連続テレビ小説「おちょやん」 (第75回・2021/3/19) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おちょやん』(公式サイト)
第75回/第15週『うちは幸せになんで』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
警察署の接見室に訪れた千代(杉咲花)は、身内がいないと言い張るテルヲ(トータス松本)と面会を果たす。千代はテルヲに対して、自分はこれまでテルヲと関係なく生きてきた。テルヲをずっと恨み続ける、と言い放つ。それに対して、テルヲは過去の数々の非道を詫び、誠心誠意頭を下げて必死に謝罪する。千代はその言葉を背中に受けるも、自分がどうしたいのか、心と頭が追いつかない。すると、千代は懐からあるものを取り出す…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
●作:八津弘幸 ●脚本協力:吉田真侑子 ●演出:梛川善郎(敬称略)
第14週から視聴モードを「好意的な解釈」から「様子見」に格下げしております。
脚本家は、テルヲに愛情を込めて書いていると思う…
まあ、今週の月曜日から感想に書いた通り、分かってはいた。本作の脚本家は、あくまでも、テルヲは、どこまで行っても “クズ親父” だが、死ぬまでには一度くらいは千代(杉咲花)のために “何か” をしてやりたいと言う “親心” が芽生えたように書いていること。
迷惑をかけ続けた可愛い娘に死ぬまでに一度くらいは “何か” をやってやりたいと思って、柄にもなく頑張ったと、脚本家はテルヲに愛情を込めて書いたのだ。
一方、演出家はテルヲの娘への愛情を下衆な笑いに変換した
一方で、演出家は、脚本家が脚本に書いている “可愛い娘への愛情” を強調せずに、必要上に過激に “酷さ” だけを強調して来た。しかし、今回の演出が最悪だったのは、金曜日の終盤で、可愛い娘の舞台を見ることもなく獄中死したテルヲ(トータス松本)の “可愛い娘への愛情” を、下衆な笑いに変換して表現した。
もうこれは、テルヲの存在以上に不愉快。と言うか、死者の冒涜と言って良いレベルだと思うが…
朝ドラは「人の死」や「人の病気」を扱う時は細心の注意を払うべき!
常々、当blogでは、例え、医療ドラマや刑事ドラマのような「死人」が必要なドラマであっても、ましてや、それ以外のテレビドラマ(本当は、映画なども含むが)で「人の死」や「人の病気」を扱う時は、必ず必然性を持たせることと、丁寧に慎重に配慮をして描くべきと、ずっと言って来た。
特に、病院の待合室などの公共施設では視聴チャンネルが「NHK総合」になっている所が多いし、毎日の楽しみとして高齢者や病気を患っておられる方が、毎日楽しみにしている朝ドラでは、細心の注意を払うべきとも書いて来た。
亡き父があの世から声だけで、幸せな娘夫婦にツッコむ結末に嫌悪感しか抱けなかった…
その意味で、今回の終盤での、死後のテルヲを声だけの出演にして、幸せな娘夫婦に突っ込んで終わると言う結末に、嫌悪感しか抱かなかった。
もちろん、楽しく見た人はいるだろうし、本作らしいと思った人もいるに違いない。でも、私の価値観では “やり過ぎ” にしか思えなかった。そして、この演出が本作のメイン・ディレクターの演出であると言う現実に呆れてものが言えない。
今回の前半の約6分間も接見の"続き"があったのには驚いた!
と言うことで、今回の感想は終わり。と言ってしまっては、お昼休みに感想を読もうと思って下さった方に申し訳ないし、あとから読んで下さる読者さんへの罪滅ぼしではないが、もう少し今回を掘り下げて見ようと思う。
まず、今回が始まって驚いたのは、前回の接見シーンだって8分10秒から15分まで約7分間も割いたのに、今回の前半の約6分間も “続き” があったこと。
鼻水垂らして泣くテルヲと、父への恨み節と女優自慢する千代なんてダラダラと描かずに、アバンタイトルの冒頭で、黒衣(桂吉弥)が「千代が父・テルヲの “身元引受人” になりました」と言って、千代の三歩後ろをよろよろと照れ臭そうに歩くテルヲで良かったのでは?
視聴者から不人気のテルヲと、演じているトータス松本さんを救済するために、テルヲを “実は、いい父親” に改変して死なせると言う脚本も演出も如何なものかと思う。しかも、結果的に娘に捨てられて獄中死したのに、幽霊といて声だけ出演して、仲良し夫婦に突っ込むって、悪趣味にも程があると思う。
獄中死のシーンも、遺影を置く千代も、なんか変…
その上、演出によって、獄中死する際のテルヲの脳裏には、「父を慕う幼少期と今の笑顔の千代」を浮かべさせて、次のテルヲの遺影を置く千代は、如何にも「邪魔者が消えて良かった」みたいな演技指導をさせるから、まるで千代が「骨だけは 拾ってやったで」と言わんばかりに見えてしまった。
せめて、幻視の中には、ヨシヲや妻があっても良かったし、弟・ヨシヲ(倉悠貴)に至っては、真面目になった証しとして、喪服で遺影に手を合わせさせた方が良かったと思う。そう言うのをやらないから、あの「千代とヨシヲの別れ」が、犯罪者を野放しにしただけであったことが、更に印象付いてしまうのだ。
梛川善郎氏は、なぜ今回も杉咲花さんにえげつない演技指導をするのだろう?
また、「私が骨を拾いました」と天狗状態の千代を、今度は仲間たちが元気づけようと次々と集まって賑やかなお通夜モード。劇伴もデキシーランドジャズ風の明るい曲調で、お弔いっていったい何事?
みんなで “テルヲ、アゲ”三昧なのは勝手だが、どう見ても、千代の笑顔が「邪魔者が死んで清々した」みたいに見えてしまって。どうして、こんなえげつない(やり方に思いやりや人情がない)演出、演技指導をするのだろう?
どこをどう見たら、千代が「芝居のことばっかり」に見えるのか?
それに、更に驚いたのは、千代がみつえ(東野絢香)に言われたと言って…
千代「今のまま 芝居のことばっかりで ほんまに幸せなんかて」
これまでのどこをどう見て解釈したら、千代が「芝居のことばっかり」に見えるのか? 好意的に見ていた時でさえ、芝居よりも他人のことに首を突っ込んでいる印象の方が強いのに…
あとがき
作り手たちは、本気でこれが「泣き笑いのエピソード」だと思って、作って放送してるいのでしょうか? この感想を書くのに3回見直しました。やはり、脚本の文字面だけを読めば、脚本には下記のようにしか書いてないと思います。
父親が死ぬまでに可愛い娘に何かしてやりたいと思いつくも上手く行かず留置され、千代はどうしてもクズ親父を許すことが出来ないから身元引受人にもならなかった。でも、女優としての自分を見て元気づけようと思ったが、まさかの獄中死。で、本当は舞台を見せて笑わせたかっただが、叶わなかったから、仲間たちと笑顔で父親を弔ったら、その夜に死んだ父親が現れて、イチャイチャする娘夫婦にあの世からツッコんだ… と言うだけですよ。まあ、これも僅かに好意的に書きましたが…
なのに、演出によって接見中の千代を偉そうに見せてしまったのと、喪服の千代をクズ親父が死んで清々したみたいに演じさせたために、結果的に、テルヲも千代も自分のことしか考えない自己チューなキャラクターになってしまったのだと思います。
この状態で、次週で何を描くのか知りませんが、ここまで私の中の千代の、主人公の好感度が下がると、残り40回、2か月を見続けるのは厳しくなりますね。とにかく、来週は演出家が交代するのを期待します。
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【これまでの感想】
第1週『うちは、かわいそやない』
1 2 3 4 5 土
第2週『道頓堀、ええとこや~』
6 7 8 9 10 土
第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』
11 12 13 14 15 土
第4週『どこにも行きとうない』
16 17 18 19 20 土
『おちょやん よいお年を!』
第5週『女優になります』
21 22 23 24 25 土
第6週『楽しい冒険つづけよう!』
26 27 28 29 30 土
第7週『好きになれてよかった』
31 32 33 34 35 土
第8週『あんたにうちの何がわかんねん!』
36 37 38 39 40 土
第9週『絶対笑かしたる』
41 42 43 44 45 土
第10週『役者辞めたらあかん!』
46 47 48 49 50 土
第11週『親は子の幸せを願うもんやろ?』
51 52 53 54 55 土
第12週『たった一人の弟なんや』
56 57 58 59 60 土
第13週『一人やあれへん』
61 62 63 64 65 土
第14週『兄弟喧嘩(げんか)』
66 67 68 69 70 土
第15週『うちは幸せになんで』/b>
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