オー!マイ・ボス!恋は別冊で (第5話・2021/2/9) 感想

TBS系・火曜ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(公式)
第5話『これって付き合ってるの!?』の感想。
奈未(上白石萌音)は潤之介(玉森裕太)が自分に思いを寄せているのではと考えるも、姉である麗子(菜々緒)に交際を認めてもらう自信がない。そんな折、社内報に掲載する「MIYAVI」の紹介ページの担当者がいないことが問題に。奈未は麗子に認めてもらうため、担当に立候補する。さらに、世界的なバイオリニストの理緒(倉科カナ)の対談ページの段取りも引き受ける。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:田辺茂範(過去作/参道高校合唱部!、トクサツガガガ、インハンド、美食探偵明智五郎)
演出:田中健太(過去作/半沢直樹、小さな巨人、陸王、下町ロケット) 第1,2,5話
石井康晴(過去作/花より男子シリーズ、テレウスの船、逃げるは恥だが役に立つ) 第3話
山本剛義(過去作/凪のお暇、コウノドリ2、私の家政夫ナギサさん)) 第4話
主題歌:Luv Bias/Kis-My-Ft2
冒頭の、奈未のモノローグのカメラ目線は良いアイデア!
冒頭、1分と少し過ぎ、奈未(上白石萌音)の部屋に潤之介(玉森裕太)がいて、潤之介が疲れて眠ってしまうシーンで、こんな奈未のモノローグがあった。
奈未(M)「そして 彼は疲れて… 今 ここ」
奈未は、このモノローグを “カメラ目線” で、視聴者に告げるように喋った。こう言う手法はこれまでもいろいろな作品で使われて来たが、使い方次第で、あざとくも、親近感も湧く演出になる。
今回は、冒頭から、胸キュン・カットを畳み掛けて来たから、この “カメラ目線” は、視聴者を良い意味で小馬鹿にしていると言うか、「いいでしょ?」って感じに映って良かったと思う。
ネット上では、イケメン枠の2人の俳優と、ヒロイン役のルックスのバランスの悪さを指摘しる意見を多く見掛けるが、その人たちには「ウザい」と思わせる演出になった可能性はあるが、そうでない人なら、テレビの中と外を繋げることになって、よりドラマの世界観に入り込みやすくなったのではないだろうか。因みに、私は後者だが…
未だに「お仕事ドラマ」と「胸キュンドラマ」が中途半端で
序盤以降は、(こう言っては元も子もないが)働き始めた若い女性が主人公のラブコメあるあるの連続。だから、特筆すべき描写は殆ど無かった。
ただ、とにかく、このドラマで描いている主人公は、「仕事よりも恋愛重視。でも、仕事でも認められたい欲張り屋さん」になっている。そう描写することが正しいのか間違っているのか分からないが。なぜなら、第5話にもなっているのに、未だに「お仕事ドラマ」と「胸キュンドラマ」のどちらなのかハッキリしていないからだ。
半田副編集長の台詞が、第5話の良いアクセントになった!
そんな中途半端な状態を、上手くバランスを取った、いや、恐らく、中途半端なことは重々承知の脚本家が、敢えて強制的にバランスを取る、いいや、今のところは “いいとこ取り” していることを認め、もがき中であることを “中和” させるために書いたのが、27分頃の、頭の中が恋と仕事の “いいとこ取り” に悩む 奈未の心情を察した『MIYAVI』の副編集長・半田(なだぎ武)が奈未へ言った次の台詞だ。
半田「人は欲張りな生き物だからな。
一つ手に入れたら もう一つ欲しくなる
ただ それぞれ 抱えられる量は決まってるから
どれを持って どれを持たないかを決めるしかない
あとは 持ち方を工夫するか」
きっと、この半田副編集長の台詞は、本作に於いて脚本家が、今現在、仕事と恋愛、仕事と結婚、仕事と子育て、仕事と何か… を上手く両立させている人や、何とか両立させている人や、両立が上手く行っていない人、そして、自分が書いているドラマの中の主人公「鈴木奈未」に、伝えたいことなのだ。
もしかしたら、これこそが「本作のテーマ」そのものかも知れない。実際、この半田の言葉の中から、奈未は「持ち方を工夫」と言う部分を抽出して、第5話の後半へ向かって動き出す。
新人で欲張りな主人公の挫折と反省が描かれたのも良かった
さて、「持ち方を工夫」を頭の隅に置いた主人公の物語は、“また” いつも通りの奈未が悶々とモノローグで自問自答としながら働いてドジって、麗子が尻拭い… の繰り返しの展開へ。これも判断に困る展開ではあるが。
でも、ここにも必死な工夫がある。先の半田の台詞を、半田が登場するシーン前か、奈未がドジった直後に麗子が奈未に言っていたら、その瞬間に、本作の “お仕事ドラマ度” が格段にアップした。でも、それをやらずに、麗子には次の台詞を用意した。
麗子「和泉がどうして評価されるか分かった?
あなたみたいに片手間で仕事をしない」
これによって、「お仕事ドラマ」として、新人で欲張りな主人公の挫折と反省が描かれた。そう、こうやるべきなのだ。奈未に挫折と反省があるから、その先に努力があって、変化もあって、更にその先に結果が付いて来て、そして恋愛も両立できると言う “未来” が「奈未が丸めて捨てた紙くず」に投影された。ここも、なかなかいいシーンだったと思う。
映画『ベスト・キッド』が引用されたのは意外!
意外だったのが、中沢(間宮祥太朗)が、映画『ベスト・キッド』(1984年)を引用したこと。脚本の田辺茂範氏は 1974年生まれだから、劇場公開時まだ10歳。中沢は 1993年生まれだから、テレビか何かで見た設定か? 私は、当時劇場で鑑賞したオジサンだが…
まあ、映画『ベスト・キッド』で描かれる師弟関係や空手の練習、日系人の師匠から空手を通してアメリカ人の少年が成長するストーリーは、未だに「名作」とされているから、いろいろなドラマや映画に引用されているが、ここで意外性を入れたのは悪くないと思う。
"奈未の仕事への本気度"が伝わって来ないのと、仕事パートが雑過ぎるのを改善して欲しい!
ここまで、第5話の良いところを拾って来た。ただ、逆に重大とも言える物足りないところが、第5話に限らず本作全編に溢れかえっている。それは “奈未の仕事への本気度” が伝わって来ないこと。それは、偏に「お仕事ドラマ」の中での奈未の仕事っぷりの描写が雑なこと。
「恋愛ドラマ」に於ける胸キュンくらいに、丁寧に、且つ、視聴者が入り込めるように描いたら、まだまだ化ける可能性はあると思う。
あとがき
きっと、大人の事情では “恋バナ寄り” にしたいけど、脚本家は「お仕事ドラマ」と「恋愛ドラマ」を両立したいのでしょうね。とにかく、この主人公なので、両立のハードルは相当高いと思います。もっと、主人公の “仕事への本気度” を描いた恋愛ドラマにシフトしても良いかなと思います。とにかく、難しいことをやろうとしているのは評価できます!
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