連続テレビ小説「エール」 (第27回・2020/5/5) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『エール』(公式サイト)
第6週『ふたりの決意』の
『第27回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
幸せいっぱいでのんきに福島に戻った裕一(窪田正孝)だったが、帰りを待っていた福島の家族の反応は予想外のものだった。まさ(菊池桃子)や浩二(佐久本宝)の想(おも)いをはじめて知って、あらためてどうすべきか考えこむ裕一。久しぶりに恩師の藤堂先生(森山直太朗)をたずねて、裕一は自身について相談をする。一方、音楽学校の実技試験に向けて、歌の練習にはげむ音(二階堂ふみ)は、謎の男のアドバイスで…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
藤堂先生って、二者択一を迫るような人だっけ?
第4週の土曜日版(2020/4/25)の感想で、本編では明確化されなかったが、ナビゲーターの語りで、第4週からの脚本家兼演出家・吉田照幸氏(今週の演出は 松園武大氏)は、鉄男(中村蒼)は「裕一 “を” 救うきっかけを作る人」で、藤堂先生(森山直太朗)は「裕一 “が” 頼れる人」と描きたいと分かった。
だから、今回も人生の選択に迷った裕一(窪田正孝)は、久しぶりに恩師の藤堂を訪ねて相談した。ここまでは、間違っていない。しかし、このシーンでの、藤堂のこの台詞に違和感を覚えた。
藤堂「どちらかを選ぶな」
藤堂って、こんな風に言い切るキャラだったろうか? 私の印象では「お前の好きにしろ」と言うよなキャラとして記憶されているのだが。確かに、裕一の音楽の才能にいち早く気付いたのは間違いなく藤堂だが、自身が教師を辞めて親孝行をしようと選択に悩んでいる人が、「二者択一」の答えを言うかなぁと。
やはり、第3週までの脚本家・林哲司氏との “作風の違い” が “キャラの変更” にまで及んでいるような気がしてならない。ただ、前回での裕一の弟・浩二(佐久本宝)の衝撃的な爆発のように、良い方に働く時もある。やはり、脚本家の途中交代の影響は大きいと改めて感じた場面だった。
脚本は多少ブレてはいるが、裕一への演出は意外とブレない
脚本は多少ブレてはいるが、逆に演出家が交代しても本作らしい良い部分は、二人で共通、共有されている。例えば、藤堂と別れた後の裕一が、一人校門から出て立っているシーン。
まず、窪田正孝さんの顔が認識できない位に、どか~んと引いたロングショットで裕一の孤独感を描いて、次のカットで、バストショットまで寄って裕一の表情を視聴者に見せる。このバストショット(胸から上が画面に映っている画角のこと)が良い。
校門を出た直後の裕一の「ギロチン」の構図に注目して欲しい
まず、裕一の背後にある「石」に注目して欲しい。1つ目の良いのは、裕一の下手(画面の左)にゴロゴロとした「黒い石」を置いて “もうあとには引けない” 切羽詰まった感じを表現していること。もう1つ良いのは、背後の「石段?」の “線” が裕一の首の真後ろに合わせて撮影されていることだ。
こう言う、背景に横線(例えば、水平線や柵など)が首を横切るのは、「ギロチン」と言ってカメラマンが嫌う構図なのだ。なぜなら、「ギロチン」は首と胴体を分けるように映ってしまうから、人物としての一体感が損なわれるから。
しかし、敢えてここでは「ギロチン」を使うことで、画面内の“横の線(ライン)” と、裕一が首を動かす “縦の線(ライン)” が交錯するから、文字通りに裕一の心の中が様々に交錯しているように映る。
もう1サイズ寄ったアップを入れなかった選択もいいと思う
更に褒めるべきは、このあとに、もう1サイズ寄ったアップを入れなかったこと。あそこで更にアップを入れると、窪田正孝さんの演技を強調し過ぎちゃう。そう、ここは俳優の演技力を魅せるのでなく、魅せるべきが裕一の心情だから良いのだ。こう言う演出があると嬉しくなる。
「震えを止めて お願い…」の音はアップにし過ぎだったかな?
なのに、そのあとの、音(二階堂ふみ)が裕一からの「別れの手紙」を読んで、「震えを止めて お願い…」のシーンでは、いつもなら襟は切らないで映すのに、寄っちゃった。音の頭のてっぺんも切れるまで寄っちゃった。
恐らく二階堂ふみさんの演技に吸い寄せられたと推測するが、さっきの裕一のシーンであそこまで引いたままで描写したのだから、ここも冷静にあと数十センチ引いて撮影したら良かったと思う。このシーンだけ別のドラマみたいになってしまったから。
まあ、あの演技を目の前でやられたら、寄りたくなる演出家の心情も分からなくもないが、ここは “統一感” と言う意味で、ちょっとだけカメラに引いて欲しかった。だって、この直後の八重(三田和代)と茂兵衛(風間杜夫)のシーンでは、ちゃんと引いた画で、二人の心情を十分に描かれているのだから。
音からの手紙を読む裕一のカットにも「ギロチン」の構図があった!
で、音からの手紙が数通届く、裕一の部屋のシーンでのカットを、また見て欲しい。ねっ、ちゃ~んとやってるでしょ、ゴロゴロとした「黒い石」と「ギロチン」と全く同じ構図。そう、呉服屋「喜多一」の店員・及川(田中偉登)が裕一に手紙を渡して、部屋を出て「チェッ」と舌打ちをしたあとの、手紙の裏面を見た直後のカットだ。
座ってバストショットの裕一が真ん中で、下手に「黒い石」の代わりに濃いめの色の「物入れ」があって、「石段」の代わりが「襖の柄」。上の白い部分と下の青色の部分で「ギロチン」してる。裕一の泣くアップもない。むしろ、引きの画ばかりで孤独感を見事に描いてる。
まあ、今のところは、裕一と音で「描写に違いを設けている」と好意的に解釈しておくが…(もちろん、これが「継続は力なり」で本作らしさになる可能性もある!)
留学が取消になった裕一のカットが良かったから、音のアップも…
いいよねぇ。裕一の留学が取り消しになったところの、部屋での裕一の映像が。手前のテーブルの脚?もぼかして、奥の裕一もぼかして、手持ちカメラで揺らせて…なんて。ちょっとした映画みたいな印象的なカットだ。これを見たあとだと、音のチョイ寄りの泣き顔も悪くなかったかな? と思えてしまった。
鈍感で思慮浅い男を問題解決力のある女が助ける展開は好き
ただ、まだまだ悪くないなぁって。前回の感想で、私は「鈍感な裕一」を強調したのは良かった…と書いた。鈍感であり思慮の浅さもある男。だから、「ミューズ」である音を捨てて、留学に賭けることが出来た。
だって、「ミューズ」がいるから音楽が生まれると自身が言ったのだから、「音を捨てる=音楽を捨てる」に気付かない。気付かない(気付けない…かな?)ような裕一だからこそ、唯一の望みであり道であった「留学」が閉ざされてことで、どん底に突き落とされる。ここまで、「鈍感であり思慮の浅さもある男」が意外と筋が通っていると思う。
そんな男を救うのが問題解決能力、ブレークスルー出来る女である音…の流れは自然。このまま、金曜日にはサブタイトル『ふたりの決意』に沿って、結婚の決意まで進んだ方が良いとも思う。まだ、火曜日だから3日あれば十分やれるに違いない!
あとがき
今回の感想の序盤では「脚本は多少ブレてはいる」と書きました。でも、それはあくまでも、例えば幼少期と今の藤堂先生のキャラ設定などについてであり、物語自体の進む方向は、意外とベタな「紆余曲折する結婚への道」になっていると思います。
とにかく、問題は、ダブル主人公が夫婦になって同居してからだと思います。どっちをどの程度、出して引っ込めるのか? その辺も今は楽しみとして取っておきます…
それと、今回を見て、やはり本作のサントラ盤って、小さい音で流れていても印象的で良いなと思いまして、Amazonで予約してしまいました。5月27日の発売が楽しみです。と言うわけで、下にリンクを掲載します。
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