天国と地獄 ~サイコな2人~ (第1話/初回25分拡大スペシャル・2021/1/17) 感想

TBSテレビ系・日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』(公式)
第1話/初回25分拡大スペシャル『心と体が大逆転物語!私が男でアイツが女!? 私が連続殺人犯なの!?運命の針が今、動くー』の感想。
なお、本作のモチーフとなった奄美大島に伝わる「月と太陽の伝説」(参考)は、既知。
警視庁刑事部捜査第一課の刑事・彩子(綾瀬はるか)は、電車で乗り合わせた男性(高橋一生)からマスクを譲ってもらう。そんな折、殺人事件が発生。過去の失敗で謹慎中だった彩子は、名誉挽回のため捜査に手を挙げる。猟奇的な光景の現場には、掃除直後のような清涼感が漂っていた。違和感をたどる彩子は特殊洗浄剤の製造元を当たり、電車の男性が同社社長の日高と知る。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
モチーフ:奄美大島に伝わる「月と太陽の伝説」
「日本昔話記録12 鹿児島県喜界島昔話集」
脚本:森下佳子(過去作/義母と娘のブルース、JIN-仁-、ごちそうさん、天皇の料理番)
演出:平川雄一朗(過去作/義母と娘のブルース、JIN-仁-、天皇の料理番) 第1話
青山貴洋(過去作/下町ロケット2、インハンド、グランメゾン東京)
松木彩(過去作/下町ロケット2018、グッドワイフ、半沢直樹2020)
音楽:髙見優(過去作/義母と娘のブルース、仰げば尊し、お迎えデス。、べしゃり暮らし)
主題歌:手嶌葵「ただいま」(ビクターエンタテインメント)
冒頭、電車内はコロナ禍でマスクありなのに、警視庁内はマスク無し?
感想の冒頭から、こんな重箱の隅を楊枝でほじくるようなことは書きたくないのだが。
冒頭の、恐らくドラマとしては最も大切な主人公・望月彩子(綾瀬はるか)と日高陽斗(高橋一生)が初対面するシーンでは、彩子が通勤電車内で “唯一マスクを着用しない人” と言う設定が利用しておいて、その直後の警視庁捜査一課の部屋では “誰もマスクを着用していない” と言う舞台設定。
私が神経質になっているのは承知だが、最近のドラマを見る時は「コロナ禍の設定かどうか?」が気になるし、それを利用しているドラマ(本作の脚本家も書いているから、その点については後述する)も現実にあるから、コロナ禍なのかは明瞭にして貰いたいのだ。
恐らく脚本の指示によるものだろうが、撮影現場が感染対策に於いても “最後の砦” なのだから、責任者であるプロデューサーや演出家は細心の注意を払って欲しい。そう言う視聴者にとって “手抜き” に見えてしまう部分が、ドラマ全体に蔓延して、ドラマが面白くなくなる可能性もあるわけだから。
令和3年なのか,昭和の刑事ドラマなのか,少々中途半端か?
また、捜査令状も出ていないのに、容疑者にその旨を告げたら、証拠隠滅される可能性もあるし。そもそも、あの場面で自首をさせたところで、彩子の身勝手な捜査のお手柄となるだけで、結局、チーム捜査にはなってないし。
主人公・彩子が、努力家で正義感が強くて融通が利かず、物言いや性格が男性上司から煙たがられ、更に頑張り過ぎて失敗も多いと言う人物設定だからこそ、独自の捜査で容疑者を突き止め逮捕するチャンスを目の前にする… と、脚本家は自然な流れだと思って書いたのだろうが、今どきの刑事ドラマでは、ほぼあり得ないスタンドプレーの昭和な刑事。
前述の通り、何となく全体のバランスがチグハグに見えるのは、私だけだろうか。コロナ禍なのか、コロナ禍でないのか? 令和3年なのか、昭和の刑事ドラマなのか? と言うことだ。歩きスマホについても… だ。
入れ替わるのを知っていたから,入れ替わりまでが長過ぎた!
さて、毎度のように書くが、ドラマの第1話は可能な限り「事前情報」を知らずに楽しみたいタイプなのだが…
本作はPR番組以外の、バラエティー番組でもTBSが必死に番宣を繰り返すから、だいぶ前から、本作には原作は存在しないが、奄美大島に伝わる「月と太陽の伝説」がモチーフになっていることと、綾瀬はるかさんと高橋一生さんの刑事と殺人鬼の魂が入れ替わると言うのを知ってしまった。
もしかすると、それらを知らなければ感じなかったかもしれないが、知っちゃったのが現実。だから、流石に、入れ替わりまでが長過ぎた! 「もしかして、入れ替わりは来週?」と思ってしまった程だ。
"入れ替わり"までが、"普通の刑事ドラマ"過ぎたような…
確かに、これだけの個性的な俳優陣を揃えたら、全員見せたいのも分かる。ドラマの初期設定を丁寧に描くのも間違ってはいない。
ただ、恐らく多くの視聴者が期待してるのも、本作の最大の見せ場である “入れ替わり” を視聴率稼ぎのためだか知らないが、時間的に終盤に位置付けたのは、構成として、本作の特徴や魅力を早期に視聴者へ訴求すると言う意味でも失敗だったのでは?
だって、実際の内容も、“入れ替わり” までは、昭和の匂いが残る超が付く程の “普通の刑事ドラマ” のまま。前述の通りに個性的な俳優陣以外は、“普通の刑事ドラマ” だったから、流石にあれだけ引っ張るのは、失敗が厳しい言い方なら、無茶だと思う。
なぜなら、第1話を見る前に “入れ替わり” を知っていれば、入れ替わらない限り、話は進まないし、事件が解決しないのは、明々白々なのだから。
入れ替わりの後の二人の演技が良かっただけに…
やはり、個人的な好みとしては、見せ場であり興味のある “入れ替わり” を、序盤でサクッと描いて、入れ替わり後の二人のやり取りを描いて、謂わば「倒置法」で、「なぜ、二人はこうなったのか?」と、単純に回想形式で描くだけで良かったと思う。
特に、入れ替わりの後の二人の演技が良かっただけに、そっちの尺を多めに使った方が、結果的にも良かったと思う。
脚本が森下佳子氏で高橋一生さんの"入れ替わり"は、NHKで見ちゃっているから…
さて、今作のスタッフだが、脚本家が森下佳子氏、メインの演出家が平川雄一朗、そして主演女優が綾瀬はるかさんと来れば、『JIN-仁-』と『義母と娘のブルース』が共通点だ。まず、物語が動き出すテンポがやや遅めなのは『JIN-仁-』に似ているし、映像や音楽や効果音などは、ほぼ『義母と娘のブルース』。
まあ、TBSとしては、どちらも大ヒットドラマだから、その系譜に乗っておけば失敗しないと判断しているのだろうが、やはり既視感は払拭できない。
更に、ドラマファンなら、昨年の緊急事態宣言下の5月にNHKで放送された、完全テレワークドラマ『今だから、新作ドラマ作ってみました』の第3夜『転・コウ・生』で、脚本が森下佳子氏で高橋一生さんの “入れ替わり” を見ちゃっているわけで、むしろ、そっちの二番煎じに見えてしまった。もちろん、企画は本作の方が先だろうが…
今だから、新作ドラマ作ってみました「転・コウ・生」 (第3夜・2020/5/8) 感想
階段やサブタイトルに映画『転校生』へのオマージュが…
あれこれ書いたが、“入れ替わり” と言えば、中高年以上なら大林宜彦監督の名作『転校生』があり、本作でも階段落ちで入れ替わると言う点や、映画『転校生』の原作である山中恒氏の『おれがあいつであいつがおれで』を第1話のサブタイトルの中へ暗に言及した表現で使用したり、どこか『転校生』へのオマージュやリスペクトもあるかも…
シリアスとコミカル演出は、『99.9―刑事専門弁護士―』のようで…
とにかく、繰り返しになってしまうが、序盤で入れ替わって、回想形式でそれ以前を描く展開だったら、普通に楽しめる第1話になったと思う。もちろん、初期設定の説明が多いな役割が第1話だから、今後の出来は次回次第だろうが。
シリアスなのに、『義母と娘のブルース』風のコミカルな演出は、『99.9―刑事専門弁護士―』にも似ているから、大化けする可能性もあるが、初回を見終えた限りでは、残念ながら不安要素が増えてしまった。第2話での巻き返しを大いに期待したい!
あとがき
入れ替わったあとの、綾瀬はるかさんと高橋一生さんの演技は、流石に魅せてくれたと思います。ただ、私にとってはお目当ての俳優さんの演技を楽しむモノと言うより、脚本、演出、俳優の総合エンターテインメントだと思っているので、しっかりと脚本と演出でも、既視感は払拭して欲しいです。
また、折角、コロナ禍の大変な状況下で制作するのですから、新しいドラマになるのを期待します。因みに、第2話は22時15分までの拡大版です。
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