連続テレビ小説「エール」 (第85回・2020/10/9) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『エール』(公式サイト)
第17週『歌の力』の
第85回の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
報国音楽協会に呼び出された裕一(窪田正孝)は、戦地の慰問を依頼される。裕一の帰宅を待っていた鉄男(中村蒼)は、前線は思っている以上に危ないので慰問には行くなと忠告する。裕一は皆が命がけで戦っているなら、自分は自分のできることで協力したいと聞く耳を持たない。そして1か月後、裕一に慰問に出発するよう命令が下る。5日後には出発するという話を聞いた音(二階堂ふみ)に、裕一は…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
●原案:林宏司 ●作:吉田照幸 ●演出:橋爪紳一朗、鹿島悠(敬称略)
前回と違う"柱立て"と"間"の取り方で、落ち着いた雰囲気に
前回は、好き嫌いや賛否はあるだろうが、ほぼ全編が登場人物たちの台詞で埋め尽くされ、私は少し厄介な話を “分かり易い朝ドラ” に仕立てたと評価した。しかし、今回は前回とは少々異なった脚本の “柱立て” と、演出の “間” の作り方を感じた。
"柱立て"と"間"とは?
因みに、脚本の “柱立て” の “柱” とは、所謂、脚本に於ける「シーン」の説明部分のこと。普通は「場所」「時間帯」を指定すること。柱立てとは、要は、「シーン」の順番が前回よりもドラマチックに構成されているってわけ。
また、演出の “間” はその通りの “間” だが、今回に於いては、「シーン」と「シーン」との “間” に余裕を取っていため、先週のような箇条書きに見ない工夫が施されていたと思う。
"柱立て"と"間"が効果的だった、幾つかの場面を挙げてみる
幾つか例を挙げると。アバンタイトルで戦地の慰問を依頼された裕一(窪田正孝)が帰宅して、「僕も 自分のできることを 精いっぱい やらなきゃ…」と言った直後から、メインタイルとに行くまでの、裕一からカメラがゆっくりと引いて行く「約12秒間の間」がそれ。神妙な劇伴と合わさって、事情の複雑さを “間” で表現した。
また、報国音楽協会から慰問に出発する電話が来るシーンが、直前の鉄男(中村蒼)の説得から「1か月後」に設定されているのも、個人的には長過ぎず短過ぎずと思う。数日後では緊迫し過ぎるし、数か月後では緊迫感が削がれてしまう。
更に、慰問に行く裕一と、慰問に行って欲しくない音の夫婦をず~っと描くのでなく、赤の他人である日本作曲界の重鎮・小山田耕三を台詞で登場させたり、同居していない肉親として裕一の弟・浩二の電報と母・まさの病気を登場させたり。
また、「喫茶・竹」では梶取保(野間口徹)を登場させた上に、いつもとは逆のアングルから店のカウンターを撮影して少し違和感も加え、話がこじんまりとしないように、且つ、裕一の意思が強固になっていく過程を報国音楽協会以外のアイテムを使って描いた。まあ、こんなところが、前回とは違っていた。
"柱立て"と"間"で、じっくり丁寧に描いているように見えた
これらの工夫で、台詞では描いていない、微妙な描写が見えて来る。前回よりも情報量は多いが、台詞が少なめで “間” があって、シーンが次々と変わるから、見る人にとっては、前回よりも分かり易い上に、じっくりと丁寧に描いているように見えたのではないだろうか。
もっともっと、「裕一と音楽の関り」を描くべきだった…
ただ、不満がないわけではない。終盤で、裕一が音に書き残した手紙の一文を、ここで引用してみる。
裕一(M)「君との歌も 応援団の歌も 予科練の歌も
僕の曲作りは 人との触れ合いの中で 生まれてきました」
私は本来、本作が描くべきことは、この裕一のモノローグだと思っている。要するに、裕一が作曲して世に出た数々の楽曲は、人との関わりの中で誕生し評価されて来たと言うこと。逆に言えば、裕一は、人との関りの中で音楽を作って来たと言うこと。だから、もっともっと、「裕一と音楽の関り」を描くべきだった。
しかし、本作は残念ながら、「裕一と音楽の関り」よりも、「裕一の周囲の人たちの四方山話」の方ばかりを描いて来た。異論反論はあると思うが、特に、原案の林宏司氏と、本作の脚本と演出を担当している吉田照幸氏以外の週は、「裕一と音楽の関り」への拘ったエピソードが少なかった。
もちろん、林宏司氏の降板やコロナ禍での撮影など、様々な事情があったのは理解するが、やはり第1回で描いた「裕一と音楽の関り」が、完全に貫かれなかったことには、残念だったと言わざるを得ない。と共に、残りの放送では巻き返して欲しいと願う。
あとがき
今週は、裕一が戦地の慰問に行く決意に対して、反対する人たちを描きつつ、遂に出発と言う流れを上手く描いたと思います。
次週は、いよいよ慰問先での出来事が中心になるでしょうが、そこでも前述の「裕一と音楽の関り」を描くのに、まさの病状悪化や、祐一と鉄男の作った音楽で戦地へ送り出した藤堂先生(森山直太朗)なんかが登場すると、第15週『先生のうた』と繋がって、連ドラらしさが出て来るのですが。さて、どうなるか楽しみです。
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