連続テレビ小説「エール」 (第92回・2020/10/20) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『エール』(公式サイト)
第19週『鐘よ響け』の
第92回の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
吟(松井玲奈)の夫・智彦(奥野瑛太)は復員して就職先を探す日々だったが、元軍人という経歴が邪魔をしてなかなかうまくいかない。一方、裕一(窪田正孝)の心も相変わらず止まったままだった。音(二階堂ふみ)は裕一に音楽の楽しさを思い出してもらうために、自分でも何か始めようと、バンブーで紹介された歌の先生のレッスンを受けることにする。レッスン中、現れた先生の友人は、懐かしいあの人だった!
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
●原案:林宏司 ●作:吉田照幸 ●演出:吉田照幸(敬称略)
久しぶりの通常の「メインタイトル(主題歌あり)」
前回まで、週跨ぎで「メインタイトル(主題歌も無し)」がない4回目の『エール』が放送された。実は、敢えて触れる必然性を感じなかったから書かずにいたことがある。それは「メインタイトル」の映像こそ無かったが、「連続テレビ小説 エール」と言うタイトル表記は4回全てにあった。
そして、先週後半の3回分は、落ち着いたグレー系のトーンで彩られ、前回ではいつも通りの配色に戻ったタイトル表記が裕一(窪田正孝)の座る縁側に映し出された。そして、今回はアバンタイトルを入れて、通常の「メインタイトル(主題歌あり)」に戻った。
ちょっとした演出だが、「連続テレビ小説 エール」と言うタイトル表記の全体がパステル調だから、内容に合わせて工夫したのは明らか。こう言う視覚効果も毎日見る視聴者にとっては、意外と15分間の内容を表すものとして興味深かった。
せめて、音の「音楽教室」をもっと丁寧に広げるべきだった
主題明け、前回で何故か東京と豊橋のとんぼ返りしただけの音(二階堂ふみ)が吟(松井玲奈)の家にいた。どうやら、前回で他界した岩城(吉原光夫)や実家の馬具製造業の今後について報告にやって来たようだ。
さて、ここで、Yahoo!テレビのあらすじが映像と合っていないことが分かる。「あらすじ」では「裕一に音楽の楽しさを思い出してもらうために、自分でも何か始めようと」と書いてあるが、明らかに間違っている。だって、音は裕一に音楽の楽しさを思い出せようなんて、これっぽっちも思っていない。
この脚本と演出では、ただただ、義弟の裕一が作曲をしないことで落ち込んでいる妹を、この台詞で強引に音楽、歌をやらせようと進めただけ。ちっとも、この時点で音の中に「裕一に音楽の楽しさを思い出してもらうために」なんて気持ちは描かれていないのだ。
吟「音が音楽の楽しさを思い出させるの」
う~ん。この台詞を吟に言わせるには、(絶対にとは言わないが)戦中に自宅で開いていた近所の子供たちを集めて無料で音楽を教えた「音楽教室」の場面をもっと膨らませておくべきだった。
音は音痴の弘哉にみんなと一緒に合唱できるように個人レッスンをやってあげても良かったし、そのレッスンの教え方を試行錯誤する際に、自身の歌の師である御手洗(古川雄大)のことを思い出す… とかしていれば、子育てや夫の世話に明け暮れる毎日の中でも、音は音楽、歌のことは忘れていない…と思える。
しかし、残念ながら音痴の弘哉にハーモニカを与え、音楽の楽しさを教えたのは裕一。もちろん、その後の展開で、戦死した弘哉(山﨑聡真)が焼け焦げたハーモニカとして帰って来ると言う筋書きがあるから、そうしたのだと思うが。裕一はともかく、「音=音楽や歌」と言う印象は殆どない。
恐らく音楽学校を辞める辞めないで、裕一や双浦環(柴咲コウ)とやり合った以来ないのだ。ないのに、あったかのように、進めるのは流石に視聴者を馬鹿にしているとまでは言わないまでも、連続性が著しく欠落した連ドラであると言わざるを得ない。
この原因は、恐らく、吉田照幸氏以外の脚本担当が、「音=音楽や歌」と言う印象の植え付けをやって来なかったから、こんな事態になってしまったのだと思う。
おふざけ演出の直後に音が言うから、どこか白けてしまう…
ベルトーマス羽生(広岡由里子)のレッスン中、偶然に御手洗が登場した。そして、御手洗のカメラ目線やら吉田照幸氏お得意のおふざけも入った。それ自体は作風だからしょうがない。ただ、ああ言うのを入れた後に、音がこんなことを言うと、どこか白けてしまう。
音「まだ… まだ曲を書くつもりはない?」
自分は久しぶりに歌って気分が良かった。それは分かる。ただ、その続きで「まだ… まだ曲を書くつもりはない?」と言うと、私には「働かないの? お金稼がないの?」と家計を心配しているように聞こえてしまった。
まあ、そもそも音が「曲が書けなくなった裕一」をどこまで、どれだけ心配しているのか、裕一の戦場での体験の描写ばかりに専念しすぎて、吉田照幸氏が先週から殆ど描かなかったのが一番良くないのだが。
華役をバトンタッチさせる脚本と演出は一工夫したとは思う
でもって、9分頃、唐突に「1年半」の時間経過。驚いたのは、華が巨大化して帰宅したこと。23歳で身長161センチの古川琴音さんにバトンタッチ。因みに、直前まで華を演じていた根本真陽さんは、11歳で151センチ。まっ、バトンタッチの演出の一つとしては工夫したとは言えなくもないが…
音の音楽や歌に対する描写が少な過ぎたから説得力に欠ける
11分頃、御手洗の占い所? で音が占ってもらう場面でも、気になった台詞があった。
音「以前は音楽を愛していました。今は音楽を恨んでます」
確かに、本作の序盤では、そう5月上旬に放送された第5週『愛の狂騒曲』での豊橋のホールでの演奏会あたりまでは「以前は音楽を愛していました」に異論はない。しかし、第6週以降、この先週の第18週まで、音は音楽を愛していたと言えるだろうか。
やはり、裕一の音楽や作曲に対する描写ばかりに専念し過ぎたために、朝ドラのヒロインの音楽や歌に対する描写が少な過ぎた。そこをもっと描いていれば、自動的に音は今の裕一に寄り添えるはずだし…
そもそも音は吟の助言や御手洗の占いは必要ない設定では?
そもそも問題解決能力が長けていると言う設定が音にあるだから、吟の助言や御手洗の占いなんて、連ドラとして “音パート” だけ破綻しているようなものなのだ。ここを今後、上手く修正なり補強しないと、 “音パート” は益々ご都合主義的にとってつけたエピソードになると心配しかない…
あとがき
裕一の苦悩、葛藤は、未来の成功に繋がっているように、丁寧に描かれています。連ドラして “裕一パート” はそんなに破綻はしていません。それだけに、音が音楽や歌を語り出すと、「今さら何言ってんの?」に見えてしまうんですね。
既に放送済みの部分は修正できませんから、今後は、今回のように「音単独」で音楽に関わらずに、裕一と一緒に、そう二人三脚で音楽や歌に関わるように描いたら良いと思います。戦後なら、描けるはずですから…。まだまだ、右上がりに面白くなることに “エール” を送り続けます!
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