青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平― (第3話・2021/1/26) 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・火9ドラマ『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』(公式)
第3話『盗難&薬物…犯人に鉄槌を! 命を説く学校内警察』の感想。
なお、原作の漫画、佐々木充郭「スクールポリス」(ポプラ文庫)は、未読。
また、本作は昨夏に全話を撮影終了しているため、要望などは基本的に書きません。
赤嶺中学校の高価な備品が、フリマアプリに出品された。学校関係者による窃盗とにらんだ隆平(藤原竜也)は、盗難品をあえて購入し、それに残された指紋と、教師と生徒全員の指紋を照合して犯人を暴き出そうとする。そんな中、3年生の仲村(藤本哉汰)が大声で笑い出し、窓から飛び降りようとした。それを阻止した隆平は、仲村がドラッグを使った可能性を示唆する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画佐々木充郭「スクールポリス」(ポプラ文庫)
脚本:大石哲也(過去作/遺留捜査シリーズ、満願) 第1,2話
山岡潤平(過去作/家政夫のミタゾノ1,3,4) 第3話
小島聡一郎(過去作/俺のセンセイ)
演出:国本雅広(過去作/デカワンコ、保育探偵25時、カンナさーん!) 第1,2話
白川士(過去作/ドクター調査班、遺産相続弁護士 柿崎真一) 第3話
高橋貴司(過去作/家族の旅路、限界団地)
音楽:菅野祐悟(過去作/半分、青い。、シャーロックUS,テセウスの船、危険なビーナス)
主題歌:追い風/SHE’S
アバンタイトルのテンポの良さは、過去最高!
冒頭から、いい感じ。何が? そう、まずテンポ。やはり、現実社会でもテレビドラマでも(劇中の台詞にもあったが)、基本的に事件が起きないと(被害者が出ないと)動かない警察(の、イメージ)だが、本作の主人公である “スクールポリス” の隆平(藤原竜也)は、単刀直入に言うと “すぐ” に動く。
今回も、現実的に校内の備品の盗難が分かっているのに、校長らは深掘りしない隠ぺい体質。
でも、隆平は違う。こちらが、「おいおい、早過ぎるよ」と言う位に “すぐ” に動く。それも、第3話とは言え、これまでの2話で十分に学校中に隆平の存在意義や存在価値が浸透しているから、教師、生徒を問わず全員に指紋採取。もう、これだけで気持ちが良い位にテンポが良い。
12分間もの長尺のアバンだけで、生徒たちが"主人公の立役者"であることを魅せたのはお見事!
テンポが良いだけではない。隆平は早期段階で、窃盗犯を「校内に詳しい人間」と睨んで、敢えて盗難品を購入して、その「商品に残された指紋」と「教師と生徒全員の指紋」を照合しして「犯人=真実」を暴き出そうとした。この「教師と生徒全員の指紋」と言うのが “ミソ” だ。要は、隆平にとって、教師と生徒の垣根はないってこと。
これによって、「学校を舞台にした刑事ドラマ」ではなく、学校を舞台にしたドラマ=学園ドラマ」へと、大きく前進した。
特に、指紋採取のシーンでは、生徒たちは「刑事ドラマみたい、怖い」と言いつつも、一部を除いて独断に嫌がることなく、「ちょっとドキドキしない?」などと意外と積極的に隆平へ協力しているような表現が、テンポ良い劇伴とカット割りで表現されていたのも印象的だ。そして、ドラッグ中毒疑惑の生徒の出現。
これらテンポ良いアバンタイトルのお陰で、この第3話は、「学園ドラマ」で、スクールポリスに協力する生徒が “主人公の立役者” となりそうな予感と、一層「学園ドラマ」として広がりと深みが増した。流石、12分間もの長尺のアバンだけで、ここまで魅せるとは「お見事!」と言わざるを得ない。
「高山スポーツ店」を涼子が訪問したシーンの演出に注目!
その後の流れも、二人の生徒が隆平の “相棒役” となって、まるで生徒が生徒たちの中で潜入捜査をするような、正にスクールポリスに協力する生徒が “主人公の立役者” となる、学園ドラマらしい展開に。演出も意外性があった。
例えば、赤嶺中学校3年1組の担任・浅村涼子(真木よう子)が「高山スポーツ店」を訪れたシーン。 普通なら、涼子が店主の高山(大迫一平)に話し掛けた時の、高山のアップに効果音なりカット割りを入れて “怪しさ” を強調するのに今回はそこではやらずに、少しあとにカップル客を装ったドラッグ売買の仲介人らしき男と高山の表情と異常な発汗、激しい動機まで引っ張った。
お陰で、隆平の回想シーンを挿入して隆平の存在感を強調しつつ、ドラマを「起承転結」の「転」へ華麗に移行。この辺も、第3話から脚本家と演出家が交代した効果であるのは間違いない。
彩花に銃口を突き付けた隆平の迫力も説得力も凄かった!
片思いをして拒否された佐々木悠馬(宮世琉弥)への恨みを晴らすべくの長田彩花(豊嶋花)の犯行だったのは意外。「佐々木君に嫌われたら 私 生きてる意味ないし」と自暴自棄になった彩花の額に拳銃の銃口を突き付けた隆平。
「死んだら全部終わりだろ!」と命を粗末にする彩花を、警察官ならではの武器(拳銃)と隆平ならではの怒りの言葉で、実は丁寧に分かり易く、そして強烈な印象を植え付けるべく説いたくだりの迫力も説得力も凄かった。
3年1組学級委員長役は、『あさが来た』の鈴木梨央さん!
さて、今回は意外な出演者を見つけたから、そこにちょっとだけ触れておく。まず一人目は、生徒たちの指紋採取が始まる際に、最初に登場した3年1組の学級委員長・尾崎香澄 役を演じていたのが、鈴木梨央さんだったこと。
個人的には、彼女の連続ドラマ初主演作『お兄ちゃん、ガチャ』(2015年1月)の雫石ミコ 役が超印象的。もちろん、演技力はご存知の通り(だと思う)、連続テレビ小説『あさが来た』(2015年後期)では、主人公と主人公の長女の幼少期の二役を演じたことでも話題になった。
彩花役の豊嶋花さんは『あまちゃん』と『ごちそうさん』に
また、第3話では、もう一人の朝ドラ出演者が大活躍した。それが、隆平に拳銃を向けられた恐怖から膝から崩れ落ちる演技が素晴らしかった彩花 役の豊嶋花さんだ。
豊嶋さんは、『あまちゃん』(2013年前期)で天野春子(小泉今日子)の幼少期 役で、『ごちそうさん』(2013年後期)でヒロイン・卯野め以子(杏)の幼少期 役で出演した。本作は、生徒役にも注目だ。
あとがき
まだ第3話なのに、普通なら「最終章」あたりで引っ張り出してくる “縦軸” をかなり盛り込んで来たのは意外でした。でも、その “縦軸” こそが、かつては情のある性格だった隆平が冷徹な性格に変貌した原因でしょうから、1話ずつ見せる手法も面白そうです。
さて、第3話は本文へ書いたように、脚本家と演出家が交代しました。従って、コミカルな要素が入ったり、テンポが良くなったりと、見た人によっては別のドラマのように映ったかも知れません。
でも、基本的な部分である、「生徒だろうと、未成年だろうと、ダメなものはダメ!」と言うのが痛快さは健在。勧善懲悪が貫かれつつも、スクールポリスならではの事件解決も面白いですし、隆平の熱血教師っぽい生徒たちへの愛も感じられる、いいドラマだと思います。
来週も、「生徒だろうと、未成年だろうと、ダメなものはダメ!」をキッチリと魅せて欲しいです。
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