やまとなでしこ 20周年特別編 (第二夜・2020/7/13) 感想

フジテレビ系・『やまとなでしこ 20周年特別編』(公式)
第二夜『いつか王子様が』の感想。
なお、2000年に放送されたドラマ『やまとなでしこ』は鑑賞済み。
現代女性にとって、清らかさとは何か?美しさとは何か? 主人公の神野桜子(松嶋菜々子)は、ある意味で、現代の“やまとなでしこ"といえる。 類いまれなる美貌と教養を武器に仕事も完璧にこなすキャビンアテンダントになった桜子。一見、非の打ちどころのない彼女にも1つだけ大きなトラウマが…。
幼い頃、極度の貧困と闘ってきた桜子には「世の中で1番大切なもの。それは、お金」「恋愛相手も結婚相手もお金持ちでなければならない」「愛よりお金」という哲学が備わっていた。
そんな桜子に、運命の出会いが。無理やりキャビンアテンダントとの合コンに誘われた男、中原欧介(堤真一)。学生時代、女性にフラれ、恋愛恐怖症になった35歳独身。父を亡くし、母1人で切り盛りしていた魚屋を継ぐため、長年研究していた数学の道を諦めていた。魚の目利き力はあるが、銭金には疎く、押しも弱い。そんな欧介が、ひょんなことから桜子の思い込みも手伝い、2人は付き合うことに。
だが、欧介の正体がバレると一気に冷たくなり、相手にしなくなった桜子。身分不相応とわかりながらも彼女に強くひかれた欧介は、他の男とは違った角度から彼女を好きになり、桜子の奥に秘められた“何か"を感じていた…。
令和に生きる我々が忘れかけている、本当に大事なものは何なのかということを、いま一度問いかけてくれる“ロマンチック・ラブコメディー"。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:中園ミホ(過去作/ハケンの品格1,2、Doctor-X1-4,6) 第1,2,3,5,7,最終話
相沢友子(過去作/鹿男あをによし、トレース~科捜研の男~) 第5,8話
演出:若松節朗(過去作/振り返れば奴がいる、救命病棟24時) 第1,2,5,7,9,最終話
平野眞(過去作/HEROル、監察医 朝顔) 第3,4,6,8,10話
音楽:住友紀人(過去作/恋ノチカラ、南くんの恋人、アンフェア)
主題歌:MISIA 「Everything」
俳優陣の凛とした存在感、役になり切る佇まいが凄い
本作が私はもちろん、世間でも「名作ドラマ」との評価が高い理由は幾つもある。それも、最近のドラマには欠けているものが幾つもある。今回は、そのことを最初に書いてみようと思う。
まず、これを書くと出演者のファンからお叱りを受けるかも知れないが、当時の松嶋菜々子さんや堤真一さん、東幹久さんも正直言って今の演技力とはかなり劣る。しかし、演技力が多少(今より)劣っていても、俳優としての凛とした存在感、その役になり切っている佇まいが半端なくしっかりとしている。
これは、様々な撮影に制約がある現在と違って、俳優さんたちがしっかりと役作りをする時間や、撮影現場での演技指導が丁寧に行われたから、成せたことだと思う。
軸となる物語と、枝葉のエピソードのバランスが絶妙
また、最近は意外と話が進むにつれて「群像劇」になってしまうドラマが多い中で、本作が第1話から描き貫くのは、「運命の出会い」と「本当に大事なものは何か?」の2点を、主人公の神野桜子(松嶋菜々子)と中原欧介(堤真一)を中心に、東十条 司(東幹久)と塩田若葉(矢田亜希子)の主要な4人の登場人物の心理描写だけで描き切った。
この企画、脚本、演出、俳優の4つの潔さが素晴らしい。もちろん、軸となる物語とは別に、枝のエピソードも描かれるが、それは単純に他の脇役や俳優を出演させるためでなく、軸となる物語に、よりメリハリを付けたり、紆余曲折を盛り込んだりするための必要な枝葉。だから、脇役も脇役を演じる俳優さんたちも自然に輝く。
だって、いくら咲いた花が美しくても、葉っぱや枝に元気がなかったら全体のバランスが悪くなるのと同じこと。始めから、ドラマ全体のバランスが良いと言えば済んでしまうことなのだが、大切なことだから敢えて書いた。
脚本家の "全登場人物の初期設定の巧みさ" が秀逸過ぎる
更に、本作の脚本の秀逸な点について書いてみる。本作は、個性的で魅力的な主要な登場人物たちが、偶然に出会って関わり合うだけで、どんどん物語が進んで行き、その進んで行く物語が登場人物たちに変化を与え、また変化した登場人物たちが、どんどんストーリーを作って行く。
決して、物語を進めるために登場人物たちが動かされるのではなく、あくまでも登場人物たちが物語を作って行く。こう言うのを「強いストーリー」と言うのだが、やはり秀逸なのは、脚本家の全ての登場人物たちの初期設定がしっかりと作り込まれていること。
登場人物の初期設定に仕込まれている絶妙な細かい設定が、ストーリーが展開する中で、時限爆弾のように最適なタイミングで爆発することで、それが、ドラマのハプニングになって、物語にメリハリをつける。これが最近のドラマに多く見かけられる、盛り上げるために意図的に後付け的な騒動とは違う秀逸さなのだ。
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テレビドラマには "見た人の人生を変えるような力" がある
この『20周年特別編』を観て、改めて感じたのは、テレビドラマ(とは限らないが)は視聴者に感動や共感を与えるだけでなく、視聴者の心に “何か” を残すこと、強い表現を使えば、視聴者の心へ確実に “爪痕” を残すことと言うのが重要だってこと。
「面白かったなぁ」とか「感動的だった!」とか、「松嶋菜々子さんが美し過ぎる」とか、そう言うもの以上の “何か” だ。作り手からの視聴者への「問い掛け」に対して、ドラマを通して視聴者自身が「考えたこと」や「影響を受けたこと」が “爪痕” のように自身に残ること。
大袈裟に言えば、「桜子のように素直に生きていきたい!」とか「欧介のような誠実な人になりたい!」とか「桜子と欧介のような素敵なカップルになりたい!」とか、そう言う影響力。
その意味で、本作は、「いいね or 叩く」…的な二分化されつつある価値観や「ねじ曲がった正義感」や「自分に都合の良い情報ばかりを集めて、それ以外の意見は排他的に扱う確証バイアスな思考」などが増えつつある令和に、人々が忘れかけている「本当に大事なものは何なのか?」をストレートに問い掛けてくれた。
やはり、名作はいつの時代も、見た人に “爪痕” を残してくれるものだと再確認させてくれた。
「2000年の自分」に戻り、若返り生きる勇気を貰えたような…
そして、20年後に再放送した意味については、当時、登場人物と同世代や少し上の世代の人たちは、40歳代中盤から、もうすぐ還暦を迎える人たちになっている。私もそうだが、本作を見て、「本当に大事なものは何なのか?」を考えさせられた世代は、当時の交際相手と結婚している人もいるだろうし、別れてしまった人もいるだろう。
本作を見た頃に描いた「自分の20年後の未来」と「現実」の乖離に気付きながらも、自分なりの人生を歩んでいると思うし、私も「20年前に想像した未来」とは違う「現実」を必死に生きている。そんな世代の人たちを、一瞬でも、「2000年の自分」に戻って、ワクワク、ドキドキさせてくれて気持ちが若返って、生きる元気を貰った人は、私だけではないと思う。
あとがき
大人の事情はあるにしても、いいシーンがカットされていたので、全11話を再放送して欲しかったです。とは言え、『月9』枠で、『やまとなでしこ』を見られたのは良かったです。そして、テレビドラマが持つ “人に与える力” は、まだあるのだなあと思います。新しいドラマも、しっかりと丁寧に作り込んで欲しいです。
やまとなでしこ 20周年特別編 (第一夜・2020/7/6) 感想
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