竜の道 二つの顔の復讐者 (第8話/最終回2時間スペシャル・2020/9/15) 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・火9ドラマ『竜の道 二つの顔の復讐者』(公式)
第8話/最終回2時間スペシャル『正体暴かれ絶体絶命の兄が下す最後の決断とは』の感想。
なお、原作の白川道「竜の道」(小説)は既読。
源平(遠藤憲一)の殺人教唆の証拠を入手できず、打つ手がなくなった竜一(玉木宏)は、記者の沖(落合モトキ)から‘竜一’が生きているという証拠を突き付けられ、窮地に。その上、沖が美佐(松本穂香)にまで近づいたことを知り、竜一は焦りを募らせる。一方、大手通販会社との契約が内定し、運送業界トップの座が視野に入ってきた源平の言動は一層狂気を帯びていく。これ以上、竜一に危険なことをさせたくない竜二(高橋一生)は次の手を持ち掛けようとするが、竜一は話を聞かず、ある決意を胸に美佐の元へ向かう。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:白川道「竜の道」(小説)
脚本:篠﨑絵里子(過去作/まれ、花実のない森) 第1,2,4,5,6,7,最終話
守口悠介(過去作/AKBホラーナイト、オー・マイ・ジャンプ!、左利きのエレン) 第3話
演出:城宝秀則(過去作/マルモのおきて、絶対零度3、4分間のマリーゴールド) 第1,最終話
岩田和行(過去作/絶対零度1,2、福家警部補の挨拶、美しき罠) 第2,5,7話
紙谷楓(過去作/海月姫、後妻業、4分間のマリーゴールド) 第3,6話
吉田使憲(過去作/インディゴの夜、聖母・聖美物語) 第4話
音楽:村松崇継(過去作/だんだん、昭和元禄落語心中)
オープニング主題歌:ビッケブランカ 「ミラージュ」(avex trax)
エンディング主題歌:SEKAI NO OWARI「タイトル未定」(ユニバーサルミュージック)
原作既読と、本編の撮影終了について(この章はテンプレです)
本作の原作とされる白川道氏著の『竜の道(上下巻)』、その後加筆・追加された『竜の道 飛翔篇』、続編の『竜の道 昇龍篇』も既読。しかし、全三部作が完成する前に著者が亡くなったため完結されておらず、ドラマの結末はオリジナルになると思われる。
また、本作の撮影は、6月上旬に再開され、既に7月24日に撮影終了しているため、いつもの感想のように、「こう撮影すれば…」や「こう脚本が進んで行けば…」と言う希望的観測を含んでも意味が無いため、単純に見た感想を書くことにする…。とは言ったが、いざ始まってみると、かなり面白いから心配は無さそうだが。
毎週放送される連続ドラマで本当に良かった
原作を既読の私としては、未完の原作小説が映画化されたから、期待をして映画館に観に行ったら、期待以上の仕上がりだった…と言う感じには近いのだが、個人的には、映画やスペシャルドラマでなく、毎週放送される連続ドラマで本当に良かったと思った最終回。
週を重なる毎に変化する"三人の心情"が丁寧に描かれたから
なぜなら、結果的に俳優陣の演技を9時間も堪能出来たわけだし、毎週「次回はどうなるのか?」と言う期待感を楽しめたし。そして、何より、連ドラだからこそ描くことが出来た復讐劇に於ける、特に “復讐する側” である…
感情的で野心の塊のような竜一(玉木宏)の疾走感と孤独感と人を殺めたことへの深い罪と過酷な罰。
国交省官僚の肩書に群がる下衆な輩を冷静に操る竜二(高橋一生)の強かさと緻密さ。
辛い運命を背負いつつも気丈に明るく、且つ二人の義兄を心配する美佐(松本穂香)の強さと悲しみ。
それぞれが、環境や状況の変化に伴って、週を重なる毎に三人の心情も変化していく様子が、刻々と丁寧に描かれたからだ。
「起承転結」の「転」へ移行を感じさせる意味のある展開
人を殺すことに “躊躇い” が無くなり、目的と手段が、竜一と竜二の間で乖離していく中での、次の本気の兄弟げんかのシーンは見応えがあった。
竜二「何で わかんねぇんだよ!
邪魔するやつを殺すんだったら 源平と同じだろうが!」
竜一「きれい事 言ってんじゃねぇよ!
お前が堂々と表歩けんの 誰のおかげだ。
俺がお前の代わりに殺してやってるからだろうが!」
既に殺人と言う犯罪に手を染めた兄を必死で止めたい弟の兄弟げんかだが、弟は腕力で兄には勝てない。どんどんボロボロになって行く竜二。益々決意を固める竜一。その時に、美佐が偶然に電話を掛けた。しかし、このシーンでは、竜一と竜二の携帯電話の着信音もバイブレーションも聞こえない。そう、意図的に美佐が誰に電話を掛けたのか見せない仕掛けだ。
そして、走る美佐の「お兄ちゃん!」の叫び声。竜一に打たれて倒れる竜二のままフェードアウト。そして、シーンは曽根村(西郷輝彦)になって、「だから やっかいだよ 肉親ってやつは」へ物語は繋がって行く。そして、このあとに、美佐の電話を掛けた相手が竜二であることと、竜一が竜二に向けて撃った銃は壁に向かって打ったことが描かれる。
最初に誰に電話を掛けたのかと銃口の先を提示せずに敢えて引っ張ったことで、三人きょうだいの “血の繋がりのない肉親” と言う複雑な関係が、より浮き彫りになり強調され、更に「起承転結」の「転」へ移行を感じさせる、意味のあるシーン展開になったと思う。
残酷で非情な復讐劇の中に"一筋の光"を描いたのは良かった
終盤、遂に復讐の最終段階に入って、竜一と竜二が、霧島にエニウェイズからのM&Aの話を切り出すシーンは、見応えがあった。
竜一「あんた裁くのは法じゃない。あんたは 自分の言葉で破滅する」
竜二「霧島さん 安心してください。
大事なお客さんの荷物 キリシマ急便の分まで
エニウェイズが しっかり運びますけぇ」
竜一「少しはわかったか! 汚ぇ手で大事な子供を奪われる気持ちが。
死んで わびるんだったら… これ使え」
霧島「満足か? ん? 23年間 ず~っと この一瞬を待っとんたんじゃろ」
竜一「満足なわけねぇだろ。あんた殴れば こっちの拳も痛ぇんだよ」
霧島「そら気の毒じゃったの。
わしは…。こういうことしか できんけぇ。
振り出しに戻ったとしても…。また同じことをする」
竜一「俺たちも そうかもな。はぁ~。たまんねぇな」
最初は、傷だらけの顔に涙を浮かべながら霧島を攻め込んでいたが、「はぁ~。たまんねぇな」の時には僅かに微笑んだ竜一。竜一の全てを汲み取った無言の竜二。卑怯で無鉄砲な方法でしか生きられない霧島。敵を作って倒すことで自分の存在意義を見出すしか出来ない不器用な三人の男が、ここで初めて心が通じ合う。
残酷で非情な復讐劇の中にも “一筋の光” を描いたのは良かった。これこそが、過ちを犯した人間にも救いがあっても良いと言う作家の優しさだ。
あとがき
一人の人殺しが殺されて、また一人の人殺しが生まれた。過ちを犯す人間の連鎖の源こそ “醜い復讐心” であり、でも、それを “生きがい” してしか生きられない人間もいると言う怖さと切なさが入り混じった素晴らしいラストシーンでした。俳優陣の演技も魅了されました。最後まで見て良かったです。
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