連続テレビ小説「エール」 (第31回・2020/5/11) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『エール』(公式サイト)
第7週『夢の新婚生活』の
『第31回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
福島の家族に反対されながらも東京に出てきた裕一(窪田正孝)は、家探しの折にたまたま入った喫茶店「バンブー」で紹介してもらった家で、音(二階堂ふみ)との新婚生活をスタートさせる。また、裕一のコロンブスレコードの専属作曲家としての仕事もはじまる。ディレクターの廿日市誉(古田新太)に、同期の作曲家・木枯正人(野田洋次郎)と一緒に職場を案内された裕一は、さっそく作曲を依頼される。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
アバンの1カット目、「古山家・全景(朝)」が良かった!
当blogの常連さんなら、今回の1カット目の裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)との新居の情景カットを見て、今週がこれまでの演出家と違うことと、第7週目にしてやっと映像で “まとも” な時間表現を出来る演出家になったことが分かったと思う。
今回の1シーン目は脚本的に書くと「【1】古山家・全景(朝)」だろう。まず、スタジオセットでありながら、日差しによる影の角度が朝のような “角度” に見える。また、日差しが上手(画面の右)から当たっているから玄関は “南西向き” なのも分かる。
朝っぽい小鳥の鳴き声のSE(効果音)の背後に、右チャンネル寄りに微かに電車が走る音と踏切の警戒音のSEが鳴っているから、新居から南方向のそんなに遠くない所に踏切か駅があることも分かる。画面上手には自転車屋らしき商店があって、木々と光の色から察すると季節は初夏から夏くらいなのも分かる。
このような、1カットでここまで状況証拠を的確に散りばめて、視聴者に情報提供した演出家は本作にはいなかった。更に、 表札が 「古山裕一 音」 になっていたため、結婚式も入籍も済ませていることも描かれた。
個人的には、あの個性的な古山家と関内家と川俣銀行に “ミュージック ティーチャー” が加わった結婚披露宴のシーンなんてあれば楽しかったと思うが、まあ「やってる暇はない」と言うことだと解釈した。
今週から、脚本家と演出家が「急ごしらえ」になった…
さて、オープニング映像が、今週から新作になった。そして、今週のクレジット・タイトルをまとめると、こうなる。
●作:清水友佳子(過去作/夜行観覧車、わたし定時で帰ります)
●原案:林宏司(本作の第3週までの脚本担当)
●演出:橋爪紳一朗(過去作/花子とアン、花燃ゆ、スニッファー 嗅覚捜査官)
驚くべきは「脚本家」がいない。そして「作」とある清水友佳子氏は今週が初担当。「演出」の橋爪紳一朗氏に至っては過去に発表された記憶がない。まあ、それだけ「急ごしらえ」であると言うことだ。
ただ、タイミングとしては、やっとプロローグが終わって、本格的な「起承転結」の「起」が始まった…と解釈している私にとっては(既に「起承転結」の「起」は終わったとお思いの方には異論はあろうが)の、このタイミングしかなかったように思う。
先週までよりも、物語の中に"音楽の要素"が増えて来た!
ただ、前述の通り、悪くもないが、不安もある理由は、週の初めのアバンタイトルに「全く “音楽の要素” が皆無だったこと」は正直不安であり、不満だ。いや、これまでも “音楽の要素” が少なかった。特に「主人公と音楽」は、あまりにも簡素な描写が多かった。
簡単に世界に認められる楽曲を作曲出来ちゃうし、(フルではないが)オーケストラの指揮も出来ちゃうし、意外にあっさりミューズと別れると言い出したりして来た。ただ、この部分は好意的に解釈して来た。だって、脚本が「急ごしらえ」なのだから…と。と言うわけで、今週からの裕一と音が今後のキャラになって進む可能性は大きいとすると…
幾ら新婚生活と言え、裕一と音のキャラが変わり過ぎて…
主題歌明けも、先週までと演出が明らかに違う。まず人物のアップが多い。まあ、それは新婚生活を描くのだから、そうやりたいのも分かるし、新婚生活だから独身時代の裕一と音とは違うのは理解するが、ちょっとキャラが変わり過ぎているように感じてしまった。
レコード会社のシーンは、なかなか作り込まれて良かった…
そして、懸念していた “音楽の要素” だが、新婚生活のイチャイチャは程々にして、開始4分で「コロンブスレコード」が登場して安堵した。
また、新居のシーンでは人物のアップが多くて懸念していた(のちに、裕一と廿日市はアップが多用されるが)が、レコード会社のシーンでは、意外な程に「引きの画」と「俯瞰の画」が多く、スタジオセットもしっかりと作り込まれており、かなり安心感が増した。
特に「俯瞰の画(対象物を鳥の目線で見ているように上から下に向けて撮影するカメラアングルのこと」は、日常生活ではあまりないアングルだから、例えば廊下で裕一と同期の作曲家・木枯正人(野田洋次郎)が立ち話をするシーンには新鮮味があったし、カメラが所謂「上から目線」であることから、二人の不安感も出るし、画面にいないディレクターの廿日市誉(古田新太)からの圧力も表現出来ている。ここは褒めるべき部分だ。
音は音らしさが薄まり、裕一は作曲家らしさが濃くなった!
やはり、キャラクターが微妙に…の部分と、かなり…の部分、変わってしまったのが気になった。まず、マイナスは音が完全に普通の新婚ウキウキ新妻になってしまったこと。まだ、「ミューズ」の欠片が残っているのが幸いだが、以前の気丈でハキハキした音がもう少し垣間見ることが出来たら良いと思う。
一方で、プラスと言って良いのか分からないが、裕一の音楽、特に作曲に対する姿勢や取り組み方は、少し良くなったような気がする。今までだったら、誰かの何かをきっかけに、チョチョイと作曲出来ちゃったのに、今回はまず帰宅して、夕飯を食べて、「小腹が空いてた」と言っていたから、かなりの時間を作曲作業に費やしているのは分かった。やはり、毎回サクッと作曲出来ちゃうのは面白味に欠けるから…
惜しい!
惜しいなぁ。こう言う時こそ、と言うのはレコード会社に「ちょいぽい癒唄 第二」の楽譜を廿日市に見せる場面。ナレーションで「翌朝」とか「数日後」とか入れるだけで、裕一の才能や作曲の難しさ、特に歌謡曲の作曲の難しさが簡単に描けたのだ。ここは、脚本に書かれていなくても演出家がテロップで入れても良い。
やはり、もっと “音楽の要素” を丁寧に、丁寧にあちこちに散りばめないと、このまま、「第1回の有名作曲家になるまでを描くだけ?」に想えてしまう。まあ、脚本が「急ごしらえ」で、演出家が本作初担当の今週は止むを得ないか…
まさか『夢の新婚生活』で1週間終わるとは思わないが…
なんて思って観ていたら、13分には「半年後」。結局、裕一が歌謡曲の作曲に苦戦している映像はそれなりに多用されていたが、印象が強いのは、音の「八丁味噌」と、裕一の「お金」。折角、1か月ちょっとで、紆余曲折して裕一と音が夫婦になったのだから、それぞれの道を描きつつ新婚生活も描けば良いのに。
サブタイトルも『夢の新婚生活』となっているから、重きを置かれて描くのは新婚生活になるのだろうか。まあ、土曜日版の予告編を見た人なら、新婚生活以外にいろいろ描かれるのは承知だと思うが、なんか中途半端な月曜日って感じだった。
あとがき
演出家の演技指導によって、裕一と音のキャラクターが変わってしまったのが一番の心配事です。
あとは、先週までは「結婚」と言うゴールが見えていましたが、今週はゴールが見えません。このまま何となく有名作曲家への道を描くだけなのか、所々に「小さなゴール」を設けて、そこに到達する過程で、視聴者に裕一と音にエールを送らせるのか?
ただ「小さなゴール」でなく、新婚時代の夫婦の味覚の好みの違いや、家も借りて妻の学費も捻出しなくてはならない裕一の前に初めて大きく立ちはだかる「自分で働いて養っていく」と言う “大きく高い壁” を、どうやって、ぶち壊して進んで行くのか、そんな裕一と裕一を支える音が見所になっていくと、また楽しい『エール』が戻って来る気はします。
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【これまでの感想】
第1週『初めてのエール』
1 2 3 4 5 土
第2週『運命のかぐや姫』
6 7 8 9 10 土
第3週『いばらの道』
11 12 13 14 15 土
第4週『君はるか』
16 17 18 19 20 土
第5週『愛の協奏曲』
21 22 23 24 25 土
第6週『ふたりの決意』
26 27 28 29 30 土
第7週『夢の新婚生活』
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