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連続テレビ小説「エール」 (第47回・2020/6/2) 感想

連続テレビ小説「スカーレット」

NHK総合・連続テレビ小説『エール』公式サイト
第10週『響きあう夢』の 『第47回』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


木枯(野田洋次郎)が自身のヒット曲「酒は涙か溜息か」を作詞した高梨一太郎(ノゾエ征爾)を裕一(窪田正孝)に紹介するために連れてくる。高梨は裕一の「福島行進曲」を聞いて、自分の詞の「船頭可愛いや」に曲をつけて欲しいと頼みに来たのだ。一方、音(二階堂ふみ)は記念公演に向けて稽古に励むが、なかなかうまくいかない。居残りでひとり練習をしていると、環(柴咲コウ)が現れコツをアドバイスして音を励ます。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

「アバンタイトルがない」ことで、期待感を高める工夫

・原案:林宏司 ・作:清水友佳子 ・演出:吉田照幸(敬称略)

やはり、今週の吉田照幸氏は、しっかりと視聴者に向き合った演出をしている。前回のラストシーンは、木枯(野田洋次郎)が裕一(窪田正孝)に紹介したい人がいると言って、連れて来た愛想の良さそうな和装姿の男性を連れて来た…ところで、「つづく」。

だから、普通なら火曜日だし、大きく展開が動くのは、これまでだったら水曜日から木曜日と大凡決まっていたから、今回のアバンタイトルは、今回だって、高梨一太郎(ノゾエ征爾)が「あなたが古山さん? やっと お目にかかれました」と言う、まだ無名で売れていない裕一を知る人物の登場の「つづき」をやると思っていた。

しかし、実際には、アバンタイトルは無し。もう、それだけで、月曜日を見た人なら、先週と今週は演出家が交代して、“まとも” になっているのには気付いているはずだから、私がいつも言うように「早く、先を見せてよ」と視聴者はなる。そう、こう言う予想外の、それも、ただ「アバンをやらないだけ」で期待感を高める。

「アバンは、あるもの」と言う前提すら払拭して、視聴者を楽しませようとする “作り手の本音” が見えるだけで、こちらが “エール” を送りたくなる。

「カフェー パピヨン」の夜の全景カットに込められた演出

主題歌明けも、定番の演出。前回の感想で、ある読者さんとやり取りとしている中で、こんなことを書いた。

 映像づくりに於いて、演出担当、照明担当、美術、衣装、大道具、小道具、美粧などの全てのスタッフは、頂いた脚本から、全てのシーン、1つ1つに対して下記の事柄を見つけ出して、書かれていなければ「想像」して「創造」し、映像化しなさい…と、教わりました。
 それが、「時代」「年代」「季節」「時間(時刻)」「天候」「気温」「風向き」「(昼なら)太陽の向き」「(夜なら)月齢」そして、「空間の広さ」「空間の奥行き」「空間の高さ」です。

前回でのおでん屋のシーンで粉雪が降った。そして、「カフェー パピヨン」の全景カットは、雪は降らず。でも、前回のメインの舞台であったおでん屋とは対照的な華やかな世界。もちろん、既視聴者なら店内の雰囲気は知っているが、今回が初見の視聴者には、それが伝わっていない。

カフェー パピヨン
©NHK

しかし、あの昭和を感じさせる「カフェー パピヨン」のフォント、昭和60年代になると都内の純喫茶にはステンドグラスが多用された店がたくさんあったが、劇中の時代は「紺碧の空」が発表された昭和6年(1931)の数年後だから、ステンドグラスそのものが、かなりハイカラで、且つ「カフェー パピヨン」のステンドグラスは良く見ると、表面に凸凹のあるディンプル加工が施されている高級品。

この辺の再現も細かいし、下手(画面左)の観葉植物が暗くて良く見えないが、風で僅かに揺れている。私の目には観葉植物「ドラセナ」の類に見えたが、「ドラセナ」なら 『幸福の木』の別名もあって、玄関や店先に置くと幸福、運気を招くとされる。色鮮やかなステンドグラスと合わせて、「裕一の作曲人生を変える出会い」の幸運の幕開けを感じさせる1カットになっていると思う。

作曲中の裕一に、お茶と茶菓子を持って来る音が良かった

高梨から自分の詞の「船頭可愛いや」に曲をつけて欲しいと頼まれた裕一が作曲作業に取り掛かる。何せ、裕一は楽器を使わずに作曲するから「作曲中の裕一」の見せ方はとても苦労すると思う。ここが、「歌の練習中の音」と違うところ。

で、今回は、短めに「作曲中の裕一」を見せた後に、すぐに音(二階堂ふみ)を、お茶と茶菓子を持たせて登場させた。ここの下記↓のやり取りが実に良い。

 音「お疲れさま。一息 入れたら?」
裕一「うん。ありがとう」
 音「どう? 進んどる?」
裕一「うん… もう少しかな?」
 音「『船頭可愛いや』」
裕一「うん… 本当にいい歌詞なんだよ。さすが高梨先生。
   せっかく 木枯君が つないでくれた縁だし 頑張んないと」

「一息 入れたら?」で長時間作曲していたことが分かる。「どう? 進んどる?」で、先週には殆ど無かった音が裕一を支える気持ちが見えた。「もう少しかな?」で、余程、高梨の作詞に感銘を受けて筆が進んでいるのも分かる。「つないでくれた縁」で、以前は “独りよがり” の部分のあった裕一の成長も見えた。

その後の、祐一と音のやり取りも、先週とは違って、本当の「夫婦二人三脚」が描かれた。そして、前回ではちょっぴり鼻っぱしが強かった音だったが、今週の音は素直。裕一も社会人としての苦労をして来たからこその、的確なアドバイスを与えた。

こう言う、ダブル主人公でも、キャラクターを描き分けながら、支え合う部分や、個性の違いをサラリと描くのは、とても良いと思う。

音が裕一の"鼻歌"に気付いて退散するカット編集が秀逸

このシーンで、意外にいいなと思ったのが、祐一と音が一通りの会話劇を済ませた後の、台詞が無い場面。音が、おせんべいをかじり、お茶を飲むと、ふと裕一の手元を見てから裕一の口許に目をやる。すると、テレビの音量を大きめにしないと聞こえないくらいの小さな音量で「裕一の鼻歌」が聞こえて来る。それを見て、退散する音。

音が裕一の鼻歌に気付いて退散するカット編集
©NHK

ここ、いいよね。この前段での裕一が音に言った、「技術に関しては 意識しなくても 自然にできるようになるまで 繰り返し努力するしかないかもね」が生きて来るし、効いて来る。そう、祐一の作曲の “技術” は意識しなくても、自然に “鼻歌” が出て来るようになるまで、繰り返し努力をしたってことを、音が察知したってこと。

だから、「私も、そうなるように努力しないと!」と、ちょっと恥ずかしい感じを見せてカットアウト。この潔い編集がいいのだ。

これを、音が部屋を出るまでやってしまうと、ちょっと嫌味になる。でも、途中でバッサリカットするから、この祐一に対する「ヤバっ!」って感じの “恥ずかしさ” を残したまま、次の舞台練習に繋げて、音の不安な気持ちを続けるって編集。バッサリ切ったから繋がるって、演出とは面白いものだと思わないだろうか?

稽古風景の1stカットは、「視聴者だけのスペシャル目線」

次の練習風景のシーンの1カット目も面白いアングルだ。『椿姫』の演出家黒(千葉哲也)の目線でもないし、演者やスタッフの目線でもない、敢えて言うなら「視聴者だけのスペシャル目線」だ。

視聴者だけのスペシャル目線
©NHK

カメラが下手から上手(画面右)にゆっくり回り込んで、まるで、視聴者が内緒で稽古場に入り込んだようなカメラアングル。こう言うのも面白い。

前回に続いて、環の台詞で先週もモヤモヤが解消された

音が記念公演に向けて稽古に励むが、なかなかうまくいかず、居残りで一人練習をしていると、環(柴咲コウ)が現れて、歌のコツをアドバイスして音を励ますシーンがあった。音が、夫の裕一には作曲の才能があれば、売れるきっかけがないと嘆く。そこでの環の下記↓の台詞が…

環「そうね… きっかけは大事。
  あなたは それをつかんだんだから
  無駄にしないようにね。

前述の、祐一の「せっかく 木枯君が つないでくれた縁だし 頑張んないと」と明らかに呼応し合っている。

この台詞で、先週では音が千鶴子(小南満祐子)を破ってヴィオレッタの役を手にしたのが、環の忖度のように映って見えたが、前回の説明とこの台詞で、音の合格が「縁」であり「きっかけ」だったことが強調された。こうやって、先週の蟠りを少しずつ回収するのも良いと思う。

祐一とベートーヴェンの組合せも楽しかった

9分まで、一切のお笑いやコント無しで進めて来て、廿日市(古田新太)と杉山あかね(加弥乃)が登場した途端にコミカルへ。もう、廿日市とあかねのやり取りを見ているだけで楽しい。

裕一が、ベートーヴェンの胸像に向かって指を組んで祈りのポーズで、「運命~!」と叫ぶんで、ちゃんと「運命」を流すなんて工夫も、前回の「久志のウインクと銃声」の延長線上で良いと思う。

祐一とベートーヴェンの組合せ
©NHK

もちろん、真面目に演じているから楽しいのだが。やはり、15分間に1度か2度は、息抜きになるようなシーンがあった方が面白い。

おでん屋の手前の貼り紙と、おでん屋の照明が、前回と違う

そして、前回の感想で、照明が秀逸だと褒めた、おでん屋のシーン。今回も、ちゃんと工夫があった。おでん屋は路地の奥のちょっとした空き地に存在する。で、前回の感想を見直して頂けると分かるのだが、前回と今回では、おでん屋を引きで撮影するカメラのアングルも違うし、ガラス戸の貼り紙も無くなっている。それだけ、いろいろと世の中の動きが激しい時代だと言うことの表現だと思う。

おでん屋の手前の貼り紙と、おでん屋の照明が、前回と違う
©NHK

そして、照明だが、前回では赤提灯の奥に街灯があって、おでん屋はやや暗がりになっていた。

しかし、今回で裕一と 久志(山﨑育三郎)がおでん屋に来る時のカットは、アングルがちょっと上手寄りで、街灯が映り込まないようなアングルにした上に、おでん屋の中にいる鉄男(中村蒼)に、まるでトップサス(舞台の真上から吊る、スポットライトのような照明のこと)が当たっているように、鉄男の存在を際立たせた。

更に、前回でおでん屋店主・山根(花王おさむ)が、横に並んで座っていた鉄男にこう言っていたのを思い出した。

山根「あっ そうだ。にいちゃん
   ひとつ 相談があるんだけどな」

そうか、あのあとに、山根の後継者になるように相談されたってことか。

3人が夜空に乾杯するシーンのカメラアングルも良かった

そして、3人が夜空に乾杯するシーンだが、ここは大胆にスタジオセットの真上からおでん屋の空き地を撮影するアングル。

3人が夜空に乾杯するシーンのカメラアングル
©NHK

このカメラのアングルも、絶対に普通では見られない映像だから、「視聴者だけのスペシャル目線」と言うことになる。それにしても、おでん屋の天井まで作り込むとは、美術さん、恐るべしだ。

毎回、レコーディングのシーンには見入ってしまう!

レコーディングのシーンは、いつも楽しみにしているのだが、今回は、なぜか、鉄男と久志も見学に。そこへ、芸者の “藤丸” こと沼田松子(井上希美)かと思いきや、「下駄屋の娘」の極太フォントと三味線の音がついて、軽妙なオチ。「トランプ君」に「ひらひらシャツ」にも、思わず笑ってしまった。

そして、下駄屋の娘の歌が上手いことったら、ありゃしない。そりゃそうだ。井上希美さんと言えば、2017年まで劇団四季にいたし、 学生時代には得意の朗読でNHK杯全国高校放送コンテストで県大会優勝した実績を誇る人。

でも、満を持して出した「船頭可愛いや」も売れず仕舞い。契約解除の危機を迎える祐一、古山家の最大の危機がどうなるのか、明日も楽しみだ。

あとがき

もう、今週は大丈夫ですね。これだけ安定感があれば。脚本が、もう少し裕一と音を「音楽」と言う共通項で因数分解してくれれば、もっと夫婦が重なると思いますが、演出家がここまで頑張っているので、これ以上の贅沢は止めておきます。明日も楽しみです。

なお、前回の感想に、昨日の午後2時過ぎまでに Web拍手を頂いた25名の読者さんたちに、お伝えします。前回の感想は、昨日の午後2時40分頃に『連続テレビ小説「エール」 (第46回・2020/6/1) 感想 ※解説写真と加筆修正あり』へと “進化” しております。宜しければ、もう一度お読みになってみて下さい。



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1 2 3 4 5 
第2週『運命のかぐや姫』
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第3週『いばらの道』
11 12 13 14 15 
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第5週『愛の協奏曲』
21 22 23 24 25 
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★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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