連続テレビ小説「エール」 (第21週/土曜日版・2020/11/7) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『エール』(公式サイト)
第21週『夢のつづきに』の
『土曜日版』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
音(二階堂ふみ)は、子育てで一度はあきらめた歌手になる夢をかなえるため、声楽講師のベルトーマス(広岡由里子)に勧められたオペラのオーディションに挑戦する。審査員席には懐かしい音楽学校時代のライバル・夏目千鶴子(小南満佑子)が! 一方、娘の華(古川琴音)は思春期で、母に反発することが増えていた。そして音が受けたオーディションは思わぬ方向に動き…。そして、音と華のことが心配な裕一(窪田正孝)はふたりのためにあることを思いつく。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
まえがき
前回を「大団円!」とか「大人のファンタジーで感動した!」とか思った方は、捻くれ者が書いた感想なので、この先を読んでも気分が悪くなるだけです。早々にこのページから離れるのをおすすめします!
作り手の意図を視聴者に伝えるのは本当に難しい
前回(第105回)の、捻くれ者の「不快だ!」と言った感想に、まさか、Web拍手が33回(本投稿時点で)も頂けるとは夢にも思わなかった。
作り手が “視聴者が不快感を覚える” ような作品を作るつもりでないのは百も承知だから、それだけ作り手の意図を視聴者に伝えるのは本当に難しいことなのだ。だからこそ、作り手は細心の注意を払って映像を創らなければ、伝えたい真意は捻じれて伝わると言うことだ。
1週間位使って、母と娘の関係修復を描けば良かったのに…
さて、第21週分の「土曜日版」の感想だが、冒頭のバナナマン日村さんのこのナビゲーションを今週の前段で描かれた母の音と娘の華のくだりに、「そんな意味があったのか!?」と思ってしまった。
N「(音に)歌手になるという夢に 厳しい現実が突きつけられます。
そして 思春期真っ盛りの華の揺れ動く心にも注目です!」
このナビゲーションのあとの映像を箇条書きにしてみると、こんな感じになる。
●音の歌のレッスン
●半年後、オーディション二次審査 with 夏目千鶴子
●数日後、音へ二次審査合格の通知が届く
●裕一が風邪をひいて、華がお粥を作って看病
●華が母に練習してもらいたから「家のことも お父さんのことも 私やるから」と
●音は、華の申し入れを断る
●(恐らく数日後)裕一の風邪が治る
●喫茶店で華が意中の渉に「父は天才作曲家、母はオペラ歌手」と羨ましがられる
●渉に「華さんにも音楽の才能があるのでは?」と言われ、プチ反論
●N「何だか複雑な思いがあるようです」
ここまでで、メインタイトルからちょうど3分間。これ、明らかに詰め込み過ぎ。もちろん、本編では3分間ではないが、数日だったろうか。
私なら、一週間くらい使って、夢を追い掛ける母と母の夢を応援したい娘の関係、自分を妊娠したことで母の夢を壊したと自分の出生を恨む娘の苦悩、才能ある両親のもとに生まれた娘の葛藤、意中の渉への華の恋心などを、放送残り1か月のエピローグの幕開けとして、じめじめ → カラッと へ、描きたいところだが。
両親が思春期の娘に気を遣っていないように見せるべき
しかし、今週の脚本家と演出家は、夢や、目標や、純粋な思いの全てを、あろうことか母の音の背中だけに背負わせてしまった。こんなに、↑の箇条書きのように週の前半で、母と娘の関係性を描くようなイントロを作っておいて…だ。これでは、母の音だけでなく、父の裕一すら、娘の華のことなんて気にしていないように見えてしまう。
だったら、両親が思春期の娘に気を遣っていないように見えぬよう、音と華を重ねる必要なんて無かったのだ。
むしろ、華は文学に興味があって、一時的に豊橋の関内家に居候して、梅ちゃんの仮弟子にして貰っている設定で、週末まで脇に置いておいたら良かったのだ。そうして、週末の音楽会に晴れ晴れとした顔で梅ちゃんと一緒に関内一家も参加できただろうし…
「音」と言う人物設定に"逃げ癖"を付けたのが失敗だった…
その上、この複雑な母と娘の関係を、「お母さんが 華を選んだの」で片づけてしまったのだ。今さら掘り返しても何の意味もないことは重々承知だが、そもそも、裕一と華は、華が主役に抜擢され舞台に立つことが二人の夢だったのだから、<計画妊娠>すべきだったのだ。
時代が… とか、ドラマチックにするために… とか言っている場合ではない。あれをやってしまい、自主退学をやってしまったから、「音」と言う人物設定に “逃げ癖” が付いてしまったのだ。“逃げ癖” とは、一度逃げたら次も逃げたくなると言う癖が付く… と言うやつだ。
だから、あの時は単純に、音は千鶴子に才能で負けて、音楽学校卒業と同時に「歌手になる夢」から離れて、数年後、華が産まれるホームドラマで良かったと思う。
今週は、「土曜日版」の編集のキレもよろしくない…
そして、「土曜日版」では、主役に抜擢された音が、都合良く、家事を華に頼む場面に切り替わってしまう。
これ、「裕一が風邪をひく」から「お手伝いを頼むシーン」まで全部を無しにして、「土曜日版」の冒頭は、「音の歌のレッスン」、「半年後、オーディション二次審査 with 夏目千鶴子」の後に、稽古のシーンを直結した方が良かったと思う。その方が、単純にスッキリしたはずだから…
「有名作曲家」である夫が妻に歌わせたい… だけなら
要は、「有名作曲家の妻」と言う肩書きのある音が、大人の事情で抜擢され、それを知った音が “逃げ癖” を発揮して身を引いた。それが可愛そうだから、「有名作曲家」である夫が妻に歌わせたい… だけでは?
だったら、戦時中に開催できなかった音楽教室の発表会を思い出せて、且つ、古山家は裕福なのだから、無料の音楽教室を再び開いて、ホールを借り切って、大トリで音が歌えば良かったと思う。そしたら、弘哉の母・トキコも息子の遺影を持って参加できただろうし、孤児のケンも楽しそうに歌っても良かったと思う。
「孤児院」を盛り込んで来たのは残念だった
でも、私の妄想や希望は、今週に限っては残念ながら、悉く裏切られては散っていった。まず一つ目は、「孤児院」を盛り込んで来たこと。
いくら「慈善」とは言ったって、一時的には貧しい時代もあったが、人生の殆どが裕福で恵まれすぎて来た裕一と音の立場を考えたら、「慈善」と言えば言う程、自己満足のために「慈善音楽会」を開いているように見えてしまったし、終盤で裕一が音を称賛すればする程に、この夫婦って… と見えてしまったのが、本当に残念だった。
「子ども」と言う"道具"を見せるだけで活かさなかった違和感
もう一つ残念、いや最大の違和感になったのは、今週は、華、孤児院の子どもたち、そして少年ケンを含めた「子ども」と言う “道具” を準備して、あちこちに使ったのに、恵まれた夫婦が尽力して「子ども」の夢や未来を育みました… 的な感動的な物語に出来たのに、「音がたくさんの人の前で歌えた」ことを最重要視して描いてしまったことだ。
いや、音楽学校時代の深夜のレッスン場で交わした裕一と音の約束を叶えるエピソードなのは分かる。ドラマの展開として間違ってもいない。
だからこそ、サブタイトル 『夢のつづきに』なのだから、敢えて「子ども」と言う “道具” を使わずに描いた方が、夫婦の感動物語になったと思うのだ。道具を見せびらかせておいて、使わないと言う意味が分からないのだ。
どうしても、「慈善音楽会」で音を歌わせたいのなら…
どうしても、「慈善音楽会」で音を歌わせたいのなら、吟と夫の智彦が音と裕一に直接相談して、ケンはもちろんのこと、久志や千鶴子、梶取夫妻らを巻き込んで、面白楽しく音楽会の準備や練習する風景を描くだけで、それなりに感動できる話になったと思う。やはり、脚本家のアイデア不足が足を引っ張っているのだろう…
あとがき
予告編を見る限りでは、前回の感想のあとがきに書いたように、内容は「裕一を中心に “福島三羽烏” や故郷の福島の話」になるようですね。
それと、志田未来さんがリンゴ農家の役で出演されるようですが、『美食探偵 明智五郎』でリンゴ農家の娘役をやっていましたよね。『ひよっこ』の泉澤祐希さんも出演されますね。音がメインでなければ、安心感は増すと思います。
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