姉ちゃんの恋人 (第4話・2020/11/17) 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・火9ドラマ『姉ちゃんの恋人』(公式)
第4話『ついに告白!秋のBBQダブルデート』の感想。
真人(林遣都)、日南子(小池栄子)、悟志(藤木直人)とダブルデートをすることになった桃子(有村架純)は、和輝(高橋海人)ら弟達に真人に恋をしていると告白する。桃子の幸せを願う和輝らは、桃子が恋愛で傷つくことを案じて涙ぐむ。一方、真人は桃子からのバーベキューの誘いに応じたものの、行っていいのか、楽しんでいいのかと思い悩む。それには真人の過去が関係していた。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:岡田惠和(過去作/ひよっこ、最後から二番目の恋、セミオトコ、少年寅次郎)
演出:三宅喜重(過去作/過去作/銭の戦争、嘘の戦争、10の秘密) 第1,2,3話
本橋圭太(過去作/緊急取調室1,2,3、TWO WEEKS、ケイジとケンジ)
宝来忠昭(過去作/僕の初恋をキミに捧ぐ、家政夫のミタゾノ3、セミオトコ)) 第4話
音楽:眞鍋昭大(過去作/SUITS[1,2]、後妻業、おじさんはカワイイものがお好き。)
主題歌:Mr.Children「Brand new planet」(トイズファクトリー)
沙織の「たまには じたばたしろって」が印象的だった!
序盤と言っても、冒頭からの20分間は、桃子(有村架純)と3人の弟たちの微笑ましいやり取り、桃子と日南子(小池栄子)と真人(林遣都)のダブルデートの楽しいやり取り、桃子の弟・和輝(高橋海人)と桃子の親友のみゆき(奈緒)のプチ胸キュンのやり取りと、想像以上のトントン拍子で話が進むが…
一度、職場でミス続きの日南子の告白の直前で一瞬だけ暗雲が垂れ込めるが、ミスの原因が “久し振りの恋愛感情” であることが分かって、また明るい展開へ。ここの僅かな緩急の付け方が視聴者を飽きさせない工夫だと思う。更に、照れる日南子に同僚の沙織がこんなことを言う。
沙織「たまには じたばたしろって」
私は、結果的に、この台詞が、第4話のテーマと言うか、背骨になっているような気がした。誰もが、自分が他人に “隠しておきたいこと” や “見せたくないこと” や “知られたくないこと” を抱えており、そのために無理して “普通” を装って生きる “息苦しさ” を、たまには “解放” しても良いのだ… と、本作は伝えようとしたのではないだろうか。
私も、「たまには じたばたしろって」って自分にも言いたいし(じたばたしてますね・笑)、知人に助言できるような思いやりのある人間になりたいと思った。
「たまに、じたばたするのは正義!」みたいなポジティブ感
また、この「たまには じたばたしろって」と言う台詞は、前述のような重たい意味合いでもなく、今回のあちこちに転がっていたとも思う。
例えば、日南子が路上駐車の車のミラーで身だしなみチェックをする様子や、偶然のペアルックのくだりや、スーパーでの買い出しの中での “割り勘負け” や、バーベキューでの「3本入りの太ちく」など、さり気なく登場人物たちの “じたばた” が描かれ、まるで「たまに、じたばたするのは正義!」と言わんばかりの、ポジティブな描写が本作らしくて良かった。
コロナ禍で様々な “こと” や “もの” が思い通りに出来ない今だからこそ、「たまに、じたばたするのは正義!」みたいな感覚って必要だと思うし、そう言うことを登場人物たちを通して伝えるのもテレビドラマの役割として、とても良いと思う。やはり、ドラマを見て何かを感じたいわけだから…
「真人の辛い過去」の回想が2つの意味で絶妙なタイミング
さて、今回は、複数の「久し振りに、恋、始めました宣言」から始まった。普通の恋愛ドラマなら…。まあ、最近は普通の恋愛ドラマは最初の数話を見て離脱しているが。序盤の20分間も恋バナ一色になれば、当然いつもの「継続視聴離脱コース」へ直行するのだが、絶妙なタイミングで「真人の辛い過去」の回想が挿入された。
この “絶妙なタイミング” には二つの意味があって、第4話の中でと言う意味と、全話が何話構成であるかは知らないが、連ドラとして折り返し地点の前と言う比較的早い時点でと言う意味もある。一つ目の方は言わずもがな、1時間が恋愛一色にならないことを阻止した。
もう一つは、これまでよりも親密になった関係を、最終回に向けてもっと盛り上げる必要があるから、無駄にあとに引き延ばすよりも、ここで明かした方が視聴者のモヤモヤが晴れて良いと思うからだ。流石、全話の構成がしっかりと出来ているからこその脚本の技だと思う。
ドラマにとって、メリハリ、緩急と言うものが実に大切か…
デートと言う普段の自分と違う自分をさらけ出すようなイベントを持って来ることで、真人が深く人と関わることを拒絶したり、自分は幸せになってはいけないと思っている苦悩、そのトラウマの原因である過去を丁寧に描き切った第4話。その一方で、桃子は弟たちとの関りを描き話すことで、これまでの苦悩を描いた。
これだけ書くと、かなりシリアスなドラマになってしまうが、本作が素晴らしいのは、シリアスな部分を忘れさせるくらいに、明るいシーンが多いこと。ドラマにとって、メリハリ、緩急と言うものが実に大切なのか、改めて分かった1時間だった。
ラストシーンは、演技、台詞、音楽の全てが秀逸過ぎる!
そして、ラストシーンも秀逸だった。桃子が自分の苦しい過去を真人に話しながら、こう言った。
桃子「しょうがないと思うんですよ。起きてしまったことは。
大事なのは そのあと どう生きるかだから」
そう、ここでも前述の「たまには じたばたしろって」と言う台詞が活きて来る。「たまに、じたばたするのは正義!」みたいな感覚で自分を勇気づけて告白する桃子。まだ桃子には知られていない辛い過去を背負った真人は、まだ “じたばた” する覚悟が出来ていない様子。
この辺りの、有村架純の笑顔に対しての、林遣都さんの無言の演技が、これまた素晴らしかった。
そして、同じくらいに素晴らしかったのが、ミスチルの主題歌の入る編集のタイミングだ。いや、桃子の告白とサビが来るタイミングも、そして、サビのあとのCメロと桃子の親戚で真人の保護司である川上菊雄(光石研)がタクシーで二人を見掛ける映像の内容のピッタリさ、どハマり感には、久し振りの鳥肌が立った。
あとがき
脚本と演出が良いのは当然ですが、脚本と演出の意図を俳優さんたちが正確に理解して芝居をしているから、ドラマ全体が一塊になって魅せられてしまうのですね。だから、登場人物たちの会話が、リアルで心地良く聞こえ見えるのだと思います。
また、最近流行の少女漫画チックなラブコメとは違った、ちょっと大人のラブコメとして成立しています。時間が大きく経過したり、季節感が無かったり、あり得ない設定の恋愛ドラマが好まれる中、クリスマスまでの時間経過をゆったりと描きつつ、すぐにハグしたりキスをしない人間の心理もじっくり丁寧に描かれており異彩を放った秀逸なラブコメになっています。
また、少しだけ社会派ドラマの一面も覗かせますが、桃子の明るさが全てをかき消しているのも上手いなぁと思います。
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