連続テレビ小説「エール」 (第13週/土曜日版・2020/6/27) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『エール』(公式サイト)
第13週『スター発掘オーディション』の
『土曜日版』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
オムニバス形式の5話。
安定した作曲家生活を送るようになった裕一(窪田正孝)は、廿日市(古田新太)からオーディションで発掘する新人歌手のデビュー曲の作曲を依頼される。裕一は、いまだ歌手デビューできていない久志(山崎育三郎)にオーディションへの応募を勧める。一方、かつて音(二階堂ふみ)に歌を教えていた御手洗清太郎(古川雄大)も豊橋から上京。二人は、一つの合格枠をめぐってライバル心を燃やす。そしていよいよオーディション当日!
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
こう言うのが、アバンタイトルのお手本と言って良いと思う
●原案:林宏司 ●作:嶋田うれ葉 ●演出:野口雄大(敬称略)
今週は、ずっとアバンタイトルが良く出来ていると書いて来たが、この「土曜日版」冒頭の1分30秒も実に秀逸。8:00になって主題歌が流れて、歌が始まった途端に即、バナナマン日村さんのナビゲーションがスタート。映像はメインタイトルのまま、畳み掛けるように今週の初期設定を的確にどんどんナビゲーションしていく。
因みに、月曜日ではメインタイトルを含めて、「♪六甲おろし」から裕一(窪田正孝)が廿日市(古田新太)からオーディションで発掘する新人歌手のデビュー曲の作曲を「ヒット曲 よろしく」と、依頼されるまで約5分も割いていたのに、「土曜日版」は約3割に圧縮した。
正確には、「土曜日版」のはアバンタイトル(一般的には、メインタイトルや主題歌やイントロ的な映像の前に入るストーリーのことを言う)とは言わないが…
まず、文字通りに今週の見せ場をナビゲーションして、そのあとは裕一がコロンブスレコードと契約して5年経過していること、裕一がヒット曲を生み出して生活に余裕が出来たこと、娘の華が4歳になったこと、そして、裕一は社運がかかったオーディションの作曲依頼が来る程の作曲家になったことまで、90秒で見せちゃった。
こう言うのが、アバンタイトルのお手本と言って良いと思う。
「土曜日版」がきちんと内容を伝えるために作られている証し
ここは、「土曜日版」で削って欲しくなかったのが、下記の、おでん屋での福島三羽烏の裕一と久志(山崎育三郎)やり取りだ。
裕一「流行歌はね ものすごい数の人が聴いてくれるんだよ」
久志「でも 西洋音楽 裕一も志望だったろう? 未練ないのか?」
裕一「ない! …と言ったら まあ うそになるけど。
でもね 流行歌が いかに大衆の心をつかむか
もう 身にしみて よ~く分かったから。
あ~あ 久志にも体験してほしいな~」
ここの裕一の、西洋音楽に未練はない訳では無いけれど、自身の音楽活動で大衆の心をつかむ…と言うこと、謂わば、自分の音楽で多くの人に何かを伝えたいと言う部分では西洋音楽(オペラもそうだが)も流行歌も、アプローチが違うだけで、自身の目的は果たせると言うのを裕一自身が学んで、それを久志にも体験してほしいと願って~の、今週だってこと。
ここが削除されてしまうと、完全に、日村さんが言ったように、「久志と御手洗(古川雄大)が熾烈な戦いの末に勝利するのはどっち?」と言うだけの1週間になってしまう。だから、ここを削らなかったのは、きちんとドラマを伝えようとして「土曜日版」が作られている証しだと思う。
鉄男 役の中村蒼さんの役者魂、役者根性を見た瞬間
また、もう一度見たかったのが、鉄男 役の中村蒼さんが、劇中で “初ギター” を演奏するシーン。ミュージシャンでもない俳優さんが、カメラを前にクラシックギター、しかもコードをジャカジャカと鳴らす「ストローク奏法」でなく、丁寧なアルペジオ奏法風の爪弾き。その上で、山崎育三郎さんがその伴奏に合わせて歌うのだから、本当に凄いと思う。
ご本人のブログにも、「初ギターでしたがなんとか無事に弾けました!」、「育さんの歌がのるとなんだか自分もプロになった気分になりました(笑)」と書いてあったが、役者魂、役者根性を見た瞬間だった。
この音のセリフに連ドラとしての作り込みの緩さを感じてしまう
さて、今週は敢えて称賛ポイントばかりを感想に綴って来たが、「土曜日版」だからと言うわけではないが、苦言とまでは行かなくとも、本作への一抹の不安を感じた場面について書いておく。それは、結果的に久志が研究生となることが決まって、一段落した時に、音(二階堂ふみ)が言った、この台詞だ。
音「私 やっぱり 歌が好き」
音が、歌が好きなのは分かっている。また、未計画妊娠によって音楽学校を辞めることになり、今は子育てに専念していることも分かっている。今週も、ちょこっとだけ御手洗の発声練習の手伝いをしたことも。でも、それだけで「私 やっぱり 歌が好き」と言うのは、流石に唐突過ぎると思う。
だって、その数少ない音が歌うシーンですら、日村さんのナビゲーションは「一方 スター御手洗は 音と一緒に猛特訓」しか補強できなかったわけだから…
折角、御手洗が家に来たのだから、今後の歌のことを相談するとか、御手洗と久志に触発されて、裕一に隠れて「♪船頭可愛いや」を歌ってみるとか。いくら、今週は裕一と音は一歩下がっての、スピンオフだとしても、この台詞を言うことに必然性があるように、1シーンで良いから、入れたら良かったと思う。
だいぶ前の、音と御手洗の歌のレッスンシーンを見た人がいようがいまいが、喫茶バンブーで「御手洗せ… ミュージックティーチャー?」と音に言わせたのだから、強引に入れて欲しかった…。そう言う描写を入れることこそが、連ドラに於ける大事な連続性であり、本作の、特に複数の脚本家による連携不足、作り込みの緩さを感じてしまう残念なところなのだ。
残り、3か月で巻き返して欲しいと願う。
あとがき
予告編に、日本作曲界の重鎮・小山田耕三(志村けん)が登場するカットがありましたね。世界的オペラ歌手・双浦環(柴咲コウ)とのやり取りが、志村けんさん出演の最後のシーンだと思っていたので楽しみです。そして、いよいよ戦争の足音が聞こえ来るようですね。
来週の月曜日(6/29)から、3週間は、『「エール」山崎育三郎ら出演者が"役"として副音声で解説! 6/29からの2週目再放送で新たな試み』の投稿で書いた通り、第1回からの再放送が、既に3週間分あると発表されていますから、次の第14週は早くて、7月20日(月)でしょうか。
また、前述の投稿では、「第1~6話:山崎育三郎さんが「佐藤久志」の役のつもりで副音声」と書きましたが、本日の公式サイトを見たところ、「第1~5回:佐藤久志 (山崎育三郎)」との記載もあり、「解説放送(副音声)の聴き方」のすぐ上には「第1~6回は佐藤久志(山崎育三郎) 」とあります。でも、Yahoo!テレビを読むと、「第1~6話:山崎育三郎さんが「佐藤久志」の役のつもりで副音声」が正しいようです。
それにしても、副音声による、俳優さんが演じている役でドラマを解説するのは、ちょっと斬新ですね。
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【これまでの感想】
第1週『初めてのエール』
1 2 3 4 5 土
第2週『運命のかぐや姫』
6 7 8 9 10 土
第3週『いばらの道』
11 12 13 14 15 土
第4週『君はるか』
16 17 18 19 20 土
第5週『愛の協奏曲』
21 22 23 24 25 土
第6週『ふたりの決意』
26 27 28 29 30 土
第7週『夢の新婚生活』
31 32 33 34 35 土
第8週『紺碧(ぺき)の空』
36 37 38 39 40 土
第9週『東京恋物語』
41 42 43 44 45 土
第10週『響きあう夢』
46 47 48 49 50 土
第11週『家族のうた』
51 52 53 54 55 土
第12週『アナザーストーリー ~それぞれの愛のカタチ~』
56 57 58 59 60 土
第13週『スター発掘オーディション』
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