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連続テレビ小説「エール」 (第119回・2020/11/26) 感想

連続テレビ小説「エール」

NHK総合・連続テレビ小説『エール』公式サイト
第24週(最終週)『エール』の 第119回の感想。



 本作は、2020/10/29 にクランクアップ(撮影終了)しています。
 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。


東京オリンピックが終わり、裕一(窪田正孝)の元に、小山田耕三(志村けん)が亡くなる直前に裕一に宛てて書いたという手紙が、届けられる。その手紙に書かれていた小山田の最後のメッセージとは…。それから時が流れ、裕一は病に伏す音(二階堂ふみ)の療養ため、東京を離れて静かな生活を送っていた。ある日、作曲家を目指しているという広松寛治(松本大輝)という青年が裕一を訪ねてくる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

●原案:林宏司 ●作:吉田照幸 ●演出:吉田照幸(敬称略)

相変わらず時間軸の流れが分かり難い…

さて、実質的な最終回である、この第119回。相変わらず時間軸の流れが分かり難い。

前回の前半が、東京オリンピック開催時の昭和39年で、その後の中盤で10年時間経過して(昭和49年)に池田(北村有起哉)が亡くなり、終盤で更に5年経過」(昭和54年)して音(二階堂ふみ)が乳がんを患い、長い闘病生活に入っていたことになっていた。そして、アバンタイトルで小山田先生からの手紙を受け取ったのが「13年前」(昭和41年)。

東京五輪の入場行進曲で成功をおさめ、仕事も大忙しで悠々自適な暮らしをしていた頃だろうか。せめて、「東京オリンピックから2年後」のテロップなり、語りなりで補足したら分かり易かったと思う。

久し振りに録画を見ながら気に留まった部分を綴ってみる…

さて、本編の感想。実質的な最終回だから、どのように書こうか悩んだのだが、今回は久し振りに、録画を見ながら気に留まった部分を綴ると言うスタイルで書いて行こうと思う。

「裕一の作曲家人生」を小山田の手紙を通して振り返る…

まず、6分までの日本作曲界の重鎮・小山田耕三(志村けん)の死後に裕一(窪田正孝)へ届いた手紙のくだりだが、「裕一の作曲家人生」を小山田の手紙を通して振り返るエピソードになっていた。

小山田の言葉が、手紙と言う手法が後出しジャンケンになってしまったのは、志村けんさんの悲しい死によるのなのか知る由もないが、それでも、裕一少年の “音楽のルーツ” は、父・三郎(唐沢寿明)が買ってくれた一冊の本だから、そこから、同じ作曲家としての人生観を並列に描いて、二人の “共通点” と “差異” を描いたのは悪くない。

ただ、惜しむらくは、「古山裕一」と言う登場人物の初期設定、要は「何の取り柄もない小学生が、藤堂先生に才能を見出して貰い、父親に買って貰った小山田先生の本で才能が開花した」ことを活かしたエピソードを、中盤にももっともっと入れて欲しかった。

脇役のエピソードに時間を割かずに、クラシック音楽から流行歌に移行して言った頃の裕一の苦悩、戦時歌謡に関わっていた時の裕一の複雑な心境、そう言うのを、『長崎の鐘』の前に、もっとしっかり丁寧に入れて欲しかった。それが、本当に悔やまれる。

裕一の3つの作曲の特徴を台詞で言わせて、今の心境に繋げた

続いては、6分頃からの作曲家を目指している広松寛治(松本大輝)と言う青年が裕一に「なぜ お元気なのに曲を書かれないのか」と問うたくだりだ。

この寛治の疑問は至極当然だし、前回で曖昧になっていたから、ここで描くのは良かったと思う。第117回の感想に、「裕一夫婦の娘夫婦への願いを描いたなら、結婚5年後の結果や現実を描くべきでは?」と書いたように、本作は、意外と “振り” だけで “回収” しないことが多い。

しかし、今回は、裕一の「楽器を使わない作曲方法」と、「あることを “きっかけ” してメロディーが溢れ出る才能」と、裕一が作曲するのは「人の力になる音楽をたっくさん作ってきました」と言う “三つの裕一の作曲の特徴” 的な大きな理念を台詞で言わせて、今は「もう 僕の中にある音楽を僕だけで楽しみたいんだ」と結論付けた。

やや、拙速で台詞頼みの描写ではあったが、既にここで7分だから、“振り” の “回収” としては、選ばれた回想シーンの的確さを含めて良かったと思う。


病床の音が弱々しく歌う『晩秋の頃』の使い方が良かった

続いては、8分頃からの、乳がんを患っている音と看病をする裕一の闘病の物語だ。病床に伏している音が寒くないか心配して、裕一が白いレースのカーテンが風でなびく大きな窓を閉めようとすると、カモメの鳴き声と海の波の音が微かに被って来る。すると、弱々しい音の歌声で、あの第25回で初めて歌われた『晩秋の頃』が裕一の耳に届く。

『晩秋の頃』は、鶴亀寅吉(古舘伊知郎)からのオファーで、豊橋で開かれることになった裕一の演奏会で、音が歌うために裕一が作曲した歌だ。

歌詞は、亡き父・安隆(光石研)を想い、小説家を目指してはいたが最後まで作品を書き上げたことが無かった小説家志望の音の妹・梅(森七菜)が書き上げ、父に下げるように豊橋の海に向かって歌った、それこそ「夫婦二人三脚」の最初のエピソードとも言うべき、印象的な場面に使用された楽曲。

永遠の別れを感じさせる『晩秋の頃』で闘病生活の一コマを

実はこの『晩秋の頃』は、以前に一度だけ(再放送を合わせると二度になるが)登場している。

それは、第12週『アナザーストーリー ~それぞれの愛のカタチ~』の 第56回『父、帰る(前編)』で、幽霊になって現世に帰って来た音の父・安隆(光石研)が再び天国に旅立ち、音の「また… くじが当たりますように」で締め括られた永遠の父と娘の別れのシーンの背景のBGMに使用された。

また、『晩秋の頃』は本作では珍しい、本作の劇伴担当の作曲家の瀬川英史氏が作曲したと思われる『エール』のオリジナルの登場人物が歌う楽曲だ(3枚発売されているサントラ盤には未収録)。これまで古関裕而さんの名曲の数々を引用して来た本作が、実質的な最終回でオリジナル楽曲で夫婦の晩年、闘病生活の一コマを描くと言うのは、なかなか興味深いアイデアだった。

"木の床から海岸の砂地へ" 繋ぎ目無いセットはかなり斬新!

続いては、10分過ぎからの、音の「海が見たい」と言う言葉で始まるエピローグの最大の見せ場だ。実は、本作、特に最終週の演出担当である吉田照幸氏は、無音や環境音だけのシーンと言うのが少ない演出家だ。

どちらかと言えば、「足し算」の演出方法を得意とするから、今回のスリッパ履きの裕一と、素足の音の足元だけのアップに、BGMも台詞も無かったのは意外だった。

もちろん、「嵐の前の静けさ」と言うのは正しい比喩ではないが、主題歌であるGReeeeNが歌う『星影のエール』のイントロを際立たせるための無音であると同時に、裕一と夫婦が若い時代へ “木の床から海岸の砂地へ” シームレスに繋がるスタジオセットは、かなり斬新だった。

そして、捻くれ者の私でも、そのままエンディングに繋がるのも、イントロと海と若き裕一と音の姿に戻った後姿にはグッと来た。ちょっぴり、大人向けのファンタジーと言う感じも、明るい未来が見えて良かった。

海辺で視聴者に感謝を述べる、意外過ぎるシーンも良かった

そして、まさかの大団円で終わった後に、窪田正孝さんと二階堂ふみさんが、裕一と音の衣装のまま、海辺で視聴者に感謝を述べると言う意外過ぎるシーンも良かった。

視聴者に "エール" を送るような実質的な最終回となった…

実質的な最終回としては、晩年の音を乳がんの設定にして、一度沈ませて、若き姿で蘇った夫婦と『星影のエール』で、何とか着地させたと言うところだろう。少なくとも娘の結婚話を削除して、東京五輪と今回で最終週をやるくらいの英断はして欲しかったと言うのが本音だ。

ラストで窪田正孝さんが「世界中を未曾有の不幸が襲う中で『エール』というドラマをやる意義を裕一を演じながら感じさせてもらいました。少しでも見て下さる皆さんの力に このドラマがなれたのならば スタッフ キャスト一同 本当にうれしく思います」とおっしゃっていた。

主人公の裕一のエピソードが少な過ぎるとか、脇役のエピソードが多過ぎるとか、コントが多過ぎるとか、時間軸が分かり難いとか、登場人物のキャラクター設定が不安定だとか、いろいろ思うことはあるが、今回の実質的な最終回は作り手たちの苦労が見えた。苦労が見えるのが、これまた良しとするかどうかの議論もあろうが…

前回を見た時は東京五輪で最終回でも良かったと思ったが、今回を見て、主人公の一代記の場合、晩年を描くのが “朝ドラのお約束” とするなら、視聴者に “エール” を送るような最終回で良かったと思う。

あとがき

放送直前に当初の脚本家の降板に始まって、新型コロナウイルス感染拡大を受けての約13か月と言われている長期の撮影、未曾有のコロナ禍の撮影など、様々な事情を踏まえると、こうして最終回まで放送されたことが一番良かったです。

また、主演で主役で座長を務めた窪田正孝さんの存在感、演技力、人柄が、『エール』を最終回まで導いたような気もします。放送が再開された第14週『弟子がやって来た!』からの感想は、称賛よりも苦言の方が多い日もありましたが、今の自分の状況などを重ねると、毎朝 “エール” を貰える朝ドラだったと思います。

私の感想も、3月30日から約8か月の長丁場になりましたが、毎日読みに来て下さる読者さんのおかげで、完走できました。本当にありがとうございました。おっと、もちろん、本当の最終回である明日の第120回、28日(土)の「土曜日版」の感想も書きます。



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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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