ネメシス〔全10回〕 (第1話・2021/4/11) 感想

日本テレビ系・日曜ドラマ『ネメシス』(公式サイト)
第1話〔全10回〕『天才探偵、現る!』の感想。
CEO・栗田(江口洋介)、探偵・風真(櫻井翔)、帰国子女の助手・アンナ(広瀬すず)から成る「探偵事務所ネメシス」に、大富豪・火鬼壱(伊武雅刀)の専属医師を務める黄以子(大島優子)から調査依頼が。火鬼壱に脅迫状が届いたという。風真とアンナは早速その豪邸を訪問。火鬼壱は遺産を分配する6人の恋人達に‘宝探しゲーム’を提案する。ところがその夜、火鬼壱が殺される。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:片岡翔(過去作/映画「町田くんの世界」) 第1話
入江悠(過去作/映画「SRサイタマノラッパー北関東三部作」、映画「AI崩壊」) 第1話
脚本協力・トリック監修:講談社タイガ(全話)、今村昌弘(第1,3話)、藤石波矢(第2,6話)、周木律、降田天、青崎有吾
総監督:入江悠(過去作/映画「SRサイタマノラッパー北関東三部作」、映画「AI崩壊」)
演出:片桐健滋(過去作/きのう何食べた?) 第1話
岸塚祐季(過去作/FLASHBACK 演出助手)
音楽:横山克(過去作/わろてんか、映画「ちはやふる」シリーズ、ドリームチーム)
制作協力:グレデウス(過去作/映画「小説の神様」、映画「今日から俺は!!劇場版」、映画「AI崩壊」)
※作家陣の書き下ろしによる小説版「ネメシス」シリーズが発刊・発売中
演出陣は、映画監督でもある入江悠氏が「総合監督」
まず、本作の企画が他のドラマと異なるのは、演出家と脚本家の配置構造だ。まず、演出だが、映画監督でもある入江悠氏が「総合監督」と言う立場で、シリーズ全体の統一性を担保すると考えている。そして、その入江氏の他に中堅の片桐健滋氏と若手の岸塚祐季氏3人が演出担当。
脚本は2名+脚本協力・トリック監修の6者が関わる
また、脚本については前述の入江氏に加えて、片岡翔氏の2人体制に加え、今回は、脚本協力・トリック監修と言う立場で、文庫レーベルの講談社タイガと、推理小説家の今村昌弘氏(第1話・第3話)、藤石波矢氏(第2話・第6話)、周木律氏第4話)、降田天氏(第5話)、青崎有吾氏(第7話)の6者が関わる。
と言う、まあ上手く行けばの話だが、かなり「推理モノ」の部分に重視しているスタッフ構成になっている。更に、その推理小説家が各話を基にした小説本を次々と出版すると言う商魂逞しい企画もある。もう一度書くが、いくら優秀なスタッフを集めても “船頭多くして船山に上る” と言う諺もあることを忘れてはならない…
演出家と脚本家を大勢揃えた割に、至って"普通"の推理モノ
さて。公式サイトには『“天才過ぎる助手×ポンコツ探偵” 極上エンターテインメント開幕!』とあるし、Yahoo!テレビの概要欄には『6人のミステリ作家が脚本に協力!最終回まで伏線だらけの極上のミステリーエンターテイメントが誕生!』と書いてあるから、まあ看板に偽りはない… とは思う。
と言うか、「極上の」と書いてある割には、初期設定自体は、「助手は天才で、探偵がポンコツ」と言うだけで、その凸凹コンビが時間を解決していく自体は、何ら極上でも目新しさもない。謎解きの部分も推理作家が脚本に加わっと高々に言う程のものではないし。
まあ、本作の「総合監督」である入江悠氏の監督&脚本担当した最新作の映画『AI崩壊』を見た人なら、彼の作品が初期設定とストーリー展開が陳腐なことが最大のマイナスポイントであることは既知のはずだから、そこは驚きと言うより、想定内と言う感じだ。
「一話完結」のミステリーとしては、"普通"な仕上がり
ただ、「推理モノ」としては、事件解決部分には好みがあろうが、まあまあ納得は出来た。また、各所に入るコミカルな演出も、これまた好みはあろうが、ドラマを破綻させない程度のさじ加減で入っていた。その意味では、「一話完結」のミステリーとしては、普通な仕上がりと言って良いと思う。
もっと第1話で"縦軸"を強調した方が、スッキリとしたかも
でも、気になった点も幾つかある。まず、「突如失踪した助手の美神アンナ(広瀬すず)の父親・美神始(仲村トオル)を捜す」と言う縦軸だ。第1話を見た限りでは、かなり強調しているから、もしかすると、事件自体は「一話完結」であっても、行く行くは「各話が縦軸に絡んで来る」と言う可能性は払拭できない。
いや、入江氏なら、やらないはずはない。だったら、もっと第1話で “縦軸” の存在をより強調した方が、スッキリとした仕上がりになったと思う。
謎解きと言うより、稚拙な「種明し」に見えてしまった…
それと、先ほど好みが分れると言った謎解きの部分。今回で言うなら、ミネラルウォーターの段ボール箱を明らかに強調し過ぎて、フラグを超えて、「もう、これしかない!」みたいな演出になっていた。そのため、謎解きと言うより、稚拙な「種明し」に見えてしまったのが残念だった。
殺人事件が起こるまで尺が長過ぎて、テンポが良くなかった
そして、最後の気になった点は、殺人事件が起こるまでの尺の長さ。いくら関係者が多いとは言え、死体が見つかるまで20分間は長過ぎる。恐らく、脚本を書いてはみたものの、1時間枠に足りなくて、前半部分を足したのだろう。やはり「一話完結」であるなら、冒頭の「探偵事務所ネメシス」の紹介以降は、もっと尺を詰めて、テンポアップした方が良かったと思う。
あとがき
美術さんや衣装さん、車両提供も頑張っていましたね。特に「探偵事務所ネメシス」のセットの作り込みとか、メイン3人の衣裳とか、かなり個性的な世界観を創出しようと頑張ったのは認めます。
また、序盤で美しき医者の上原黄以子(大島優子)が乗っていた赤いセダンが、ロールバー入った「JX90型マークII」だったり、神奈川県警の通称 “タカ” の千曲鷹弘(勝地涼)と、通称 “ユージ” の四万十勇次(中村蒼)が事件現場に乗って来たクーペが、車両ナンバー「54-17」の濃紺のS13型シルビアで、『あぶない刑事』の2人が乗っていた車両のナンバーも下4桁が「54-17」(当時の車両は、UF31前期型レパードだった)と遊び心もありました。
とは言え、前述の通りで、本作には「総合監督」がいるので、第1話のスタイルから今後変わることは “ほぼ無い” はずです。そうなると、少々不安が残りますね。あとは、この放送枠お得意の「最終回の続きは、Huluで」がないことを祈るばかりです。それにしても、江口洋介さん、仲村トオルさんが出演されているのに、このスッカスカな感じは頂けませんよ。もったいない…
「楽天市場」からのおすすめ商品や企画
「Amazon」からの最新のお知らせ
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/15385/
- 関連記事