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天国と地獄 ~サイコな2人~ (第9話/15分拡大スペシャル・2021/3/14) 感想

天国と地獄 ~サイコな2人~

TBSテレビ系・日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』公式
第9話/15分拡大スペシャル『最終章前編~告白!アイツの真実の告白…永遠の時間は15分』の感想。
なお、本作のモチーフとなった奄美大島に伝わる「月と太陽の伝説」参考)は、既知。



日高(高橋一生)と朔也(迫田孝也)に緊急配備が掛かった。彩子(綾瀬はるか)は日高を朔也と会わせた上で、2人一緒に逮捕しようと決意。河原(北村一輝)の追跡をまき、福岡で朔也に同行する陸(柄本佑)と連絡を取る。さらに、彩子は八巻(溝端淳平)に日高のクレジットカードを託し、行方を工作するよう依頼。そして日高と共に、朔也と陸の行き先である鹿児島・奄美大島を目指す。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---


原作:なし
モチーフ:奄美大島に伝わる「月と太陽の伝説」
     「日本昔話記録12 鹿児島県喜界島昔話集」
脚本:森下佳子(過去作/義母と娘のブルース、JIN-仁-、ごちそうさん、天皇の料理番)
演出:平川雄一朗(過去作/義母と娘のブルース、JIN-仁-、天皇の料理番) 第1,2,5,8,9
   青山貴洋(過去作/下町ロケット2、インハンド、グランメゾン東京) 第3,6,9
   松木彩(過去作/下町ロケット2018、グッドワイフ、半沢直樹2020) 第4,7
音楽:髙見優(過去作/義母と娘のブルース、仰げば尊し、お迎えデス。、べしゃり暮らし)
主題歌:手嶌葵「ただいま」(ビクターエンタテインメント)

これまでの本作の感想は、あっさり気味に綴って来たが…

これまで、本作を大変面白いと思って見て来たが、感想自体は意外とあっさりと綴って来た。その理由は、本作が謎解きを主軸としたドラマであるから、本作がドラマとしてどのような構造で作られ、脚本家や演出家の意図、俳優の演技などを考える上で、敢えて “謎解き” の面白さは、別のところに任せようと思ったからだ。

今回の感想は、少しドラマの内容にも触れてみようと思う…

しかし、いよいよ最終回直前の第9話になり、特に中盤での奄美行きのフェーリーの上での入れ替わりが戻った日高(高橋一生)が真実を彩子(綾瀬はるか)に告げるシーンがあったから、少しドラマとしての内容にも触れてみようと思う。

『天国と地獄』に"ダブル・ミーニング"が仕掛けられていた

まず、本作のタイトル。『天国と地獄』であるが、当初は、日高と彩子が “入れ替わり” によって立場や運命がガラリと変わってしまったことを “天国と地獄” と解釈させておいて、「掃除屋」、「クウシュウゴウ」、「たったの15分」と言うキーワードが登場したあたりから、日高と朔也(迫田孝也)が “たったの15分” によって立場や運命が変わってしまったことを “天国と地獄” であると表現し始めた。

これはまさしくタイトルを “ダブル・ミーニング(2つ以上の解釈が可能な意味づけのこと)” に気付く。しかし、サブタイトルに『サイコな2人』と付けることで、視聴者のかく乱を想定してる。このタイトルの付け方が、実に良く出来ていると思う。

ドラマに於ける「伏線と、その回収」について思うこと…

また、今回の内容を「全10回」の連ドラの最終回直前回として考えると、全話の構成上では、最終回の前に「最終章」として、これまでの伏線をどの辺りまで回収して、視聴者に納得させ、最終回への期待感を最大に高める役割を持っているはずだ。

私は、先日の『俺の家の話 (第7話・2021/3/5) 感想』で、伏線を回収しているかどうかなんて馬鹿げた論争だと書いた。伏線は回収するためのものでなく、ドラマを面白くするための脚本家が手の内に持っている “一つのツール” に過ぎないとも書いた。

しかし、だからと言って、伏線を張ること、回収すること、その回収された時の視聴者や観客のスッキリ感を否定するつもりはない。

"たった15分の出生の違い生んだ運命と言う名の魔法"を、まざまざと見せつけた!

そう断っておいて、敢えて本作の第9話に言いたいのは、奇しくも「“15分” 拡大スペシャル」に於いて、これまで散りばめられた伏線やフラグの数々と、丁寧に回収して、私たちに “たった15分から生じた人生の違い” を、いや “たった15分の出生の違い生んだ運命と言う名の魔法” を、まざまざと見せつけたことだ。

遂に、「楽しいファンタジー要素と、骨太のヒューマンドラマを共存させたエンターテインメント」へ!

また、脚本だけでなく演出と俳優陣の力量が具現化したのが、当初は「刑事と犯人、男と女の入れ替わりのファンタジー」のように見せておいて、朔也が物語に食い込んで来ると、「15分の生まれた時間の違いによる兄弟の入れ替わりのサスペンス&ミステリー」のようになり、この第9話では、「楽しいファンタジー要素と、骨太のヒューマンドラマを共存させたエンターテインメント」に仕上げて来たことだ。

それも、劇中で彩子が言っていた「誰を憎んだらいいのか分かんない話」と言う一見複雑なストーリーを第9話でジグソーパズルのピースが一つひとつ埋まって行くように、興味関心を持たせつつ、ドラマの中へ視聴者を惹き込んだことは、並大抵の作品では出来ないと思う。

シリアスな内容なのに、ファンタジー要素を忘れなかった!

特に、第9話で褒めたいのは、効果音やコミカルな描写を本筋を描きつつ、しっかりと盛り込んで、ファンタジー要素を入れ込んで来たことだ。この類の作品は、一歩間違えると、最終章に向けて、路線変更したり軌道修正して、強引に結末に結び付けようとする作品もある。

しかし、本作は八巻(溝端淳平)のクレジットカード偽装などを含めてコミカルな要素を残したし、現実的な事件の話なのに奄美大島に伝わる「月と太陽の伝説」を、まるで、グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』に於いて、ヘンゼルがお弁当の番を細かくちぎって、自分の歩いた道の目印として所々に落としたように、仰々しくではなく、さり気なく気付くように散りばめることで、ファンタジー要素を常に意識させることにも成功した。

この部分も本作を正しく評価するのに大切な要素だと思う。

日高が言った次の台詞が印象的で、心にグサっと刺さった!

56分頃。兄弟二人だけの部屋で、日高が言った次の台詞が印象的だったし、私の心にグサっと刺さった。

日高「はぁ ダメですね 人間って 本当に身勝手で」

殺人現場の乳歯を見て、兄に裏切られたと思い込んだ弟・日高。刑事と会話する日高を見て、弟に裏切られたと思い込んだ兄・朔也。しかし実際には、兄は離ればなれになった弟への “心のよりどころ” として、いつも身につけていただけであり、弟は刑事の彩子の身体を借りて兄を庇っていただけだった。

森下佳子氏の脚本には"全ての登場人物は、相手の身になって全力で動くと言う設定"が脈々と流れるドラマが多い!

人は思い込みで動く動物だ。自分が不都合に見舞われたら裏切られたと感じ、相手を信用しなくなる。逆に、その相手の本当の思いに触れた瞬間に、思い込んだことへの罪悪感や悲しみや切なさに苛まれる。

本作に於ける全ての登場人物が、相手が肉親だろうと、犯人だろうと、ライバルだろうと、同僚だろうと、恋人だろうと、師匠だろうと、相手の身になって全力で動くと言う設定が、森下佳子氏の脚本らしいドラマだと感じた。

この「全ての登場人物は、相手の身になって全力で動くと言う設定」は、森下氏の過去の作品『JIN-仁-』、『ごちそうさん』、『天皇の料理番』、『義母と娘のブルース』のいずれの作品にも根底に流れているドラマツルギー(論理的な筋の展開を重んじる作風)として、脈々と描かれ続けたこと。

それを今回も視聴者を裏切ることなく、やり遂げた(まだ、最終回を迎えていないが)と思う。

あとがき

彩子の罪も描くのですね。厳しく見れば、刑事ドラマとしては雑な部分はあります。でも、そこを気にさせない程の圧倒的なエンターテインメント性が凄いドラマだと思います。コロナ禍で美しい風景や旅情を感じさせてくれるのも、何気に良かったです。

で、あとは最終回の落としどころを、どこへ持って行くのか? それ次第で、更に完成度の高い、「楽しいファンタジー要素と、骨太のヒューマンドラマを共存させたエンターテインメント」になると思います。最終回、大いに期待します。


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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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