)と天海一平(成田凌)が別れて2年が経った。一平はついに、鶴亀新喜劇で「初代桂春団治」を上演し、大成功をおさめた。しかし、二人はお互いに、再び会おうとはしなかった。そんなとき、鶴亀株式会社の熊田(西川忠志)が、千代の家にやってくる。熊田は千代に、一日だけ鶴亀新喜劇の舞台に上がってくれないかと相談する。もう一度、千代に道頓堀の舞台に上がってほしい、という熊田の願いからだった。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
総括的なことを書いてみようと思う
N「ラジオドラマで人気女優となった千代ちゃんは
お母ちゃんとして新たな決意をすることに
最終週、最終回については、本編放送の際の感想で、ほぼ散々書いた。従って、折角「土曜日版」があるので、やる必要はないかも知れないが、総括的なことを書いてみようと思う。
私にとって、本作がつまらなかった「3つの理由」
“私” にとって、本作がつまらなかった理由は、以下の3つだと思っている。
●主人公の人生、主人公の言動を “軸” に動かさなかった “弱いストーリー” による説得力の欠如
●脇役の人生、脇役の言動を “軸” にしたエピソードの盛り込み過ぎによる物語の散漫さ
●ほぼ全てのエピソードが尻切れで結論がなく進んだことによるモヤモヤ感と連続性の欠落
【理由1】主人公・千代が物語をけん引しなかった
1つ目は、言わずもがな、主人公・千代(杉咲花)が物語をけん引しなかったことに尽きる。
特に、千代が喜劇女優になる “動機付け” の部分が曖昧だったのが致命傷だったように思う。9歳の時に道頓堀の芝居茶屋に女中奉公に出された千代が、華やかな芝居の世界を目にし、“なぜ” 女優を志し、 “何を目標に” 芝居の世界に飛び込んでいくのかを、しっかりと明瞭に描くべきだったのだ。
ここが、きっちりと描かれていれば、あとは、時の流れに身を任せるように進んでも、そんなに不自然では無かったと思う。
【理由2】脇役のネタを盛り込み過ぎた
2つ目は、脇役のネタを盛り込み過ぎたことで、単純に物語が散漫になったってこと。それも、ネタの殆どが “騒動” で、千代が怒鳴って解決して、千代のお手柄になって、呆気なくフェードアウトしてしまう。それの繰り返し。
結局、脇役のネタを幾ら連続させても、それは繋がっているわけでなくて、ただ単純に箇条書きになっただけなのだ。本作は、このパターンが多過ぎた。脇役を描きたいのは分からなくも無いが、脇役が主役を食っては元も子もない。そんなの本末転倒でしかないのだ。
【理由3】各エピソードに "締まり" が無かった
3つ目は、要するに各エピソードに “締まり” が無いってこと。
千代が離婚して道頓堀を去る時も、理由が不明瞭のまま身元不明になってしまう。千代がラジオドラマの仕事を請けて大成功するのは良いが、「その後、10年以上続きました」と未来を語るだけで終了。今週の一平の不倫問題も曖昧に千代が納得して終了。今週の演目「初代桂春団治」の内容そのものが不明瞭なまま、千秋楽終了。
千代の舞台で泣いた春子が「看護婦さんになりたい」も意味不明なまま終了。「お父さんはお人好し」の続編、新作の件も曖昧なまま終了。鶴亀新喜劇の将来も、一平の決意表明だけ。最後は、千代が青空見上げて終了。
そう、全体的に “締まり” が無いのだ。「終わって、はい次!」と行かないからモヤモヤする。モヤモヤさせたまま、物語は進んじゃうから、視聴者が置いてけぼりになって、話を見失う。これで、毎日「明日が楽しみ!」と、なるはずがないのだ。
私なりに本作を"千代を中心"に「9つの章」へ分解
因みに、私なりに本作を “千代を中心” に分解すると、凡そ次のような「9つの章」に分けることが出来る。まあ、「本の目次」のようなものだと捉えて頂きたい。当然、かなり好意的に解釈はしているが…
【1】大阪の南河内の貧しい家に生まれたヒロイン・千代は、9歳の時に道頓堀の芝居茶屋に女中奉公に出される。
【2】そこで華やかな芝居の世界を目にした千代は、女優を志し、芝居の世界に飛び込んでいく。
【3】師匠の勧めで京都の映画撮影所で働き、所長の推薦で大阪で新しく生まれた「鶴亀家庭劇」に参加する。
【4】千代は、喜劇界のプリンス、天海一平と再会、結婚し、喜劇女優として少しずつ成長していく。
【5】千代は一平と理想の喜劇を目指すが、戦争が始まり、道頓堀は空襲を受ける。
【6】戦後、劇団は「鶴亀新喜劇」として復活するが、一平の不倫で結婚生活は破綻。千代は芝居の世界から去る。
【7】周囲の推薦によりラジオドラマへの出演をきっかけに、千代は喜劇女優として復活。
【8】そのラジオドラマで、12人の子どもを抱える母親役を演じ、「大阪のお母さん」として絶大な人気を獲得。
【9】千代は、名実ともに上方を代表する女優となっていく。
恐らく、上記の「9章」程度が、主人公がメインで関わるエピソードだと思う。でもって、もう一度、全部を読んで欲しい。 千代が能動的に動いたエピソードは「2」と「5」しかないのだ。残りの7章は、周囲に推されるか、一平との再会から結婚のような偶然か、ラジオドラマの出演をきっかけに人気者になると言う必然だけ。
だから、最初の「2」に於ける、華やかな芝居の世界を目にした千代が “なぜ” 女優を志し、 “何を目標に” 芝居の世界に飛び込んでいくのかを、しっかりと明瞭に描くべきだったのだ。ここが、きっちりと描かれていれば、あとは、時の流れに身を任せるように進んでも、そんなに不自然ではなかったと思う。
第8週目から、主人公の物語が連続して紡がれていない
また、上記の「9つの章」だが、半年間、全115回のうちで、どれくらい、放送尺が割かれていただろうか? 感覚的には、2~3割と言った感じでは?
最初のまとまりは、第1週目から、千代の最初の師匠で京都の「山村千鳥一座」の女座長・山村千鳥(若村麻由美)が出ていた第6週目、第7週の京都の撮影所。あとは小間切れで、鶴亀家庭劇設立、戦中での花車当郎(塚地武雅)との出会い、先週のラジオドラマくらいでは?
要は第8週目から、ず~っと主人公の物語が、連続して紡がれていないのだ。これを、連ドラ、連続テレビ小説と呼べるだろうか?
「最終回」と今日の「土曜日版」のラストの写真が違う!
『おちょやん』について書くのは、これが最後にする。「土曜日版」を最後まで見た人なら、気付いただろうか? 前回(第115回=最終回)と、本日の「土曜日版」の最後の最後に映る「わたしの晴れ舞台」の写真が違っていたことに。見逃した人、録画がない人、見逃し配信が見られない人のために、下記にキャプチャー画像を貼っておく。
©NHK(最終回)
©NHK(最終週の土曜日版)
良く見て欲しい。「土曜日版」の「わたしの晴れ舞台」の写真は、キャプションに「昭和二十七年 四月 新えびす座」となって、出演者たちが勢揃いしている写真になっていたのだ。これ、普通は、最終回のラストに、こっちの写真を使うのが、最終回まで見てくれた視聴者への最大の配慮ではないのかと。
いや、実は最終回を見て、あれだけアバンで「千秋楽」と場違いなことをナレーションで言って、更に本編の最後のあとに「幕 おおきに」のテロップと、「おおきに」のナレーションと拍子木の効果音まで入れたのなら、最後の写真は「土曜日版」のでしょ? もしかして、「土曜日版」までが本編だとでも言うのか?
だったら、何のための「週5放送」なのだろう。当blogの読者さんでも、「土曜日版」は見ていない人が多いようなので、一応お知らせまで。何とも最後の最後まで “締まり” が無いのである。
あとがき
本当は、もっと愚痴がありますが、止めておきます。とにかく、次作も「土曜日版」を見ないと、本編が完結しない可能性があるので、注意しましょう。
因みに、連続テレビ小説「おかえりモネ」の土曜日は、ドラマの舞台地・宮城県出身のサンドウィッチマンのお二人が、一週間を振り返って解説します。
https://www.nhk.or.jp/okaerimone/information/news/0423.html
連続テレビ小説『あさが来た』の ふゆ役で女優デビューし、2018年の『透明なゆりかご』でドラマ初主演を果たした清原果耶さんの清々しさと秀逸な演技力。『きのう何食べた?』や『透明なゆりかご』の脚本家・安達奈緒子さんの脚本力。制作統括は『トクサツガガガ』等の吉永証さんと、『透明なゆりかご』等の須崎岳さんなので、少しは安心感はありますね。
メイン・ディレクターの一木正恵さんには少々不安は残りますが。取り敢えず、始まってみないと… ってことで、次作も、よろしくお願いいたします。
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★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/15524/
【これまでの感想】
第1週『うちは、かわいそやない』
1 2 3 4 5 土
第2週『道頓堀、ええとこや~』
6 7 8 9 10 土
第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』
11 12 13 14 15 土
第4週『どこにも行きとうない』
16 17 18 19 20 土
『おちょやん よいお年を!』
第5週『女優になります』
21 22 23 24 25 土
第6週『楽しい冒険つづけよう!』
26 27 28 29 30 土
第7週『好きになれてよかった』
31 32 33 34 35 土
第8週『あんたにうちの何がわかんねん!』
36 37 38 39 40 土
第9週『絶対笑かしたる』
41 42 43 44 45 土
第10週『役者辞めたらあかん!』
46 47 48 49 50 土
第11週『親は子の幸せを願うもんやろ?』
51 52 53 54 55 土
第12週『たった一人の弟なんや』
56 57 58 59 60 土
第13週『一人やあれへん』
61 62 63 64 65 土
第14週『兄弟喧嘩(げんか)』
66 67 68 69 70 土
第15週『うちは幸せになんで』
71 72 73 74 75 土
第16週『お母ちゃんて呼んでみ』
76 77 78 79 80 土
第17週『うちの守りたかった家庭劇』
81 82 83 84 85 土
第18週『うちの原点だす』
86 87 88 89 90 土
第19週『その名も、鶴亀新喜劇や』
91 92 93 94 95 土
第20週『何でうちやあれへんの』
96 97 98 99 100 土
第21週『竹井千代と申します』
101 102 103 104 105 土
第22週『うちの大切な家族だす』
106 107 108 109 110 土
第23週[最終週]『今日もええ天気や』
111 112 113 114 115
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