連続テレビ小説「エール」 (第95回・2020/10/23) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『エール』(公式サイト)
第19週『鐘よ響け』の
第95回の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
映画「長崎の鐘」の主題歌制作のために、長崎を訪れている裕一(窪田正孝)は、原爆投下直後に永田医師(吉岡秀隆)が患者を治療した現場を見たり、永田の妹・ユリカ(中村ゆり)から当時の話を聞いたりして、永田が書いた「どん底に大地あり」の真意に近づこうと思いを巡らす。そして裕一はある答えを見つけて一気に曲を書きあげるのだった。そして、「長崎の鐘」を山藤太郎(柿澤勇人)に歌ってほしいと訪ねる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
●原案:林宏司 ●作:嶋田うれ葉、吉田照幸 ●演出:吉田照幸(敬称略)
永田医師や長崎の人たちが、裕一が作る楽曲に求めたのは…
ユリカ(中村ゆり)に案内された裕一(窪田正孝)が、永田医師(吉岡秀隆)が患者を治療した現場にあった「どん底に大地あり」と書かれた石塀の文字を触りながら、そこから何かを汲み取ろうとしている時に、永田医師のこんな台詞が被さっていた。
永田(M)「落ちろ… 落ちろ…どん底まで落ちろ」
そして、鐘の音に引き寄せられるように鐘のある高台にやって来た裕一に、今度はユリカが笑顔でこんなことを言った。
ユリカ「鐘の音が… 私たちに 生きる勇気を与えてくれました」
色とりどりの花の苗を植えている子どもたちの姿をじっと見て、「そっか…」と何かに気づいた裕一。急いで永田医師のもとへ走った裕一が永田に一言告げたのは…
裕一「希望ですか?」
の、一言だった。大きく頷く永田は、こう続けた。
永田「神の存在を問うた若者のように
『なぜ?』『どうして?』と自分の身を振り返っとるうちは
希望は持てません。
どん底まで落ちて 大地を踏み締め 共に頑張れる仲間がいて
初めて 真の希望は生まれるとです。
その希望こそ… この国の未来をつくると 私は 信じています」
原爆投下の地獄を体験した永田や妹、その他多くの長崎の人たちが、戦時中に戦争歌謡を次々と大ヒットさせた裕一を「あなたは 戦争中… 人々を応援しとった」と受け取っていた。
だから、長崎の人たちは裕一に、多くの若者たちを戦場に送り出した贖罪でも、その(裕一が罪だと思っている)ことへの永遠の許しを請い続けよと言うものではなかった。そんな長崎の人たちの裕一が作る楽曲に求めたのは、次の永田の言葉だった。
永田「希望を持って 頑張る人に エールを送ってくれんですか」
今回の重要な"キーワード"は「どん底」と「エール」
ここでの重要なキーワードは「どん底」と「エール」だ。普通なら作品のタイトルが台詞に入ると陳腐な感じになるが、ここでは主要な登場人物でない永田が言ったことで、むしろ、本作のテーマ性が強調される効果があった。
ここ最近の感想では、この現状で第1回に繋がるのか? と言うことばかり書いて来た。しかし、この「長崎の鐘」の誕生秘話は、本作の序盤、裕一の小学校時代と繋がっているように思う。
運動会でビリになり周囲から失笑を買った裕一は、それを自身のトラウマや引きこもりの材料になる前に、のちに裕一も入部することになる藤堂先生率いるハーモニカ部の演奏と、その演奏に鼓舞された観衆たちの “エール” によって、恥ずかしい失笑を自分の自信と希望に変えた。
そう、古山裕一は小学生の時から、自身の弱点である「どん底」から這い上がるためには「エール」が必要なことを知っていたのだ。そして、頑張る人にエールを送ることが、自分が得意とする作曲活動で叶えることが出来ることも知っていたのだ。
裕一の作曲術は、これまでも “孤独に身悶えしつつ” するのではなく、必ず誰かの助言やヒントによって “自身の閃きから湧き出るメロディー” だった。そう、裕一は、“人の繋がり” こそ、有益なものが生まれることを体現しているのだ。
智彦とケンと同期の松川も"人の繋がり"を描くエピソードに
そう考えると、前回までは不要だとも思っていた吟(松井玲奈)の夫・智彦(奥野瑛太)とケン(浅川大治)のくだりは、戦後の雰囲気を醸し出すエピソードとしては悪くないと思ってはいたが、別の意味が見えて来た。
智彦がケンとの出会いでラーメン屋の修業が上手く行ったり、同期の松川(木原勝利)の伝手で貿易会社に就職出来たりと、“人の繋がり” が人生を変えて行くことを、裕一とは別の路線で描いているとも受け取れる。その意味でも、今回の「長崎の鐘」の誕生物語は、僅か2回しかなかったが、その分だけ凝縮されていたと思う。
ラストの音は蛇足だが、終わり良ければ総て良し…か
問題は、終盤の音(二階堂ふみ)のくだりだ。はっきり言おう。あれは蛇足だと思う。13分頃のフェードアウトで終わった方が断然に良かった。
だって、ここで音に「裕一さんの思い 伝わりましたね」と言われても、音は結果的に何もしていない。その後の実家の関内家の話を含めて、夫も実家もお金儲けが再会できて嬉しい…みたいにしか見えなかった。
まあ、ああでもしないと、今週は前半と後半でかなり仕上がりが違うから、終わり良ければ総て良しと言う意味では、きれいにまとめたとしておこうと思う。
あとがき
今週の前半(月曜日から水曜日)は、裕一の作曲への苦悩と葛藤へ、強引に音を捻じ込んだために、説得力に欠ける内容でした。でも、後半の2回は、出来るだけ音を排除して、裕一と永田医師に注力したために、結果的に一週間単位で見たら、古関裕而さんの2大名曲の誕生物語をコンパクトにまとめたと言って良いと思います。
ただ、あまりにもコンパクト過ぎて、裕一が本当に立ち直ったのかは分かり難かったのが残念です。むしろ、「長崎の鐘」の尺を長めにしたら良かったかも知れません。
また、今さら本作と史実を照らし合わせる意味があるのかと思いますが。今週の前半で描かれたのが1948年の「鐘の鳴る丘」で、後半が1950年の「長崎の鐘」。実は、この2曲の間に、戦後の古関裕而さんが作曲した名曲1949年の「イヨマンテの夜」があります。
アイヌを題材にした歌謡曲として有名な楽曲で、 山男が「アーアー」と口ずさむ作風は、これまでの古関さんの作風とは違うから、実は密かに「イヨマンテの夜」の誕生秘話も期待していたのですが描かれないようですね。残念…
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