連続テレビ小説「おちょやん」 (第74回・2021/3/18) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おちょやん』(公式サイト)
第74回/第15週『うちは幸せになんで』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
千代(杉咲花)たち鶴亀家庭劇が、東京の演劇雑誌から取材を受ける当日。劇団員たちは記者とカメラを前に各々気合いが入っていた。一方、千代を見守るため、天海一座の稽古場に潜むテルヲ(トータス松本)の前に借金取りが現れる。借金取りは、金のないテルヲには目もくれず、娘の千代に返済を迫ろうとしていた。取材の最中にテルヲと借金取りがけんか沙汰をおこし、たちまち大騒動に…。熊田が呼んだ警官たちが現場に駆け付けて…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
●作:八津弘幸 ●脚本協力:吉田真侑子 ●演出:梛川善郎(敬称略)
第14週から視聴モードを「好意的な解釈」から「様子見」に格下げしております。
まえがき
まず、今回の感想を書く前に、毎回本作の感想を(恐らく)お昼休みに読むのを楽しみにされている一部の読者さんには、投稿がだいぶ遅くなったことをお詫びします。
その理由は、昨日に投稿した『私が体験した千葉県のコロナ受入れ病院の医療現場ひっ迫の現状』にあるように、病院の医療体制がひっ迫しており、午前中の病院での待合時間が予想以上に長くなったからです。良かったら、上記の投稿で、報道が伝えないコロナ禍の医療現場のひっ迫を知って下さい。お願いします。
千代がテルヲを"父親"と認める決心をするかどうかの15分
さて、ここからが今回の感想。とにかく、必死に、強引に「人情モノ」 “風” に仕上げようと、脚本も演出もしているのは、ヒシヒシと伝わって来る。
テルヲ(トータス松本)は 千代(杉咲花)を “身内” ではないと突っ張り、千之助(星田英利)は千代に面会に行け(身元引受人になれ)とやんわり伝え、宗助(名倉潤)は前回から完全なテルヲの応援団長になって、千代がテルヲを “父親” と認める決心がつくのか、つかないのかの一点に絞り込んだ15分間だったように思う。
15分間の中心が "千代の心情の描写" になったのは評価する
その意味では、何とかギリギリ、15分間の中心が “千代の心情の描写” になっており、普通のドラマなら当然のことだが、本作に於いては主人公が主人公らしく活躍し描かれるのは、「ほぼ家族が登場する週」だけだから、大いにやった方が良い。
今回だって、アバンタイトルの「鶴亀家庭劇」の取材のシーンでは、ただ大騒ぎするテルヲを制止させるだけの役だった。だから、千代の心情をメインに描いたことは一定の評価はしたい。
テルヲは、千代が第一子の女の子で可愛いから固執したのか
また、前回で分からなかったこが、何となく判明したことがあったのも、一応良かったと評価しておきたい。それは、テルヲがなぜ千代にだけ固執する、千代の幸せや成功に拘るのか。テルヲにとって千代は、第一子の女の子で可愛かった… それだけの理由だったようだ。
まあ、それだけと言うっては元も子もないが、息子のヨシヲ(倉悠貴)に対する発言を聞いても、特別視していたのが分かった。ただ、あの面会のシーンでの、テルヲの長台詞を聞いても、どうしてもテルヲに “贖罪” の気持ちが芽生えたようには見えなかった。その理由を次に描こうと思う。
演出が脚本の"娘への愛情"より、テルヲの"酷さ"を強調
前回の感想のほぼコピペになってしまうが、新解釈があるので書いてみる。
本作の脚本家は、あくまでも、テルヲは、どこまで行っても “クズ親父” だが、死ぬまでには一度くらいは千代のために “何か” をしてやりたいと言う “親心” が芽生えたように書いている。そう、迷惑をかけ続けた可愛い娘に死ぬまでに一度くらいは “何か” をやってやりたいって感じ。
しかし、演出家による演技指導やカット割りや編集や音楽は、テルヲは実はクズと言うより愛情表現が下手な男で、幼少期から散々迷惑をかけ続けた千代に贖罪の気持ちから、“出来る限りのこと” をやってやろうと頑張っている… と描いている。前回では、こう思っていた。
しかし、今回のアバンタイトルや面会のシーンを見て、少し変わった。演出家は、脚本には書かれている “娘への愛情” を強調させずに、必要以上に過激に “酷さ” を強調していたのだ。
テルヲの"酷さ"ばかり強調するから面会シーンの説得力無し
このテルヲの “酷さ” とは、例えば、誰もがわかるような、「鶴亀家庭劇」の稽古場にストーカーのように近づいたり、そこで大喧嘩をやって警察沙汰になったりすれば千代に迷惑がかかることを “死ぬまでに” を理由に強調して描いたこと。また、面会のシーンでの唐突に千代へ本音を後出しジャンケンで喋って、それをテルヲのどアップで強調したこと。
こんなのが “酷さ” の強調に当たる。あまりに、これまでも今回までもテルヲを本作のメインの演出家は、悉くテルヲの “酷さ” を強調して来た。きっと、演出家はテルヲを好きなのだ。以前書いたようにテルヲを演じるトータス松本さんが好きなのだ。だから、やたらと “酷さ” を強調して目立たせる。
目立たせれば目立たせるほど、目立たせ続けて来たからこそ、既に面会でのテルヲが言ったことも、本音なのか判断できないレベルなのだ。そう描いて来てしまったのが本作。だから、ハッキリ言うが、梛川善郎の演出の失敗だと思う。
もう少し “凄さ” を抑えて演出していれば、今回の面会での台詞は、「やっと本心を明かしたの!?」と思えるが、これまでのテルヲの言動からすれば、これだってその場しのぎの言い訳の可能性もあるのだ。私は、先週から好意的な解釈を止めているから、そう見える。
だって、余命が残り少ないから千代のためになることをやってやりたい… なんて、あの “酷さ” を見続けて来て刷り込まれたら、信用できなくて当然だと思う。
次回の千代のテルヲへの態度が今週の成功を左右すると思う
きっと、脚本の方が早めに完成していて、撮影が後追いになったのだろう。でなければ、ここまで脚本家と演出家の意図が、最初からズレるはずはないと思うから。
でも、誰かがメインの演出家の暴走みたいなのを阻止することが出来たら、私を含めた多くの視聴者が、ここまでテルヲへ嫌悪感を抱かなかっただろうし、今回の人情話風にしようとする「テルヲの退場劇」も、もう少し好意的に見ることが出来たと思う。
まっ、とにかく、連ドラ、特に放送が長期に亘る朝ドラの場合、積み重ね、刷り込みによって、登場人物の印象は最初の段階でかなり決まってしまう。そこを無視して演出するのは言語道断。これで、次回で千代がテルヲの苦悩を聞いて、千代がテルヲは改心したとなったら、千代の人間性も更にブレることになる。
いずれにしても、明日の千代の態度が、今週がきれいにまとまるかの大きなポイントになるような気がする…
あとがき
俳優さんたちが頑張って折れるのは大いに認めます。千代がテルヲに散々苦しめられてきたことも、ずっと見て来たので知っています。その上、こんなに見え見えのお涙頂戴の人情話風に創られていても、心が揺さぶられないと言いますか、なにか白けます。
やはりその原因は、千代の幼少期にテルヲの中に僅かな愛情も読み取れなかったですし、クズ親父に対して千代が少しでも生んでくれた(産んだのは母親ですが)親への恩みたいなのが、伝わって来ないからだと思います。やはり、朝ドラには、正確な積み重ねと刷り込みが何よりも大切だと言うことだと思います。
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【これまでの感想】
第1週『うちは、かわいそやない』
1 2 3 4 5 土
第2週『道頓堀、ええとこや~』
6 7 8 9 10 土
第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』
11 12 13 14 15 土
第4週『どこにも行きとうない』
16 17 18 19 20 土
『おちょやん よいお年を!』
第5週『女優になります』
21 22 23 24 25 土
第6週『楽しい冒険つづけよう!』
26 27 28 29 30 土
第7週『好きになれてよかった』
31 32 33 34 35 土
第8週『あんたにうちの何がわかんねん!』
36 37 38 39 40 土
第9週『絶対笑かしたる』
41 42 43 44 45 土
第10週『役者辞めたらあかん!』
46 47 48 49 50 土
第11週『親は子の幸せを願うもんやろ?』
51 52 53 54 55 土
第12週『たった一人の弟なんや』
56 57 58 59 60 土
第13週『一人やあれへん』
61 62 63 64 65 土
第14週『兄弟喧嘩(げんか)』
66 67 68 69 70 土
第15週『うちは幸せになんで』/b>
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