[再]連続テレビ小説「エール」 (第1回・2020/6/29) 感想

NHK総合・[再放送]連続テレビ小説『エール』(公式サイト)
第1週『初めてのエール』の
第1回:佐藤久志(山崎育三郎)の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
激動の昭和という時代、音楽の力で人と人とを結んで勇気づけたある夫婦の物語。昭和39年、10月10日、東京オリンピック開会式の日。聖火ランナーが東京の街を走り、国立競技場でまもなく開会式がはじまろうという時、会場に来ていた古山裕一(窪田正孝)が姿を隠してしまう。あわてて裕一を探しまわる妻の音(二階堂ふみ)。裕一は、自分が作曲した開会式の音楽を皆が受け入れてくれるか不安だったのだが、その時…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
冒頭の部分の本放送当時の副音声と久志の副音声は比較する
●原作:林宏司 ●作:(表記無し) ●演出: 吉田照幸(敬称略)
さて、今週は、『エール』の第1~6回を、山崎育三郎さんが「佐藤久志」になり切って、副音声で解説すると言う朝ドラ初の試みだと言う。と言うことで、本放送当時には世間で大きな話題になった「朝ドラが狩猟時代から始まる」部分の副音声を、本放送当時と今回を比べてみる。
だだ、副音声には当然字幕が無いから、いつものような「字幕ママ(字幕表記のそのままを転記する」にはなっていないことは、あらかじめご承知願いたい。
また、副音声について触れる内容のため、「視覚障害者」と言う単語を多用するが、「目の不自由な人」や「視力障害者」、「視覚障がい者」等の表現があることは知っている上で1つに統一し、決して差別して書いているつもりは無いことだけは、ご理解頂きたい。
そして、冒頭のシーンの、まずは本放送当時の副音声がこれ。
紀元前1万年
川の魚を取り損ねる男
女が優しく肩を叩く
そして、今回の副音声がこちら。
始まりは紀元前1万年
川魚を捕り損ねたたのは裕一?
音さん似の女性が慰めて
こんな感じで、その後も「音ちゃん」とか、久志らしい言い回しが登場するが、もう少し “久志らしさ” で解説してくれるのかなと、当初は期待していた。
2つの副音声は「映像を補強する」と言う意味で差がある
ただ、ご自身が視覚障害者視覚障碍者であるとおっしる当blogのある読者さんのコメントを読ませて頂くと、副音声には、私が普段の感想に書いているような、例えば「赤い花が咲いている」とか「画面の右側に裕一がいて、奥から光が当たっている」みたいな、映像を補強、補完する詳細な解説が欲しいとのこと。
その意味で、改めて、保存済みの本放送時の第1回と今回再放送の第1回の副音声を全部聞き直したが、正直「映像を補強、補完する」と言う意味では、意外と大きな差になるかなぁと感じた。
視聴者全員が"見るのは2回目"が大前提なら良いと思うが…
では、もう1つの場面で、違いを比較してみる。5分過ぎに、こんな3つのシーンが連続する。
桜が舞い散る季節に、竹ぼうきで庭掃除をしながら髪の毛に白髪の混じった音(二階堂ふみ)が、「♪さくらさくら」を歌っているシーン。その姿を窓越しに見ている裕一(窪田正孝)が何かを思い出すシーン、思い付いた裕一が机に向かって楽譜を書くシーンの3つが連続する。
そこには、こんな久志の副音声が入った。因みに、この場面の音声は、音の「♪さくらさくら」の歌声と、自然音だけ。劇伴(BGM)はない。
音さんの歌声は いつ聞いても美しいですね
五線紙に書き出した こう言う時の裕一は速いんです
曲名はオリンピックマーチ 表紙には古山裕一のサイン
名曲の誕生です
一方の、本放送時の副音声は、こうだ。
着物姿の妻が 庭の掃除をしながら口ずさんでいる
作曲家の表情が変わる
机に戻り 鉛筆で五線紙に音符を書く
オリンピックマークの入った楽譜の表紙に 古山裕一と署名する
私の感覚だと、明らかに本放送の副音声の方が、映像の補強、補完の分量が多いし、正確だと感じた。一方の久志の副音声は、裕一の性格や癖を知っているから親友の久志だからこその「感じたこと」を喋っている…と言うように感じた。これ、どうなんだろう? 私、良く分からなくなってしまった。
今回を見るまでは、上↑のような久志の副音声を期待していたのに、実際は、今回の久志の副音声では、今回が初見の視覚障害者の方に内容が伝わり難くなっているように感じたからだ。まあ、視聴者全員が「見るのは2回目」と前提で考えれば、久志の副音声が悪いとは思わないが。
「久志らしさ」と「映像の補強」が両立したら良かった…
また、確かに、NHK側の事情も分かる。更に、既に俳優さんたちによる副音声の録音(録画かも?)は終わって、編集も済んでいる可能性もある。だから、今さら書いても、どうにもならないが。
ここは「久志が副音声をやる」と言うアイデアの面白さもありながら、「もっと映像を補強、補完する」と言うことに重点を置いて副音声の原稿を作った方が良かったような気がする。
だって、少なくとも、連続テレビ小説に於ける副音声は「遊び道具」でなく、Wikipediaにもあるように「主に視覚障害者向けにテレビジョンの音声多重放送を使って場面の解説を放送」なのだから。
序盤で「このドラマは私の親友の物語」と宣言していたら…
それと、もう一つ、こんな工夫があっても良かったなぁと思うこと。それは、序盤のどこかで、「私は、このドラマの主人公・裕一の友人の久志です。そして、このドラマは私の親友の物語」と宣言したら良かったのでは? と。
だって、冒頭で「裕一」、「音ちゃん」と言われても、これまで『エール』を見て来た視覚障害者の方は分かるが、今回が初見の人なら、「裕一」や「音ちゃん」と言われても分からないはずだから。この辺、少し「副音声」を “(良い意味で)いじる” わけだから、配慮があっても良かったかなぁと思ってしまった。
「音楽がある日常」を描く朝ドラであることを再認識した
さて、副音声については以上にして。第65回まで、約3か月分を見終えた状態で、第1回を見直して気付いたことを、つらつらと書いてみる。
やはり、改めて再認識したのは、第1回の冒頭が、 狩猟時代の夫婦が火山噴火で川の魚が天から降って来た喜びの表現に音楽を演奏したりダンスをしたり、妻の死を歌で弔ふ夫だったり、テニスの選手が試合前に音楽を聴いて気合を入れたり、失恋し思い出の写真を燃やした男の心を慰めたのが音楽だったり…
プロポーズをフラッシュモブの音楽とダンスで盛り上げたりの場面だったのを見て、「音楽がある(あった)から創り出せた様々な日常」が描かれると思ったし、その後の場面を見れば、「音楽を創作する幸福感や苦悩」や、「歌を歌う楽しさや苦労」が描かれるものだと期待した。
もっと音楽と主人公が一体化すると期待したのも思い出した
ただ、少なくとも第65回までが、そうなっていたか? と自問自答すると、ちょっと脇道に反れ過ぎの部分が多かったかなぁとも思ってしまった。
う~ん、例えば、6分頃の小学校のシーンで、1カットだけ「福島信夫小学(學)校校歌」の額縁が映ったが、そこに「作詞 村野鉄男」と「作曲 古山裕一」と書かれていたこと。
また、その少しあとに、髪が白髪交じりの鉄男(中村蒼)が「藤堂家之墓」にラジオを持参して墓参りする場面では、鉄男が「あの裕一が… いじめられっ子の裕一が ついにやりましたよ 先生」と言っていたこと。
もちろん、どちらも、伏線であり、仕掛けであり、言い方は良くないが、ドラマ上の時限爆弾であり、いつか、この第1回の場面が、のちにクライマックスの一つになったり、ドラマの佳境になったりするだろうと。要は、もっともっと音楽と主人公とドラマが一体化すると期待したのを思い出したのだ。
例えば、まだ第65回までしか見ていないから、先がどうなるか分からないが、これまでの鉄男と藤堂先生(森山直太朗)の関係だけを見れば、私には、年老いた鉄男が藤堂先生の墓前に裕一の成功を報告するような関係には見えていないってこと。
警備員のサイドストーリーも見たくなる、それも「エール」らしさかなと
でも、じゃあ、これまでの『エール』を全否定するのかと言えば、そんなことはない。ただ、世間の評判があまりよろしくない(らしい)、例えば、『♪紺碧の空』の誕生秘話のくだりや、時々挿入されるコント風な脚本や演出や演技や、先々週と先週のスピンオフ的な内容も、私は良かったと思っている。
それは、第1回の8分頃から始まる、緊張でトイレに隠れたりする裕一を、祐一を探す音とのやり取りを経由して、長崎出身の東京オリンピック(昭和39年)の警備員(萩原聖人)が登場する場面があったから。
コミカルを超えたコント風の演出は、紛れもなく本作のメインの演出家である吉田照幸氏によるものだし、おどおどしている裕一に話し掛ける警備員のこの台詞なんて…
警備員「自分は 長崎の出身であります。
親や兄弟 親戚 みんな死んだとです。
生きる希望ば与えてくれたとは
先生の『長崎の鐘』です。
先生の曲は 人を心ば励まし 応援してくれます。
先生の晴れ舞台ですけん どうか… どうか 会場で!」
と、敬礼するところなんて、この警備員のサイドストーリーも見たくなる感じに仕上がっており、やはり、本作って、こんな感じなんだなぁと。
やはり、『エール』って…
また、警備員に背中を押されて、首席することを決めた裕一の場面に、久志の副音声がこんなことを言っていた。
裕一の曲が この人を励まし
今度は裕一が背中を押してもらいました
やはり、本作って、祐一と音と音楽を中心に描くドラマではあるべきなのだが、やはり、その音楽に影響を受けることになる人や受けた人たちも同時に描くドラマなんだなぁと。
あとがき
半年間続く朝ドラの放送が一時中断して、第1回から再放送される前代未聞のことですが、それだからこそ分かったことがありますね。それは、魅力的な脇役を描くのは決して悪くないと思いますが、改めて思ったのは、もっと「物語に音楽が」、「音楽が主人公に」絡んでいくべきかなぁと、改めて感じました。
再開後は、是非とも、祐一にはもっと作曲をしてもらって、音には裕一のミューズ(音楽・舞踏・学術・文芸などを司るギリシア神話の女神)になって貰いたいと思います。
また、副音声が記録可能な「DRモード」で保存してあるのは、第1回放送分のみですので、第2回以降は本放送時との副音声の比較は、基本的に書きません(書けません)。
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【これまでの感想】
第1週『初めてのエール』
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第2週『運命のかぐや姫』
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第3週『いばらの道』
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第5週『愛の協奏曲』
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