天国と地獄 ~サイコな2人~ (第3話/6分拡大スペシャル・2021/1/31) 感想

TBSテレビ系・日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』(公式)
第3話/6分拡大スペシャル『伝説の謎は奄美大島!アイツはここにいた!?』の感想。
なお、本作のモチーフとなった奄美大島に伝わる「月と太陽の伝説」(参考)は、既知。
彩子(綾瀬はるか)が日高(高橋一生)の姿になったことに、後輩の刑事・八巻(溝端淳平)が気付いた。八巻の協力で、彩子は鹿児島・奄美大島の伝説に出てくる「シヤカナローの花」が入れ替わりに関わっている可能性を知る。その花を見つけるため奄美大島行きを決めた彩子だが、その前に日高の殺人の証拠になる革手袋を日高本人や河原(北村一輝)らよりも先に見つけ出そうと考える。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
モチーフ:奄美大島に伝わる「月と太陽の伝説」
「日本昔話記録12 鹿児島県喜界島昔話集」
脚本:森下佳子(過去作/義母と娘のブルース、JIN-仁-、ごちそうさん、天皇の料理番)
演出:平川雄一朗(過去作/義母と娘のブルース、JIN-仁-、天皇の料理番) 第1,2話
青山貴洋(過去作/下町ロケット2、インハンド、グランメゾン東京) 第3話
松木彩(過去作/下町ロケット2018、グッドワイフ、半沢直樹2020)
音楽:髙見優(過去作/義母と娘のブルース、仰げば尊し、お迎えデス。、べしゃり暮らし)
主題歌:手嶌葵「ただいま」(ビクターエンタテインメント)
演出家の交代で、更に心なしかコミカル要素が増えた感じ…
演出担当が、『義母と娘のブルース』を担当した平川雄一朗氏から、『インハンド』や『グランメゾン東京』を担当した青山貴洋に交代すると事前情報があったから、『ぎぼむす』風の鈴の効果音の入れ方を含めてコミカル要素が減って、若干シリアス要素が増えるのを期待したのだが。
蓋を開けてみれば、メインディレクターの意向を従順に守られ、更に心なしかコミカル要素が増えた感じの第3話。
八巻の存在で、ドラマとして動き出したのは評価はしたい!
もちろん、入れ替わりの現実を知った刑事・八巻(溝端淳平)が加わったことで、コミカルな要素が増えたのは事実。まあ、全体がコミカル志向に振られたから、八巻の存在は良きムードメーカーと言えるだろう。
また、八巻の存在によって、本当の意味で “入れ替わり” が視覚化された。まあ、コミカルではあるが、面白いとは別の話だが…。とは言え、第3話、それも6分拡大によって、やっとドラマとして動き出したのは、一定の評価はしたい。
日高と彩子の"入れ替わり前後"の"ヘアスタイル等"に違和感
ただ、幾つかの違和感は払拭されていない。まず、今さら感は、拭えないが、前日行きつけの理髪店に行ったら、店長が「○○さん、『ドラマの天国と地獄を見てます?」と聞かれて、「もちろん」と答えら「理美容業者として気になってしょうがないことがあるんですよ」と語り始めた。
ヘアスタイルに興味関心を強くお持ちの人なら、とっくに気付いていることだろうが、ファッションには無頓着な私には、目から鱗の話だったから、ちょっと書いてみる。店長が気になってしょうがないのは、彩子(綾瀬はるか)と日高(高橋一生)の入れ替わり前後の “ヘアスタイル” と “メイク” だ。
まず、公式サイトから拝借した下記の入れ替わりの前後の二人のヘアスタイルを比較して欲しい。
©TBS
入れ替わり前の彩子は髪を後ろで束ねたシンプルな髪形で化粧も薄め。一方の日高はスタイリング剤を使って “デキる男” を自ら演出している。では、入れ替わり後の日高はどうだろう。外見をあまり気にしない彩子の性格を表現するかのように、前髪を垂らして “まるで休日の日高” のような雰囲気になっている。
一方の心が日高の外見は彩子は、クルクル巻いたロングヘア―にバッチリメイク。そもろも、日高がどうして “ガチな女性のヘアスタイルとメイク” を一晩で手に入れたのかも不明だし、店長曰く「彩子の家にクルクルが出来るドライヤーは無いと思うんですけどね」と言っていた。
まあ、重箱の隅を楊枝でほじくるような話だが、前回の感想でも書いたように、中身が日高の彩子は妙に男勝りに、中身が彩子の日高は妙に女々しく表現し過ぎると思う。まあ、それもバズるための作り手の意図的な戦略である可能性は大いにあるが。
「虚構の中の真実」を真実らしく見せる、特に “入れ替わり” と言う非現実的な要素を盛り込むなら、外見と演技の精査については、もっとしっかりやって欲しい。
日高が、"彩子の行動チェック"をしないのが不自然過ぎる!
また、他に違和感はある。それは、彩子と日高がそれぞれ別行動することで、互いの “擦れ違い” や “思惑の違い” を表現するのは本作の内容として当然のことだが。
でも、第1話から描かれて続けている日高と言う「用意周到で頭脳明晰な犯罪者」が、彩子のやろうとしていることに気付いていないとか、そもそも彩子自身を行動チェックをしないのは不自然過ぎるのでは?
確かに、公式サイトには「慌てん坊で思い込んだら一直線で失敗も多い」と言う単純な性格の持ち主には描かれているが、一方で「努力家で正義感が強く、上昇志向も強い」刑事であるのだから、むしろ、がむしゃらな方法で “入れ替わり状態” から解放されようと何をするか分からないから、日高は彩子の言動を逐一知りたいと思うのが普通だと思うのだが…
本気を出した日高なら手袋のすり替えなんて簡単なような…
更に違和感と言えば、後半で描かれた「新しい手袋」のこと。警察内部にいるから、実は日高が仕込んだ可能性は捨てきれない。手袋については、元々あった手袋も、日高が赤の他人を利用して… も、十分に有り得ること。なぜなら、“拘り人間” の日高は、手袋がどんな商品であるか知っているに決まっているから。
まあ、日高が本気を出せば、捨てた手袋を探し出して、指紋もすり替えることも出来ちゃうし。結局、「入れ替わり」の “俳優の演技” を魅せることに重視し過ぎて、脚本も演出も、ミステリーの本質を蔑ろにしてしまっているのではないだろうか?
なぜ、警察は日高を監視しないのか? 奄美へ旅行なんて…
当blogの常連さんなら、次の言葉出るようになると、本編への愚痴が更に増える合図だとご存知だと思うが。“そもそも” 八巻は彩子と日高が入れ替わっていることを知っているのだから、最低限、刑事として彩子を監視するべきではないだろうか?
そして、更にそもそも、警察は日高を真犯人だと疑って捜査中なのだから、もっと日高を監視するべきでは? だって、八巻が入れ替わりに気付くくらいの “緩めの違い” しかないのだから。だから、中身が彩子の日高が奄美大島に一人で行くなんて、おかしくないだろうか…
あとがき
「入れ替わりエンターテインメント作品」としては、それなりに面白味はありますが、刑事ドラマやミステリーとしては、作り込みの甘さが気になります。メインの二人を含めて、俳優さんたちの演技が良いだけに、もう一息がんばって欲しいです。
下記の通り、本作のサントラ盤の発売が決定しました。
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