MIU404 (第6話・2020/7/31) 感想 ※追記あり

TBS・金曜ドラマ『MIU404』(公式)
第6話『リフレイン』、ラテ欄『相棒を救え! 過去の事件に隠された希望』の感想。
志摩(星野源)の過去が気になる伊吹(綾野剛)は、九重(岡田健史)と共に、かつて志摩が関わった「連続毒殺事件」と、同日に起きた「捜査一課刑事転落死事件」について調べ始める。一方、勤務明けの志摩は、抜けられない桔梗(麻生久美子)に代わり、給湯器修理の立ち会いを買って出る。そして、息子・ゆたか(番家天嵩)や、警察協力者・麦(黒川智花)がいる桔梗の自宅へと向かう。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:野木亜紀子(過去作/重版出来!、逃げ恥、アンナチュラル、コタキ兄弟と四苦八苦)
演出:塚原あゆ子(過去作/アンナチュラル、グッドワイフ、グランメゾン東京) 第1,2,3,6話
竹村謙太郎(過去作/アンナチュラル、警視庁ゼロ係シリーズ) 第4,5話
加藤尚樹(過去作/コウノドリ1,2、ホワイト・ラボ)
音楽:得田真裕(過去作/家売るオンナ゙、アンナチュラル、インハンド、監察医 朝顔、俺の話は長い)
主題歌:米津玄師「感電」 (ソニー・ミュージックレーベルズ)
最初の10分間の “ツカミ” が本当に良く出来ていた
最初の10分間の “ツカミ” が本当に良く出来ていた。第1話から引っ張ってきた「志摩の過去」を描くのは分かっていたが…
志摩(星野源)の過去が気になる伊吹(綾野剛)が九重(岡田健史)と共に、かつて志摩が関わった「連続毒殺事件」と、同日に起きた「捜査一課刑事転落死事件」について調べ始めるくだりと、勤務明けの志摩が桔梗(麻生久美子)に代わり、給湯器修理の立ち会いを買って出て、息子・ゆたか(番家天嵩)や警察協力者・麦(黒川智花)がいる桔梗の自宅へと向かうくだりを、さり気なく同時閉口に進ませて、香坂の死を通報した志摩のところに、初動捜査でやって来たのが、当時の3機捜の陣馬(橋本じゅん)と桔梗だった…と言う展開。
ここまでCMも挟まず一気に魅せた。じわじわと高まる緊張感の作り込みには脱帽だ。
時間軸を行き来させ志摩の正義が不変であることを強調した
これまでのように、志摩と伊吹が事件を解決すると言うスタイルから逸脱して、「4機捜の休日記」と言う感じのエピソードだが、決して「休日日記」的な軽いストーリーではなかった。
警察官としての志摩の正義を過去から現在に掛けて、しっかりと丁寧に描きつつ、今の相棒である伊吹が真実に辿り着くことで、元相棒の香坂(村上虹郎)の正義も描かれた。
特に秀逸なのは、過去と現在の時間軸を巧みに行き来させても、全く分かり難さが無かったこと。むしろ、時間軸を行き来させることで、志摩の正義が不変であることが強調されたのは、お見事としか言いようがない。
伊吹が「タコの日」からの物語の捻り方も見逃せなかった
また、終盤の、今回は別行動をとった伊吹が「タコの日」から気付いたストーリーの捻り方も見逃せなかった。実に、伊吹らしい気づきであると共に、本作らしい急展開。
それに、これは私の勝手な推測の域を出ないが、伊吹が、香坂が向かいのマンションの601号室の住人(垣内彩未)が侵入犯の襲われる瞬間を見て通報した…と言う真実に辿り着いたが、あの向かいの部屋の犯罪を目撃するところからドラマが始まると言う設定は、サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックの最高傑作の一つとされる映画『裏窓』の設定に良く似ている。
『裏窓』では事故で足を骨折し車椅子生活を余儀なくされた主人公のカメラマンのジェフが、自身のカメラの望遠レンズを使って裏窓から向かいののアパートの住人たちの人間模様を観察するのが唯一の楽しみで、ある日偶然に事件を目撃してしまい、動けないジェフが事件に巻き込まれてしまう…と言うストーリーだ。
第6話と『裏窓』が似ているのは、向かいの建物で起きた事件が発端になると言う点だけだが、いろいろなことが隠されている本作だけに、敢えて私は、『裏窓』へのオマージュだと信じたい。
劇中のウイスキー「GLEAN GLIAN」を掘り下げてみた
更に、劇中に幾度となく登場した「GLEAN GLIAN」と言う名のウイスキー。もちろん、現存しない銘柄ではあるが、 「Glen Grant(グレングラント)」と言うスコッチを代表するシングルモルトウイスキーがあるから、そのあたりから拝借したものだと勝手に想像するが。
では、なぜ 「GLEAN GLIAN」と言う名のウイスキーにしたのか。毎度のように、本作の小道具を勝手に妄想で掘り下げてみると。「glean」 と言う英単語には、情報や知識などを “集めて得る、探り出す” と言う意味があるり、ニュアンスは苦労しながら時間をかけて少しずつ集める、探り出すと言う感じ。
正に、今回で、「連続毒殺事件」の時に香坂が自身の命と刑事生命まで賭けてやったこと、志摩の過去に辿り着こうとした伊吹のやったことと、重なるではないか。
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序盤で伊吹が桔梗に言った「全部がスイッチで」が印象的
それと、今回も、なかなか心に響いた台詞がたくさんあった。全部、掻き出すわけにはいかないから、2つだけ引用してみる。まず、序盤で伊吹が桔梗に言った、この台詞だ。
伊吹「俺が 4機捜に来たのがスイッチだとして
(中略)その一個 一個 一個 全部がスイッチで
何だか 人生じゃん?」
後半では、志摩の台詞の中にも「スイッチ」と言う単語が登場した。「分岐点」とか「きっかけ」でなく「スイッチ」と言うのが本作らしいなと。本作に登場する刑事たちは、みんな “オンとオフのスイッチ” の切り替えが速くて的確だ。
パチッと入る「スイッチ」と表現した方が、うだうだと悩む感じもしないし、カチッと嵌って行くパズルのような雰囲気もあって、上手い表現だと思う。
陣馬が九重に言った「バーンって開けっぴろげによ」も抜群
また、陣馬が九重(岡田健史)に言う、この台詞も良かった。
陣馬「間違いも失敗も言えるようになれ
バーンって 開けっぴろげによ
最初から裸だったら 何だって できるよ」
父親が警察庁刑事局長で自身も警察庁採用のキャリア組と言う九重が、何か悩みを抱えているような雰囲気を察して出た言葉だが、今の私にグサッと刺さった台詞だった。
一話完結の部分でも物語が台詞によって繋がり紡がれて行く
台詞と言えば、前回のラストシーンで、志摩がこんなことを言っていた。
志摩「水森は… 少しは楽になったのかな?
罪を叫んで 裁かれることで 気づいてしまって
ずれた世界を ダテ眼鏡でごまかして
ごまかしきれなくなったんだろうな きっと」
志摩は、自分の罪を叫んで楽になったのだろうか? 香坂は、自分の罪を叫んで楽になったのだろうか? ダテ眼鏡の伊吹の “気づき” と “閃き” で、少しは楽になった…と思いたい。一話完結の部分でも、こうやって物語が台詞によって繋がり、紡がれて行く。これも、本作らしい「連ドラを毎回見る醍醐味」の一つだと思う。
【追記】香坂の遺体の執刀医の名前が「三澄ミコト」…
初回投稿時に、せっかちな私のせいで書き忘れた部分があるので、ここで追記しようと思う。
©TBS
それは34分頃、九重が持っている香坂の「検体者記録」の執刀医の名前が「三澄ミコト」となっていること。もうお分かりだと思うが、「三澄ミコト」はドラマ『アンナチュラル』に登場する石原さとみさんが演じる主人公の氏名。
ご存知の通り、『アンナチュラル』と『MIU404』の世界観は繋がっていると、プロデューサーの新井順子氏が言及しているから、正に二つの世界が繋がったことになる。
あとがき
人生には、一個 一個 一個 全部がスイッチがあって…と言う考え方を思い知らされるような1時間でした。藤井聡太新棋聖が「6億手以上、先を読む」と言うニュースを先日聞きましたが、自分の過去を振り返ってみると、自分の人生を変えたのは「あの時のスイッチかな?」と言うのがありますね。そんな他愛もないことを考えさせてもくれました。
また、今回は派手なアクションや動作の激しい映像が無かった分、小道具の映し方や人物配置の構図に多くの工夫が見られました。コロナ禍下での撮影、スタッフとキャストの皆さんに、こんな素晴らしいドラマを届けてくださって、感謝しかありません。
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