リコカツ (第3話・2021/4/30) 感想

TBS系・金曜ドラマ『リコカツ』(公式サイト)
第3話『うれし恥ずかし偽装の新婚旅』の感想。
リコカツ中の咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)の家に、同じくリコカツ中の咲の母・美土里(三石琴乃)が転がり込んできた。困り果てていた矢先、失踪した紘一の母・薫(宮崎美子)が箱根の温泉旅館で働いていると判明、薫を連れ戻すため、二人は新婚旅行と偽り箱根へ向かう計画を立てる。一方、咲は職場で見知らぬ男(白洲迅)に声をかけられる。この時まだ咲は、この出会いが自分の運命を変えるとは知る由もなかった…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:泉澤陽子(過去作/あまんじゃく2018,2020、ブラックスキャンダル、大恋愛)
演出:坪井敏雄(過去作/凪のお暇、カルテット、わたナギ、恋あた) 第1,2話
鈴木早苗(過去作/3年B組金八先生ファイナル) 第3話
韓哲(過去作/ATARU、IQ246、コウノドリ、集団左遷!!)
小牧桜(過去作/この恋あたためますか)
音楽:井筒昭雄(過去作/民王、99.9、トクサツガガガ、妖怪シュアハウス、書けないッ!?~脚本家)
主題歌:米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
この面白さは、"初期設定の強さ"が大きく影響している
いくら、リコカツ中とは言え、咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)と言う夫婦が、1つの寝室で寝るだけで、ここまで面白く表現するのか! もう、序盤の3分間を見ただけでも、本作の初期設定の強さ(「強さ」とは、どのように使っても、面白くなると言う強固な設定の意味)が分かる。
撮影方法と演技が本当にピッタリとしていて素晴らしい!
そして、敢えて低音で喋る永山瑛太さんの演技と、北川景子さんとの掛け合いの絶妙な “間”。
以前の感想でも書いたように、本作は、TBSではドラマ『渡る世間は鬼ばかり』でしかやっていない、カメラ6台を使ったマルチ撮影を取り入れ、一連の芝居を1度で撮影し、実際に俳優同士が台詞の掛け合いをしている “間”を全て収録スタイルを使っている。その撮影方法と演技が本当にピッタリと来ていて素晴らしい。
脚本、演出、俳優が上手く噛み合っているドラマ
日本語の表現として正しくないのは承知で敢えて書く。咲と紘一、いや正確には、咲に対する虹一の言動と、紘一に対する咲の言動が “イチイチ” 面白い。褒め言葉になっているのか分からないが、ベテランのコント師の芸を見ているような、優れた “間” が見事過ぎる。
二人だけの会話劇なのに、きちんと視聴者が笑える “間” を作って、会話劇が積み上げられている。ホント、脚本、演出、俳優が上手く噛み合っているドラマだ。
「リコカツ中の母を訪ねて三千里」は、想定外の展開!
さて、展開は、予想外の新婚旅行へ。確かに、結婚式の次は新婚旅行だが、互いの片方の親が離婚を理由に家出をしていると言う設定を、特に今回は前回ラストでの失踪した紘一の母・薫(宮崎美子)が箱根の温泉旅館で働いていると判明ことと、リコカツ中の咲の母・美土里(三石琴乃)が転がり込んで来たことを上手く絡めて、新婚旅行へ。
正に、「リコカツ中の母を訪ねて三千里」だ。新婚旅行へ行くことになるまでの過程もスムーズだし、重森隊長(菅原卓磨)の職場を超えた心遣いも楽しいし。よく、こんな面白い展開を思い付くものだと感心しかなかった。
妻に逃げられた二人の父が酒を酌み交わすとは思わなかった
今回の展開で最も衝撃的で意表を突かれたのが、紘一の父・正(酒向芳)と咲の父・武史(佐野史郎)が一緒に酒を酌み交わしたこと。確かに、個々に妻が家出をしている立場は一緒だから、これまでは個々に描かれては来た。しかし、武史が紘一の実家・緒原家にやって来て、妻のいない同士で…。
いやあ、流石にこの手は思い付かなかった。妻に捨てられた中年男性二人の、どこか楽しくて、切なくて、シュールなやり取り。それも、佐野史郎さんと酒向芳の演技派二人。このアイデアは完全に盲点だった。両家の父が… と、思い出すだけで楽しくなってくる。
旅館の縁側で、雨降りの中でのやり取りが実に良かった
咲の「離婚するための旅行だったのに 思わず ウキウキしちゃったりとか」と言う台詞を中心に構成された、箱根の旅館「陣屋」旅館の(多分)「賑わい亭」(だったと思う)の縁側での、咲と紘一のリアルでシリアスな場面も、陣屋の美しく幻想的な情景と合いまった映像で、堅苦しくなく、むしろ、分かり易く単純に、且つ、ちょっぴりポエトリーな雰囲気で。
リコカツ中の自分たちを「雨宿り中」と例えるなんて、なかなかオシャレじゃないか!
今回で最も秀逸だったのは、エピローグの構成
今回で最も秀逸だったのは、エピローグの構成だ。新婚旅行から帰宅して…
咲「だって 私… まだ… あなたの妻だから」
この咲の台詞から、紘一が思わず咲を抱き寄せて、それが抱きしめて… になって。更に、旅行の回想シーンに時間を戻して “運命の人” のくだりへ持って行って、更に「国家機密」と言う単語を持ち出して、紘一が先と結婚した理由が、とても大切で重要なことだったことが、米津玄師さんの主題歌「Pale Blue」にのせて、さらりと描かれた。
そして、時間軸が戻って、次の主題歌の大サビの歌詞と映像が完全にシンクロ。
♪あなたの腕その胸のなか強く引き合う引力で
ありふれていたい 淡く青いメロディー
いかないで ここにいて そばで何も言わないままで
忘れられないくらいに抱きしめあって
ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと
恋をしている
今回は突然の咲の言葉に紘一が驚く逆パターンも新鮮だった
これまでは、紘一の思わぬ言動に、咲が驚かされていた。しかし、今回は逆パターン。これも、思い付かなかった。とにかく、脚本が良く練られて作り込まれている、これまでをきちんと踏襲した上で、マンネリ化にならないような新鮮なエピソードをキッチリと盛り込んで来る。
そして、メリハリがあって、虚構を真実に見せるような巧みな映像美を含めた楽しい演出。更に、撮影現場の楽しさが伝わって来るような俳優さんたちの “間” が合った演技。本当に良く出来ている。
特に、各登場人物同士の “心の距離感” の表現や、紘一の周辺の自衛官の独特な言葉遣いなども、本当に楽しい。リコカツが、切なくもあり、前進する一歩でもあることを、綺麗事ではなく、現実としてしっかり描いたことも素晴らしいと思う。
あとがき
今回も面白かったです。「自分の人生は自分で決める」みたいな、大鉈を振るうような感じが、微塵もないのが良いと思います。あくまでも、ラブコメのスタイルを借りて、明るく楽しく。でも、時には真面目に、シリアスに。そんなさじ加減が良いドラマだと思います。
今回登場した「元湯 陣屋」ですが、以前に泊ったことがあります。宮崎駿氏が幼少の頃過ごした温泉旅館でもあって、庭園には、となりのトトロのモチーフとなった「トトロの木」もあります。興味のある方は、コロナ禍が収束したら、行ってみてはいかがですか?
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