俺の家の話 (第6話・2021/2/26) 感想

TBS系・金曜ドラマ『俺の家の話』(公式)
第6話『最低で最高の家族旅行!! 涙の記念写真!!』の感想。
寿一(長瀬智也)は寿三郎(西田敏行)らと共に25年ぶりの家族旅行に出発。旅行に同行しなかったさくら(戸田恵梨香)は、矢継ぎ早に着信する観山家一行のメッセージを眺めながら、「スーパー世阿弥マシン」のことを考えていた。寿三郎の望みで寄り道を繰り返し、疲れ切ってホテルに到着した一行。ところが、寿一と秀生(羽村仁成)は、寿三郎のさらなるわがままに付き合わされる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:宮藤官九郎(過去作/あまちゃん、ゆとりですがなにか、いだてん)
演出:金子文紀(過去作/G線上のあなたと私、恋つづ、逃げ恥) 第1,2話
山室大輔(過去作/天皇の料理番、グランメゾン東京、テセウスの船) 第3,4話
福田亮介(過去作/初めて恋をした日、恋つづ、恋する母たち) 第5,6話
音楽:河野伸(過去作/おっさんずラブ、恋つづ、天使にリクエストを、知ってるワイフ)
ちはるへ寿三郎が形見分けに渡した能面が「酒呑童子」で…
わざわざ拾う必要はないかもしれないが、一応ドラマ好きなら… と言うことで。
序盤で10年前、能のイタリア公演で通訳として寿三郎(西田敏行)に同行した千葉県柏市に住む女性・望月ちはる(田中みな実)へ寿三郎が形見分けに渡した能面が能「大江山」で使った面(おもて)だった。
あれは、前シテの「酒呑童子」の面で、「酒呑童子」と言えば、2018年夏に小芝風花さん主演で放送されたドラマ『妖怪シェアハウス』でシェアハウスの住人として毎熊克哉さんが演じておられた役。あんな怖い面だったのだ。
"旅は道連れ世は情け"をそのまま行くようなアバンタイトル
そして、「酒呑童子」の面が、オークションで100万円もすると知った家族が取り戻すと騒ぐが、寿三郎は何気に「浮名を流した男の最後の謝罪行脚の旅なんだよ」と、今回の家族旅行へ勝手にタイトルを付けてしまう。そして、寿一の「これが 俺の家の話 旅情篇だ」とのモノローグ。
正に、旅は道連れ世は情け(世の中を生きていくには人情を持って仲良くやっていくことが大切)をそのまま行くようなアバンタイトルだ。
実在した芸者で歌手の「豆千代」の引用か?
茨城県水戸市でカラオケ喫茶「豆千代」を営む、元・新橋の芸者・豆千代(池津祥子)が登場した。小ネタと言うわけではないが、「豆千代」とは、昭和の時代に実際に活躍した、芸者で歌手の名前から引用していると思われる。
因みに、池津祥子さんも、宮藤官九郎さんが所属する「大人計画」の一人。短い出演時間だったが、複雑な人生を背負った女性を印象的に演じてくれた。そして、店内で流れていたのが、あの「潤沢」のカラオケだったのだ。
そして、更に、池津祥子さんは『池袋ウエストゲートパーク』で、安藤 崇(タカシ)(窪塚洋介)の彼女1号・ジェシーを演じたことも、ドラマ好きとしては押さえておこうかなと。
今回の編集がとてもテンポと歯切れがよく、心地良かった!
昭和のラジオ番組『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン』ネタを経由して、12分過ぎ、遂に「蒼井優さん いる?」の映画『フラガール』経由で寿三郎の台詞と共に、スパリゾートハワイアンズ(旧:常磐ハワイアンセンター)へ到着。
少しは家族旅行風な描写があるかと思いきや、さくら(戸田恵梨香)へ送られてくるLINEの内容と同様に、食事と家族の顔だけ編集で繋いで、物語は早速「浮名を流した男の最後の謝罪行脚の旅」の続きへ。この辺のテンポの良い編集は前回同様の演出家だから安心して見ていられる。
秀生の「BOW WOW」とプリントされた長Tシャツに注目した…
そこへ登場したのが、元看護師で今は福島の温泉旅館の女将の川千まゆみ(紫吹淳)。ここまで、寿三郎は、女性たちから「じゅじゅ」、「じゅでぃ」、「じゅね」と呼ばれて来たが、今回はまさかの映画『ジュマンジ』からの「ジュマンジ」。これにはぶっ飛んだが、このシーンで私が注目したのは、秀生(羽村仁成)のオレンジ色の長Tシャツ。
カラオケ「豆千代」のところで、突然、静かにしていた犬が吠えるように怒りを表現した。そして、このシーンでは、少し冷たい態度のまゆみに、スックと立ち上がっておじいちゃんの余命の話をする。その秀生の長Tに書かれていた文字が「BOW WOW」と言う、日本語なら犬の吠える声「ワン ワン」なのだ。
子犬のような秀生が時々感情を表に出す時に、「BOW WOW」を着ているなんて、実に的確な衣装選びだ。因みに、「BOW WOW」と言う昭和から平成に大人気のハードロックバンドもあるが、その話は長くなるので、別の機会に…
根底にあるのは「後継ぎ問題を抱えたホームドラマ」を確認
さて、ガツ~ンと言う登場シーンがあるのかと、予告編では思っていたのだが、意外に普通に現れた、カラオケビデオ出身の俳優4人で結成された、各地の「純烈」がまだ回っていないスーパー銭湯を回るムード歌謡グループ「潤沢」のメインボーカル・たかっし(阿部サダヲ)。
でも、この登場が意外な位にあっさり気味だったのは、この後で、浴場の更衣室で寿一と寿三郎が喧々囂々やり合う伏線を張るために、「ただ その家に生まれただけでね。必死ですよ ドサ回りの三流芸人は」と寿一の “後継者の魂” をざわつかせるためだったとは!
ここまで幾度も寿三郎には振り回されてきたわけだから、「来るんじゃなかった」くらいで起こるはずがない。やはり、介護で、プロレスで、能楽だけど、根底に流れるのは「後継ぎ問題を抱えたホームドラマ」であることを、折り返しの第6話で明確に提示しようとするのは、連ドラとして本当に良く出来ていると思う。
さくらは寿一の「山賊抱っこ」に求めたものは…
突然、さくらがスパリゾートハワイアンズにやって来た夜のシーンも良かった。
特に、さくらが言った「割り切ったら親子じゃないですよ」は、介護をしている(していた)人なら、四六時中「家族じゃなかったら、仕事のように冷静沈着にサクサクテキパキできるんじゃないか?」って思うはずだから。でも、割り切れない。いや割り切れないから介護ができる… とも言える。
親子だから親がやりたい、したいと思うようにやってやりたいと思うし、喜んでくれた時の満足感や達成感は、明日への介護の活力になる。そんな “明日への活力” を、さくらは寿一の「山賊抱っこ」に求めたような気がした、現実とロマンチックが複雑に絡み合ったいいシーンだったと思う。
「言わなくてもわかるだろ?」と「言わなきゃわかんないよ!」と言う"家族あるある"
いやあ、今回は能楽ネタの盛り込みが少ないなぁと思っていたら、なんと「なかにし札」作詞の新曲「秘すれば花」で引用するとは、宮藤官九郎氏の知識の奥深さにまた圧倒されてしまった。とにかく、引用するだけでも中々いいのに、今回の一連のエピソードに絶妙に合っている。
もとは、世阿弥の「風姿花伝」に出て来る「秘すれば花なり 秘せずは花なるべからず」と言う言葉からの引用だ。秘めるからこそ花になる、秘めねば花の価値は失せてしまうと言う意味。
これが転じて、隠し事は良くないことだが、隠しておいた方が良いこと、黙っていた方が良いこともあるのが現実で、そう言う曖昧な価値観こそが、物事の本質を決めてしまうことがあると言うこと。
これ、本作で第1話から、脈々と描かれている「言わなくてもわかるだろ?」と「言わなきゃわかんないよ!」と言う、所謂 “家族あるある” だ。特に、感謝の気持ちは「言わなくてもわかるだろ?」と「言わなきゃわかんないよ!」の繰り返しが、家族や夫婦の最大の “あるある” ではないだろうか?
ムード歌謡の稽古に熱中する3人と、寿三郎とまゆみの対比が秀逸!
こんなことを思いながら見ていたら、「秘すれば花」の稽古風景に、寿三郎とまゆみのしみじみとしたやり取りがインサートされた。
伝統芸能を忘れて、ムード歌謡の稽古に熱中する寿一と寿限無(桐谷健太)と踊介(永山絢斗)、家族と離れた寿三郎がまゆみに、「これだけ迷惑かけたんだから」と元気づけられるシーンのカットバックで、「子どもは決して親を忘れない」ことを強調し、更に、「ああ~ 何で素直に ありがとうって言えねえのかな」と、世阿弥の「秘すれば花なり 秘せずは花なるべからず」へ再び帰着する。お見事!
俳優・西田敏行恐るべし。そして、寿三郎宗家カッコいい!
でもって、マイクを手にすると、ついついマイクパフォーマンスの癖が出ちゃうと言う寿一のオチで、ステージのシーンを追えるのかと思いきや、何と、西田敏行さんが「マイ・ウェイ」を歌うと言う、ご褒美付き!
昭和を生きた私と同じ世代なら、西田敏行さんが歌手活動も精力的に行っていたことも、昭和56年(1981)発売したドラマ『池中玄太80キロ』第2シリーズの主題歌『もしもピアノが弾けたなら』が大ヒットしたことはご存知のはず。あのお歳で、座った状態で朗々と歌い上げるのだから、俳優・西田敏行恐るべし。そして、寿三郎宗家カッコいい!
ケアマネ末広のナイスなヘルプとエンディングもお見事!
そして、最後は「絶妙な距離感で」がお馴染みの、ケアマネージャーでトラベルヘルパーの末広(荒川良々)のナイスなヘルプ。満面の笑みばかりの新しい家族旅行の写真が、また1つ増えたと言う清々しいエンディング。今回も秀作だった… と言う言葉で感想を締め括る以外に、言葉が出ない自分が情けない…
©TBS
あとがき
今回は、かなりこれまでと違った構成、特に、観山家の描き方が変わっていましたね。
これまでは、1時間ほぼ全編が家族の描写に当てられていたのに、今回は「家族旅行」の話なのに、寿一と寿三郎が別行動のシーンが多く、「新しい笑顔の家族写真を撮ろうと言う家族旅行」のパートよりも、「浮名を流した男の最後の謝罪行脚の旅」のパートの方が印象的には多くて。
でも、レギュラー陣の登場人物のキャラクターは不動だし、ゲストのキャラクターたちも超が付く程に個性的だったので、力業でホームドラマとしてねじ伏せた… と言う感じでした。
意外だったのは、予告編の割に阿部サダヲさんを盛り込んで来なかったこと。また感心したのは、コロナ禍のドラマとしてのフェイスシールドの小道具としての使い方の妙です。たまには、クドカン作品だからこその、多種多彩なゲストを盛り込んだ放送回も良いと思いました。
オレンジさんのコメントの中に、血糖値が安定したら病院の系列の介護療養型老人保健施設(以下「老健」と略します)への転院で「2~3ヵ月しかおいてくれない」とありましたが、老健に居られる期間は私の知る限りでは「3か月、または半年が規定」な所が多いです。今は、待機している人が多いので「3か月規定」の施設が増えています。
そして老健は、基本的に「患者さんの在宅復帰を目指す施設」ですので、施設内での検討会議で「退所可能」と判断されれば、退所しなくてはなりません。
ですが、お母さまは「要介護3」でしたよね。「要介護3」は、自力で立ち上がることや歩くことが難しく、認知症の症状が見られる場合があるなど、食事や排泄など身の回りのことほぼ全てに介護が必要な状態です。
ですから、特別養護老人ホーム(特養)を利用することができます。特養は、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な施設なので、民間が運営する有料老人ホームなどより費用を抑えることが出来ますし、基本的に長期入所が前提で、原則、終身利用が可能です。
ただ、最大の問題は、比較的重度で緊急性の高い人の入居が優先されるため、地域によっては待機者が多く、入居までに数ヶ月から数年かかる場合もあることです。
となると、末は特養と考えていても、在宅(居宅)介護で、訪問介護、通所介護、訪問看護、福祉用具貸与のケアプランをケアマネさんたちと作って、前回言ったように、出来ることを丁寧にやるのが一番良いと思います。
先々のことを考えて手を打っておくことも大切ですが、何が起こるか分からないイベントが介護です。慌ててもしょうがないので、ケアマネさんと良く連携して、臨機応変に対応していけば良いと思います。
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