ドラマ10「半径5メートル」〔連続10回〕 (第1話・2021/4/30) 感想

NHK総合・ドラマ10『半径5メートル』(公式サイト)
第一号〔連続10回〕『おでんおじさん』の感想。
週刊「女性ライフ」編集者の風未香(芳根京子)は、芸能スクープを扱う「一折(いちおり)」班で大失敗し、読者の「半径5メートル」の話題を掘り下げる「二折(におり)」班に異動。名物記者・宝子(永作博美)と出会う。二人は、レトルトおでんを買う主婦を非難してSNSで話題になった「おでんおじさん」のネタを取り上げるが、女性たちの怒りの声を集めようとする風未香に対し、宝子はなぜかコンニャク作りを始める。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:橋部敦子(過去作/救命病棟24時1,2、僕シリーズ3部作、僕らは奇跡でできている)
演出:三島有紀子(過去作/映画「ビブリア古書堂の事件手帖」、石坂線物語「華の火」) 第1話
岡田健(過去作/盤上のアルファ、西郷どん、とと姉ちゃん)
黛りんたろう(過去作/鼠、江戸を疾る、ぬけまいる~女三人伊勢参り)
北野隆(過去作/いだてん、不要不急の銀河:助監督)
音楽:田中拓人(過去作/カフェ・スカンジナビア、ビターシュガー)
挿入歌:「5 meters」(作詞:三島有紀子 / 作曲:田中拓人)
私が好きな "橋部敦子脚本のドラマ" は…
私は、ドラマの感想に、この度の作品を担当する脚本家や演出家、音楽担当の「過去の作品群」を記載してる。そして、実は「過去の作品群」の掲載基準がある。人気順でで無ければ、新しい順でもない。私が、その脚本家や演出の「代表作」だと思っている作品群の上位を記載している。
従って、今作の脚本担当の橋部敦子氏の「私にとっての代表作」は、『救命病棟24時』の第1,2シリーズ、『僕の生きる道』、『僕と彼女と彼女の生きる道』、『僕の歩く道』の僕シリーズ3部作、『僕らは奇跡でできている』が、私が好きな橋部敦子脚本のドラマと言うことになる。
橋部氏の脚本は、社会性を扱うヒューマンドラマで本領発揮
と言うことは、最近の2作、『知ってるワイフ』と『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』だが、正直『知ってるワイフ』はそれなりに評価しているが『モコミ』については全く評価していない。そんな橋部敦子氏が、連続テレビ小説「ファイト」以来16年ぶりに同局のドラマを手掛けたオリジナル作品が『半径5メートル』。
ハッキリ言う。上記の最新2作品よりも、圧倒的に面白い。もちろん、3作品とも扱っている “テーマ” や “世界観” が異なるから、一概に比較することは出来ない。ただ、やはり、橋部敦子氏は “社会性” を盛り込んだヒューマンドラマの方が、脚本力を確実に上手く発揮する。私は、そう思っている。
"半径5メートル"に起こる事象を"人間の在り方"と共に描く
さて、本作の感想。
芸能ゴシップを追う「一折(いちおり)」班で大失敗して、生活情報を取り上げる「二折(におり)」班に異動になった若手週刊誌女性記者が、ベテラン名物女性記者とバディを組んで、普通なら記事にもならないような女性たちの身近な問題、所謂 “半径5メートル” に起こる事象を “人間の在り方” と共に描く、出版社を舞台にした、ちょっとコミカルでシリアスな社会派人間ドラマと言う感じだろうか。
三島有紀子監督の作品の特徴は…
演出は、映画『ぶどうのなみだ』、『繕い裁つ人』、『ビブリア古書堂の事件手帖』で手腕を発揮した三島有紀子監督。三島監督の映画を見たことのある人なら、冒頭のシーンだけでも、あの色彩、あの音の使い方、道具の見せ方などで、一目瞭然だと思う。ひたむきに、悩みながら、でも柔軟性をもって生きる人々を描かせたら、相当、力を発揮する演出家だ。
今回でも、風未香(芳根京子)や、“アゲハ” こと寺本友里(前田亜季)の描写に上手く反映されていた。また、おでんの “手作り” に拘る描写も、演出家の “モノ” への尊敬や真摯な思いが込められていたと思う。
脚本と演出の相性が良く、重過ぎず軽過ぎず丁度いい塩梅
全体の印象だが。少々、ドラマの初期設定、特に人物設定と記事が完成するまでの家庭が、かなり計算尽くしになっており、如何にも「作ってます」感があったのは否めなかった。
ただ、社会派ドラマとしては、脚本家と演出家の相性が良いのだろう。『僕らは奇跡でできている』のような、どことなくファンタジーな感じや、緩~い雰囲気が漂っていた。そのお陰で、難しいテーマも、意外とフワリとした感じに描かれており、堅苦しさや重苦しさも無いような工夫が施されたのは良かった。
あとがき
テーマの「切り口」の良さもさることながら、「切り口」の深さのさじ加減が意外と絶妙だなと。浅過ぎず、深過ぎず。さじ加減で言うなら、コミカルとシリアスのバランスも中々良かったです。
女性が主人公だから「ドラマ10」枠なのでしょうが、内容的には「土曜ドラマ枠」の方が似合っていたと思います。夜9時スタートで、若い人たちを含めた多くの人たちに見て貰えそうと言う気持ちもあります。事前情報をほぼゼロで見たので、第1話でここまで良く作り込めたのには、驚きました。
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