姉ちゃんの恋人 (第5話・2020/11/24) 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・火9ドラマ『姉ちゃんの恋人』(公式)
第5話『告白の返事に涙…彼が下した決断は?』の感想。
桃子(有村架純)の告白に返事をせず、申し訳なさそうな表情を見せる真人(林遣都)。そんな彼に困惑する桃子は一部始終をみゆき(奈緒)に語り、みゆきは和輝(高橋海人)とのことを伝えそびれてしまう。一方、桃子が恋する相手を一目見ようと考えた和輝ら弟達は、笑顔で働く真人を見て、桃子の相手だと直感する。その頃、菊雄(光石研)は貴子(和久井映見)の働く弁当店へ向かい…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:岡田惠和(過去作/ひよっこ、最後から二番目の恋、セミオトコ、少年寅次郎)
演出:三宅喜重(過去作/過去作/銭の戦争、嘘の戦争、10の秘密) 第1,2,3話
本橋圭太(過去作/緊急取調室1,2,3、TWO WEEKS、ケイジとケンジ)
宝来忠昭(過去作/僕の初恋をキミに捧ぐ、家政夫のミタゾノ3、セミオトコ) 第4,5話
音楽:眞鍋昭大(過去作/SUITS[1,2]、後妻業、おじさんはカワイイものがお好き。)
主題歌:Mr.Children「Brand new planet」(トイズファクトリー)
"環境音だけの12秒間"は、大胆で自然な人物描写だった
つい、演出的な部分へ目が行ってしまうのだが…
序盤の2分頃、BBQが終わった4人が公園内を歩いている時、真人(林遣都)が「忘れないだろうな 今日のこと。うん 絶対忘れないな」と笑顔で話したあとの、4人が歩くカットが少しだけスローモーションになり、台詞も効果音もBGMも入らない環境音だけで、4人が笑顔で気持ちを共有し合う “約12秒間” が素晴らしかったなぁと思う。
僅かにスローになっていて、鳥のさえずりや、足音、洋服が擦れ合う音だけで、前回での楽しい様子が手に取るように伝わって来る。これ、恐らく前回を見逃した人でも、冒頭の前回までの振り返りと、この “環境音だけの12秒” があれば、凡その展開の察しはつくと思う。
もちろん、林遣都さんを始めとした俳優さんたちの演技があるから “環境音だけの12秒” が成立するわけだが、だとしても、大胆、且つ、自然な人物描写だったと思う。
"引き算の演出"が積み重なることで作品に没入しやすくなる
もう一つ、演出的にいいなぁと思ったシーンを挙げてみたい。
13分頃、いつものコンビニの前で桃子(有村架純)とみゆき(奈緒)の会話シーンがあった。みゆきに桃子が「真人に告白をした」と話すシーンだ。そのやり取りの殆どが、桃子が告白した時の真人の顔の表情のことだ。岡田惠和氏の脚本らしく、その時に桃子が真人の表情から感じたことを、丁寧に言葉で説明して行く。
普通なら、ワンカットくらい “その時の真人のアップ” を入れることで桃子の言っていることに信憑性が生まれるし(林さんの演技が素晴らしいから)説得力も出る。ただ、前述の “約12秒間” と同じ手法で、徹底的に桃子の説明とそれを聞いて理解しようとするみゆきの描写だけに拘った。
まあ、所謂、あれこれ加えて説明過多にするのとは真逆の「引き算の演出」なわけだが、「引き算」を積み重ねることで、視聴者は「ないものねだり」になり、その結果 “想像の域” が広く深くなる。だから、先が知りたくなり、見たくなり、惹き込まれて行く… と、思う。
舞台が"プチ明るい未来の日本"だから、"前向き"になれる!
演出の話ばかりではなんだから、これで最後にするが。
第1回の感想から書き続けていることだが、本作の劇中の世界は、2020年のコロナ禍の日本の10月のハロウィーンから(恐らく)12月のクリスマスまでの期間だが、「三密」や「ソーシャルディスタンス」や「マスク着用」などの現実的な要素は排除した「プチ明るい未来の日本」だ。
そこが、現実離れしていると思う人はいるかも知れないが、私は、その「プチ明るい未来」の “映像的なさじ加減” が、とても心地良いのだ。今や、「家庭内感染を防止するために、家の中でもマスク着用だ」… なんて言う情報番組のコメンテーターがいるご時世だ。
でも、本作の中では、コンビニの前で業務用おでん鍋を抱えて食べたり、バーでの何気ない2組の「二人女子会」が描かれたり、明るい空の下での「野球の試合」など、束の間だが現実を忘れさせてくれるシーンが、幾つか入る。
更に “まるで絵に描いたドラマ” のように、気持ちが良過ぎる位の音量とタイミングで、ミスチルの主題歌が入って来る。真人の投球シーンを見ただけで、「よし、オレも明日から頑張ろう!」と思った。そして、こう言うのが、朝ドラだったら… と、今、思う。
菊雄と真人の複雑な心境を丁寧に描いた、折り返しの第5話!
さて、ドラマとしては、真人の保護司である川上菊雄(光石研)が真人の母・貴子(和久井映見)へ吐露した複雑な “二つの親心” のようなものが、とてもドラマの重要なファクターになったと思う。あの菊雄の動揺があったからこそ、終盤での真人の桃子への複雑な心境の吐露が活きて来たのだ。
前回の「ダブルデート」から、それぞれがいろいろ考えて、一人で思い悩むのでなく、親友や同僚に直接会って相談すると言うのが良かった。SNSやメールは敢えて「スイッチ」であって、届いても届かなくても、心の「スイッチ」が入って動き出す。そして、遂に、桃子と真人の前に分厚い壁、大きな山が立ちはだかった。そんな折り返しに相応しい第5話だった。
あとがき
恋のライバルが登場してドタバタやるのではなく、主人公の桃子と真人をまず徹底的に掘り下げて描き、その他の脇役の部分で、シリアスとコミカルのバランスをうまく取っている感じですね。本当に丁寧に作られていると思います。あと、真人の良き理解者である悟志(藤木直人)は、本当は何者なのでしょう? その辺も大いに気になります。
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