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連続テレビ小説「おちょやん」 (第110回・2021/5/7) 感想

連続テレビ小説「おちょやん」

NHK総合・連続テレビ小説『おちょやん』公式サイト
第110回第22週『うちの大切な家族だす』の感想。


 本作は、2021/04/14 にクランクアップ(撮影終了)しています。
 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。


「お父さんはお人好し」の1時間特別版の放送当日。放送開始30分前にようやく最終原稿が届く。入院していた脚本家の長澤(生瀬勝久)自らが持ってきたのだった。長澤をねぎらう千代(杉咲花)と当郎(塚地武雅)だったが、すぐに放送準備に入るのだった。この日の物語は、戦争で大陸に渡った夫と終戦後も音信不通だった次女・乙子に医者との縁談が持ち上がるというもの。戦争未亡人に焦点を当てた話にラジオの前の聴衆も息をのむ
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

●作:八津弘幸 ●脚本協力:吉田真侑子 ●演出:佐原裕貴(敬称略)

第14週から視聴モードを「好意的な解釈」から「様子見」に格下げしております。

今週の佐原裕貴氏の演出は、とにかく"さり気なく"ていい

今週担当の演出家・佐原裕貴氏の演出が、脚本家の意図を正しく汲み取って演出(演技指導も含む)をしていること。佐原氏の演出(特にカメラワークや編集や劇伴の付け方)が “私好み” であることは、月曜日からずっと書いて来たことだ。

そして、今週に入ってからWeb拍手を送って下さっている20名以上の読者さんも、同じように思っていると思う。所々に入っている、さり気ない演出が良いなと。

アバンタイトルの編集も、さり気なく凝っていた

例えば、アバンタイトルの冒頭だ。前回の終盤で、栗子(宮澤エマ)が春子(毎田暖乃)の面倒を千代(杉咲花)に見てもたいたいと願い出るシーン。前回では、下記の千代の台詞のシーンは、千代と栗子の二人だけだった。

千代「血がつながっていようと いまいと
   そんなこと どうでもよろしいのや」

しかし、今回のアバンでは、ラジオドラマ「お父さんはお人好し」の打合せ室? で千代が出演者たちを見守るようなカットに入れ替わっていた。

千代と栗子の会話の時間設定は、特別版の放送4日前で、春子が登校した直後で、栗子が花籠を渡すから千代も出勤する前。従って、小鳥のさえずりも効果音で入るから、かなり早い時間帯の朝であることが推測できる。そして、今回のワンカット目の本番開始30分前を表す「6時30分」の丸い針時計。

しかし、この時点では、「本番に対して何日前なのか?」は分からない。でも、千代は栗子とのやり取りが頭から離れないと言うことだけ提示している。「何日経ってるの?」と思わせてから、脚本家の長澤(生瀬勝久)がやって来て、このシーンが1時間特別版の放送当日の本番30分前であることがわかる。

ここ、これまでだったら、ワンカット目の時計のアップに「1時間特別版の放送当日」のテロップか、黒衣(桂吉弥)のナレーションが入ったと思う。でも、敢えて説明しない。前回を見た視聴者なら、4日間、千代が栗子の言ったことや栗子の具合を心配したことがわかると言う、ちょっと突き放した演出になっている。でも、それで良いのだ。

『おちょやん』の感想で次のように書くのは、初めてかも知れない。演出は足し算ではダメなのだ。とにかく、必要最小限まで引き算する。そのことで、視聴者に伝えたいことだけが選別され残る。そう言う、演出の当然やるべきことが成されているのだ。

出演者たちが黙読するシーンの行進曲風の劇伴の選曲もいい

長澤が台本を持参して、出演者たちが黙読するシーンに、軽妙な行進曲風の劇伴がついていた。深刻でもなく、神妙でもなく、緊張でもなく、何となく楽しい雰囲気。

長澤と出演者だけが知っている1時間特別版の内容が、視聴者に「きっと楽しいストーリーなんだ」と想像させる。それも、劇伴一つで。この劇伴があるから、長澤と当郎(塚地武雅)のコミカルなやり取りも映えるし、録音ブースへの流れも行進曲によってスムーズに進む。選曲、いいと思う。

録音ブースのシーンでのマイクについて一言

さて、一部のネット上で、録音ブースのシーンで、演者たちがマイクから離れすぎているのに違和感を覚えるとの意見を拝見した。劇中でマイクスタンドに付けられているマイクが本物かどうかわからないが、外見から想像すると、恐らく「RCA 77DX型 マイクロフォン」のダミーモデルだと思われる。

放送博物館 所蔵資料 マイクロフォン|NHK 放送博物館

これは、1949年にアメリカから輸入されたリボン型可変指向性マイクロフォン。詳しい説明は省略するが、リボン型マイクは、とてもナチュラルな音質で録音できる特徴がある。そして、オンマイク(マイクに口を近づけない)にせず、むしろオフマイク(マイクから一定の距離を置く)ことで、周囲の音を広く自然に録音できるのが特徴。

もちろん、「可変指向性」のため、録音領域は調整できる。とにかく。当時のNHKの現場技術者は音質の良さに思わず驚きの声を上げたと言う代物だ。

また、録音ブースのシーンを良く見ると、天井からもマイクがぶら下がっている。このことで、バンド演奏やブース内の空気感を一体的に録音していることがわかる。と言うわけで、映像のように、演者とマイクとの距離は適度に空いていて正解だと思う。

どうしても気付いて欲しい演技指導と演技がシズの怒鳴る声

今回で、どうしても気付いて欲しい演出、演技指導がある。それは、6分頃、「岡福うどん店」で、皆が集まってラジオドラマを聞いているシーン。みんなが、ドラマの内容に関して賛否両論を言い出した際の、シズ(篠原涼子)の次の怒鳴った台詞だ。

シズ「やかましい! 聞こえまへんがな!」

これまで、シズが大声で怒鳴る場面は多い。比率で言えば、千代と同等かも知れない。怒鳴った方が、方言の下手さがバレ難いから多用すると言う、大人の事情もあっただろう。しかし、怒鳴るのを多用すればするほど、千代もシズも、短気で怒鳴って制圧する人みたいな印象が付いてしまった。

でも、今回のシズの「やかましい!」は、どうだったろう? きっと、これまでのシズより、若干怒鳴りを抑えめにして、顔をアップにすることで怒鳴っているのを強調した。こう言う演出、こう言う演技だから、大声に意味が出る。

特に、今週のシズは大声が少ないから、余計に今回の大声で、千代の成長を見守りたいと言うシズの心情が、大声で表現された。ここの、篠原涼子さんのほんの少しだけ大音量にならない手前の怒鳴り声を聞き直してもらいたい。

「血縁の家族の物語」としての一つの着地点として悪くない

終盤で、栗子の死をナレーション処理して、栗子の遺影のカットも使わずに、位牌や戒名も強調せず、千代と春子の新しい人生への第一歩をメインに描いたくだりも良かった。きっと、これまでだったら、父テルヲと千代の母の写真と、栗子の写真を三つ並べたカットが入ったと思う。戒名のアップもあったに違いない。

でも、今週はなかった。なるで、立つ鳥跡を濁さず… のような感じで。栗子が春子を千代に託した思いだけが、二人のやり取りから読み取られた。更に、本作が描いて来た、好き嫌いや異論反論もあろうが、「血縁の家族の物語」としての、一つの着地点として、春子が千代の養子になると言うのは、意外ときれいに収まったと思う。

あとがき

今週は、良かったです。「第1回から、こんな感じで見たかった」のが本音です。

例えば今週なら、「千代の女優復帰」、「栗子の退場劇」、「春子の存在」、「ラジオドラマ」、「千代の応援団」、「一平と寛治」など。結局、1週間に複数のエピソードを盛り込んでも、何が一番重要で、どうやってメリハリをつけて、全てをバランス良く魅せるか。それが演出家の腕次第ってことです。

一部の脇役に演出家が思い入れ強く演出するとか、脚本家が主人公よりも脇役のストーリーに思いを強く書くとか、そう言う大人の事情が、この体たらくになった原因だと思います。でも、今週の一週間だけでも、良い感じのエピソードがあったのは見続けて良かったと思います。

さて、いよいよ来週が最終週。「千代推し」のメイン・ディレクターが担当しなければ良いですが。「脇役推し」も脚本家とのせめぎ合いですかね。いずれにしても、一平を助けて、シズたちと再会、きっとラジオドラマのスタッフも舞台に駆けつけて… なんて、ハッピーエンドにして欲しいです。


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連続テレビ小説『おちょやん』第110回

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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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