連続テレビ小説「おちょやん」 (第115回/最終回・2021/5/14) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おちょやん』(公式サイト)
第115回/最終回/第23週[最終週]『今日もええ天気や』の感想。
※ 本作は、2021/04/14 にクランクアップ(撮影終了)しています。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
女優・竹井千代(杉咲花)が、再び道頓堀の舞台に立つ日を迎えた。客席には春子(毎田暖乃)や岡福うどんのシズ(篠原涼子)たち家族はもちろんのこと、岡安のかめやお茶子たち。さらには、長澤(生瀬勝久)や当郎(塚地武雅)をはじめとしたラジオドラマの出演者・スタッフまで、千代の晴れ舞台に駆けつけたのだった。舞台「お家はんと直どん」は、始終笑いに包まれながら、千代と一平(成田凌)の二人の場面に突入するのだった…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
●作:八津弘幸 ●脚本協力:吉田真侑子 ●演出:梛川善郎(敬称略)
第14週から視聴モードを「好意的な解釈」から「様子見」に格下げしております。
「最終回」と「千秋楽」をかけた"言葉遊び"も空振りに
きっと、脚本家も演出家も、視聴者が面白いと思うはずだと思うから、あのアバンタイトルになったのだろう。最終回のアバンタイトルで黒衣(桂吉弥)が視聴者に向けて、こう言った。
N「それでは『おちょやん』 千秋楽の幕開けでございます」
恐らく、「最終回」と「千秋楽」をかけた “言葉遊び” をやったつもりなのだろう。しかし、奇しくも… である。イベント・ディレクターを生業にしている私にとって、この黒衣の台詞に苦笑しかなかった。
なぜなら、「千秋楽=最終日」ではないのだ。正しくは、複数日に亘って “同じ演目” を行う興行に於いて、公演の最終日や、その期間の最後の公演のことを言うのだ。
察しの良い方は既にお分かりだろう。例えば、相撲や歌舞伎や演劇で「千秋楽」と言う言葉を使う。あれ、相撲は関取は変わるが、やっていることは相撲。歌舞伎など演劇も演目は同じ(配役は違うことはあっても)だから千秋楽。ねっ、だから、毎日内容が違う時は「千秋楽」とは言わないの。でも、『おちょやん』は「千秋楽」だそうだ。
と言うことは、出演者や登場人物は入れ替わっても、毎日放送していたことは同じってこと。そりゃあ、連ドラとして、半年間も毎日同じようなことを続けられたら、飽きるわなぁ~ ってことだ。
「お家はんと直どん」の内容が、視聴者に十分伝わらなければ意味がない
何とか、最終回で脚本家が描きたいことは分かるが。主題明けの黒衣の次のナレーションで、既に失敗している。
N「始終 お客さんの笑い声に包まれながら
いよいよ 千代ちゃんと 一平君 2人の場面となりました」
もう、最終回も抱えねばならぬのか(『コタローは1人暮らし』のコタローの武士言葉が憑依してしまった!)。これ、演目「お家はんと直どん」の内容が、ほぼ全く伝わっていない状況で、「観客は笑っている」、「観客は、一番の見所の千代と一平の二人芝居にワクワクしている」みたいに黒衣が解説して始まった。
確かに、これまでの千代(杉咲花)と一平(成田凌)がやって来たことを想像させるような、オリジナルの台本へ新たに付け加えた “らしき台詞” を喋らせて、強引に過去と繋げようとしているだけ。
でも、これ、ドラマとしては間違っている。なぜなら、「お家はんと直どん」の内容が、視聴者に十分伝わった状態で、台詞の書き換えやアドリブが見えてこそ面白いわけで。完全に、視聴者を欺いているのだ。
今回で致命的なのは、舞台中継の演出
その上、致命的なのは、舞台中継の演出だ。最初の1分半ほどはマシだった。でも3分頃から “らしき台詞” が登場してから、途端に舞台中継であるにもかかわらず、顔のアップの切り返しを多用した。確かに、ドラマ単体としては、ここをアップにするのは間違いとは言えない。むしろ、アップで見せたいところだ。
しかし、このシーンは舞台なのだ。カメラは “視聴者” でなく “劇場の観客目線” でなければ不自然なのだ。だから、カメラが舞台上に上がって、千代や一平のアップを撮るなんて、私に言わせれば言語道断。
いや、舞台袖を撮影するのに、カメラが舞台上に上がるのは間違っていない。しかし、役を演じている千代と一平のアップを撮るために… はNGと言いたいくらいだ。本来の演出は、観客席からのカメラで、上手く視聴者に魅(見)せることだったと思う。まあ、今日始まったことではないが…
必要以上に「観客の笑い声や拍手」を後付けしたのも大失敗
更に、舞台中継のシーンの演出として、決して過剰にやるべきではなかったことを、今週の演出家はやってしまった。それは、演劇の内容の面白さも、千代と一平が “私事” を交えて演じる楽しさが、視聴者にほとんど伝わっていないのに、「観客の笑い声や拍手」を後付けで必要以上に加えたことだ。
この演出によって、つまらないバラエティー番組が「後付けの観客の笑い声や拍手」によって、余計に寒々しくなるのと同じ効果になってしまった。とにかく、ここでの演出は芝居の内容を伝えるのを、最優先させるべきなのに、強引に「面白いことをやっているんですよ」と押し付け、盛り上げようとしてしまったのだ。
芝居の見せ場を感慨深く見るインサートカットの人物の選択が間違っているような
そんなのを3分以上も続けたのちに、シリアスな場面になって、唐突に観客席で目に涙を浮かべている春子(毎田暖乃)の どアップを差し込んだところで、舞台袖でいつ泣き出すかもしれない子供を抱いてる灯子(小西はる)をインサートしたところで、なんのこっちゃ? って感じしかなかった。
ここ、舞台上の演技で “間” がもたないから、インサートカットで逃げたと思う。でも、この芝居の見せ場を感慨深く見るインサートカットとして適当なのは、恐らく、シズ(篠原涼子)と宗助(名倉潤)とみつえ(東野絢香)の3ショットと、舞台袖の団員に囲まれ、出番を待っている寛治(前田旺志郎)だったのでは?
なんか、もう最終回の編集すらやっつけ仕事のような…
普通に、千代の演技を見た春子が、喜劇女優になりたいと心変わりした方が自然だったような
もう、どうでも良いのだが、11分頃、良くわからない表現があった。春子が、次のように言った。
春子「私も お母ちゃんに負けへんくらい
みんなのことを元気にしたげんねん」
え~と、きっと私が見逃したのだ。春子が看護婦になりたいのは、千代が舞台で観客たちを元気にしたから、自分は看護婦でみんなを元気にしたいってこと? えっ? え~と、超好意的な解釈をして、千代が自分の演技や芝居で観客たちに与えたかった “元気” は、明日への希望とか、ちょっとのことではへこたれない勇気とかだったのでは?
でも、この表現だと「元気=健康」となってしまって、肝心な部分がねじれ現象を起こしているような。だったら、“普通に” 春子が千代舞台を一目見て、看護婦になるのを止めて、お母ちゃんと同じ喜劇女優になって、「私も お母ちゃんに負けへんくらい みんなのことを元気にしたげんねん」で良かったのでは? 八津弘幸氏、ここまで投げやりに書くか!
なぜ、最終回だけ「今日も ええお天気や」なの???
さて、『おちょやん』の感想の最後に書くのは、これまでも千代の決め台詞として幾度も使われてきた「今日も ええ天気や」についてだ。最終週のサブタイトルも]『今日もええ天気や』と表記されている。しかし、ラストシーンで青空を見上げて千代が言ったのは…
千代「今日も ええお天気や」
そう、「お天気」と言っていた。恐らく、誰もが、この決め台詞がラストシーンで印象的に使われると思ったに違いない。少なくとも私は、そう思った。しかし、何の捻りも無ければ、超が付く程の想定内。なのに、台詞は「今日も ええお天気や」。
これが、演者のアドリブであれば、なぜ「お」を付けたのか聞いてみたい。そして、脚本家が書いたなら理由を知りたい。そして、演出家の判断でこれを “OKテイク” にしたなら、反則か見逃しのどちらか。いずれにしても、最後の最後まで、もやもやが晴れない「しょうもない天気」続きの朝ドラであった…
あとがき
このストーリー展開、半年間も放送するポテンシャルを持っていませんでしたね。名作ドラマ『少年寅次郎』のように、NHK総合の「土曜ドラマ」枠で、40分か50分で4~5回くらいが、ちょうど良かったかも? それなら、脇役の無駄話を盛り込んでる余裕はなくなるでしょうから。
それにしても、最終回を迎えても何も残らない朝ドラがあるんですね。ただただ、杉咲花さんが怒鳴っては、演じる千代が騒動を解決し、次々と人がヒロインから離れていく印象しかありません。
約6か月、毎日、感想を読んで下さり、ありがとうございました。これまで 18作品の朝ドラの感想を書いて来ましたが、感想が浮かばなかった日があったのも、途中から “完走モード” から “様子見モード” になったのも、初めての作品でした。次作『おかえりモネ』には、そうならないことを祈りつつ、「おちょやんロス」もなく、感想を締め括らせて頂きます…
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【これまでの感想】
第1週『うちは、かわいそやない』
1 2 3 4 5 土
第2週『道頓堀、ええとこや~』
6 7 8 9 10 土
第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』
11 12 13 14 15 土
第4週『どこにも行きとうない』
16 17 18 19 20 土
『おちょやん よいお年を!』
第5週『女優になります』
21 22 23 24 25 土
第6週『楽しい冒険つづけよう!』
26 27 28 29 30 土
第7週『好きになれてよかった』
31 32 33 34 35 土
第8週『あんたにうちの何がわかんねん!』
36 37 38 39 40 土
第9週『絶対笑かしたる』
41 42 43 44 45 土
第10週『役者辞めたらあかん!』
46 47 48 49 50 土
第11週『親は子の幸せを願うもんやろ?』
51 52 53 54 55 土
第12週『たった一人の弟なんや』
56 57 58 59 60 土
第13週『一人やあれへん』
61 62 63 64 65 土
第14週『兄弟喧嘩(げんか)』
66 67 68 69 70 土
第15週『うちは幸せになんで』
71 72 73 74 75 土
第16週『お母ちゃんて呼んでみ』
76 77 78 79 80 土
第17週『うちの守りたかった家庭劇』
81 82 83 84 85 土
第18週『うちの原点だす』
86 87 88 89 90 土
第19週『その名も、鶴亀新喜劇や』
91 92 93 94 95 土
第20週『何でうちやあれへんの』
96 97 98 99 100 土
第21週『竹井千代と申します』
101 102 103 104 105 土
第22週『うちの大切な家族だす』
106 107 108 109 110 土
第23週[最終週]『今日もええ天気や』
111 112 113 114
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