連続テレビ小説「おちょやん」 (第24回・2021/1/7) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『おちょやん』(公式サイト)
第24回/第5週『女優になります』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
カフェーの女給仲間の真理(吉川愛)と洋子(阿部純子)が、女優試験に合格したと喜ぶ姿を目の当たりにした千代(杉咲花)。ようやく自分の気持ちに気づき、女優になりたいという正直な思いを告白する。その日以来、千代の撮影所通いが始まった。しかし約束も無いまま、守衛に門前払いを受ける日々。そんな折、真理の紹介で山村千鳥一座という劇団の試験を受けることに。千代の前に現れたのは、鬼の形相の山村千鳥、その人だった…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
●作:八津弘幸 ●脚本協力:吉田真侑子 ●演出:椰川善郎(敬称略)
私は、朝ドラの感想を書く時に、こんな習慣がある
前回に続いて今回の感想も、低めの視聴率ながら『おちょやん』を応援したいと思っている私と同じ考えの読者さんを思って、ガッツリと感想を書いてみる。
私、朝ドラの感想を書くのは、『あまちゃん』(2013前)から『おちょやん』で連続16作目になる。そして、登場人物と俳優名の組合せや設定を間違えて書かないように、「役名(俳優名):人物設定」のように、オープニングタイトルに新キャラが登場する度にリストに書き込む習慣がある。
しかし、『おちょやん』の自分が書いたリストを読んで、今朝、気付いたことがある。これまでの作品は、「○○編で出会った人々」とか「□□屋の人々」のように。
本作は、クレジットされる登場人物がとても多いのが特徴
例えば、「かめ(楠見薫)芝居茶屋「岡安」の女中頭」は覚えている人は多いはず。でも、「椿(丹下真寿美)芝居茶屋「福富」のお茶子」なんて気づいていない人もいるかも知れない。
何を言いたいのかと言うと、本作は、本当に登場人物が多い。特に、「道頓堀の人々」なんて、千代(杉咲花)が借金取りから逃げるくだりを見ても分かるように、役名が付いているのが不思議な位な脇役までしっかり役名があって、クレジットに記載される。それ自体は俳優さんの名誉の意味でも正しいこと。
登場人物は多いが、個々の出番は少ないし印象も薄い理由…
ただ、他の作品と比較すると、脇役、脇役に絡む端役を含めて、とても大人数なのに、一人ひとりの印象が薄い。それは、本作が、いや、本作の主人公が、2週に一度は別の環境に移動するから、その度に新キャラが増える。増えたら紹介せざるを得ない。そして、やって定着するかなと思うと、千代は別の環境に移動してしまう。
例えば、幼少期の千代を散々困らせた栗子(宮澤エマ)、千代の応援団長だった岡田シズ(篠原涼子)、シズのライバル・富川菊(いしのようこ)などなど。
15分間の殆どが「新キャラ紹介」で15分間に"物語"が無い!
千代の実家である「竹井家」は別にして、芝居茶屋「岡安」、老舗芝居茶屋「福富」、天海天海一座、須賀廼家万太郎一座も、第4週までの内容の殆どが「新キャラ紹介」だったのだ。
で、今週を見てみよう。まず、「鶴亀撮影所」の紹介、更に千代が働くカフェー 「キネマ」の紹介、そして、前回から山村千鳥一座の紹介と、もう、放送の内容の殆どが「新キャラ紹介」なのだ。
もちろん、主人公が成長するために、土地や環境を変えていくことは間違っていない。ドラマとしては場面転換は楽しいものだ。
また、主人公が新たな人間関係を構築していく過程や、その中で様々なものが育まれて、夢や未来に向かって行くのも決して間違いではないし、むしろ、そこをしっかり描くことが、ドラマ、特に朝ドラでは重要な部分。だから、やっていることは間違っていないのだ。
次々と新キャラが登場し紹介され動き回っても"物語"に非ず
やっていることは間違っていないのに、ドラマとしても、朝ドラとしても面白味を感じ難いのはなぜか? 答えは簡単。「新キャラ紹介」は “物語” でないからだ。
次々と新キャラが登場して紹介され、動き回るだけでは “物語” とは言わない。例えば、今回で言うなら、山村千鳥(若村麻由美)が座員の清子(映美くらら)たちに罵声を浴びせて演技を叱るシーンに尺が割かれていたが、あれを “物語” とは言わ(え)ない。
あれは、千鳥の演出方法や芝居に対する気持ちの “紹介” ってだけ。怒鳴っているだけでなく、千鳥の心情をモノローグで入れるとか、ナレーションで補強すれば、だいぶ違ったと思うが、それをしなければ、やはり新キャラが怒鳴っているだけ。流石に、これでは面白味を感じないのは無理もないと思う。
唐突だが「千代のモノローグ」が増えたのは良い兆しでは?
しかし、今回は、『おちょやん』に於いて、意外な “新たな試み” と “新しい描写” が一つあったことにお気付きだろうか。新たな試みと言うのは「多めの千代のモノローグ(心の声)」だ。これまで千代のモノローグは殆ど無かったから(因みに、前回を調べたら0回だった)、別のドラマを見ているような印象すらあった。
千鳥の真意が見えないまま15分間が終わるから、ちょこちょことではあっても、千代のモノローグが入ったことで、若干 “物語” 風には見えたし、面白味もあった。しかし、それはあくまでも千鳥から命令された「千代の日常」の部分だけ。
もちろん、次回以降で千鳥の真意は描かれると期待はしているが、やはり、千鳥にも “物語” が欲しかった。むしろ、座員の清子の方が心情が描かれたのは、本末転倒と言うか…
唐突だが「千代が家事が得意」なのを強調したのも良い兆し
新しい描写と言うのは、「千代が火事が出来ることを描いた」ことだ。確かに、第1週での幼少期の千代は、家事をやっていたはず。録画が残っていないから確認はできないが、実際にどれだけ幼少期の千代が家事をこなしている描写があったのか、あまり記憶にない。
ただ、残っている印象として、「あの竹井家で、母亡きあとに家事をやるのは千代しかいない」と言うだけ。だから、第2週で千代が家事が出来ることを描くかと期待したが、栗子の登場でドタバタ。
第3週は置いておいて、第4週は年季奉公をどうするか? と言う話だから、さぞかし家事をこなせるのを描いて来るかと期待しても、ドタバタと父テルヲ(トータス松本)と借金取りから逃げて終了。だから、千代が家事ができる女性には見えていなかった。
しかし、今回の千代は唐突に、掃除や片付けや洗濯など家事をこなしていた。千鳥の台詞にも「こまごました雑用は得意そうだし」と補強もしていたし。
千代は、家族愛に恵まれていない独りぼっちのヒロインだ!
公式サイトの人物紹介によれば、「千鳥は役者の世界に飛び込んだ千代にとって最初の師匠」で、「千代に演じることの基礎をたたきこむ」とある。だから、もしかすると、千鳥の登場から、唐突ではあるが、前述の “千代の物語” を紡ぎ出す可能性が見えて来た。特に、千代のモノローグは本作を劇的に可能性があると思っている。
それは、これまでの朝ドラの主人公はパートナーな家族が支える物語が多かった。だから、主人公はどんなに貧しくても、奉公先で虐げ垂れても、目の前の夢が途絶えて傷ついても頑張れた。そう、パートナーや家族と言う応援団の後ろ盾があるから。
しかし、『おちょやん』の主人公・千代は違う。赤の他人の応援団はいるが、家族愛に恵まれていない。謂わば、独りぼっちのヒロインだ。
視聴者一人ひとりが"千代の家族"になれるような物語にしていく必要があると思う…
恐らく、企画段階では、千代のモデルである「大阪のお母さん」と呼ばれた往年の名女優・浪花千栄子さん(1907~1973年)の波乱万丈の人生をなぞれば、それなりに朝ドラらしいドラマに仕上がると、浪花千栄子さんの人生を知っている人なら容易に想像がついたはず(私も、その一人だ)。
しかし、奇しくも、日本(だけではないが)はコロナ禍に置かれた。前作『エール』の感想でも何度も書いたが、コロナ禍に於ける朝ドラは、これまでの朝ドラとは違うのだ。劇中の主人公だけでなく、演じる俳優さんたち、スタッフらの健康を気遣い、より身近な家族の大切さが身に沁みながら見ているのだ。
だから、家族愛が描かれない『おちょやん』が、コロナ禍で、更に今日の午後には、東京都を始め首都圏の一都三県に発出される緊急事態宣言の中で、もっと “千代の心の声” を鮮明に打ち出して、視聴者一人ひとりが “千代の家族” になれるような物語にしていく必要があると思う。
あとがき
撮影が済んでしまっている部分も多いでしょうから、急に千代のモノローグが増えるとは思えません。でも、ナレーション兼解説兼ツッコミ役の黒衣(桂吉弥)なら、何とか追加録音して、千代の心情をどんどん視聴者に伝えたら良いと思います。
家族愛の支えのない独りぼっちの千代を、怒っても怒鳴っても可愛らしい杉咲花さんが演じているのを見るのが好きです。元気がもらえます。そう言う朝ドラを今は見たいのです…
わたくし事で恐縮ですが。緊急事態宣言の発出が報道された昨日から、せっかく戻りつつあった「ホテル関係の仕事」のキャンセルが増えて来ました。ホント、つらいですよ。だからこそ、いつでも元気で明るくて頑張る千代を、毎朝見せて欲しいです。
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【これまでの感想】
第1週『うちは、かわいそやない』
1 2 3 4 5 土
第2週『道頓堀、ええとこや~』
6 7 8 9 10 土
第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』
11 12 13 14 15 土
第4週『どこにも行きとうない』
16 17 18 19 20 土
『おちょやん よいお年を!』
第5週『女優になります』
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