連続テレビ小説「エール」 (第93回・2020/10/21) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『エール』(公式サイト)
第19週『鐘よ響け』の
第93回の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
劇作家の池田(北村有起哉)が裕一(窪田正孝)に、ラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の音楽を依頼しにやって来る。裕一は、戦争中に自分がした事に責任があるといって断ろうとするが、戦争の悲劇から復活を真っ向から描くこのドラマの音楽は、裕一にしか書けないと池田は説得する。苦しんでいる子供たちを励まして欲しいと言って池田が置いて帰った主題歌の歌詞を見て、その力強さに裕一は心動かされる…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
●原案:林宏司 ●作:吉田照幸 ●演出:吉田照幸(敬称略)
前回の「今は音楽を恨んでます」は音でなく裕一のことだった
まず、前回の感想で、音(二階堂ふみ)が言った 「以前は音楽を愛していました。今は音楽を恨んでます」は、音自身のことでなく、過去と今の裕一のことを言っていることだと判明したので、そこは訂正させて頂きたい(修正はしませんが)。
なぜ、このことを冒頭で書いたのかと言うと、今回の内容に、前回でのこの音の台詞と、 吟(松井玲奈)が音に言った 「音が音楽の楽しさを思い出させるの」が大きく関係しているから。と言うわけで、今回の感想に移ろうと思う。
"音楽を憎んでいる裕一"が、池田と会話でしっかり描かれた
前回は、音が裕一の立ち直りに関与しているように見えない点について、批判的な感想を書いた。従って、今回は、前述の通りに、前回の二つの台詞が、今回でも引き続き描かれたのかについて考えてみたい。
まず、音の台詞についてだ。
音「以前は音楽を愛していました。今は音楽を恨んでます」
前回では、1年半の時間経過と、「裕一が分解し組み立てた時計は 10個を超えていました」と言うたった一つのナレーションで、裕一の苦悩や葛藤を描いて終わってしまった。
しかし、今回は敢えてアバンタイトルを配置せずに、前回のラストでのラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の音楽を依頼しにやって来た劇作家の池田(北村有起哉)が裕一に言った台詞から巻き戻して始まった。
池田「戦争の責任を全て背負うおつもりか?」
裕一は自分が作った音楽によって多くの人が死に悲しみに苛まれた現実を “自分の責任” と捉えて断ろうとするが、「痛みを知ったからこそ表現できるものがあると俺は信じています」と、このラジオドラマの音楽は裕一にしか書けないと説得した。そして、こう言い残して池田は、自身が書いた作詞の原稿を置いて帰って行った。
池田「苦しんでる子どもたちを励まして下さい」
池田を全く相手にしなかった裕一が、「苦しんでる子どもたちを励まして下さい」と言う池田の言葉に動かされたように作詞の原稿に手を伸ばした。この辺は描かずとも、毎回見ている視聴者であれば、戦死した弘哉(山﨑聡真)のことや、裕一は直接面識はないものの、闇市で盗みを続ける少年・ケン(浅川大治)の存在も重なって来る。
池田が、ほんの少しずつだが、裕一の閉ざした心を解して行く予感を漂わせるだけにするために、一旦、 吟の夫・智彦(奥野瑛太)にシーンを切り替えたのは上手いと思う。
"音楽を憎んでいる裕一"が、もがき苦しむ姿も丁寧に描いた
そして、智彦のシーンから翌朝の古山家に場面転換すると、裕一のこの台詞から、物語の歯車が動き出した。
裕一「これ読んだ時ね ほんの一瞬だけどメロディーが鳴ったんだ」
その後も、闇市の現地取材をし、部屋に籠り、作曲活動に専念、いや、何かに憑りつかれたように書き始めた。過去に耳にした言葉や数々の回想シーンをインサートして、苦悩と葛藤し、もがき苦しみながら、いつも以上に「ゼロから作品を生み出す苦労」を分かり易く、且つ丁寧にしっかりと描写して来た。
前回の「時計の数と時間経過だけ」とは雲泥の差だ。見ているこちらにまで、痛々しさが伝わって来た。しかし、9分頃の葛藤のあとでも、曲は出来なかった。そう簡単に曲ができないと言う描写こそが、音が言った「今は音楽を恨んでます」と言う裕一の気持ちが、どれだけ強烈なものなのかを描いた。
出来れば、前回でこの位の表現をやって欲しかったが、1日遅れでも、やらないよりはマシ。と言うか、ここは絶対にやるべきだから評価したい。
「もう自分を許してあげて!」で解決すのは安っぽすぎる!
ただ、問題は、これが「音が音楽の楽しさを思い出させるの」に、なっているのかってこと。私は、音が裕一に音楽の楽しさを思い出させたような表現になっていないと思う。
なぜなら、裕一が池田からの依頼に本気で向き合おうとしたのは、池田が書いた作詞の内容の力強さに心を動かされたわけで、そこに音は一切関わっていない。6分頃の音は、単純に裕一の下した結論に「すごい! すご~い!」と喜んで騒いだだけ。この喜びを音も裕一と共に苦しんでいたから…と解釈するのは、私から見ても好意的過ぎると思う。
音「もう自分を許してあげて!」
で、もしも、上記の音の言葉が、裕一を変えたとするなら、流石に陳腐過ぎやしないか。確かに、娘の華と一緒に見守るシーンもあったし、裕一を心配している音も描かれた。しかし、たった一つの台詞で裕一の苦悩や葛藤が解消されてしまっては、「音が音楽の楽しさを思い出させるの」になっていない。
百歩譲って「音の言葉が裕一を自縛から解き放した」なら、ギリギリ許容範囲だが。結局、音は裕一を見守ってはいたけど、応援しているようにも、二人三脚しているようにも見えないまま、たった一つの「もう自分を許してあげて!」で解決しちゃうのは安っぽすぎるし、ご都合主義すぎる。まあ、音はそう言う役割と言われればそれまでだが。
あんな一言で解決するなら時間経過も10個の時計も不要…
折角、今回で裕一の苦悩や葛藤をしっかり描いたのだから、そこから回復する過程も同じくらいの熱量で描写すべきだった。あんな一言で問題解決するなら、時間経過も10個の時計も必要なかったのでは?
結局、音の歌のレッスンだとか、吟の夫のくだりとか、あれこれ詰め込み過ぎるから、肝心の部分の描写に尺が割けなくて、雑になった。まあ、それだけのことと言ってしまっては元も子もないが。
あとがき
裕一にとって「戦争の責任を全て背負うおつもりか?」と言われるほどの苦悩と葛藤は、あんなに簡単に回復しちゃうの? 最後の笑顔でオルガンを弾く裕一を見て、裕一って、こんな人だっけ? と思ってしましました。
また、音も、そもそも問題解決能力に長けた女性だったはずなのに、あれこれ工夫して試行錯誤して裕一を窮地から救うのでなく、たった一言で終わり。音って、こんな人だっけ? と思ってしましました。
放送回数が減ったのが原因か分かりませんが、あまりにご都合主義ますよ。朝ドラだからこそ、夫と妻が一緒に乗り越える… のを丁寧に描いて欲しかったです。最後に、「鐘の鳴る丘」のレコーディング風景は良かったです。
全く感想とは無関係な話ですが、日曜日の午後からメインで使用しているノートパソコンが修理に出ていましたが、キーボードが新品になって昨夜に無事帰還しました。3年間保証に加入していてラッキーでした。、
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