MIU404 (第3話・2020/7/10) 感想 ※追記アリ

TBS・金曜ドラマ『MIU404』(公式)
第3話『分岐点』、ラテ欄『いたずら通報事件"連続した犯行の狙いとは?!』の感想。
若い女性が公衆電話から警察に助けを求め、警察官が到着すると犯人らしき男が逃げ去る‘いたずら通報’が相次いで発生。同管内では、帰宅途中の女性がスタンガンで脅され、体を触られる事件も起きており、警察は両事件の捜査を進めていた。そこへまたしても若い女性の通報があり、管内のヘルプに入っていた伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)は現場の公衆電話へ急行。足に自信のある伊吹が犯人を走って追うが、逃げられてしまう。だが、伊吹の勘と志摩の機転により、犯人の思いがけない逃走の手口が判明する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:野木亜紀子(過去作/重版出来!、逃げ恥、アンナチュラル、コタキ兄弟と四苦八苦)
演出:塚原あゆ子(過去作/アンナチュラル、グッドワイフ、グランメゾン東京) 第1,2,3話
竹村謙太郎(過去作/アンナチュラル、あなたのことはそれほど、G線上のあなたと私)
加藤尚樹(過去作/コウノドリ1,2、ホワイト・ラボ)
音楽:得田真裕(過去作/家売るオンナ゙、アンナチュラル、インハンド、監察医 朝顔、俺の話は長い)
主題歌:米津玄師「感電」 (ソニー・ミュージックレーベルズ)
毎回違う導入部の小さな"見飽きさせないアイデア"が良い
第2話の感想で 「野木亜紀子脚本の連ドラは、第2話から徐々に牙を剥く」と書いて、その真意は「 私(を、含めた視聴者)が、野木亜紀子脚本の連ドラの本質に、第2話から徐々に理解をし始め、自然と作品の世界に引きずり込まれて、最終回では見事に相手の懐に収まって、感動と余韻を楽しめるようになるように作り込まれている…」だと書いた。
この第3話も、明らかにこれまでの『MIU40』と違うイントロ。これまでは、比較的最初から伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)を登場させて、じわじわと二人の仕事が初動捜査を専門にしる機動捜査隊であることを描く手法だった。
でも、第3話は違う。まず、若い女性が公衆電話から警察に電話を掛け、その事件発生現場が「西武蔵野署」管内であると強調して表示される。もう、この時点で、勘が鋭い視聴者なら「西武蔵野署」がドラマ『アンナチュラル』で、最初に主人公が勤務するUDIラボ(不自然死究明研究所)に解剖を依頼する “あの二人の刑事” が勤務する警察署であることが分かったはず。
そして、事件現場に急行するのは伊吹と志摩でなく、同僚の陣馬(橋本じゅん)と九重(岡田健史)。その後も桔梗(麻生久美子)が喋り、やっと伊吹と志摩が話し出す。そして、スリリングな捜査から、桔梗への電話の内容を勘繰るコミカルな「ウフフってる?」の会話劇へスルッと移行しちゃう。
こう言う小さな毎回の工夫が “見飽きさせないアイデア” で、それが積み重なっていくのが分かるから、野木脚本のドラマはどんどんハマってしまうのだ。
『アンナチュラル』と『MIU404』の世界観は繋がっている
そして、主人公の二人が動き出す前に、まず、前述の西武蔵野署の刑事として毛利(大倉孝二)と向島(吉田ウーロン太)も登場する。
ご存知の方には釈迦に説法だから読み流して結構だが、一応『アンナチュラル』を観ていない読者さんもいると思うので、少しだけ補足を。『アンナチュラル』とは2018年に野木亜紀子脚本の連ドラで、法医学医の主人公ミコト(石原さとみ)が 「死」を扱いながら、その裏側にある謎や事件を解明していく医療系ヒューマンドラマ。
その作品と本作のプロデューサーが同じ新井順子氏で、本作を企画した時からの“『アンナチュラル』と『MIU404』の世界観は繋がっている” と言う考えのもと、今回の夢のコラボになった…と言うわけだ。
また、新井Pは、インタビューで「どこかでミコトも生きていると思っている」と話しているから、 芝浦警察署第4機動捜査隊が初動捜査した西武蔵野署のご遺体が「UDIラボ」に持ち込まれて…なんて今後の展開もあるかも。そこを期待するのも本作の楽しみになった。
2つの異なる連ドラを"同一の世界観"に魅せたのはミラクル!
さて、毛利刑事が「ハイパーゲーム」のことを陣馬らにスマホの画面を見せて説明すると、カットの切り替わりと共に、スムーズに舞台が西武蔵野警察署から芝浦警察署第4機動捜査隊の部屋に移動する。この辺のスムーズな場面転換も見ていて、とても気持ち良い。
また、その後の展開もそうだが、「人の死」を物語の “発端” にした『アンナチュラル』と、「事件」を “発端” にした『MIU404』と一見全く違ったドラマのように見えるが、俳優さんたちの演技力、映像的な作り込みによる雰囲気や空気感までが、まるで “同一” の世界観であるかのように魅せた。
これは、ドラマをたくさん見てきた私にも、相当な新感覚。特に海外の映画なら同一の世界観を共有する『スターウォーズ・シリーズ』や『アベンジャーズ・シリーズ』などがあるし、ドラマなら脇役を主人公に仕立てたスピンオフは数え切れない。ただ、日本の連続ドラマで、2つの異なるドラマが合体し、それも全く違和感なくシームレスに行ったり来たりして楽しませる作品を見た記憶がない。
流石、「新井P×野木脚本」だからこそ成せる、ミラクルだと思う。因みに、両作品共に、音楽担当は得田真裕氏だから、当然、劇伴も雰囲気も改めて聴くと、特に、伊吹と志摩の会話劇の背景に流れる劇伴は、“アンナチュラルっぽい” と改めて感じた。
長尺のアバンには、初見の視聴者への気遣いもあった
意外に長尺だが、全く長さも感じさせないアバンタイトルで、視聴者を惹き付けつつ、丁寧なのは、「徐々に面白くなる野木脚本ドラマ」だから、第3話が初見の視聴者にも、伊吹と志摩がどんなキャラクターであるかアバンだけで情報提供した。こう言う気遣いも、人気ドラマに発展していく所以だと思う。
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4人の会話劇で、伊吹と志摩の違いを上手く強調した
前回と大きく異なる点が、メインタイトル後の伊吹と志摩と陣馬と九重の四人の会話劇。前回がほぼ、伊吹と志摩の車内でのやり取りで二人の違いを魅せたが、今回は、同僚たちの中に伊吹と志摩を放り込んで、その中で、四人の違いを描きつつ、しっかりと伊吹と志摩の違いを盛り込んで、且つ二人が主人公であることまで描いた。
特に、これまでの島は「常に先回り思考で道理を見極めようとする理性的な刑事」と言う感じだったが、この第3話で “意外と話し好き(おしゃべり)” と言う特徴が加わり、伊吹との差別化が一層上手くいった。
パチンコ玉1つでキャラ紹介から事件の話に華麗に移行した
そして、警察官のドラマなのに捜査をしていないシーンを巧みに使う刑事ドラマは、古今東西、だいたい面白い…と私は思っている。もちろん、本作もその例には漏れない。
特に、秀逸だったのは、「ルーブ・ゴールドバーグ・マシン」の話の前はキャラ紹介で、話のあとから事件の話へ移行する華麗さとでも言ったら良いだろうか。パチンコ玉一つでここまで魅せるとは恐れ入った。
イソップ挿話「狼少年」の教訓を現代風に見事にアレンジ!
事件そのものも、とても精密に、繊細に、現代風に作り込まれている。「自己責任」、「連帯責任」、「現行の少年法の問題」、「未来の日本の治安」などのキーワードを巧みに積み重ねながら…
実は、事件そのものは、狼が来ると言う嘘を何度も知らせる羊飼いの少年が、 本当に狼が襲って来た時に大人に信じてもらえず、羊を食べられてしまうと言うイソップ寓話『狼少年』(別名『嘘をつく子供』)と言う古典を題材にしていると思われる。※もちろん、何の根拠もない、私の憶測にすぎないが…
古典的な “教訓” を、令和2年の現代ドラマ、それも刑事ドラマに投影させて、『狼少年』と真逆の結末をつくり、少年たちを更生させて終わらせても良いのに、野木脚本は、『現代版・狼少年』の、その先を作った。
嘘の通報をしていたバシリカ高校元陸上部マネージャー・真木カホリ(山田杏奈)に、スタンガンと台車を使って誘拐する犯人(岡崎体育)を宛がって “お仕置き” を描いたのだ。私の勝手な憶測にすぎないが、ここまで『狼少年』をリスペクトし、更に令和版らしく書き上げたのはお見事としか言いようがない!
清々しさ、未来、そして次回に続く恐怖を植え付けるエンディング
そして、犯人逮捕の瞬間までも、スタンガンでビリビリと “感電” すると言う本作らしいコミカルさを盛り込んで、米津玄師さんが歌う主題歌「♪感電」に繋げる抜群のセンスの良さ。
更に、事件の後処理も、大団円でま~るく収まりました…とせずに、ネット上に勝手に個人情報を書き込み誹謗中傷する現代の問題まで盛り込んで、事件は簡単に終結しないと言う現実を突きつけた。なのに、妙な不快感は全くなく、むしろ清々しさと、未来、そして次回に続く恐怖を植え付けるエンディングに仕上げたのも見事だと思う。これぞ、連ドラの面白さだ!
あとがき
「1話完結の面白さ」と、「連ドラの楽しさ」を兼ね備えていますね。その上で、この第3話は、「新井P×野木脚本」で、『MIU404』×『アンナチュラル』を見事にやってのけてしまいました。本当に凄いと思います。また、益々、綾野剛さんと星野源さんの演技も良かったですし、バディの魅せ方も良かったです。
そして、第3話で、青少年に「ドーナツEP」と言うトローチ型MDMA系ドラッグを売り捌いている売人の男に菅田将暉さんが登場。益々、面白くなりそうで、楽しみです。
2020年7月11日 18:41 追記
『ドラマ「MIU404」第3話に登場した「バシリカ高校」と言う学校名を勝手に掘り下げてみた』を書きました。
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