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「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想 ※キャプチャー画像追加

2020/6/15 11:25 記事更新(キャプチャー画像追加)
「野ブタ。をプロデュース」特別編

日本テレビ・『野ブタ。をプロデュース』特別編特別編公式
PRODUCE 9『別れても友達』の感想。
なお、原作の「野ブタ。をプロデュース」白岩 玄(河出書房新社)は未読で、ドラマも未見。
 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視させて頂きます。



修二(亀梨和也)は、これまで人気者だったのが嘘のようにクラスで孤立していく。戸惑いを隠せない彰(山下智久)と信子(堀北真希)は、修二の本当の姿を知っているのは自分たちしかいないと、修二を信じることを誓う。そんな中、信子は、嫌がらせをした犯人が、親友だと信じていた蒼井(柊瑠美)だったことを知って、がく然とする。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---


原作:「野ブタ。をプロデュース」白岩 玄(河出書房新社)
脚本:木皿泉(過去作/すいか、富士ファミリーシリーズ、パンセ)
演出:岩本仁志(過去作/時をかける少女2016、崖っぷちホテル!) 第1,2,3,5,7
   佐久間紀佳(過去作/Missデビル、あなたの番です、トップナイフ) 第4,6,9
   北川敬一(過去作/あり得ない!、ろくでなしBLUES) 第8
音楽:池頼広(過去作/相棒シリーズ
主題歌:修二と彰「青春アミーゴ」(ジャニーズ・エンタテイメント)

まえがき

(前回の感想にも書きましたが)この感想は最後まで見終えてから書く手法でなく、録画を見ながら気になったら一時停止して書いて、チャックしてから進めるスタイルで書いておりますので、読者の皆さんも「その都度、先が分からない」つもりで読んで頂けると、感想の内容が分かりやすいと思います。なお、前回が長文過ぎたので、今回は前回の3/4程度にしました。

冒頭の亀梨和也さんと山下智久さんのコメントに超共感!

今回は、本編が始まる前に、亀梨和也さんと山下智久さんがスペシャルコメント出演をされた。お二人が放送直前から終了後まで互いにメール等でやり取りをして、放送を楽しんでおられると話されていた。そう、これなのだ。私が当blogで感想を書くのを、地上波のドラマに限定している理由は。

やはり、誰もが無料で同時に見られる地上波放送だからこそ、同じ時間と映像を共有できる。決して、見逃し配信や有料映像配信が悪いとは思わない。でも、40年以上前の昭和の小学生たちは「昨日のあれ見た?」、「面白かったよね」と言うのが朝の友だちとのやり取りの最初だった。

それが、令和になっても、このブログなら「昨日のあれ見た?」、「面白かったよね」と言うのができる。ファンの方々には叱られるかも知れないが、亀梨さんと山下さんと「昨日の野ブタ。面白かったよね」と言い合う気分で、今回の感想は書いてみようと思う。

今回の感想は序盤からハイテンションで書き続けられない…

今回は、いつものハイテンションで脚本や演出を分析しながら感想が書けない。もう、一時停止して見直すよりも、とにかく蒼井かすみ(柊瑠美)の言動の全てが冒頭から意外性と恐怖感に満ち溢れており、それが、じわじわと修二(亀梨和也)から信子(堀北真希)、そして彰(山下智久)へ浸透していく様子に目が離せないからだ。

でも、序盤から見逃せないシーンの連続だ!

とは言え、序盤で修二が教室に入ると同級生たちから無視されるが、信子と蒼井は仲良くしている場面では、演出家が前回と違うのに舞台照明的な演出がきちんと継承されている点は見逃せない。

「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想
©NTV

また、彰の部屋に修二が訪れて信子に唯一の同性の友だちが嫌がらせの犯人だと言えるか? と問われた時の山下智久さんの無言の表情はとても印象的だ。

「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想
©NTV

更に、翌朝の学校の屋上で遂に4人が鉢合わせする場面では、敢えて、修二と蒼井に意図的に人工的に見えるような照明を当てて(本来なら、反射板等を使って自然な感じで日光を当てると思う)、今までの3人の “日常” の中に “非日常” がやって来る違和感を創出した。

「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想
©NTV

1つのドラマの中に2つのドラマが内包されている凄い脚本

やはり、この脚本ってスゴイと思う。ちょっと小難しい話になるが。そもそも、ドラマと言うのは、登場人物たちの “日常” にある日突然に “非日常” が起きて “日常” が崩壊するところから始まるモノなのだ。例えば、「いつものようにご飯を食べている家に強盗が入る」とか、「地球に宇宙人がやって来る」とか。

本作も、普通の学生生活を送っていた修二と彰の前に “野ブタ” と言う “非日常” が現れて、“日常” が崩壊してプロポーズが始まった。そう、もう既に本作では十分なドラマが始まり、信子も少しずつ周囲に受け入れられ、結末を迎えようとしている…この時に、ドラマの中にもう一つのドラマを創ってしまったのだ。

これは連ドラで毎回新しい事件や難題が起こると言うレベルではない。なぜなら、第8話まで描いて来たドラマの “日常” を再びぶち壊すと同義だからだ。

なんて、良く計算されたアバンタイトルなんだ

正直、ここまでの展開は、私は想像しなかった。第1~6話は、「教室」と言う枠組みの中で、修二と彰が信子を人気者にして行く過程で、「桐谷修二」と言う人気者を形成するために必死な修二が、自分に正直でピュアな彰との関係の中で、本当の自分を見出すドラマ。

第7話以降は、その不動の人気者キャラ「桐谷修二」が崩壊を始め、この先、彰と信子が逆に新たな「桐谷修二」を創り上げていく(プロデュース)するドラマだと勝手に思っていたのだ。

しかし、前回の第7話での、蒼井の盗撮写真から、そんなチンケなドラマでないことは見えたが、アバンタイトルの最後のこの修二のモノローグで、私の想像こそが陳腐であることが証明されてしまった。

修二(M)「俺は 怖くて仕方なかった
     多分 道を間違えたのは… そのせいだ」

なんて、良く計算されたアバンタイトルなんだ。

民主主義的な修二たちに、独裁者政治の足音が聞こえ始める

アバンタイトル明け、彰の部屋で4人が集まって、新しい信子のプロデュースを考えるくだりでは、“日常” らしく修二と彰が楽しそうにアイデアを出し合うが、そこに「生ぬるい」、「もっと徹底的に」、「正統派じゃない」、「誰もが認める」、「全然努力してない」と言う自己中心的な価値観と正義感を表す単語を含めた台詞を武器に、蒼井が “非日常” で斬り込んで来る。

真面目な修二は蒼井に反対意見を言うし、ピュアな彰は蒼井に直接反論しようとするが、なぜか信子が「私が… 努力するから」と蒼井の意見を受け入れ、何となく話に決着がついてしまう。

これまで、修二と彰と信子の3人が一緒に考えて民主主義的に進めて来たのに、まるで蒼井が独裁者のようになった不安感が、このシーンの最後で台詞の無かった修二と彰で象徴された。なかなか、地味だが独裁政治の足音が聞こえ始めた怖いシーンになった。

彰は"人は愛を持って育てるもの" との価値観があるから…

このあとも、蒼井は独りよがりの独裁政権を、修二と彰と信子に押し付ける。しかし、これまでの民主主義的なプロデュースと友情を信じている3人は、僅かだが蒼井に反撃に出る。

信子は「元に… 戻したい」、修二は「俺は ただのガキです」、そして彰は「俺ん中では修二とノブタは1番なの。俺自身は2番なの」と切り出す。この一言で蒼井は退散すると思いきや、彰のピュアすぎる言葉に蒼井は反論を続ける。

蒼井「すっごいウソつき。
   誰だって自分が1番がいいに決まってるじゃない」
 彰「ウソじゃ ないよ。
   毎日 楽しいのが大事でしょ。
   だから俺は そっちを取ったの~。
   つうか 根本的に やり方 間違ってない?
  人は試すもんじゃ ないよ」
蒼井「試すもんじゃないなら 何するもんなの?」
 彰「育てるもんだよ。愛を持って」

そうか、前回、なぜ、あの盗撮写真を普通の箱や机の引き出しに仕舞い込むのでなく、「糠床の入った蓋つきの陶器の甕(かめ)」だったのか、今一つピンと来ていなかった。苦しく辛い思いでも時が経って熟成されれば良い思い出になるとか、単純に豆腐屋だからだと思っていた。しかし、彰は “人は愛を持って育てるもの” と言う価値観を示した。

これまでも、正義感が強くて、自分なりのルールを持っており、思ったことや感じたことをそのまま言動に移すピュアな彰ではあったが、父・庄一(升毅)との確執や会社の後継者問題を乗り越えた彰は、いつの間にか“人は愛を持って育てるもの” と言う価値観を抱く青年に成長していたと言うわけだ。

「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想
©NTV

このシーンでは、ただ立っているだけの彰を、決して強い語気ではなく、いつもの軽いテンションなのに、その実は蒼井の地雷を思いっきり踏んでやろう! みたいな気迫を覗かせた、さり気ない「俳優・山下智久」の演技に見入ってしまった。

蒼井から真実を知らされる信子のシーンは見るのが辛過ぎる

そして、放課後の教室。信子が自分の机の上に放置されている「蒼井のポーチ」に “黄色のペンキ” が付いているのを見て、自分に対してのいじめの数々の点と点が線で結ばれた。

「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想
©NTV

それでも、信じられない、信じたくない… と思う信子が、第5話で描かれた、“シッタカ” こと植木誠(若葉竜也)と信子の水族館デート中に倒れた一人の老人男性の話を持ち出す。そうだ、蒼井はその老人が自分の祖父で信子に感謝をし、それをきっかけに信子と蒼井の距離が縮まった経緯がある重要人物だ。

信子「私が… 水族館で助けた
   蒼井さんの おじいさんに
   どうしても会って 聞きたいことがあるんだけど。
   会えないのかな…」
蒼井「うん 会えないよ。
   だって あれ 私がつくった ウソだから」
信子「蒼井さんが… やったの?
   お化け屋敷 壊したのも
   テープ壊したのも 全部… そうなの?」
蒼井「うん そう」
信子「何で…?」
蒼井「嫌いだから。うっとうしいから。
   『3人で仲良しです』って そんなの ウソくさいから」
信子「親切にしてくれたり…
   友達だって言ってくれたのも… 全部 ウソなの?」
蒼井「うん ウソ。
   もっともっと親切にして 一番 効果的なところで
   叩き落してあげようと思ったんだけど 残念だな」

ここ、本当、見てるのが辛すぎる。でも、脚本家と演出家は分かってる、視聴者のそんな気持ちを。だから、最適なタイミングで、まり子(戸田恵梨香)と登場させて、そのまま夕景の校舎の屋上へ。

「ウソ(字幕ママ)」と言う単語がいろいろな意味に受け取れる

本作では珍しい「信子とまり子」のツーショット。それも最初は2人の顔が認識できるかできないかの微妙なロングショットで、蒼井にウソをつかれた信子の寂しさと、信子の心を受け止めようとするまり子の優しさを表わした。

「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想
©NTV

まり子「ずっとウソつかれたまま
    仲良くしてたほうが よかった?
    私も 本当のこと知って よかった。
    ウソつかれるの 寂しいもんね」

そして、個々のバストアップ(胸から上を映した画角)に切り替わると、まず、信子がまり子に小さく頷いて…

 信子「でも… ずっとウソついてるのも寂しいかも」
まり子「そうかもね」

ここで、ふと修二とのことを思い出すまり子。あの廊下のシーンを回想で挟むタイミングもピッタリ。いやあ、「ウソ(字幕ママ)」と言う単語が、「より良く見せたい」とか、「他人を見下したい」とか、「気に入らない人をおとしめた」とか、「事実を隠したい」など、いろいろな意味に受け取れる。

だから、字幕が「嘘」でなく「ウソ」になっており、それが脚本もそうであるなら、やはりこの脚本の奥深さは半端ないと思う。

CMのタイミングも、よ~く計算されていると思う

本放送時も、このタイミングでCMが入ったのだろうか? だとしたら、番組編成も見事だ。

ほぼ前半は、まるで独裁者であるかのように勘違いしている蒼井を散々見せられたから、ここは後編に向けて、修二と彰たちの反撃を見たいと思うが、CMを入れて時間を空けた上で、教職員たちのコント風を挟むことで、こちらの気持ちに少し余裕が出るし、ちょっと前のめりに作品に没入し過ぎるのを緩和して、客観視、特にクラスメイトたちの心情にシンクロされる効果はテキメンだ。

自然に、弁当を食べている生徒たちの気持ちになれたから。この辺もよ~く計算されていると思う。

まり子が蒼井の事を修二と彰に話す時の3人の演技が秀逸!

恐らくランチタイムに教室を抜け出した校舎の屋上。まり子が昨日の卑劣な蒼井の発言を修二と彰に教えるくだりがあって、まり子がその場を去ろうすると、修二がまり子を呼び止める。なんか、ここの2人の芝居もスゴイなぁと。まだ若いのに「俳優・亀梨和也」と「女優・戸田恵梨香」と書かざるを得ないような見事なやり取り。

「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想
©NTV

ちょっとスキップを踏むようにして去るまり子も、右手を手持ち無沙汰する修二もいい感じ。もちろん、終盤で修二の背後に小さく映る「俳優・山下智久」が彰の首を1回だけちょこっと頷かせて、まり子に「サンキュ!」と言ってる感じも本当に素晴らしい。

「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想
©NTV

字幕オフで見ると修二のモノローグに聞こえる巧みな演出!

また、いい演出を見つけてしまった。信子は休校中。昼の校内テレビ中継の人気コーナー「それゆけ! 小谷の突撃飯!!」が、蒼井にジャックされて、「面白くなくなった」との評判が立つ。

「だから~ 小谷を出せっつ~の!」と信子の出演を待ちわびる声を聞いた修二が、このクラスメイトの声をビデオで録画して信子に届けようと彰に提案。彰は準備のため教室を出ると、修二がクラスメイトに向かって、自分の提案を話し出す。

ざわつきから沈黙の教室。まず、ピアノのソロ曲が先行して、修二が「お願いします」と頭を下げる。シーンは教室から、家でじっとしている信子のシーンに切り替わって、修二の台詞の「今」だけが先行して流れる。画面は、カメラが修二の背後に回り込んで教室全体を映しており、この時の修二は頭を下げたまま。そこへ、次の台詞が続く…

「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想
©NTV

修二「今 こうして俺が言ってる言葉が
   みんなに届いてないと思うと 怖いです」

ここ、字幕オンで見て入れば「台詞」だと分かるが、字幕オフで見ていると修二のモノローグに聞こえると言う演出が施されていると思う。

だって、モノローグかな? と思って見ていると、撮影の準備を整えて戻って来た彰の驚いた表情のアップが入って、お辞儀をしている横からの修二が映って、上↑の台詞がモノローグでなく、クラスメイトに実際に喋ったことが分かると言う演出になっているから。

ピアノ曲もずっと流れているのも、モノローグに思わせる仕掛けの一つに違いない。そのピアノ曲も、通称「タニ」こと谷口健太(大東俊介(現・大東駿介))の「届いてるよ」でカットアウト。修二はモノローグが多いと言う本作の脚本の特性を敢えて裏切って~の演出。お見事!

"4人が同時に同じ夢を見ていた"と言う想定外の帰着点!!

わぁ、こりゃスゴイわ。

他に誰もいない教室で、蒼井が「3本足のラッキーピッグ」を持っているアップから、寝顔が信子にカットチェンジして、信子だけが目を覚ますと、ピンク色の紙に黄色の文字で「小谷さん 学校の屋上へ来て。アオイ」の置手紙。急いで信子が屋上に行くと、蒼井が「私を許すか?」、「許さないなら飛び降りる」との究極の選択を迫る。


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迫られる信子も「許さないが、飛び降りないで」と切り返す。堂々巡りの中に修二と彰も加わって、ここから怒涛の展開が幕を開ける。蒼井を心配した修二と彰と信子が教室に探しに行くと、「3本足のラッキーピッグ」を持ったまま眠っていた蒼井が信子の呼び声に目を覚ます。目から涙が零れている。

信子は「屋上から 飛び降りる夢 見たの?」と問いかけると、頷く蒼井。ここも、字幕オンとオフでは解釈が変わると思う。字幕オフだと信子は「(私たち3人は同じ、蒼井さんが)屋上から 飛び降りる夢 見たの」と報告したような台詞の言い回しになっている。しかし、字幕オンだと「屋上から 飛び降りる夢 見たの?(字幕ママ)」とクエスチョンマークがついており、信子から蒼井への疑問文になっているのだ。

だから、ここは、4人が同時に同じ夢を見ていたと言う想定外の帰着点と言う解釈が正しい(と言うか、最後まで見れば、修二のモノローグで解説されるが)。

フィクションなのに説得力抜群なのは脚本と演出と俳優の三位一体

そして不思議なのは、4人が同時に同じ夢を見ただけでなく、その屋上には夢の中と同じ位置に椅子があって、蒼井が飛び降りて植え込みに叩き付けられたはずの場所の草は “人型” に無くなっており、土が見えていた…と言う摩訶不思議な現実。独裁者であるかのように勘違いしている蒼井は、この世から消えたと言うことだ。

「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想
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この辺の “非日常” の世界に、更に摩訶不思議な現象と言う “更なる非日常” を盛り込んで、フィクションでしか描けない世界を創出しているのに、微塵も説得力を失わず、むしろ心地良い余韻まで醸し出したのは、秀逸な脚本と演出と俳優の三位一体としか言いようがない。

デルフィーヌとキャサリンと黒猫のシーンも良かった…

そして、日本では幸運を運んでくれる縁起の良い動物とされる「黒猫」が登場するゴーヨク堂店主・デルフィーヌ (忌野清志郎)と “キャサリン” こと教頭兼美術教師・佐田杳子(夏木マリ)のやり取りの不思議な感じも良かった。

「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想
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「人を助けられるのは 人だけなのかも知れない」

また、修二たち3人に、「解放してあげる」と言って「3本足のラッキーピッグ」を床に叩きつけて去って行った蒼井の、最後の意地なのか、虚勢なのか分からないが、とにかく素直に敗北を認めぬまま去って行った蒼井の気味悪さと、終盤での蒼井とキャサリンのこのやり取りとのギャップも本作らしくて良かった。

「野ブタ。をプロデュース」特別編 (第9話・2020/6/13) 感想
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夕景の校庭の隅を窓から眺めている蒼井の横に、佐田教頭がやって来て…

佐田「何 見てるの?」
蒼井「先生は 取り返しのつかない場所に
   行ったことありますか?」
佐田「うん あるわね」
蒼井「1人で戻って来たんですか?」
佐田「ううん… 友達だね」
蒼井「そうですか」
佐田「友達が連れ戻してくれた」

ここ、直前に、彰と平山一平(高橋克実)のシーンがワンクッション入るから強調しないようになっているが、デルフィーヌに掛かって来た電話の主と偶然だか居合わせた黒猫と、誰かに聞きたかった蒼井と偶然居合わせたキャサリンが重なっているように見えた。そして、見つめ合う微笑む2人に、こんな修二のナレーションが被さって来る…

修二(N)「人を助けられるのは 人だけなのかも知れない」

この修二の言葉の直後の蒼井のアップが、蒼井は信子たちに助けられたのをキャサリンに教わったように見えた。

山下智久サンと亀梨和也サンの俳優としての謙虚な佇まいに感動

そして、今度は期待通りに「もう1回 桐谷修二を つくり上げてこっかなと思って」と切り出す修二。じゃれ合う「俳優・山下智久」と「俳優・亀梨和也」が彰と修二にしか見えないに、その直後にいつもとは違って、今現在の亀梨さんと山下さんが登場した上で、意外にもお二人がカメラワークや役の立ち位置について言及されていたのに驚いた。

と言うか、そう言う演出意図を理解しているお二人だからこそ、ちょっとした仕草で修二と彰が現実に存在する人間に見せてくれたのだ。改めて、俳優として “素晴らしく、謙虚な佇まい” だと感心させて頂いた、ラストのスペシャルコメントだった。

あとがき

予想外の展開の第9話でした。超リアルな いじめの世界と、非現実的な夢の世界を、見事に融合して、「人を助けられるのは 人だけなのかも知れない」と言う学園ドラマにしては重厚過ぎるテーマを、ちょっとファンタジー要素を含ませて、本作らしく締め括ったのはお見事でした。

そして、遂に次回が最終回。青春ドラマらしい、明るく清々しいエンディングを期待します。

最後に、前回の感想に、92回ものWeb拍手を頂き(この感想の投稿時点で)、ありがとうございました。

2020年6月15日 11:25 追記

文字だけの表記だと、どのカットを示しているのか分かり難かったので、全てではありませんが、主要なカットのみキャプチャー画像を追加掲載しました。

山下智久さんのファンの皆さんへ

ご訪問、ありがとうございます。本放送当時、読者の皆さんからたくさんの応援を頂いた山下智久さん主演の『アルジャーノンに花束を』と『インハンド』の全話の感想もあります。最終回の感想文に全話の感想のリンクがあります。
アルジャーノンに花束を:Web拍手への御礼と最終回の新たな感想
インハンド(第11話/最終回・2019/6/21) 感想



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Author : みっきー

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★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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