青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平― (第4話・2021/2/2) 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・火9ドラマ『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』(公式)
第4話『盗撮で発覚… 学校震撼の悪事卑劣な犯人を成敗だ』の感想。
なお、原作の漫画、佐々木充郭「スクールポリス」(ポプラ文庫)は、未読。
また、本作は昨夏に全話を撮影終了しているため、要望などは基本的に書きません。
体育館の女子更衣室でカメラが発見され、盗撮映像は動画サイトに投稿されていたと判明。隆平(藤原竜也)は三枝(山田裕貴)と捜査に当たる。校内を調べる涼子(真木よう子)らは、昼休みに男子バレー部の更衣室から出てきた部員の京介(鈴木悠仁)のぎこちない表情が気になる。一方、音楽教師・香里(明日海りお)の事件を調べる隆平は、美術教師・岡部(遠藤雄弥)のことを耳にする。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画佐々木充郭「スクールポリス」(ポプラ文庫)
脚本:大石哲也(過去作/遺留捜査シリーズ、満願) 第1,2,4話
山岡潤平(過去作/家政夫のミタゾノ1,3,4) 第3話
小島聡一郎(過去作/俺のセンセイ)
演出:国本雅広(過去作/デカワンコ、保育探偵25時、カンナさーん!) 第1,2話
白川士(過去作/ドクター調査班、遺産相続弁護士 柿崎真一) 第3,4話
高橋貴司(過去作/家族の旅路、限界団地)
音楽:菅野祐悟(過去作/半分、青い。、シャーロックUS,テセウスの船、危険なビーナス)
主題歌:追い風/SHE’S
やりすぎなコンプライアンスを意識したつまらぬ脚本や演出へのアンチテーゼ…
11分頃、体育館の女子更衣室に仕掛けられた盗撮カメラの映像を課金目当てで動画サイトに投降した容疑で、2年1組の女生徒で陸上部のマネージャーの今井莉緒(藤嶋花音)の兄・今井(内藤光佑)を捕まえ、取り調べに入る。その中で、男に嶋田(藤原竜也)がこんなことを言うシーンがあった。
嶋田「それとも彼女が盗撮したものを
お前が勝手にダビングして
動画サイトに投稿してたのか?
今どきなら、普通ゴープロのような小型カメラの映像については「コピーして」と言うのが普通なのに、本作の嶋田は敢えて「ダビングして」と言った。「ダビング」なんて、若い人は知らないであろう「VHS」などのビデオテープやカセットテープの時代の言葉だ。だから、脚本が間違っていると批判しようと言うのではない。
このような “昭和な言葉” をさり気なく嶋田の台詞に忍び込ませることで、昭和の刑事ドラマ、昭和のスポ根ドラマ、昭和の学園ドラマの匂いが漂う。そして、漂うことで、最近のドラマとの一線を画すドラマとしての面白味がじわりじわりと沁み出して行く。昭和を生きた人は、こんなところにも、本作の魅力を感じる。
特に、今のテレビドラマ界に蔓延る、やりすぎなコンプライアンスを意識したつまらぬ脚本や演出へのアンチテーゼを…
全8~9話の折り返し地点の第4話として、"意欲作"だと思う
今回は、2つの案件と “縦軸” の合計3つの要素を盛り込んで来た。若干は盛り込み過ぎな感じも無くも無いが、私は好意的に受け取って、且つ、全8~9話の折り返し地点の第4話として、意欲作と受け取りたい。
まず、なぜ「意欲作」なのか? それは、いくら本作のタイトルが『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』であろうと、学園を舞台にしたドラマとしては、学校内で起こった事件や問題を第一義的に解決しようとすべきは “教師” であるべきで、教師の手に負えない案件について、スクールポリスの嶋田が動き出すべきなのだ。
しかし、30分頃の今回の嶋田にこんな台詞があった。
嶋田「困っている生徒を助けるのも
教師の仕事なんじゃないのか?」
この嶋田の台詞によって、嶋田が興味本位や越権行為的に校内の事件解決に手を出しているのではなく、赤嶺中学校の教師たちの問題解決能力不足を憂いで、動いていることがハッキリした。
しかし、本来の「事件発生 → 教師が問題解決に動き出す → 解決が教師の手に負えない → 警察に相談 → 嶋田が動き出す」の流れをやっていると、恐らく1時間では収まらないし、ドラマとしてまどろっこしい。だって、現に嶋田が校内に常駐している設定な訳だから。
だから、今回は、最初に「女子生徒による女子更衣室の盗撮、及び、動画投稿サイトへの拡散」と言う、最初から警察が動いてしかるべき事件を持って来た。更に、その盗撮犯の女子生徒・莉緒は、同じ陸上部の女子・小峰環(舞優)が好きだと言う “同性愛” まで盛り込んだ。第3話まで見た人なら、この案件だけで1時間はもつと考えるのが普通では?
そうせずに、更に盛り込んで来たから「意欲作」と評価したいのだ。
問題解決能力の欠落した教師たちも、嶋田は"指導"している
また、1つ目の案件では、相変わらず思考回路がお花畑な嶋田の “相棒” である浅村涼子(真木よう子)が、盗撮した女子生徒に同情するような発言をした時には、嶋田はこう言った。
嶋田「勝手な理屈だな。もし 盗撮してのが男だったら?
それが純愛なら許せるんですか?
きれい事で済ませないでください」
と、津村にお灸をすえた。このシーンが職員室であることも、意味深い。やはり、嶋田は赤嶺中学校の教師たちの問題解決能力不足を憂いでおり、教師たちも “指導” しているのだ。特に、ブレイクスルー能力の欠落している浅村先生に…
現実は、コロナ禍で自由に部活も学校生活も出来ずに疲弊している子どもたちがいる…
1つ目が、陸上部の案件だったのに対して、2つ目の案件は男子バレー部。どちらも「部活」と言う括りでまとめたのは、学園ドラマらしくて良かった。さて、コロナ禍に於いて制作・放送されるテレビドラマは、「コロナ禍」を設定として全面に押し出すタイプと、そうでないタイプがある。本作は後者。
こう言うドラマの見方は本来間違っているかも知れないが、事件は起きてしまったが、生き生きと部活動をしている学生たちの姿を見ることが出来た。でも、現実は自由に部活も学校生活も出来ずに疲弊している子どもたちがいる。
そう言う意味では、前述の嶋田の台詞を借りれば、「困っている子どもたちを助けるのは、大人たちの仕事なんじゃ無いのか?」と、自問自答させてくれた。
"教師による性的虐待シーン"を描写した価値はあると思う!
2つ目の案件は、これまたゴールデンタイムの、しかも21時スタートの連ドラとしてはチャレンジ精神溢れる、男子バレー部内で起きた女性顧問・澤田敦子(智順)による、男子部員・菊池京介(鈴木悠仁)の強制的に身体を触ると言う、パワハラ&セクハラ(正しくは、「性的虐待」だと思うが)のエピソードだ。
特に、しっかりと澤田が京介の身体を具体的に触る映像が使われた。恐らく、過保護な家庭では、「なぜ、こんな映像を流すのか!?」とお怒りだっただろう。ただ、私はこう思う。
もしも、親子でこのドラマを第1話から見ているなら、あの場面でこそ、「あれは性的虐待と言うの。先生が生徒に、大人が子どもにやってはいけないこと。もし、やられたら親に言いなさい」と教育すべき場面ではないだろうか。前述の通り、「困っている子どもたちを助けるのは、大人たちの仕事なんじゃ無いのか?」と…
津村が嶋田に心を動かされ、解決しようとしたのも悪くない
そして、今回が私にとっての「意欲作」である、もう一つの理由が、今回は津村先生が問題解決を試みようとしたこと。恐らく、生徒たちに直接聞き出そう、協力させよう、解決しようとしたのは、いつも通りの教師としては “浅はか” な言動だと言う人もいるだろう。
ただ、津村は嶋田の「困っている生徒を助けるのも 教師の仕事なんじゃないのか?」に応えようと努力したとも受け取れる。いや、最後に直接、澤田を対峙したのはそう言うことだ。全てがすべて、スクールポリスが解決しないと言う意味で、やはり「意欲作」だと思う。
あとがき
今回も、勧善懲悪でスカッとする結末で良かったです。もう、感想に書きたいことが次々と溢れて来ました。
それだけに、2つだけ気になる点を挙げておきます。1つは、“縦軸” をドラマの中盤に入れないで欲しいと言うこと。話の腰を折るだけなので、最後に “まとめて” 付ければ良いと思います。
それと、最後で嶋田が澤田に「強制わいせつ罪」の逮捕状を提示して手錠を掛けますが、あれは、津村先生への「傷害罪」の現行犯逮捕で手錠をかけてから、「強制わいせつ罪」の逮捕状を提示した方が刑事ドラマとしては良かったと思います。まあ、ドラマチックに演出したいと言う理由で、前者を選んだのでしょうが…
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