アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋 (第7話・2020/8/27) 感想

フジテレビ系・木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(公式)
第7話『やれる治療があるだけマシだから』の感想。
なお、原作の荒井ママレ「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師 葵みどり」(漫画)は、第1巻のみ既読。
入院患者の心春(穂志もえか)の退院が決まり、みどり(石原さとみ)は病室に駆け付ける。くるみ(西野七瀬)は7年前、新人のみどりが初めて担当したのが中学生だった心春で、瀬野(田中圭)が任せたと知って驚く。一方、衆院議員の古賀が‘パワハラ疑惑逃れ’で極秘入院した。彼女は服薬調査に来たみどりらと口もきかず、対応を秘書に一任。後日、心春は苦しそうな古賀を目にする。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:荒井ママレ「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師 葵みどり」(漫画)
脚本:黒岩勉(過去作/僕のヤバイ妻、ストロベリーナイト、モンテ・クリスト伯、グランメゾン東京)
演出:田中亮(過去作/医龍、BOSS、コードブルー3、コンフィデンスマンJP) 第1,2,5,7話
相沢秀幸(過去作/グッド・ドクター、トレース~科捜研の男~、モトカレマニア) 第3,4,6話
音楽:信澤宣明(過去作/義母と娘のブルース、映画「ニセコイ」)
主題歌:DREAMS COME TRUE 「YES AND NO」(ユニバーサルシグマ)
同僚たちの気遣いが見え、みどりの単独行動に見えなかった
『肺がん検診で「要精密検査」になりまして…』の投稿でも書いた通り、今月上旬に市のがん検診で “肺がん” の “要精密検査” の結果が出たため、妻が務める病院でCT撮影をし、結果を一人で聞くのが怖いから、妻に「診断に同席して欲しい」と頼んだら、「いくら夫の診断でも、そのピンポイントの時間に全く担当外の診察室に行くのは無理!」と断られたが、何とか他のスタッフさんたちの協力で1分間だけ時間を割いて貰えた。
だから、今回の冒頭で、みどり(石原さとみ)が同僚たちの協力を得たおかげで、退院が決まった入院患者の心春(穂志もえか)に院内で会ったのは不思議でない。そう、きちんと、同僚たちが “みどりのことを気遣っている” ような描写を挟めば、みどりの単独行動には見えないのだ。
刈谷の「興味本位で調べない」で前回の尻拭いをして来たか
さて、前述の演出もそうだが、 特別個室に入院してきた参議院議員の古賀万奈美(渡辺真起子)のことを、くるみ(西野七瀬)がポケットから取り出したスマホで、人物の検索をしようとした際に、先輩の薬剤師・刈谷(桜井ユキ)が、「興味本位で調べない」と叱る場面があった。
そもそも、院内で個人のスマートフォンを持ち歩いている病院があるのか聞きたいところではあるが、前回で、患者のSNSをストーカーのように探って薬の飲ませ方などを指導したと言う、とんでもない薬剤師だったくるみに、刈谷がお小言を言うのは良いと思う。
どうやら、第7話にして、少しずつではあるが、前回での「ドラマとしての不祥事」を払拭しようとしているのかも知れない。それなら、それは良いことだと思う。当然、次回で “尻拭い” しなくてはならないようなドラマを創るな! が、大原則だが。
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いつものことだが序盤からみどりが古賀議員に入れ込み過ぎ
と、何とか褒められたのは、ここまで。なぜ、みどりが、衆院議員の古賀が “胸を痛そうに倒れた” ことを、あそこまで気にして “一人で” 問題解決しようとするように描くのかが理解出来ない。こんなの古賀の担当医・大津(瀧川英次)に伝えれば良いだけのこと。
因みに、整形外科医役の瀧川英次さんは、NHK『アシガール』の再放送で「赤ペン瀧川」として出演し、8/7放送のTBS・金曜ドラマ『MIU404』第7話『現在地』では、トランクルームの管理人を演じた。一応、プチ情報…
みどりを介さずに、心春と古賀議員が交わるのは意外な展開
それで、いつも通りに、複数の患者のエピソードを盛り込んで…と言う展開になるのだが、今回はこれまでと違って、骨髄白血病の心春と衆院議員の古賀を廊下で出会わせた。これまでは、あくまでも同時進行していたが、個々がみどりやくるみを介して交わることすら殆ど無かったから、今回は異例と言える。
もちろん、都合良く、廊下に看護師も清掃係のおらず、みどりとくるみが “偶然に” 通り掛かるのは、もはやツッコミどころではない。何せ、「本作の萬津総合病院は、末期的な看護師不足に陥っており、病院内に多数の看護師の姿はない」と言う設定は、本作を見る上で受け入れざるを得ない条件だから。
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みどりのやり方を否定する古賀議員の台詞は意外中の意外!
とは言え、やはり今回は、これまでと脚本が明らかに違う。もちろん、脚本家は交代していないが、これまでの6話分で感じていた、「本作に於ける病院薬剤師の越権行為を助長した描写の数々への不満」に、次のシーンであえて踏み込んでいる。みどりの越権行為について、衆院議員の古賀が言及し、それに反論するみどりの描写だ。
古 賀「あなたみたいに 患者に関わり過ぎるやり方は間違ってる」
みどり「ご意見は ありがたく頂戴し参考にさせていただきます。
ですが 私は 自分のやり方を変えるつもりは ありません」
これ、もしかしたら、脚本家の細やかなスポンサーへの抵抗かも知れない。『「アンサング・シンデレラ」で薬剤師が大活躍し過ぎるのは調剤会社4社がCMスポンサーの異常事態が原因?』と先日投降したように、このドラマは調剤会社が4社もCMスポンサーになっているため、「薬剤師は医療従事者の中で最も有能」的な偏った描写が多い。そうなるのは、恐らくスポンサーからの要求だ。
しかし、この度の古賀議員の台詞を盛り込むことによって、みどりのやり方を “間違い” と判断していることになる。当然、スポンサーの意向があるから、みどりも「はい、そうですか」と納得するはずもなく、猪突猛進を続けるわけだが。だとしても、何となく脚本家が本性を表して来たように感じる内容になったのは、私にとっては良いことだ。
みどりが心春の主治医に相談して外出させたのも意外過ぎる
それに、もう一つ珍しいことがあった。みどりが、退院が延期になってしまった心春を心配して、いつもなら暴走するのに、心春の主治医の小児科医師・久保山(六角慎司)へ事前に相談する場面があった。医師役に台詞があるのも珍しいし、このシーンでは二人の看護師も映っていた。そして、久保山医師の立会いの下で、心春が病棟を出て “風” に当たった。
これ、医療ドラマなら普通のことだが、本作では誠に珍しいこと。まるで、医療ドラマのようだった。因みに、Wikipediaによると、心春役の穂志もえかさんは、クラシック・バレエを4歳から14歳まで習っていたそうだ。
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みどりの存在感が薄まって「患者同士の医療ドラマ」に!?
さて、いろいろな面で、これまでの6話分とは違った第7話。病院薬剤師の越権行為や、やり過ぎの言動を責めても、そう描くと言う方向性は変わらないと思う。だから、ドラマとしての構成について考えてみた。
前述の通り、今回は、二人の患者を早い段階で出会わせた上に、意外な程に、“みどりがいない場面” で心春と古賀議員のやり取りが盛り込まれた。それによって、「治療に頑張る心春」を見て「改心する古賀議員」と言う一つの大きなエピソードが生まれた。
ただ、残念なことに、古賀議員が「あなたに言われたからじゃないわよ」と、みどりが「本人に伝えてくれませんか?」と言ったように、みどりの存在感が一気に薄まってしまったのだ。いや、みどりは “単なる二人の患者の応援団員” と言うだけになってしまった。
病院薬剤師が何が何でも出しゃばって手柄を取ると言う展開もどうかと思うが、主人公抜きでも成立してしまう「患者同士の医療ドラマ」になってしまったのも、これまたどうかと思う。
「くるみの成長物語」が主人公の存在感を薄め、違和感も…
どうかと思う、ついでに言うと、主人公みどりの存在感を薄め、医療ドラマとして違和感を生んでいるのが、くるみだ。明らかに「くるみの成長物語」が、前述の二人の患者の物語とは別に構成されており、完全に本編と独立して動くから、全体の構成は切り刻むし、無駄な描写であることは間違いない。
もちろん、『アンサング・シンデレラ ANOTHER STORY ~新人薬剤師 相原くるみ~』のタイトルで、2020年8月27日から5週にわたりFODで配信する程に(全5話、約15分)、今や、主役の石原さとみさんと同等程度に、西野七瀬さん推しで視聴率稼ぎをしたい作り手の商魂は分かる。
だが、主人公のみどり(石原さとみ)が “ほぼ成人君主的” で “病院内のオールラウンドプレーヤー的” な存在であるがために、どう考えても、くるみ(西野七瀬)は本作に “不必要な登場人物” なのだ。だって、前回も今回も、みどりはくるみの指導もしていなければ、くるみは指導を受けたようには見えず、いずれも単独行動しまくりなのだから。
くるみを、“ただの新人” として、みどりにいつもくっついているだけの設定にした方が、この度の第7話のように、みどりの存在感が薄い時は、なおさら “ただの新人” にした方が良いと思う。
あとがき
「全11回」と想定されている本作ですから、ある意味で第7話が「第二章」の始まりと言う位置付けと捉えても良いかと思います。
そう捉えると、第6話までの「第一章」では、みどりの大いなる患者への過干渉と、薬剤師としての越権行為を描き続けて、視聴者に不満と怒りを溜めさせて、「あなたみたいに 患者に関わり過ぎるやり方は間違ってる」の古賀議員の台詞で、「第一章」のみどりを否定させ、ラストではその古賀も “みどりのやり方” に同調することで、ドラマとして “みどりのやり方” を意外と上手く正当化させたように思います。
また、古賀の台詞の中に、現在の薬剤師全体が抱える問題提起や、「ロボット調剤」による薬剤師への業務負担の軽減や、患者の待ち時間の短縮については、2019年くらいから、薬学系の学会では既に議題に上がっていたので(仕事柄、医学系学会の運営管理もやりますので)、タイムリーな視聴者への情報提供になっていたと思います。何とか、勝手に「第二章」と呼びますが、最終回までの「第二章」で巻き返して欲しいです。
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