半沢直樹[2020] ([第2部] 第10話/最終回15分拡大SP・2020/9/27) 感想
![半沢直樹[2020]](https://blog-imgs-140.fc2.com/d/m/e/dmesen/hanzawa_naoki2020_dra.jpg)
TBSテレビ系・日曜劇場『半沢直樹[2020] 』(公式)
[第2部] 第10話/最終回15分拡大SP『最終回1000倍返しなるか! そしてまさかの辞表!? 最終決戦』、ラテ欄『さらば半沢直樹…1000倍返しなるか 妻と仲間を信じて』の感想。
なお、原作の池井戸潤「ロスジェネの逆襲」(小説)、池井戸潤「銀翼のイカロス」(小説)、池井戸潤「半沢直樹3 ロスジェネの逆襲」(小説)、池井戸潤「半沢直樹4 銀翼のイカロス」(小説)は未読。
「伊勢志摩ステート」から箕部(柄本明)への金の流れが記された決定的証拠が、大和田(香川照之)と中野渡(北大路欣也)によって箕部の手に渡ってしまい怒りに燃える半沢(堺雅人)。プロジェクトから外され、バンカーとしての熱意を失いかけるも、森山(賀来賢人)と瀬名(尾上松也)に背中を押され、もう一度立ち上がることを決意した半沢は、渡真利(及川光博)と共に紀本(段田安則)の居場所を突き止め、衝撃の事実に行き着く。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:池井戸潤「ロスジェネの逆襲」(小説)
池井戸潤「銀翼のイカロス」(小説)
池井戸潤「半沢直樹3 ロスジェネの逆襲」(小説)
池井戸潤「半沢直樹4 銀翼のイカロス」(小説)
脚本:丑尾健太郎(過去作/下町ロケット、ノーサイド・ゲーム) 第1,2,3,4,5,6,7,8,9,最終話
金沢知樹(過去作/カサネ、シメ)シ 第5,8話
谷口純一郎(過去作/警視庁・捜査一課長3) 第6,7,9,最終話
李正美(過去作/「集団左遷!!」#5~シリーズ構成) 最終話
演出:福澤克雄(過去作/半沢直樹、小さな巨人、下町ロケット) 第1,2,3,4,8,9,最終話
田中健太(過去作/半沢直樹、小さな巨人、陸王、ブラックペアン、下町ロケット) 第5,7話
松木彩(過去作/下町ロケット2018 第10話のみ、グッドワイフ第7話のみ) 第6,8話
音楽:服部隆之(過去作半沢直樹、ルーズヴェルト・ゲーム、下町ロケット、陸王)
今回も、分かり難い金融業界の仕組みを分かり易く描いた!
今回も、前回の感想にも書いた通り、私自身は基本的に金融に詳しくないし無頓着。しかし、本作は、ドラマの進行を妨げずに、分かり難い金融業界の仕組みを、限られた時間の中で分かり易く描こうとしていることを、今回も大いに評価したい。
最終回までの内容を、金融業界に疎い私なりにまとめると…
だが、回を重ねる毎に話が長くなり複雑化し、当然に最終回だけを見ただけでは少々分かり難いのは確か。そこで、前回まで評判が良かったので、今回も私のような金融に詳しくない読者さんのために、第5話から「第2部」になった最終回までのストーリーを私なりにまとめてみた。ホント、どんどん長くなって申し訳ない…
第5話では。東京中央銀行(準主力銀行)が700億円、開発投資銀行(主力銀行=メインバンク)が2500億円を、帝国航空に融資(債権)していた。
しかし、帝国航空の経営悪化に伴い、このままでは倒産しそうだと言うことで、支持率アップのために進政党(政権与党)と、進政党が作ったタスクフォース(緊急性の高い特定の課題を達成するため、一時的に設置される組織)が「融資の7割をカットしろ!」と言い出した。
第6話では、東京中央銀行の半沢(堺雅人)がとても生意気な態度をとるから進政党政権は、幹事長・箕部(柄本明)の指示で東京中央銀行へ金融庁検査に入った。一方、帝国航空は人員削減のための受け入れ先としてスカイホープ航空を見つけ出す。
しかし、そのスカイホープ銀行も、進政党政権の国土交通大臣・白井(江口のりこ)から、ハワイ航路や国内のドル箱路線への増設の認可が下りないと言う妨害を受けた。
第7話では、半沢はタスクフォースの言う債権放棄を断固拒否すると言う結論に達した。そこで政府は何とかきちんと東京中央銀行に債権放棄させるために圧力をかけられた常務・紀本(段田安則)が役員会議で反論した。
また一方で、政府が開発投資銀行に対して “民営化” を進めていた。今は政府(財務省)が100%の株を保有している “政府系” の開発投資銀行を、国が株を放出して一般国民が株主にすると言う案だ。
そして、白井大臣を含めて「民営化案」を政府が賛成したことで、開発投資銀行は政府の言いなりになりたくないし、“民営化” もされたくないから、債権放棄を拒否した。
第8話。序盤でタスクフォースが再建案を作って来たが、実はその再建案が、半沢が作っていた再建案の丸パクりだったが、羽田-伊勢志摩路線の存続案だけが残されていた。なぜなら、伊勢志摩は進政党幹事長・箕部(柄本明)のお膝元だったから。そして、東京中央銀行と箕部幹事長は繋がりがあった。
旧東京第一銀行(半沢が入行した産業中央銀行「旧S」は、2002年に東京第一銀行 「旧S」との合併を経て、世界第三位のメガバンク・東京中央銀行となった)が箕部幹事長に20億円融資をしていた。その融資の目的はマンションの建設資金と書いてあったのだが本当にそうだったのは分からぬ上に、そもそも5年間無担保で20億円も融資するのは不正。
そこで箕部幹事長の不正の証拠となるクレジットファイル(取引先の詳しい融資情報)を見つけて、箕部幹事長と紀本常務(段田安則)を追い詰めることが出来ると思ったが、箕部幹事長が、旧東京第一銀行は他にも多額の不正融資をしていた過去があり、その融資先の一つの怪しい会社から旧東京第一銀行は多額のキックバックを貰っており、その一部を元副頭取(故人)・牧野(山本亨)が貰っていたことを暴露した。
この過去の事実を金融庁に暴露したら、以前のように金融庁捜査が入り、ルール違反となり、業務改善命令が出されて、場合によっては業務停止命令だと、箕部幹事長が「銀行には時効というものがないもんね」と半沢たちを “脅し返し” をして、半沢も謝罪をせざるを得なかった…
第9話。合併前の東京第一銀行「旧T」は、20億円もの融資を箕部幹事長(柄本明)にしていた。それも、マンション建設資金の名目で無担保で融資していた。では、箕部はどのようにして、20億円を手にしたのか。銀行の処理場では現金で引き出していたことになっていた。そして、その20億円の行先は伊勢志摩ステートと言う会社だった。
そして、伊勢志摩ステートは20億円で、当時は二束三文の価値しか無かったであろう地元の山林を、伊勢志摩空港の建設予定地として購入していた。その建設予定地に箕部幹事長が伊勢志摩空港を誘致した結果、その土地は国が買い上げることになり、伊勢志摩ステートに莫大な売却益が発生した。
因みに、本編では描かれていないが、空港が出来ても飛ぶ飛行機がないと国が空港として開港できないため、裏で箕部幹事長が、第8話に登場した、再建案に書かれていた羽田-伊勢志摩路線の存続案を利用して、飛ぶ飛行機があるからと言うのを理由に誘致をゴリ押ししたと思われる。
さて、これで、伊勢志摩ステートは膨大な売却益を受けて、銀行の手続き上は現金で引き出したことになっていたが、どのような経路でその金が箕部に亘ったのかは分からない。そこで、「旧T」の元副頭取の牧野(山本亨)の部下だった人たちが牧野を偲ぶ会として作った「棺の会」への現金引き出しは無いかと調査したのが、今、金融庁から国税庁に出向している黒崎だった。
黒崎は、「棺の会」の他の銀行口座に入金されていたことを突き止め、「旧T」への口止め料であることが判明した。では、箕部への入金方法についてだが、それは地下5階の段ボール箱の中に秘密(「旧T」の犯罪の証拠)があることはわかっていたが、一足先に大和田が持ち出して箕部に渡された。証拠が無くなってしまった半沢は、どうやって千倍返し出来るのか…
ここから、最終回の全容 ※当然、ネタバレあり
そして、最終回。前回では伊勢志摩ステートが、どうやって箕部幹事長にお金を渡していたのかが分からなかった。そして、今回で判明したのが、伊勢志摩ステートの「旧T」の口座から、現金で100億8000万円を引き出して、そのお金が箕部幹事長のUAE銀行の海外口座に入っていたこと。
政治家は、お金が入ったら政治資金収支報告書に記載しなければいけないが、箕部幹事長は記載していなかった。また、UAE銀行も、多額のお金が入金された場合、マネーロンダリング等を防止するために、日本の金融機関に報告しなくてはいけない義務があり、UAE銀行も大きな違反をしていた。
なぜなら、UAE銀行が金融庁なりに報告していれば、黒崎などが調査して調べることが出来た訳だから。従って、海外の銀行を巻き込んだ大事件のため、箕部幹事長は失脚せざるを得なかった。
ここからは、想像の域。なぜ、箕部幹事長は本人名義で個人口座を作ったのか?
偽装するなら他人名義で口座を作るとか、架空の会社を海外に作るとかしたらバレにくいのに。でも、他人を信用しない箕部幹事長だからこそ、敢えて自分名義で作り、他人を信用しないと言う人間性で自らが失脚したと捉えれば、正に自業自得と言うように考えることも出来る。
更に、箕部は「古い人間」だから、細々とした手段を取らずに、自分名義の口座を使っていたとも受け取れる。それは、「融通がきかない人、頑固な人」を表す「石部金吉(いしべ きんきち)」(石と金と言う二つの硬いものを重ね合わせて、人名のようにした四文字熟語)と言う “古い言葉” を箕部が使っていたことともリンクする。または、最終回を分かり易くするための可能性もある。
※最終回の本編の感想は。『実際に起きた「JALグループ再生中期プラン」を調べてみた』の章の下にあります。
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実際に起きた「JALグループ再生中期プラン」を調べてみた
前回の感想のコピペになるが、「第2部」のストーリーのもとになっている、2009年に実際にあった「2008~2010年 JALグループ再生中期プラン」を振り返ってみると、実際にはどうだったのか? も調べ直してみた。
JALの一番のメインバンクであった日本政策投資銀行の借入金残高が2,346億円で、二番目のみずほコーポレート銀行が759億円、因みに三番手が三菱東京UFJが738億円、四番手の三井住友銀行が443億円。
当時、民主党政権が誕生した直後の2009年9月25日に、前・自民党政権が作った「JAL再建案」を当時の前原国交相が不十分だと言って、「JAL再生タスクフォース」を組織して、100名程度のチームを作った(その中に、銀行員はいなかった)。
しかし、世間や野党からは、そもそも「JAL再生タスクフォース」は大臣の諮問機関であって法的根拠が無いと言われたり、10億円もの経費がJALの資金と言うおかしな再生プランだった。そして、実際に行われたことは、事業の見直し、経営陣退陣、債権カット(自民党案では、債権カットでなく、債権を遅らせる…だった)の3つ。
もちろん、この当時の前原国交相の諮問機関「JAL再生タスクフォース」はぐちゃぐちゃになり、結果、約1か月後に「JAL再生タスクフォース」は解散し(民主党政権の最初の失敗と言われている)、「企業再生支援機関」と言う別の組織へ依頼することになり。同年10月29日に会社更生法申請により、翌年1月19日にJALは倒産し、株券は紙くずになった。
因みに、第7話で描かれた「民営化」の話も実際にあった。それは、前述の日本政策投資銀行の民営化だ。リーマンショック(2008年)以前から民営化の話はあったが、リーマンショックがあったために先延ばしされ、今でも先延ばしは継続中であり、株式会社ではあるが民営化はされていない。こんな事実を、原作者の池井戸潤氏が、巧みに物語に組み込んだ…と言うわけだ。
流石に、内容が濃いために今回の冒頭にあった「これまでの振り返り」だけでは細かな展開は分かり難いが、毎回の内容が金融関連の難しい内容を丁寧に分かり易く説明しているから、本編が始まるとすぐに思い出せる。ここが、まず本作の人気の秘訣だと思う。
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花が随所で"ヒロイン"らしい活躍を見せたのが良かった
半沢(堺雅人)の妻・花(上戸彩)の前職がフラワーアレンジメントで、2020年版では、自宅でフラワーアレンジメントの教室を開いており、先輩の花屋も手伝っていると言う『1』と『2』に跨る設定が、半沢家に白井大臣 (江口のりこ)が急に来訪する場面で活かされるとは思わなかった。
花「白井大臣にぴったりのお花です
はい… 桔梗です。花言葉は『誠実』
凛として いつもまっすぐな白井大臣 そのものでしょ?」
花の設定については、一部の視聴者から「専業主婦を軽視し過ぎる」などと言われていた。しかし、このシーンひとつ取って見ても、明らかに “ヒロイン” であることは間違いない。このようなピンポイントで、地道な設定をポ~ンと活かしてくれたのは、気持ちが良かった。
どんどん進む物語に、追いつくのが精一杯な満足感と充実感
前述の私が書いた「最終回のまとめ」を読めば、最終回は何ら複雑な話ではない。むしろ、箕部幹事長が自身名義の個人口座に入金先を絞り込んだことで、より物語は簡潔になってる。物語は簡潔になっているのに、最終回は実に凝縮されていた。
詰め込み過ぎと言うより濃厚と言った方が最適だ。そう見えたのは。15分拡大なんて全く気にならなかったし、どんどん進んで行く物語に、むしろ追いつくのが精一杯と言う満足感があったからだ。
大胆な構成が、"種明かし"の痛快さと迫力を生み出す原動力
その満足感を生み出した要素は幾つもあるが、最終回で私の目を惹いたのは、脚本と演出による時間軸の行ったり来たりだ。
例えば、 中野渡頭取(北大路欣也)の代わりに、半沢が「中野渡頭取の会見当日」に出向くくだりだ。あの場面では、半沢が自身の辞表を出して白井大臣と手を組むくだりが、回想シーンとして効果的に挟み込まれていた。
本来なら時間軸通りに進んでもそれなりの面白さがあるが、白井大臣が会見に遅刻すると言うポーズを作るためにも、「正義のための裏取引」的な面白さを出すために、回想にしたのだろう。あのような大胆な構成こそが、本作の分かり易さの上に、“種明かし” 的な痛快さ、そして迫力を生み出す原動力なのだ。
痛快に国民が勝利する勧善懲悪の、秀逸な銀行ドラマ!
また、終盤で、半沢が箕部に土下座をさせることになった、あの演説。このコロナ禍で疲弊している今の日本国民の(観た)全員の心に突き刺さったと思う。
銀行のドラマで、ここまで政治家の悪事や政治の汚職を真っ向から取り上げて、痛快に国民が勝利するドラマ。この勧善懲悪に徹した上で、今どきの要素を上手く取り入れた内容だからこそ、本当に面白いドラマになったのだ。
あとがき
台詞を含めた脚本の内容はもちろんのこと、俳優の演技で魅せようとする演出の作り込みのスゴさが半端なかったです。ここまで、脚本と演出と俳優が絶妙にタッグを組むと、ここまで感動的なドラマが生まれるものかと、更に感動しました。
また、最後の半沢と大和田のやり取りも良かったです。半沢の “バンカーとしての正義感” を上手く利用して、負けているに勝っているかのような大和田の描写は、『3』を予感させてワクワクしました。コロナ禍の中、最終回まで放送して下さったキャストやスタッフの皆さんに感謝します。
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【これまでの感想】
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 生放送!!半沢直樹の恩返し 第8話
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