連続テレビ小説「おちょやん」 (第103回・2021/4/28) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おちょやん』(公式サイト)
第103回/第21週『竹井千代と申します』の感想。
※ 本作は、2021/04/14 にクランクアップ(撮影終了)しています。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
1年前、道頓堀を飛び出し、雨の中で行き場を無くした千代(杉咲花)を家に連れて帰った栗子(宮澤エマ)。身寄りのない孫・春子の身を案じ、育ててほしいと千代に切り出す。しかし家族を失った原因でもある栗子に対し、灯子への感情も重なり、憤る千代。意図せず春子を傷つけてしまうが、千代は春子からあることをお願いされる…。そして今…千代の引退を知った当郎(塚地武雅)と長澤(生瀬勝久)の姿がNHK局内で見当たらず…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
●作:八津弘幸 ●脚本協力:吉田真侑子 ●演出:梛川善郎(敬称略)
第14週から視聴モードを「好意的な解釈」から「様子見」に格下げしております。
アバンタイトルのナレーションに違和感を覚えた…
今回のアバンタイトルで、不思議に思ったこと。それは、前回の終盤の映像に、「1年前 千代ちゃんが家を出たあの日 千代ちゃんは 栗子さんと再会しました」と言う黒衣(桂吉弥)のナレーションが入ったこと。これ、全然、映像とリンクしていないとは思わないだろうか。
むしろ、どうしてもナレーションを入れたいなら、「子どもの頃の自分を春ちゃんに重ねてしまった悔やんだ千代ちゃんでした」くらいで良かったのでは? なぜ、ナレーションでも時間軸を撒き戻すのか、本当に意味不明なアバンタイトルだ。
改めて感じたのは、「まどろっこしい」の一言
前回の感想でも、少しだけ触れたことだが。今週からの物語は、(一応、放送時間として)壮大な連ドラの 「新章」であり、「エピローグ」でも「最終章」の “導入部” でもあるのだから、なぜ、月曜日から時間軸を「1年分」巻き戻す必要があるのか? と言うこと。月曜日から水曜日まで見て、改めて感じたのは、「まどろっこしい」の一言だ。
なぜ、本作は回想シーンを、こうも多用するのか?
やはり、私は、月曜日に、奇跡だか偶然だが知らないが…
1年前に、道頓堀を飛び出して雨の中で行き場を無くした千代(杉咲花)と再会した栗子(宮澤エマ)が身寄りのない孫・春子(毎田暖乃)の身を案じ、育ててほしいと千代に切り出して、当郎(塚地武雅)と長澤(生瀬勝久)のラジオドラマの出演依頼を断るところまでは、一気に回想ではなく、通常の時間軸で描くべきだったと思う。
そうすれば、前回の感想で書いた、「なぜ、栗子は千代に会えたの?」と言う不可思議な部分も、強調されなかったと思う。なぜなら、回想シーンと言うのは、その場面を強調するために用いる技法なのだ。「ああ言うこともありました…」みたいな強調。
でも、回想でなければ、視聴者は強調されていないから、「?」とは思っても、大抵の人は「喉元過ぎれば熱さを忘れる」となるのだ。やはり、脚本の全体の構成の下手さ、演出の編集の気の利かなさ。これらが、益々本作から面白味を削いでいると思う。
栗子なりに背負って来た苦悩の人生にも共感できなくなってしまった…
主題歌明け、栗子が幼少期の千代が奉公に出た後の、自身の身の上話をしていた。それを聞いても、春子を預かる気になれない千代。行くところが無いのだろうから、ここに住んで仕事も紹介すると言う栗子。そこで、孤独感を味わう千代。そう言うつもりで書いているのだろう。でも、私はスッキリしない。
栗子が春子の面倒を本気で千代にお願いしたいなら、普通は、まず千代の知らない自分の身の上話をした上で、前回の謝罪をして、「それでもダメか?」が普通の流れでは?
最初にお願いをして、一度断られたら泣き脅し。それでも断れたから、今度は千代の足元を見て逃げられないように追い込むみたいな、あざとい手段で孫の人生を “他人” に託す祖母なんて、正直言って朝から見たくない。
栗子が酷い性格なのは承知しているが、ここまで都合が良すぎると、栗子なりに背負って来た苦悩の人生にも共感できなくなってしまった…
結果的に千代は栗子たちと暮らすから、まどろっこしいのだ
春子が宿題を手伝ってくれと千代に言う場面で、栗子が字の読み書きが出来ないことを知った千代が、幼少期を思い出す場面があった。そして、言わずもがな、また回想シーンだ。本当に、まどろっこしい。
きっと、脚本家は、徐々に「栗子は、そう言う人だったんだ…」と気付いていき、いずれは春子を預かるのかも知れない。でも、まどろっこしいのは確かだ。
ここだって、前述のように、最初に栗子が身の上話をするが、千代は栗子に共感できないと描く。今度は、春子が千代に宿題を手伝ってと言って、栗子が読み書きできないことを知る。そして、千代の心が動き始めたところで、住む所と職を提供すると栗子に言われて、栗子の世話になりながら、春子との仲も良くなっていき… の方が自然な流れでは?
ここで「千代が幼少期の栗子の回想」を入れると、要は、このエピソードが「栗子のスピンオフ」になってしまうのだ。先にも書いたが、今週は 「新章」であり、「エピローグ」でも「最終章」の “導入部” でもあるのだから、「栗子の生き様」より「千代の生き様」にフォーカスすべき。
だって、今回の一連の描写、次のナレーションに帰着させるつもりで書いているのだ。
N「こないして 行き場のなかった千代ちゃんは
栗子さんたちと一緒に暮らすようになったのでした」
だったら、普通の流れで描いた方が、千代だけでなく、栗子と春子の心の変化が、抒情的に描けたと思う。なぜ、こんな簡単なことも、意図的にやらないのか、意味が分からない…
アバンで「結局、千代は"人でなし"」と悪印象を上塗りしたのは失敗だと思うし、この時点での千代を"人でなし"に描いて欲しくも無かった…
もう、当郎が栗子の家にやって来たことの以降の展開は、どうでも良い。どうせ、なるようになるはずだから。
15分間を見終えて、もう一度見直してみて感じたのは、やはりアバンタイトルで千代の「うち なんちゅうこと…」を今回も使い回したことが、気になったしょうがなかった。
繰り返しになるが、千代と栗子の再会劇がご都合主義で適当だったから、まず上記にナレーションで補足して、繰り返したのだと思う。でも、この「うち なんちゅうこと…」のシーンを見て、改めて千代に対し不快感を抱かなかっただろうか。
まあ、父と弟と血縁関係だから、例え “理由” があっても、相手に酷いことを言う主人公に見えてしまったのでは? 好意的に捉えれば、「感情が爆発して言い過ぎてしまった」とも思えなくもない。
でも、40歳を過ぎて、父と弟を亡くし、戦争では大切な人を失い、夫と離婚し、大好きだった喜劇と女優に見切りを付けた40歳過ぎの千代が、結局 “人でなし” と言うのは、この時点では相応しくないと思う。
もちろん、これまで100回の中で、千代は「時に感情的になるけど、心の底では正義感があって、心優しい人」と言う印象付けが成功していたら、使い回す価値のある「40歳過ぎて離婚して、天涯孤独なヒロイン」の感動エピソードになっていたと思う。
あとがき
出来ることならば、千代が1年前に女優を廃業する “きっかけ” を知りたいですね。それが、「お家はんと直どん」の千秋楽での公私混同の自分の芝居だと描かれるのを期待します。もしも、描かれたら、少しだけ最終回まで希望が持てるような気がします。
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【これまでの感想】
第1週『うちは、かわいそやない』
1 2 3 4 5 土
第2週『道頓堀、ええとこや~』
6 7 8 9 10 土
第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』
11 12 13 14 15 土
第4週『どこにも行きとうない』
16 17 18 19 20 土
『おちょやん よいお年を!』
第5週『女優になります』
21 22 23 24 25 土
第6週『楽しい冒険つづけよう!』
26 27 28 29 30 土
第7週『好きになれてよかった』
31 32 33 34 35 土
第8週『あんたにうちの何がわかんねん!』
36 37 38 39 40 土
第9週『絶対笑かしたる』
41 42 43 44 45 土
第10週『役者辞めたらあかん!』
46 47 48 49 50 土
第11週『親は子の幸せを願うもんやろ?』
51 52 53 54 55 土
第12週『たった一人の弟なんや』
56 57 58 59 60 土
第13週『一人やあれへん』
61 62 63 64 65 土
第14週『兄弟喧嘩(げんか)』
66 67 68 69 70 土
第15週『うちは幸せになんで』
71 72 73 74 75 土
第16週『お母ちゃんて呼んでみ』
76 77 78 79 80 土
第17週『うちの守りたかった家庭劇』
81 82 83 84 85 土
第18週『うちの原点だす』
86 87 88 89 90 土
第19週『その名も、鶴亀新喜劇や』
91 92 93 94 95 土
第20週『何でうちやあれへんの』
96 97 98 99 100 土
第21週『竹井千代と申します』
101 102
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