連続テレビ小説「エール」 (第51回・2020/6/8) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『エール』(公式サイト)
第11週『家族のうた』の
『第51回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
娘の華が生まれて4か月。音(二階堂ふみ)は炊事洗濯や育児に追われるが、裕一(窪田正孝)は作曲よりも娘に夢中の毎日。作曲のために出かけた喫茶バンブーでも、裕一は仕事そっちのけで、保(野間口徹)や恵(仲里依紗)、お客さん相手に娘のかわいさを自慢する始末…。そんなある日、恩師の藤堂先生(森山直太朗)から福島の小学校の校歌を作曲して欲しいという手紙が届く。裕一は音に励まされ曲をつくるのだが…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
裕一が娘にデレデレするのは間違っていないし…
・原案:林宏司 ・作:嶋田うれ葉 ・演出:松園武大(敬称略)
さて、先週末が、一気に妊娠発覚から「半年後」に時間経過して出産。そして、この月曜日のアバンタイトルで、更に「4か月後」へ時間経過して、娘の名前が「華」だと言うことと、音(二階堂ふみ)は家事や育児に追われるが、裕一(窪田正孝)は作曲よりも娘に夢中の毎日…であることが分かった。
まあ、初めての子どもだから、裕一が娘にデレデレするのは間違っていないし、先週で音の妊娠が発覚した時も無邪気にはしゃいで音に叱られたくらいだから、裕一のキャラがブレている訳ではない。でも、こう言う裕一を見たかったか? と、自問自答すると、ちょっと違う気もするが…
主題歌明けのナレーションが良かった
主題歌明け、いきなり、この↓ナレーションに驚いた。
N「『船頭可愛いや』の大ヒットで
祐一は 悠々自適な生活を送れるようになっていました」
そう、こう言う現状説明のナレーションが先週は極端に少なかった。だから、どの程度『船頭可愛いや』がヒットしたのかも、レコード会社との契約金がどうなったのかも、描かずに置き去りにして、時間経過だけしてしまったから、「週5放送」の本編よりも筋が分かりやい「土曜日版」でも、先週はまとめられなかった。
でも今週はちょっと違う。冒頭にこのナレーションが入ったことで、祐一が華にデレデレでも、作曲活動に日夜取り組んでいなくても不自然でないことになった。こう言う、辻褄合わせが本作には、特に今の本作にはとても重要だと思う。
共同脚本の嶋田うれ葉氏に期待したい
そして、今週の脚本担当が、本作4人目で、今週が初担当の嶋田うれ葉氏に交代した。
嶋田氏は連ドラの脚本担当も多いが、現在、フジテレビで再放送中の『素敵な選TAXI』(2014)では “プロット協力” として参加し、テレ朝『スミカスミレ 45歳若返った女』(2016)では今作と同じ “共同脚本”、テレ東『こえ恋』(2016)では “シリーズ構成” と、連ドラを “俯瞰” で捉えて “全体を見渡せる人” …と言う印象がある。
本作は、制作開始前の脚本家交代に始まって、脚本が交代する度に微妙にキャラクターが変化したり、話の強弱や繋がりに違和感を覚えたりする部分が目立つ時がある。その意味で、辻褄合わせやキャラのブレを修正するのに、嶋田うれ葉氏が一役買ってくれると、本作にとってとても頼もしい共同脚本家となると期待したい…
裕一はともかく、音が華を実家に連れて行っていない理由は?
さて、喫茶バンブーでハイテンションのデレデレパパの裕一に、最近、孫が出来たと言う客がやって来て、生後4か月経っているのに、一度も裕一と音の両親に初孫を見せていないことに対して、「いけません! 早く会わせてあげないと」とピシャリと言われて、落ち込んで家に帰って来る。
そのことを音に話すと、音もちょっと気まずい表情で「そっか…」と答えて、話を逸らす。祐一が、実家に帰り難いのは物語の流れ上で不自然ではないが、音が実家に帰らない理由が見つからない。
しかし、ここでもう一つ不自然なことを思い出した。先週で音が妊娠して「歌手か出産か?」の選択を迫られた時に、私は感想で、音が相談すべきは、音楽や声楽については双浦環(柴咲コウ)であっても、女性としての生き方の相談は、音の母・光子(薬師丸ひろ子)であるべきでは? と書いた。
しかし、光子は、『紺碧の空』が誕生する週の、第39回(2020/5/21)以来、一度も登場していない。その貴重な出演シーンも「土曜日版」ではカットされた。
音が実家に華を連れて行っていないのは新型コロナの影響か?
そこで、こんなことを考えてみた。本作の撮影は、 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月1日から中止しており、当時の出来事を振り返ると、3月9日に政府の専門家会議が、のちに「3密」と言われるようになる、3つの密接を避けるよう全国に呼びかけ、3月29日には本作にも出演された志村けんさんが新型コロナで死去した頃。
で、放送ストック分が、今月27日まで残り3週分しかないことを考えると、この第11週は3月頃に撮影された可能性があり、あまり大勢の出演者を同時に出演させられないと言う現場の事情があったかも知れない。また、薬師丸ひろ子さん側から出演シーンを減らして欲しいとの要求もあった可能性もある。
あくまでも、予想の域を出ないが、こんな大人の事情もあった可能性はあると思う。
音は普通に「藤堂先生から」と言った方が自然だったような…
本編の感想に戻そう。久し振りに恩師の藤堂先生(森山直太朗)から裕一宛てに一通の手紙が届く。音は、そのことをこう↓言って伝えた。
音「そうだ。裕一さんの恩師から 手紙 届いとったよ」
ここ、普通なら「そうだ。裕一さんに藤堂先生から 手紙 届いとったよ」だと思う。しかし、脚本家(もしかしたら、現場で演出家)は「恩師」とした。その直後の裕一の「恩師?」と言う台詞を言わせるための、前振りではあるのだが、これはどう受け止めようか?
音は「藤堂先生=裕一の恩師」と知っているから、間違いではない。しかし、祐一にとっての恩師は藤堂先生一人とは限らない。いや、裕一にとっても「藤堂先生=裕一の唯一の恩師」なら、音は普通に「藤堂先生から」と言った方が自然だったような。
校歌作曲の依頼の手紙の内容に一工夫が欲しかった…
そして、手紙の内容は、福島の小学校の校歌を作曲して欲しいと言うものだった。ここもね、ちょっと一工夫欲しかった。
だって、藤堂先生は裕一が何かと相談にのってもらった恩師であるし、序盤のシーンで華をあやしている音と裕一の前のちゃぶ台の上には、カメラが置いてあったから、ここは「華ちゃんの写真、ありがとう。華ちゃん、元気に育ってますか?」の一文があってから、作曲の依頼に入るのが、連ドラの連続性でないのかな。
嶋田うれ葉氏の脚本が、吉田照幸氏の構想に合わせてる…
ただ、今週の演出担当の松園武大氏は、藤堂先生第6週『ふたりの決意』の第27回(2020/5/5)で演出した人。
それまでの藤堂先生は、「裕一が頼れる人」として描かれて来たのを、本作のメインの脚本家兼演出家・吉田照幸氏が、祐一に「どちらかを選ぶな」と二者択一を迫る人に改編してしまったから、本来は「裕一が頼れる人」なのに、今回では「裕一を頼る人」になった。
この辺は、違和感と言うより、嶋田うれ葉氏の脚本が、吉田照幸氏の構想に合わせていると言う印象。まあ、今さら裕一が “何か” を藤堂先生に頼る…と言う展開よりも、今度は裕一が頼られる、それも “作曲” と言う展開は、物語の時間経過、特に、冒頭の「 悠々自適な生活を送れる祐一」と連動して良いエピソードだと思う。
裕一と音が一緒に校歌の作曲をしているシーンは良かった!
今日は、ナレーションが実にいいタイミングで、適切な内容が入って来る。7分過ぎのこの↓ナレーションもそうだ。
N「藤堂先生からの作曲の依頼を引き受けた裕一は
音と一緒に 故郷の校歌を書き上げました」
ここのナレーションと映像が実に良かった。楽譜を書いている直接的な映像はなかったが、祐一が書いた楽譜を音が読んで歌っている歌声が小さく重ねられて、字幕にも「♪信夫の山」と表示された。
このシーンだけで、先週では木曜日と金曜日しか感じられなかった、祐一と音の夫婦らしさ、プロの作曲家の夫と声楽家を目指す妻の夫婦らしさが滲み出ていたし、夫婦二人三脚な様子も見えた。このような描写がどんどん増えるのを期待したい。
「当然よ!」は、音の好感度アップのために…
どうやら、今週の脚本家は、音のキャラ設定に苦戦している様子が伺える。8分頃、藤堂先生から校歌作曲のお礼の手紙が届く。「大変すばらしい曲を作って頂きありがとうございました」と書いてあって、それに対して、音はこう↓答えた。
音「当然よ!」
夫の作曲家としての実力を信じているから出て来た本音なのだろう。ただ、音の好感度アップのためなら、「流石 裕一さん!」とか、「やっぱり 古山裕一先生の才能は凄いわね」くらいに留めておいた方が無難だったような…
藤堂先生の2通目の文面「音さんや娘さんも一緒に」に安堵…
ただ。良い台詞もあった。前述の通り、祐一が「華の誕生」を藤堂先生に伝えていないのは不自然だと書いたが、8分過ぎの藤堂からの返信の手紙に「音さんや娘さんも一緒に」と言う一文が添えられていた。繰り返すが、こう言うのが本当に大事。
このようなちょっとした描写で、「やらないことが積み重なる」と裕一と音が “人でなし” に見えて来ちゃうから。どうやら、音の台詞以外は、やはり、嶋田うれ葉氏には期待が出来そうだ。
おでん屋、焚き火、回想の流れも良かった
鉄男(中村蒼)のおでん屋から、裕一の焚き火、古山家での回想シーン、そして再び裕一の焚き火で音が入って来る流れは、なかなか良かった。特に、前半でのデレデレパパから、神妙な面持ちの裕一の変化を、窪田正孝さんの演技が魅せた。
故郷凱旋と言う意味では、福島に帰りたいだろうし、自分の雄姿を家族にも見せたいだろうし。ただ、実家であり老舗呉服屋「喜多一」には、裕一の味方は、父・三郎(唐沢寿明)しかいない。母は手紙をよこして来たが。この辺の複雑な心情の描写をそれなりの尺を割いて描いたのは良いことだと思う。
やっと音にも、いい台詞が降って来た…
13分過ぎ、やっと音にも、いい台詞が降って来た…
音「私は… 早くに お父さんが亡くなってるでしょう?
お父さんに 恩返ししたかった。
裕一さんが お父さん お母さんに
親孝行できたらいいなって思っとるよ」
数秒の間を空けて、「帰ろうか」と裕一が言う。更に、間を空けて、音が「うん」と頷く。ここ、演出も頑張った。敢えて、劇伴を付けずに、台詞と俳優の演技だけに頼った。
それが功を奏したかたちで、その後の福島の山々(劇中で使用された1カット目は、福島県の会津磐梯山を南側の猪苗代湖から眺めると見える表磐梯山で、「会津富士」と呼ばれる美しい山容で、日本百名山の一つとされる)の情景カットを2カット切り替えながら劇伴をつけて、裕一と後の足元のアップで始まった。
前半は遠くを見せて、後半は手前の足元を見せて、視聴者に時間経過と場所移動を滑らかに魅せた。そして、藤堂先生との再会。また、ハーモニカのエピソードなんかも見られると嬉しい…
あとがき
前半は、少々鬱陶しい裕一のパパっぷりでしたが、藤堂先生の手紙辺りから、私は、いい感じだと思いました。皆さんは、どうお感じになったでしょうか? ただ、脚本家が変わったので、この先に不安はありますが、結構堅実に進みそうな気もしています。放送中断まで3週間、しっかり見届けようと思います。
さて、お伝え、お知らせしたいことが、2つあります。
1つは、今回で、裕一が「福島吾妻尋常小学校」の応援歌を作曲するエピソードがありました。裕一のモデルとされる古関裕而さんは生涯で2020年3月の記録で、全国で300校、うち福島県内の107校(廃校、統合など含む)の校歌を作曲されました。その一覧が『福島市古関裕而記念館』の公式サイト内にあります。
自分や知り合いの母校の作曲家が古関裕而さんであるか調べれます。詳しくは、下記の投稿をお読みになって下さい。
自分の母校の校歌が朝ドラ「エール」の主人公モデル・古関裕而さんの作曲か調べられるサイト
また、今回のクレジット・タイトルに、ロケ地の欄に「佐倉市」とありました。何処のシーンに登場するのかと思って観ていたら、最後に裕一が凱旋した完成披露会の会場「福松館」のロケ地が、千葉県佐倉市にあり、 国の重要文化財(建造物)に指定されている『旧堀田邸(公式サイト)』でした。私自身が見学に行ったことがあるので間違いありません。
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★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/14275/
【これまでの感想】
第1週『初めてのエール』
1 2 3 4 5 土
第2週『運命のかぐや姫』
6 7 8 9 10 土
第3週『いばらの道』
11 12 13 14 15 土
第4週『君はるか』
16 17 18 19 20 土
第5週『愛の協奏曲』
21 22 23 24 25 土
第6週『ふたりの決意』
26 27 28 29 30 土
第7週『夢の新婚生活』
31 32 33 34 35 土
第8週『紺碧(ぺき)の空』
36 37 38 39 40 土
第9週『東京恋物語』
41 42 43 44 45 土
第10週『響きあう夢』
46 47 48 49 50 土
第11週『家族のうた』
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