アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋 (第5話・2020/8/13) 感想

フジテレビ系・木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(公式)
第5話『第二の患者』の感想。
なお、原作の荒井ママレ「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師 葵みどり」(漫画)は、第1巻のみ既読。
末期がんの太一(伊武雅刀)への告知を巡ってぶつかる樹里(久保田紗友)と辰川(迫田孝也)。みどり(石原さとみ)は2人の心のケアに努める。そんな中、くるみ(西野七瀬)は薬物療法に関する資格を持つ刈谷(桜井ユキ)の仕事に興味を抱く。くるみの意欲をうれしく思うみどりだったが、薬剤部副部長・七尾(池田鉄洋)が提案した治験に関し、みどりとくるみの意見が分かれ…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:荒井ママレ「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師 葵みどり」(漫画)
脚本:黒岩勉(過去作/僕のヤバイ妻、ストロベリーナイト、モンテ・クリスト伯、グランメゾン東京)
演出:田中亮(過去作/医龍、BOSS、コードブルー3、コンフィデンスマンJP) 第1,2,5話
相沢秀幸(過去作/グッド・ドクター、トレース~科捜研の男~、モトカレマニア) 第3,4話
音楽:信澤宣明(過去作/義母と娘のブルース、映画「ニセコイ」)
主題歌:DREAMS COME TRUE 「YES AND NO」(ユニバーサルシグマ)
あまり"薬剤師贔屓"になり過ぎないドラマを期待したい!
先週、『「アンサング・シンデレラ」で薬剤師が大活躍し過ぎるのは調剤会社4社がCMスポンサーの異常事態が原因?』と言う投稿をした。なぜなら、もう「本作は医療現場の本質を描いていない!」とか「実際の薬剤師の仕事と違う!」とか「薬剤師が大活躍し過ぎ!」と連呼するのが馬鹿馬鹿しくなって来たから。
また、一応私の妻が30年以上大学病院で働く助産師だから、全ての病院が妻の体験と同じとは言わないがドラマの脚本や演出に違和感があるのは事実だと言う。また、私自身も 私は、昨年10月に『「防災用の薬の備えは何日分?」を大学の薬学部長さんに聞いてみた』と言う投稿をする程に、「薬剤師」と言う仕事に敬意を払っているので、あまり “薬剤師贔屓” になり過ぎないドラマを期待したいのだ。
基本的にやらない「原作とドラマの比較」をやってみると…
また、本編の感想に入る前に、第3話を見た後に、原作となった漫画の第1巻を読んだ。基本的に原作とドラマ化作品は比較しない立場だが、先日、ある読者さんから「違いを教えて欲しい」とのコメントを頂いたので、その時の返信を書いてみる。
まだ、「第1巻」しか読んでいないので、はっきりしたことは言えないが、「第1巻」の中に、これまでドラマ化されたエピソードが幾つか入っていたから、意地悪になるが、私なりに「原作となった漫画」と「ドラマ化」を比べて違う点を箇条書きにしてみた。
●「漫画」の方が、医師と看護師の登場する場面が多い。
●「漫画」の方が、医師や看護師以外の医療関係者や資格を描いている。
●「漫画」の方が、主人公以外にもきちんとスポットライトが当たる。
●「漫画」の方が、薬剤師たちが圧倒的に忙しい。
●「漫画」の方が、ギャグがあったりして、メリハリが強い。
●「漫画」の方が、「薬剤部」にチーム感がある。
●「漫画」の主人公は、「ドラマ」のようにやたらと出しゃばらない。
●「漫画」の主人公の方が、キュートでチャーミング。
●「漫画」の薬剤師は、「最後の砦」として “耐える” 場面が多い。
●「漫画」の主軸は、リアルに描かれた薬剤師の仕事の実態描写。
●「ドラマ」の主軸は、主人公の成長や、薬剤師が活躍してこその感動の押し売り的。
●「漫画」のエピソードは、意外と患者目線のものが多い。
●「ドラマ」のエピソードは、主人公目線のものが多い。
●西野七瀬さんと田中圭さんが演じる登場人物のキャラが違う
こんな感じs。要は、「ドラマ」が「前向きな主人公が孤軍奮闘しながら患者を助ける感動物語」なのに対して、「漫画」は「院内薬剤師たちの仕事の実態を描き、読者が “薬” の重要性を再確認して、薬剤師への理解が深まる内容」と言うこと。従って、原作と比較するのは意味が無い。
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今回も看護師が立ち会うような場面に薬剤師がいる不自然さ
今回も、序盤から医療ドラマなのに、医師や看護師の登場場面が極端に少なく、看護師が立ち会うような場面でも薬剤師、それも決まって主人公・みどり(石原さとみ)がいると言う設定から始まった。
「本作の萬津総合病院は、医療従事者が積極的に協力して患者管理にも問題がある」と言う設定と、「本作の萬津総合病院は、末期的な看護師不足に陥っており…病院内に多数の看護師の姿はない」と言う設定が全編に蔓延していた第4話。
第4話の感想は、まず「1話毎の構成」について考えてみる!
そこで、第4話の感想は、これまでの感想と切り口を変えて、「現実の病院らしいリアリティーの無さ」や「薬剤師の越権行為」を突っつくのはあとにして、まずは、本作の1話毎の構成について考えてみる。
既にお気付きの方も多いと思うが、本作の最後、クレジットタイトルが流れるエンドクレジットの部分の背景の映像が、その放送回に登場した「ゲスト俳優が演じる患者の過去、現在、そして未来」を描く映像になっている。
このことから分かるのは、脚本家は、本作を「病気を患った患者が、最初は病を否定し、治療にも向き合わずだったのが、薬剤師の活躍のお陰で、病と闘い、生き続けたいと思う人情ドラマ」に仕上げたいと言う強い意図だ。
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患者の病気を治すのは"みどりの情熱"ではなく"薬"や"手術"
まあ、この「薬剤師の活躍のお陰で…」と言う部分を、前述の “大人の事情” で強調せざるを得ないから、「医師は? 看護師は? チーム医療は?」と言うことになっているのだが。ただ、ここは冷静になって考えみて欲しい。
実は、本作の主人公は “1人でも多くの患者を救いたいと言う情熱” が、萬津総合病院で働く全ての医療従事者よりも “強い” と言う設定になっている。なってはいるが、医療従事者、それも一薬剤師の “情熱” で病気が治るはずはない。
もちろん、病気を治すのに一番大切なのは “患者自身の治りたいと言う強い意志” であるわけだが、やはり具体的に患者の病気を治すのは “みどりの情熱” ではなく “薬” や “手術” なのだ。なのに、本作は「主人公の情熱=薬」のように描いている。
要は、主人公の励ましや患者を思う気持ちが、患者にとって “お薬” のような効果をもたらしていると言う部分で、ドラマを盛り上げようとしているってこと。だから、主人公の出しゃばった言動が鼻につく人が多いのだと思う。
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今回は、至って「普通の闘病記ドラマ」になってしまった…
では、第4話を掘り下げてみようと思う。今回は、これまでのように複数の患者のエピソードを同時並行に描くこともなく、患者が病院から逃げ出すこともなかった。医師や看護師の “ミス” も描かれてはいない。
従って、伊武雅刀さんの好演の甲斐あって、至って普通に、末期がんの太一(伊武雅刀)を主治医が治療している医療ドラマになった。いや、正しくは、至って普通の闘病記ドラマになってしまった…と言うべきだろう。
「普通の闘病記ドラマ」だから、無理矢理に主人公の出番を
だから、主人公の出番がない。でも、出番を作らないと、ドラマの公式サイトにも書いてあるように、「“縁の下の力持ち(=アンサングヒーロー)” として患者のために奮闘する病院薬剤師たち」が目立たない。
でも、その一方で無理矢理に出番を作ると「患者にとっては “最後の砦(とりで)” ともいえる重要な存在です。決して脚光を浴びることはありません」とあるのに…脚光を浴びせ過ぎる結果になる。今回の「草野球」なんて、患者が逃げ出さないから、遂に薬剤師が病院外にいる姿を描くと言うお粗末な展開まで、盛り込まざるを得なくなった。
主人公の気持ち言動を前面に出さず、患者中心にしたら…
もう、ここまで書けば、勘の良い読者さんなら察しが付くと思う。そう、本作には基本的に主人公は不要なのだ。
それこそ、主人公の励ましや患者を思う気持ちが、患者にとって “お薬” のような効果をもたらしている…と言うことを前面に描かずにさり気なく魅せて、ゲスト俳優が演じる患者と家族の物語を前面に押し出した方が、過去に…
『Dr.コトー診療所』
『医龍-Team Medical Dragon-』
『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』
『アライブ がん専門医のカルテ』
と言う見応えのある医療ドラマの数々を生み出して来た「木曜劇場」枠らしい、心に残る楽しい医療ドラマなったのではないだろか?
主人公が一人で患者を治療できるわけはないのだから…
最後に。今回は、作り手が視聴者を泣かせようと必死さが伝わる内容だったが、果たして “泣ける結末” になっていただろうか?
やはり、「誰よりも患者のことを思う薬剤師」だけをピックアップしても、薬剤師が、主人公が一人で患者を治療できるわけはないのだから、これまで何度も書いているように、医療従事者のそれぞれの役割を描いて、チーム医療の中で「薬剤師とは何か!」を視聴者に訴える内容にすべきだったと思う。
あとがき
「文句も言いながら見る必要はない」と思う人もいるでしょうし、たまに自分もそう思います。ただ、医療従事者を家族にもち、医療従事者の知り合いも多く、医療従事者と一緒に仕事をする機会のある私にとって、誤った病院、誤った医療従事者の役割分担などを見過ごすわけにはいきません。
どうか、しっかりと正しい薬剤師の役割と、ドラマとしての主人公の活躍をバランス良く描いて欲しいです。
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