半沢直樹[2020] ([第2部] 第7話・2020/8/30) 感想
![半沢直樹[2020]](https://blog-imgs-140.fc2.com/d/m/e/dmesen/hanzawa_naoki2020_dra.jpg)
TBSテレビ系・日曜劇場『半沢直樹[2020] 』(公式)
[第2部] 第7話『すべてが決まる運命の日! 最恐の敵と直接対決へ…!?』、ラテ欄『裏切り者は誰だ! 政府と直接対決へ!』の感想。
なお、原作の池井戸潤「ロスジェネの逆襲」(小説)、池井戸潤「銀翼のイカロス」(小説)、池井戸潤「半沢直樹3 ロスジェネの逆襲」(小説)、池井戸潤「半沢直樹4 銀翼のイカロス」(小説)は未読。
白井(江口のりこ)による開発投資銀行への圧力で、帝国航空の余剰人員受け入れを予定する会社「スカイホープ」の新路線が不許可となる。半沢(堺雅人)は、スカイホープへの融資を提案する一方、常務の紀本(段田安則)か大和田(香川照之)が政府に内通していると疑っていた。そんな中、白井はテレビを通じて銀行批判を展開。半沢らは世論までも敵に回すことになる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:池井戸潤「ロスジェネの逆襲」(小説)
池井戸潤「銀翼のイカロス」(小説)
池井戸潤「半沢直樹3 ロスジェネの逆襲」(小説)
池井戸潤「半沢直樹4 銀翼のイカロス」(小説)
脚本:丑尾健太郎(過去作/小さな巨人、下町ロケット、ノーサイド・ゲーム) 第1,2,3,4,5,6,7話
金沢知樹(過去作/カサネ、シメ)シ 第5話
谷口純一郎(過去作/警視庁・捜査一課長3、僕とシッポと神楽坂) 第6,7話
演出:福澤克雄(過去作/半沢直樹、小さな巨人、陸王、下町ロケット) 第1,2,3,4話
田中健太(過去作/半沢直樹、小さな巨人、陸王、ブラックペアン、下町ロケット) 第5,7話
松木彩(過去作/下町ロケット2018 第10話のみ、グッドワイフ第7話のみ) 第6話
音楽:服部隆之(過去作半沢直樹、ルーズヴェルト・ゲーム、下町ロケット、陸王)
今回も、分かり難い金融業界の仕組みを分かり易く描いた!
今回も、前回の感想にも書いた通り、私自身は基本的に金融に詳しくないし無頓着。しかし、本作は、ドラマの進行を妨げずに、分かり難い金融業界の仕組みを、限られた時間の中で分かり易く描こうとしていることを、今回も大いに評価したい。
第5~7話の内容を、金融業界に疎い私なりにまとめると…
そこで、前回も評判が良かったので、今回も私のような金融に詳しくない読者さんのために、第5話から「第2部」になった今回(第7話)までのストーリーを私なりにまとめてみた。
【第5話】東京中央銀行(準主力銀行)が700億円、開発投資銀行(主力銀行=メインバンク)が2500億円を、帝国航空に融資(債権)していた。しかし、帝国航空の経営悪化に伴い、このままでは倒産しそうだと言うことで、支持率アップのために進政党(政権与党)と、進政党が作ったタスクフォース(緊急性の高い特定の課題を達成するため、一時的に設置される組織)が「融資の7割をカットしろ!」と言い出した。
【第6話】東京中央銀行の半沢(堺雅人)がとても生意気な態度をとるから進政党政権は、幹事長・箕部(柄本明)の指示で東京中央銀行へ金融庁検査に入った。一方、帝国航空は人員削減のための受け入れ先としてスカイホープ航空を見つけ出す。しかし、そのスカイホープ銀行も、進政党政権の国土交通大臣・白井(江口のりこ)から、ハワイ航路や国内のドル箱路線への増設の認可が下りないと言う妨害を受けた。
【第7話】半沢はタスクフォースの言う債権放棄を断固拒否すると言う結論に達した。そこで政府は何とかきちんと東京中央銀行に債権放棄させるために圧力をかけられた常務・紀本(段田安則)が役員会議で反論した。また一方で、政府が開発投資銀行に対して “民営化” を進めていた。今は政府(財務省)が100%の株を保有している “政府系” の開発投資銀行を、国が株を放出して一般国民が株主にすると言う案だ。そして、白井大臣を含めて「民営化案」を政府が賛成したことで、開発投資銀行は政府の言いなりになりたくないし、“民営化” もされたくないから、債権放棄を拒否した。
実際に起きた「JALグループ再生中期プラン」を調べてみた
前回の感想のコピペになるが、「第2部」のストーリーのもとになっている、2009年に実際にあった「2008~2010年 JALグループ再生中期プラン」を振り返ってみると、実際にはどうだったのか? も調べ直してみた。
JALの一番のメインバンクであった日本政策投資銀行の借入金残高が2,346億円で、二番目のみずほコーポレート銀行が759億円、因みに三番手が三菱東京UFJが738億円、四番手の三井住友銀行が443億円。
当時、民主党政権が誕生した直後の2009年9月25日に、前・自民党政権が作った「JAL再建案」を当時の前原国交相が不十分だと言って、「JAL再生タスクフォース」を組織して、100名程度のチームを作った(その中に、銀行員はいなかった)。
しかし、世間や野党からは、そもそも「JAL再生タスクフォース」は大臣の諮問機関であって法的根拠が無いと言われたり、10億円もの経費がJALの資金と言うおかしな再生プランだった。そして、実際に行われたことは、事業の見直し、経営陣退陣、債権カット(自民党案では、債権カットでなく、債権を遅らせる…だった)の3つ。
もちろん、この当時の前原国交相の諮問機関「JAL再生タスクフォース」はぐちゃぐちゃになり、結果、約1か月後に「JAL再生タスクフォース」は解散し(民主党政権の最初の失敗と言われている)、「企業再生支援機関」と言う別の組織へ依頼することになり。同年10月29日に会社更生法申請により、翌年1月19日にJALは倒産し、株券は紙くずになった。
今回で描かれた「主力銀行の民営化」の話も実際にあった!
因みに、今回で描かれた「民営化」の話も実際にあった。それは、前述の日本政策投資銀行の民営化だ。リーマンショック(2008年)以前から民営化の話はあったが、リーマンショックがあったために先延ばしされ、今でも先延ばしは継続中であり、株式会社ではあるが民営化はされていない。こんな事実を、原作者の池井戸潤氏が、巧みに物語に組み込んだ…と言うわけだ。
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毎回丁寧に作り込まれているから本編が始まると思い出せる
流石に、内容が濃いために今回の冒頭にあった「これまでの振り返り」だけでは細かな展開は分かり難いが、毎回の内容が金融関連の難しい内容を丁寧に分かり易く説明しているから、本編が始まるとすぐに思い出せる。ここが、まず本作の人気の秘訣だと思う。
組織の話を人間同士の対立構造にして"見せ場"にする秀逸さ
また、描いているのは、銀行や航空会社、政府などの組織と組織の対立構造なのに、人間と人間の対立構造を描いて、そこをドラマの見せ場にしている点も褒めなければならない。
それを具現化しているのが、普通に言ったら印象に残らない単語や言葉を、「お・ね・が・い・し・ま・す」のように文章を文字単位で区切ったり(今回は、それを更に強調するために「七文字」を指で数える演技を添えて強調した)、半沢の「お~ね~が~い~し~ま~す!」に代表される長音(音引き)の過剰な使い方で、人間らしさを強調する脚本と演出と演技だ。
独特な言い回しで、各登場人物の個性を視聴者に魅せる!
また、今回は、遂に世間が「やり過ぎと言いつつ楽しんでいる俳優陣らの過剰な演技」に対して、大和田(香川照之)に「私の演技も まだまだだね」、半沢に「ええ」と自虐ネタと言わんばかりの台詞もさらりと放り込んで来た。
好き嫌いはあると思うが、こう言う言い回しで各登場人物の個性を視聴者に魅せるから、本作に飽きることはないのだと思う。だって、毎回、細かく新たな工夫が施されるわけだから。
「合同報告会」の魅せ方は、お見事としか言いようがない!
実は、原作は未読だが、史実から察すると、私が今回で最も「どう描くのか?」と期待していたシーンが、42分から始まった「合同報告会」だった。もちろん、コロナ禍の中でどこまで迫力のある場面に作り込めるのかと言う部分もあるが…
半沢だけでない合同説明会に参加した全ての銀行員らのプライド、タスクフォースを利用したり銀行を異常に敵視したりして次期総理と女性初の総理の座を狙っていた白井国交大臣(江口のりこ)の目論見がどうなるのか、帝国航空再建の立役者になりたい乃原弁護士(筒井道隆)の思惑などが、どこまで端折らずに丁寧に描かれるのかを期待した。
そして、期待以上の仕上がりだった。特に面白かったのは、大東京銀行の帝国航空融資担当者・柴田(安藤彰則)の「主力および 準主力銀行の決定に従わせていただきます!」から続く、バンカーたちプライドの描写。
更に、準主力銀行としての半沢の「この債権放棄を拒絶します!」までの引っ張り方。主力銀行である開発投資銀行の谷川(西田尚美)が、あとから出席する段取りもお見事!
あとがき
箕部幹事長が白井国交大臣に言った「きみは票を集める広告塔だ(中略)二度と私に逆らうんじゃないよ!」の、柄本明さんの演技力と迫力にやられてしまいました。松野盆栽の枝が、木の皮一枚でぶら下がっているイメージカットも印象的でした。
さて、最終回に向けて収束していくどころか、既出の要素は立場を変えて利用し、新たな要素を加えて、物語を広げようとしているのも凄いなぁと思います。次回も楽しみです。
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【これまでの感想】
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