連続テレビ小説「おちょやん」 (第69回・2021/3/11) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おちょやん』(公式サイト)
第69回/第14週『兄弟喧嘩(げんか)』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
千之助(星田英利)と万太郎(板尾創路)の因縁は、二十年以上前にさかのぼる。当時、須賀廼家兄弟一座で人気を二分する看板役者だった二人。しかし、ある日、万太郎は千之助を追い出してしまう…。その話を万太郎から直接聞いた千代(杉咲花)は急いで戻り、千之助の家に上がり込む。姿をくらまそうと準備していた千之助に、どうして鶴亀家庭劇が絶対に勝てないのか、どうすれば勝てるのか、千代は食ってかかるのだが…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
●作:八津弘幸 ●脚本協力:吉田真侑子 ●演出:小谷高義(敬称略)
第14週から視聴モードを「好意的な解釈」から「様子見」に格下げしております。
「様子見モード」にしたからか、意外と"普通"に楽しめる
先週の仕上がりがダメだったため、今週から視聴モードを「好意的な解釈」から「様子見」に格下げしたことと、今週の本作初担当の演出家がメインの演出家より脚本の解釈力と作風が良いのか、“私好み” の両方なのか…
意外と “普通” に楽しめており、これまでやりたくても出来なかった「演出技法」的なことも書けるようになった『おちょやん』の後半戦の1週目、第14週『兄弟喧嘩(げんか)』。
これこそ「先が見たくなる」と言うアバンタイトル!
前回に続いて、今回のアバンタイトルも15分間の構成をしっかりと考えられて作られている感じだ。
前回で千代(杉咲花)が万太郎(板尾創路)に直談判して聞き出した、万太郎と千之助(星田英利)20年以上に亘る因縁が何であるかを知ったのを受けて、姿をくらまそうとしていた千之助の家に上がり込んで、どうして「敦賀亀家庭劇」が「須賀廼家万太郎一座」に絶対に勝てないのか、勝つ方策は無いのか食って掛かった所で終わった。
これこそ「先が見たくなる」と言うアバンタイトルになっていると思う。こう言うのを待っていたのだ。
この千之助の台詞が、これまでのモヤモヤを一掃した
主題歌明け、千代に食って掛かられた千之助が言った、次の台詞が、これまでもモヤモヤを一掃したように思う。
千之助「自分のことは 自分が一番よう分かっとるやろ」
これまでの本作の描写では、そもそも、「鶴亀家庭劇」の実力や人気も曖昧に表現されていた。“喜劇王” と呼ばれる万太郎の実力だって、チラリと舞台の映像があって、台詞で「喜劇王」と言っているだけで曖昧だ。また、前回で描かれた「20年前の因縁」ですら、万太郎が千之助を「おもろない」から追放しただけで、正直言って曖昧だ。
なのに、道頓堀の芝居を盛り上げるために、さぞ「2大一座」が勝負すると言うのが良くわからなかった。その1つが、この千之助の台詞だ。要するに、「鶴亀家庭劇」と言う一座は、半端者の寄せ集め集団であるから、「勝負」をする前から、「負け」を認識していると言うことなのだ。
始めから「所詮、勝てない相手」であると言うより、「所詮、勝てない自分」であるって感じ。この台詞一つでかなりのモヤモヤが晴れた気がする。
大山と熊田のやり取りで、先の展開を匂わせるのも悪くない
今回で、もう一つ良い台詞があった。それは、道頓堀の芝居小屋を牛耳る上方演劇界のドンである「鶴亀株式会社」社長・大山鶴蔵(中村鴈治郎)の次の台詞だ。
大山「家庭劇にはな ある程度 競り合うて
盛り上げてもろうたら それで十分や」
この台詞によって、前段での鶴亀家庭劇の面々が「所詮、勝てない自分」であることを認識している以上に、大山が「所詮、勝てない家庭劇」であることを重々認識をした上で、興行主として君臨しているのが分かったから。
こうなると、劇場の支配人・熊田(西川忠志)が言ったように鶴亀家庭劇は “当て馬” であることが明確になって、描かれなくても、鶴亀家庭劇の座員たちは、とっくに自分たちが「当て馬」であることを認識しているようにも見えて来る。こう言う “匂わせ” も、先を見たくさせる工夫として悪くないと思う。
千之助が「あれ何や」と一平の視線を逸らせたのも良かった
演出、演技指導して意外と良かったのが、偶然、芸子を侍らせて歩いている万太郎に出くわした千之助が、悔しさと怒りを胸に一平(成田凌)へやって来たシーンにあった。湯呑みの茶を一気に飲み干して、「あれ何や」と一平の目線を自分から反らせて、土下座姿を見られないようにし、「頼む 力貸してくれ」と言った場面だ。
ちゃぶ台がズレた音がしたから一平は察するが、一平はしばらく千之助の方を向かずにいる。そして、千之助が初めて “自分の弱み” を一平と千代にさらけ出した。そして、これまで曖昧でしかなかった「千之助の一平に対する評価」も、ぼんやりではあるが、一平の台本については一定の評価はしていたことも分かった。
そう、曖昧なのは困るが、ぼんやりでも分かることが大切。先週の弟・ヨシヲ(倉悠貴)のくだりなんて、千代の本音なんて、ぼんやりどころか、これっぽっちも見えないし、共感も出来なかったのだから、このシーンは “かなりマシ” だと思う。
「半端者役者アベンジャーズ」の勝とうと言う意欲が見えた
終盤での、千之助が千代の連れて来た高峰ルリ子(明日海りお)と石田香里(松本妃代)へ頭を下げるシーンも良かった。
第10週『役者辞めたらあかん!』の第50回で、口達者で機転が利く主人公が、「半端者役者アベンジャーズ」を “ワンチーム” に構築して、その後、暴君のような千之助が、「半端者役者アベンジャーズ」を壊し、またくっついて、また壊れ、そして、今回で遂に「所詮、勝てない自分」と認識している座員たちが、「半端者役者アベンジャーズ」となって一体化して勝とうとする意欲が見えた。
今週は、主人公が中心に動いている "物語" に見える!
あとは、次回の金曜日で、なぜか今作では殆ど描くことがない「台本」の内容と、その舞台の内容に、こちらが納得出来るように描かれるかで、今週の評価が決定すると思う。とは言え、今週も千代の物語と言うより「新生・半端者役者アベンジャーズ」の誕生秘話的なスピンオフ週のようにも感じる。
しかし、主人公にきちんと “役割” が与えられているから、主人公が中心に動いている “物語” に見える。これまでは、主人公特権を強制的に発動するか、主人公が存在しない方がまともなエピソードが続いていたことを考えると、今週は千代がいないと成立しないエピソードになっている。
まあ、本来は、これ位の事は、最初からやって欲しいレベルなのだが、やってなかったのをやっただけでも “かなりマシ” なのは間違いない…
あとがき
これくらいのことを、最初からやっていたら、今のような提灯記事を乱発しなくても良かったでしょうね。やはり、きちんと納得出来る物語を、主人公を軸に描く、それだけを丁寧にやれば良かったのです。さて、金曜日、どうまとめるのか期待と不安で見ようと思います。
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【これまでの感想】
第1週『うちは、かわいそやない』
1 2 3 4 5 土
第2週『道頓堀、ええとこや~』
6 7 8 9 10 土
第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』
11 12 13 14 15 土
第4週『どこにも行きとうない』
16 17 18 19 20 土
『おちょやん よいお年を!』
第5週『女優になります』
21 22 23 24 25 土
第6週『楽しい冒険つづけよう!』
26 27 28 29 30 土
第7週『好きになれてよかった』
31 32 33 34 35 土
第8週『あんたにうちの何がわかんねん!』
36 37 38 39 40 土
第9週『絶対笑かしたる』
41 42 43 44 45 土
第10週『役者辞めたらあかん!』
46 47 48 49 50 土
第11週『親は子の幸せを願うもんやろ?』
51 52 53 54 55 土
第12週『たった一人の弟なんや』
56 57 58 59 60 土
第13週『一人やあれへん』
61 62 63 64 65 土
第14週『兄弟喧嘩(げんか)』
66 67 68
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