Eテレ【名作照明ドラマ】「ハルカの光」〔全5回〕 (第1話・2021/2/8) 感想

NHK Eテレ・Eテレ【名作照明ドラマ】『ハルカの光』(公式)
第1話の感想。
照明オタクのハルカ(黒島結菜)は西谷(古舘寛治)が営む名作照明の専門店「エクラ」で働いている。ある日、寿司店の大将・岡林(イッセー尾形)が電球を求め来店。ここはそういう店ではないとハルカに追い返され、怒って去った岡林だが、数日後に再びやって来る。妻が急逝してから店内の雰囲気が暗くなった上、照明の電球まで切れたのだという。そんな岡林の目に留まったのは…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:矢島弘一(過去作/コウノドリ2、健康で文化的な最低限度の生活)
演出:松原弘志(過去作/中島美嘉「Helpless Rain」PV、秦基博「青い蝶」PV) 第1,2,5話
長澤佳也(過去作/映画「春待つ僕ら」や「風の電話」のプロデューサー) 第3,4話
斬新で挑戦的でメリハリのある演出で初期設定を描いた!
先日、『"黒島結菜×古舘寛治"で、Eテレ初の本格ドラマ「ハルカの光」2/8(月)より放送〔全5回〕』で紹介したため、私を含めて記事を読んだ方は、本作の人物関係等の初期設定を知って見始めたと思う。
ただ、事前情報が無い状態で見たら、かなり斬新で挑戦的でメリハリのある演出で初期設定を描いたと思う。と言うか、私は、このようなイントロダクションが意外と好きだ。最初から、主人公のナレーションで「私は…」と説明するタイプや、冒頭で事件が発生してそこに主人公がやって来て見ただけで分かるとか。
映画のような丁寧な照明演出と奥行きのある映像で…
でも、本作のイントロはそうではなかった。ワンカット目が漁から帰って来た船の “漁火” で、そこから突然に高級な照明器具ばかり販売している店内に進んで、店長にタメ口で生意気な小娘と言う感じの女性が、光に魅了されていることと、 初対面の電球を買いに来た客・寿司店の大将・岡林(イッセー尾形)にも一方的に話すばかりで、「大同小異」程度の四文字熟語すら知らない。
何となく、照明器具店で働く “今どきのお姉ちゃん” のドラマに思わせておいて、帰宅するシーンから、ほんの少しずつ、一切説明臭い描写を排除して、彼女の名がハルカ(黒島結菜)であること、何年前かは明記されないが、少女期のハルカが被災所のような体育館で母親と過ごしている映像になる。
もう、これでハルカが10年前の東日本大震災の被災者の一人であることも分かる。25分間のドラマで10間弱を割いて、映画のような丁寧な照明演出と奥行きのある映像で初期設定を、じわりじわりと描いた。こう言う攻め方もあるのだと、久し振りに思わせてくれたドラマが始まった…
このハルカの台詞から、ドラマの歯車が回り出す…
「あとの初期設定は視聴者のご想像にお任せします」と言わんばかりに、場面は再び西谷(古舘寛治)が営む名作照明の専門店「エクラ」。そして、数日後、再び寿司店の大将・岡林が来店。店内の照明たちをぐるりと見回して、ちょっぴり愚痴る岡林への、このハルカの台詞から、ドラマの歯車が回り出した。
ハルカ「変わっているじゃなくて 個性がある」
ハルカが照明器具を「この子」と"擬人化"して呼ぶ物語…
このハルカの言葉をきっかけに、岡林が身の上話を話し出す。妻が急逝してから店内の雰囲気が暗くなり寂しくなった上に、カウンター席の真ん中のダウンライトの電球まで切れた(この部分は、前段の映像で描かれただけで、台詞では詳細に語られない。これも好きな演出だ)のだと言う。
そして、彼は一つの小さな “金の鐘” の形の照明器具に惹かれていた。店長は店内に暗幕をし、その照明器具だけを光らせた。岡林は照明器具の下に手を当てて、明るさを感じている。
すると、ハルカがその照明器具の話を始める。名作照明好きなら誰もが知るフィンランドの建築家・建築家のAlvar Aalto(アルヴァ・アアルト)が手掛けた「A330S Golden Bell(ゴールデンベル)」だ。その世界では “金の鐘” と呼ばれる名作だ。そして、店長に、なぜ怒って店を出て行ったのに、また店を訪れてくれたのか聞かれた岡林は、こう言った。
岡林「まるで売り物を我が子のように扱ってるよ。
俺も そうなんだよ。
それじゃあ もう一回 着てみようかなと思ったんだよ」
寿司屋の大将・岡林の"金の鐘"の意外な使い方に涙溢れる…
そして、店長は、ハルカが店で勤め始めた一周年記念の日に、「あの子」が店内をどう照らしているのか見に行こうと、岡林の寿司屋を訪ねると「すこし ゆっくりして また 戻ってきます」と手書きの貼り紙が入口に。
ハルカたちが帰ると、あの “金の鐘” のアップになるが、背景が寿司カウンターでない。カメラが引くと、“金の鐘” が居間らしき場所に吊るされており、その灯りの下で、岡林が亡き妻の遺影と一緒に、熱燗で一杯やっている。徳利は一本だが “お猪口は二つ” で。
ハルカと『ティファニーで朝食を』を重なるセンスの秀逸さ
映像は恐らく1年近く前、ハルカは保険の営業をやっていたようだ。客からセクハラを受けて落ち込んでいる時に、偶然に名作照明の専門店「エクラ」でハルカの足が止まる。音楽は、1961年公開の映画『ティファニーで朝食を』で、主演女優のオードリー・ヘプバーンが劇中で歌った曲『ムーン・リバー』。
数々の名作照明たちを見て、涙ぐむハルカに声を掛ける岡林。次の、ドラマ最後のハルカのモノローグが、ドラマの初期設定を完結させた。
ハルカ(M)「どん底だった私を救ってくれたのは この子の光だった
あの10年前の寒空の日と同じ光が 私の目の前にあった。 ここは決して海が近いわけじゃない。
空気が澄んでるわけじゃない。
でも 間違いなく 私が知っている光… 希望の光だった」
なんと、素敵なドラマなんだ。脚本、演出、俳優の三位一体。これが、Eテレ初の本格ドラマの “本気” か! 恐るべし、Eテレ!
あとがき
いやぁ、期待以上の秀作。いや、傑作の予感すらしました。今期でトップクラスのドラマだと思います。地味な色の下線ブルー25分間の濃縮度とゆったりとした時の流れのバランスが絶妙です。もしも、見ていない読者さんがおられたら、NHKオンデマンドとNHKプラスで見逃し配信があるので、見ておくのを強くプッシュします!
また、今回登場した照明器具は、「金の鐘=ゴールデン・ベル」の名が示すように、金属製の鐘のような美しさと滑らかなシルエットが特徴です1937年発売当初から人気のロングセラー商品でもあります。シンプルなデザインなので、いろいろは場面で使える上に、単体で楽しむのも素敵ですが、カウンターやダイニングテーブルの上に複数並べると、グッとお洒落な空間になります。
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