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六畳間のピアノマン〔全4回〕 (第4話/最終回・2021/2/27) 感想

六畳間のピアノマン

NHK・土曜ドラマ『六畳間のピアノマン』公式
第4話/最終回〔全4回〕『歌声は響きつづけて』の感想。
なお、原作の小説、安藤祐介「六畳間のピアノマン(改題:逃げ出せなかった君へ)」は、最終回を視聴後に既読



有村美咲(南沙良)はプロの歌手を夢見る女子高校生。もう一つの顔は地下アイドルのミクリだ。心の支えは更新が止まった動画「六畳間のピアノマン」。孤独な美咲はピアノマンにメッセージを送り、励ましの返事に驚き喜ぶ。マネージャーの吉田(木下ほうか)に過剰なファンサービスを求められ、大人に失望する美咲。しかもピアノマンつまり夏野誠(古舘佑太郎)が既に亡いと知り絶望が深まる。そこに大道芸人の大友(三浦貴大)が…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---


原作:安藤祐介「六畳間のピアノマン(改題:逃げ出せなかった君へ)」
脚本:足立紳(過去作/佐知とマユ、いつかティファニーで朝食を)
演出:野田雄介(過去作/スカーレット、西郷どん、マッサン、天地人) 第1,3
   泉並敬眞(過去作/わろてんか、スカーレット、まんぷく、これっきりサマー) 第2,4
音楽:伊賀拓郎(過去作/歌舞伎町シャーロック、私に天使が舞い降りた)

ドラマを見ながらツイートするように感想を綴ろうと思う…

このドラマ、本当に良く出来ているから、全部見た後に感想を綴るいつもの書き方ではなく、ドラマを見ながらツイートするように感想を綴ろうと思う。と言うのも、今この時点で私は、第4話/最終回を見ていない。でも、きっとリアルタイム視聴しているような緊張感や躍動感が伝わったら良いと思う。と言うわけで、今回の感想は、長くなると思う…

伊賀拓郎氏の劇伴の素晴らしさを、冒頭部分で解説してみる

これまで、本作を感想で唯一(だと思う)触れて来なかったのが、サントラ盤の発売予定なしの伊賀拓郎氏の劇伴だ。今回の冒頭で流れる劇伴も、好きな楽曲だ。冒頭、女子高生の制服を着た有村美咲(南沙良)が、いつもの公園にあり噴水のところで、アコギの弾き語りをしている。

環境音が一瞬途切れると、風鈴のような音色が入って、続いてピアノとヴァイオリンが静かに入って来る。そこへ急にノイジーなエレキギターが重なって、時折フィードバック奏法を交えながら、澄んだ音と歪んだ音が交錯し、曲調もどんどん激しくなり “何かが起こりそうな” 気分が高揚して来る。大型トラックが通り過ぎる騒音。

大友啓介(三浦貴大)が使い込んだ茶色の革製トランクを地面に置く音。エレキギターのピッキングが益々早くなったと思うと、一瞬また無音になって、“六畳間のピアノマン” の『ピアノ・マン』の動画が画面いっぱいに再生される。そして、それを見聞きしているのは、今度はプロ歌手を目指す地下アイドル「ミクリ」(=美咲)であることが分かる。

劇伴の「静 → 動」への変化と、物語の主人公が、誠の同期・村沢(加藤シゲアキ)、誠の父・泰造(段田安則)、誠にパワハラを働いていた元上司・上河内(原田泰造)、居酒屋の元店・溝口(上地雄輔)、そして美咲へ繋がっていく展開を、見事に象徴した劇伴になっているのに、是非とも触れておきたかったのだ。

湯湧き音が美咲の家では真っ暗なリビングに寂しく響くだけ

場面は、再び公園に戻って、今は大道芸人「BigFriend」として公園でパントマイムを披露する大友の前を美咲が通り掛かる。大友のカンカン帽に百円玉一つを入れて微笑み応援して去って行く美咲。美咲の家は高級高層マンションの一室で、多忙な母・佐和子(永津真奈)とは疎遠のようだ。

夜、父も帰って来ない様子。自分の部屋で、スマホで見ているのは第2話に登場した、“六畳間のピアノマン” が家族との思い出を語る、「ノーリツのリモコン自動お湯はりの完了をお知らせする「人形の夢と目覚め」の通知メロディーを弾く動画」だ。

“六畳間のピアノマン” こと夏野誠(古舘佑太郎)と父・泰造の思い出は、あのメロディーが家中に響くと家族愛を感じると言うものだったが、美咲の家では、真っ暗なリビングに寂しく響くだけと言う対比が切ない…

美咲のメッセージだけで、美咲の状況設定が分かる仕掛け

既に過去の3話分をご覧の方ならお分かりだろうが、夏野はこの「お湯はり通知メロディー動画」以降、更新をストップしている設定だ。

愛情以外のものは全てくれたと言う両親との思いではなく、独りぼっちの中学生時代に出会った “六畳間のピアノマン” の動画が、美咲の心の支えであり、歌手になりたいと思うようになったきっかけだったことが分かる。その美咲が、勇気を出して初メッセージを送る。

本作が連ドラとして最も優れているのは「時間経過」の描写

さて、ここで本作が連ドラとしても、単発のドラマとしても優れている点について書いてみる。それは、劇中の「時間経過」の描写方法だ。

一般的なドラマに於ける「時間経過」は、資料映像やテロップ、ナレーションや台詞で、「今がいつであるか?」を明確にするものだ。しかし、本作は、その定番を一切やらない。では、どうやっているのか?

それは、前述の美咲が “六畳間のピアノマン” へ送ったメッセージの中に、美咲の幼少期から現在までの歴史を一気に盛り込んだように、登場人物の状況設定の説明の中に「時間経過」をサラリと忍び込ませているのだ。ドラマ好きの私だが、これが上手く出来ているドラマは滅多にない。

本作で描かれたのは、恐らく第1話での「8年前の事件」だけだと思う。それ以外は、時間軸は行ったり来たりするし、人間関係が複雑化する過程も、敢えて説明は入らない。本来なら「○年前」とか表現すれば分かり易くなる。でも、本作は徹底的に無駄な描写を削いで削いで、本来ドラマが描くべき “人間描写” だけに徹しているのだ。

それでいて、全く分かり難いことはなく、むしろ、謎解きドラマのような魅力となって、本作を盛り上げている。感じさせないようにやっているのだから、気付かなくて当然だが、この高度な時間経過の描写方法だけでも、録画があるなら第1話から見直す価値は十分にあると思う。

警察官・脇見の美咲へエールを送るようなシーンも良かった

そして、12分頃、路上ライブをやっている美咲を注意する警官が登場した。既にお分かりだと思うが、実は彼も “この一連の人間関係” の一人で、8年前、誠が交通事故に遭った現場に臨場した(当時)交通課の警察官・脇見敏弘(細田善彦)。

第2話で運転免許更新センターで講師をしている脇見は、誠の父・泰造を不良少年たちから助け、第3話では「夕方こども食堂」に通うコンビニでユウトとカズトの幼い兄弟が菓子パンを万引きしているのを目撃して助けた。「強い人になれ」と警察官の父親に育てられた脇見らしい、美咲への優しいエールを送ったようなシーンが良かった。

「BigFriend」のパントマイムと、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」

大道芸人「BigFriend」から花を貰い、ピアノマンからは励ましの返事が届いて、驚き喜ぶ美咲を待ち受けていたのは、5分間のファンとの1対1のビデオチャットをしろと言う、マネージャーの吉田(木下ほうか)の過剰なファンサービスの指示だった。

夜、自分がやりたいこととマネージャーがやらせたことに大きな乖離を感じた美咲が「BigFriend」の前を通ると、カンカン帽には一円もお金は入っていなかった。そして、美咲も入れる気にはなれなかった。そう言えば、「BigFriend」は、いつも天から降りて来るロープを引っ張り続けるパフォーマンスをしている。まるで「蜘蛛の糸」を引くように。

そう、自分勝手であることを反省するからこそ、自分が苦しくても他人に優しく出来るし、他人に優しくされない自分だと知ることで、他人の善意に感謝できる… と言う芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の教訓がピタリとハマる…

脚本家と演出家各2名で作っているのに、違和感がない!

ある夜、村沢と大友が、溝口の居酒屋にやって来た。そこで、「人生で一番うまかったビール」の話をする。もう、このストーリー展開だけでも素晴らしいのだが、演出の視点で見ると、もっと素晴らしいことがある。

それは、本作は、脚本家2名、演出家2名のタッグで全4話を作っている。それなのに、何話のどこの映像を持って来ても、ピタッと嵌る。もちろん、全話分の脚本が完成されており、どこをどう使い回すかを事前に丹念に精査してから撮影してるからこそ可能なのだが、ここまで違和感がないのもスゴイと思う。

美咲が「助けて」とメッセージを送ってから人生が変わる!

大人の薄汚い部分を目の当たりにした美咲が切なかったが、まさか、あの泰造が大河内を襲った時に、噴水前で悲鳴を上げていた女子高生が美咲だったのか。そして、美咲の「クズでキモくてゴミな大人たち」への反発と反撃が、やるせなさと切なさが重なりあって、あろうことかエスカレートしていく。

が、“六畳間のピアノマン” に怒りのメッセージをぶつけ続けた美咲が、「助けて」とメッセージを書き換えて送ることから、美咲の中の何かが変わったらしい。これまで大人たちから搾取した大金を「BigFriend」へ差し出した。ここも、「蜘蛛の糸」に通ずると考えるのは、無理矢理だろうか…

全ての大人への不信感に押し潰されスマホのガラスが割れた

その夜、美咲へ “六畳間のピアノマン” からメッセージが届く。しかし、そこで “ピアノガール” と名乗っていた美咲が読んだメッセージには、村沢からの真実が書かれていた。

既にこの世にいない “六畳間のピアノマン” だけが、自分の救いであり、励みだったのに、真実を知った美咲はスマホを投げ捨てた。まるで、この世の全ての大人への不信感に押し潰されるように、スマホのガラスが割れた…

ピエロのメイクの「涙」には、2つの意味がある…

自暴自棄になった美咲が、街の何処からか聞えて来る “六畳間のピアノマン” の「ピアノ・マン」の音楽に吸い寄せられるように歩いた先に居たのは、「ピアノ・マン」に合わせてパントマイムを演じる「BigFriend」だった。

転んだ「BigFriend」に「頑張れ」と言って手を差し伸べる美咲。しかし、二人の手は結ばれない。いつまでも「BigFriend」は糸を探し続け、やがて自分自身で立ち上がる。

ピエロのメイクには必ず「涙」が描かれる。「涙」の意味は諸説あるが、「人の悲しさが伝わって来て共感した涙」と「自分の本心から零れる涙」の二つの意味があるとされる。立ち上がった「BigFriend」の顔には涙はあったが、笑顔があった。その笑顔を見て、美咲も笑顔になった。

周囲の観客たちは消え、秋の落ち葉が花吹雪のように舞った。そして、「BigFriend」と美咲の “笑顔の涙” は繋がって、一つになった。“六畳間のピアノマン” の「ピアノ・マン」の音楽によって…

ラストシーンで美咲が歌っていた曲の演出も洒落ていた

怪しげな芸能事務所を辞めた美咲が、かつて「BigFriend」がいた場所で、路上ライブを行っている。観客も数名、その中に「BigFriend」がいた。彼は、美咲の前の空き缶に百円玉一つと以前に貰った札束が入った封筒を入れて「頑張って」と言って去って行った。

ラストシーンで美咲が歌っていた曲の演出も洒落ていた。序盤は美咲のアコギ(本当はエレアコだが)のギター一本での弾き語りで始まり、曲の終盤でエレキギター、ドラム、ベースが入って、ちゃんと劇中歌になっていた。

「僕たちは つながっているんや」を全4話で描き切った秀作

そして、「1年後」。これは、私の推測の域を出ないが、恐らく、新しい “ピアノマン”、いや、“ピアノガール” が本当に誕生したと言うエンディングなのだろう。

村沢(M)「僕たちは つながっているんや」

正に、村沢のモノローグ「僕たちは つながっているんや」を、50分×全4話で描き切ったと言うべきだろう。当初の期待を遥かに超えた連ドラとしての完成度の高さに驚いてしまった。「素晴らしい」の一言だ。

あとがき

最終回視聴後に買っておいた原作を読んでみました。実写ドラマ版よりも、ここの登場人物の掘り下げが深いです。でも、本作も素晴らしい仕上がりでした。また、美咲を演じた南沙良さんも、中堅からベテラン俳優さんの中で、演奏シーンを含めて、とても良かったです。

恐らく、相当カットしている部分があるので、ディレクターズカット版を見てみたいです。それと、続編も見てみたいです。

それと、当blogから、原作本を購入して下さった読者の皆さん、ありがとうございます。ブログを続ける励みになります。

では、最後に、この動画を贈ります!


[六畳間のピアノマン] 夏野誠(古舘佑太郎)が歌う | ビリー・ジョエル「ピアノ・マン」フルバージョン | 土曜ドラマ | NHK


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★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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